BypassIOが「Not Supported」になる原因と対処|ミニフィルターとNVMe SSDの関係を解説【2026年版】
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Status 506の意味とミニフィルタードライバーの拒否ロジックを確認する
「fsutil bypassIo state /v」コマンドを実行したところ、「is not currently supported」という表示とともに、Status: 506やDriver: wof.sysといった見慣れない情報が出てきて、次に何をすればいいか分からなくなった、という状況は珍しくありません。
結論から言うと、Not Supportedという結果はPCの故障や不具合を示すものではありません。Windows 11のファイルシステムフィルターの仕組み上、BypassIOへの対応が間に合っていないドライバーが1つでもあれば表示される、ごく普通の状態です。本記事では、Microsoft公式ドキュメントに実際に掲載されている出力例をもとに、Status番号・Driver欄・Reason欄の読み方と、ミニフィルタードライバーがBypassIOを拒否する仕組みを整理します。
fsutil bypassIo stateコマンドの基本的な実行手順や、NVMe SSD・SATA SSDとの関係、Xbox Game Barでの事前確認といった一連の流れは、以前の記事ですでに解説しています。本記事では、その結果としてNot Supportedや部分的な対応(Partially Supported)と表示された場合に絞り、原因の切り分け方と、表示されたドライバーを扱う際の注意点を掘り下げます。
出典:Microsoft「BypassIO for Filter Drivers」、Microsoft「Supporting BypassIO Operations」、Microsoft「BypassIO in Storage Drivers」、Microsoft「FltVetoBypassIo function」、Microsoft「Filter Manager Concepts」。2026年8月17日時点の情報です。
FltMgr.sysが表示される実例の出典:Microsoft Q&A「DirectStorage issue- BypassIO not supported due to driver: FltMgr.sys」(コミュニティに寄せられた実例です)。
目次
前提BypassIOの基本条件をおさらいする
BypassIOは、Windows 11に搭載されたストレージI/Oの最適化機構です。対応する条件がそろった場合、ファイルの読み込みがファイルシステムフィルターやボリュームスタックを経由しない短い経路を通るようになり、DirectStorageを支える基盤技術の1つになっています。
Microsoft公式ドキュメントが案内する対応範囲は、Windows 11のクライアント環境、NVMeストレージデバイス、NTFSファイルシステム、そして非キャッシュの読み込みです。PCIeの世代(Gen3・Gen4・Gen5)はこの条件に含まれておらず、SATA SSDはNVMe要件を満たさないため対象外になります。
fsutil bypassIo stateコマンドの具体的な実行手順、NVMe SSDかどうかの確認方法、Xbox Game Barでの事前チェックといった基本的な確認の流れは、「あわせて読みたい」に挙げた以前の記事で詳しく解説しています。本記事では、その結果としてNot SupportedやPartially Supportedと表示された場合に絞って掘り下げます。
正体「Not Supported」の大半はミニフィルタードライバーの拒否
Microsoftの技術ドキュメントによれば、ファイルシステムに接続されているミニフィルタードライバーが1つでもBypassIOへの対応を追加していない場合、そのボリューム上のBypassIOはすべてブロックされます。個々のミニフィルターは、対応できないと判断した時点でFltVetoBypassIoという関数を呼び出し、エラーコード(Status)と拒否理由の文字列(Reason)をシステムに返します。fsutil bypassIo stateの結果に表示されるStatus・Driver・Reasonは、まさにこの拒否情報をそのまま表示したものです。
「対応が間に合っていないドライバー」には、次のようなものが当てはまります。
事例Status 506を読み解く
次のコマンドを実行すると、管理者権限がなくてもCドライブの状態を確認できます。
fsutil bypassIo state c:\
ミニフィルターの対応が間に合っていない場合、Microsoft公式ドキュメントには次のような出力例が実際に示されています。
BypassIo on "c:\" is not currently supported.
Status: 506 (At least one minifilter does not support bypass IO)
Driver: wof.sys
Reason: The specified minifilter does not support bypass IO.
それぞれの項目の意味は次のとおりです。StatusはBypassIOを拒否したドライバーが返したエラーコードで、506は「少なくとも1つのミニフィルターがBypassIOに対応していない」ことを示す番号です。Driverには、最初に拒否したドライバーのファイル名が入ります。この例ではWindows標準の圧縮フィルターであるwof.sysです。Reasonには、そのドライバー自身が指定した拒否理由の文字列がそのまま表示されます。文言はドライバーの実装次第で変わるため、同じStatus 506でもReasonの文面はソフトによって異なります。
安全表示された.sysファイルを直接削除しない
表示されるのはあくまで「最初に拒否したドライバーの名前」であり、そのファイル単体を消せば解決する保証はありません。多くの場合、ドライバーファイルは対応するソフトウェア一式が起動時に再展開・再登録するため、削除してもすぐ復活したり、逆にソフトの他機能が動かなくなったりします。
正しい対処の順番は、まず該当するソフトウェアそのものを、Windowsの「設定」>「アプリ」から正規の手順でアンインストールすることです。セキュリティソフトやバックアップソフトの多くは、ベンダーが配布している専用の削除ツール(クリーンアップツール)を用意しており、通常のアンインストールで駆除しきれない残留ドライバーがある場合はそちらを使います。アンインストール後にPCを再起動し、改めてfsutil bypassIo stateを実行して状態が変わったかを確認してください。
確認fltmc instancesでミニフィルターの一覧を見る
Driver欄の名前だけでは、どのソフトが原因か見当がつかないことがあります。その場合は、管理者として開いたコマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。
fltmc instances
Microsoft公式ドキュメントは、「管理者権限のコマンドプロンプトでfltmc instancesを実行すると、現在ロードされているすべてのフィルターについてSprtFtrs(対応機能)の値を確認できる」と案内しています。表示されるフィルター名の一覧を、タスクマネージャーやコントロールパネルに並ぶソフト名・サービス名と照らし合わせることで、Driver欄に出てきたファイルがどのソフトに属するかを絞り込めます。SprtFtrsの個々のビットの意味はドライバーの実装依存で公開情報が限られるため、ここでは数値の解釈まで踏み込まず、「今どのフィルターが動いているか」を洗い出す一覧として使うのが安全です。
誤解FltMgr.sysは「拒否している側」ではない
Driver欄に「FltMgr.sys」と表示され、これ自体が犯人だと考えてしまうケースがあります。Microsoft公式ドキュメント「Filter Manager Concepts」によれば、FltMgr.sys(Filter Manager)はWindowsに標準搭載されているカーネルモードドライバーで、個々のミニフィルタードライバーを載せて管理する土台の役割を果たします。ミニフィルターがロードされて初めて動作を始め、実際にBypassIOを拒否するかどうかを判断しているのは、その上に載っている個々のミニフィルター側です。
Filter Managerは多数のミニフィルターが土台にしている中核コンポーネントで、単体で止められる仕組みでもありません。Microsoft Q&Aに寄せられた複数の報告では、Driver欄がFltMgr.sysと表示された環境でも、実際の原因はセキュリティソフトの削除しきれなかったサービスや、アンインストーラー系ユーティリティが残したフィルタードライバーであり、該当のソフトウェアを正規の手順で完全にアンインストールしたところ解消したという経緯が共有されています。
部分対応BitLockerで「Partially Supported」になる仕組み
Not Supportedとは別に、「is partially supported」と表示されることがあります。これはBitLockerドライブ暗号化が有効なボリュームで典型的に見られる状態で、Not Supportedとは性質が異なります。Microsoft公式ドキュメントの実例は次のとおりです。
BypassIo on "c:\" is partially supported
Volume stack bypass is disabled (fvevol.sys)
Status: 495 (The specified operation is not supported while encryption is enabled on the target object)
Reason: BitLocker Drive Encryption is enabled.
Storage Type: NVMe
Storage Driver: BypassIo compatible
Driver Name: stornvme.sys
BitLockerのドライバー(fvevol.sys)は、暗号化が有効なボリュームに対してFS_BPIO_OP_VOLUME_STACK_PAUSEという操作を使い、ボリュームスタック以降の経路だけでBypassIOを一時停止させます。この例のStorage Type・Storage Driver・Driver Nameの3行が示すとおり、NVMeストレージ側(stornvme.sys)はBypassIOに対応済みのままです。つまりファイルシステム側の経路は生きていて、ボリューム・ストレージスタック側だけが止まっている状態が「部分的に対応」の意味です。Not Supportedのようにミニフィルターが全面的に拒否している状態とは区別して考えてください。
挙動NTFS圧縮・暗号化との関係
Microsoft公式ドキュメントは、「BypassIOが有効な状態のファイルに対してNTFS圧縮を有効にすることはできない」と明記しています。既にNTFS圧縮を設定しているフォルダーにゲームデータを置いている場合、そのファイルはBypassIOの対象から外れます。一方でNTFS暗号化(EFS)は扱いが異なり、有効にすること自体は可能ですが、有効な間はBypassIOが一時的に停止(pause)される仕組みです。
Microsoft公式ドキュメント「Supporting BypassIO Operations」によれば、このほかにもディレクトリやボリューム自体のハンドル、スパースファイル、ページングファイル、DAXボリューム上のファイルは、個々のミニフィルターの判断を待たずにファイルシステム自身が最初からBypassIOの対象外にしています。これらはドライバーが「拒否」しているのではなく、Windowsの仕様として最初から範囲外というだけの話です。ここまでに紹介したStatus 506やPartially Supportedのような、ドライバー起因のNot Supportedとは別の話として区別してください。
経路Storage Driver側が原因のケースもある
ここまでの内容は、ファイルシステム側(NTFSに接続されたミニフィルター)が原因のケースでした。fsutilの結果に含まれるStorage Driverの項目は、これとは別に、NVMeドライバー本体を含むストレージスタック側の対応状況を示しています。先ほどのBitLockerの例にあった「Storage Driver: BypassIo compatible」「Driver Name: stornvme.sys」は、Windows標準のNVMeドライバー(stornvme.sys)がBypassIOに対応済みであることを表しています。
Microsoft公式ドキュメント「BypassIO in Storage Drivers」によれば、ストレージドライバー側でBypassIOに対応するには、ドライバーのINFまたはMANIFESTファイルにStorageSupportedFeatures(値0x1)を追加したうえで、StorPortSetUnitAttributes関数でBypassIOSupportedを1に設定する必要があります。この登録が済んでいないストレージドライバーが使われている場合、ミニフィルター側の対応状況とは関係なく、そのボリューム上のBypassIOはすぐにブロックされます。標準のNVMeドライバーではなく、SSDメーカーやチップセットベンダーが提供する独自のストレージドライバー(RAID用ドライバーや高度な管理機能を持つユーティリティ付きのドライバーなど)を使っている環境では、Storage Driverの項目が「BypassIo compatible」以外の表示になることがあります。この場合は、ミニフィルターではなくストレージドライバー側の対応状況を確認する必要があります。
FAQよくある質問
結論まとめ|Not Supportedは珍しい不具合ではない
fsutil bypassIo stateが返すNot Supportedは、故障ではなく、BypassIOへの対応が間に合っていないミニフィルタードライバーが存在することを示す通常の状態です。表示されたStatus番号・Driver名・Reasonの文言を手掛かりに、該当するソフトウェアを正規の手順でアンインストールするのが基本の対処です。
BitLockerが絡む「Partially Supported」はNot Supportedとは別の状態で、ボリューム・ストレージスタック側だけが一時停止しているに過ぎません。NTFS圧縮ファイルやスパースファイルなど、そもそもファイルシステムの仕様として対象外になるケースもあります。Driver欄に何が表示されても、.sysファイルを直接削除するのではなく、関連するソフトウェアそのものを正しい手順で取り除くことを優先してください。



