GPU温度の適正値は?エッジ80℃・ホットスポット90℃が危険ライン|RTX 50実測データと無料で下げる方法7選【2026年版】
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出典:NVIDIA GeForce RTX 5090 公式仕様、同 RTX 5080 公式仕様、同 RTX 5070シリーズ公式仕様、同 RTX 5060シリーズ公式仕様、同 RTX 4090 公式仕様、AMD公式サポート「Monitor Performance Metrics with AMD Software」、TechPowerUp「MSI GeForce RTX 5060 Ti Gaming OC 16 GB Review」温度実測、同「ASUS GeForce RTX 5090 TUF Review」温度実測、同「ASUS GeForce RTX 5080 TUF OC Review」温度実測、同「ASUS GeForce RTX 5070 Ti TUF OC Review」温度実測、同「NVIDIA GeForce RTX 5070 Founders Edition Review」温度実測、同「Sapphire Radeon RX 9070 XT Pulse Review」温度実測にもとづきます。内容は2026年8月12日時点のものです。
「グラボの温度が80℃超えてるけど大丈夫?」——GPUの温度が気になって調べてみたものの、何度までがセーフなのか、ソフトに表示される数値が何を意味しているのか、いまひとつ判断がつかないという方は多いはずです。
先に結論を書くと、「GPUの適正温度は◯◯℃まで」という全機種共通の数字は存在しません。NVIDIAは製品ごとに「最大GPU温度」を公式仕様として公開していて、その値は同じRTX 50シリーズでもRTX 5070の85℃からRTX 5090の90℃まで幅があります。AMDにいたっては温度の見方そのものが異なります。まず自分のGPUの公式上限を知り、そこからどれだけ余裕があるかで判断するのが正解です。
この記事ではメーカー公式の上限値を機種ごとに整理したうえで、モニタリングソフトに並ぶ「エッジ温度」「ホットスポット温度」「VRAM温度」の3つをどう読み分けるか、そして温度が高いときの対策を費用ゼロで効果が大きい順に7つ紹介します。PC適正温度の総合記事(パーツ横断型の温度ガイド)とは異なり、GPU温度に絞って深掘りした内容です。アンダーボルトの具体的な手順まで踏み込んでいるので、「温度を下げたいけどGPUを買い替えたくない」という方は最後まで読んでみてください。
目次
GPUの適正温度
GPUの温度が「高いか低いか」を判断するには、まず基準を知る必要があります。以下のテーブルは、一般的なデスクトップGPU(NVIDIA/AMD)における温度帯の目安です。
ゲーム中に65〜80℃であれば正常です。80℃を超えている場合でも87℃以下なら即座に壊れるわけではありませんが、冷却環境を見直す価値はあります。90℃以上が頻繁に出ている場合は、サーマルスロットリングによる性能低下が発生しているため、このあと紹介する対策を実施してください。
3種類のGPU温度を正しく読む
GPUの温度は1つではありません。モニタリングツールには複数の温度値が表示されますが、それぞれ意味が異なります。
GPUダイ表面の平均温度です。ほとんどのモニタリングツールで「GPU温度」として表示される数値がこれにあたります。一般的に語られる「適正温度」はエッジ温度を基準にしたものです。
GPUダイ上で最も温度が高い地点の計測値です。エッジ温度よりも通常10〜20℃高くなります。AMD GPUでは「Junction Temperature」として表示され、NVIDIAのRTX 30シリーズ以降では「GPU Hot Spot」としてGPU-ZやHWiNFO64で確認できます。
エッジとホットスポットの差(デルタ)が以前より大きくなった場合は、サーマルペーストの状態や接触、ケースの排熱を確認します。差だけでは故障と断定できないため、絶対温度や負荷中の挙動も合わせて判断してください。
GPU温度は低いのにホットスポットだけが高い、温度差をどう測ればよいか知りたい場合は、GPUホットスポット温度だけ高い原因と温度差の見方で、同じ瞬間の値を使った切り分け手順を解説しています。
ビデオメモリチップの温度です。GPUコアとは別のセンサーで計測されます。メモリの種類によって発熱量が大きく異なります。
GDDR6X搭載のRTX 3080/3090/4080/4090では、VRAM温度がGPUコアよりも先に限界に達することがあります。95℃以下を目標にしてください。
メーカー公式が定める上限温度
ここまでの目安は「一般的なデスクトップGPU」としての話です。ただし本来の判断基準になるのは、GPUごとにメーカーが定めた上限値のほうです。
NVIDIAは製品ページの仕様表に「Maximum GPU Temperature (in C)」という項目を掲載していて、RTX 50シリーズではRTX 5070の85℃からRTX 5090の90℃まで、機種によって5℃の幅があります。機種ごとの具体的な数値は次の「GPU世代別の温度特性」にまとめました。
この差は無視できません。「GPUの適正温度は80℃まで」という説明をよく見かけますが、公式上限が85℃のRTX 5070にとって80℃は上限の目前です。一方で90℃が上限のRTX 5090なら、80℃はまだ10℃の余裕があります。同じ80℃でも意味が違うということです。
AMDは温度の考え方そのものが違う
AMDはNVIDIAのような「最大GPU温度」を製品仕様として公開していません。代わりにAMD Software: Adrenalin Editionのパフォーマンス指標として「GPU Junction Temperature」を用意しており、公式サポート記事にも計測項目として明記されています。AMD GPUではエッジ温度ではなくJunction温度(=ホットスポット温度)を主役として見る設計です。
AMDは2019年、Radeon RX 5700シリーズについて「通常のゲーム利用でJunction温度が110℃に達することは想定内であり仕様の範囲内」という趣旨の説明を公開しました。NVIDIA基準の80℃台の感覚で見ると異常に思える数値ですが、AMDのGPUではセンサーの位置と設計思想が異なるため、そのまま比較はできません。
RDNA 4世代のRX 9070シリーズに同じ上限が適用されるとAMDが公式に示したものではありません。Radeonの現行世代でJunction温度が高めに出ること自体は設計上の傾向ですが、「Radeonなら110℃まで平気」と一般化しないでください。
上限に達するとGPUは自分でクロックを下げる
公式上限に達したからといって、その瞬間にGPUが壊れるわけではありません。上限に近づくとGPUは自動的に動作クロックと電圧を下げ、それ以上発熱しないよう自己防衛します。これがサーマルスロットリングです。
つまり温度の心配は「壊れるかどうか」ではなく、「スロットリングでフレームレートが落ちていないか」という性能の問題として考えるのが実用的です。ゲーム中に温度が上限付近に張り付いていて、同時にfpsが不安定になっているなら対策のタイミングです。
やっかいなのは、表示される温度が低いままスロットリングが起きるケースがあることです。RTX 50シリーズでは画面上の表示が67℃でも内部のホットスポットが107℃に達していた事例が報告されています。詳しくはRTX 50の「見えないホットスポット温度」問題で解説しています。
GPU世代別の温度特性
主要GPUの公式仕様(総グラフィックス電力と最大GPU温度)に、各社の市販モデルを同一条件で計測したゲーム中の温度を並べました。実測はいずれも標準BIOS時の値の分布で、静音BIOSに切り替えるとここから数℃上がります。
NVIDIA製品の「公式上限」はNVIDIAが仕様表で公開している最大GPU温度、電力表記は同じく公式の総グラフィックス電力(TGP)です。RX 9070 XTはAMDが最大GPU温度を公開していないため、公式上限の欄を設けていません。RTX 5060とRTX 4090については、同じ条件で各社モデルを横並びにした計測データが手元にないため公式値のみを載せています。
AMDのRDNA 4世代はエッジ温度が50℃台と低く表示されますが、同じ瞬間のホットスポット(Junction)温度は70〜80℃台まで上がり、メモリはさらに高い90℃近くに達するモデルもあります。エッジ温度だけを見て安心せず、Junction温度とメモリ温度をあわせて確認してください。
同じGPUでもモデル次第で温度は5℃前後変わる
意外と知られていないのが、同じGPUでもどのメーカーのどのモデルを買ったかで温度が変わるという点です。GPUチップは同じでも、搭載されるクーラーの大きさとファン制御がモデルごとに違うためです。
RTX 5060 Ti 16GBの各社モデルを同一条件で計測したデータを確認したところ(2025年4月時点、いずれも標準BIOS)、ゲーム中のGPU温度はASUS Prime OCとASUS TUF OCの60℃からPalit Infinity 3とZotac AMPの65℃まで分布していました。メモリ温度の差はさらに大きく、ASUS TUF OCの60℃に対してZotac AMPは76℃と16℃も開いています。アイドル時はいずれもファンが停止した状態で33〜36℃でした。
なおASUSの2モデルには静音重視の「Quiet BIOS」も用意されていて、そちらに切り替えるとファン回転数が落ちる代わりにGPU温度は64〜65℃まで上がります。温度と静音性はこの範囲で交換できる、と考えると分かりやすいはずです。
つまり「RTX 5060 Tiの適正温度は何℃か」という問い自体が、厳密には成立しません。自分のモデルが同じGPUの他モデルより10℃以上高いなら、そのときは冷却環境を疑う価値があります。
自分のGPUの温度がここに挙げた範囲より明らかに高い場合は、ケース内のエアフロー不足やほこりの蓄積が考えられます。後述の対策セクションを参照してください。
温度の確認方法
GPU温度を確認するツールは複数ありますが、用途によって向き不向きがあります。以下の4つが定番です。
Windows 11標準。Ctrl + Shift + Esc → パフォーマンス → GPU で確認できます。追加インストール不要で手軽ですが、表示されるのはエッジ温度のみ。ホットスポットやVRAM温度は見られません。
TechPowerUp提供の無料ツール。「Sensors」タブでエッジ温度・ホットスポット温度・VRAM温度のすべてを確認できます。ゲーム後にMaximum値を確認する使い方が便利です。
ゲーム画面に温度をオーバーレイ表示できる点が最大の強み。「温度が上がった瞬間にfpsがどう変化したか」をリアルタイムで確認できます。ファンカーブのカスタマイズにも使えるため、温度管理の中心ツールになります。
GPU以外のあらゆるセンサーを網羅するモニタリングツール。電力、クロック、電圧まで記録できるため、アンダーボルトの検証に最適です。センサーの数が多い分、慣れるまではやや画面が煩雑に感じるかもしれません。
まずはGPU-Zで現在の温度をざっくり確認して、必要に応じてMSI Afterburnerでゲーム中のモニタリングをセットアップするのが効率的です。
温度が高い場合の対策7選
GPUの温度が80℃を超えているなら、以下の対策を上から順に試してみてください。費用ゼロで大きな効果が出るものから並べています。
最も見落とされがちで、最も効果が大きい対策です。GPUクーラーのフィンやファンにほこりが溜まると、排熱効率が劇的に落ちます。エアダスター(缶タイプ・電動タイプ)でGPUクーラーとケースファンのほこりを吹き飛ばしてください。
1年以上掃除していないPCなら、これだけで10℃以上下がることも珍しくありません。掃除の詳しい手順はメンテナンスガイドで解説しています。
GPUの標準ファンカーブは静音性重視で、高負荷時でもファン回転数を控えめに設定していることがあります。MSI Afterburnerでファンカーブをカスタマイズして、70℃あたりからファン回転数を積極的に上げる設定にすると温度が下がります。
騒音とのトレードオフになりますが、80℃でファン80%、85℃で100%といった設定にしておけば、サーマルスロットリングを未然に防げます。
MSI AfterburnerでPower Limitを90〜95%に下げると、消費電力と発熱が減り、温度が5〜10℃低下します。性能低下は2〜5%程度で体感しにくいレベルです。
スライダーを左に動かすだけなのでリスクはありません。効果を確認してから、次のアンダーボルトに進むかどうか判断してください。
GPUに供給する電圧を下げることで、性能をほぼ維持したまま発熱を大幅に抑える手法です。効果はパワーリミットより大きく、うまく設定すれば10〜15℃下がることもあります。
手順が少し複雑なので、この記事の後半で詳しく解説しています。安定性テストが必要ですが、ハードウェアを壊すリスクはありません。
ケースのエアフロー(空気の流れ)が不十分だと、GPUが自分の排熱を再び吸い込んでしまいます。前面に吸気ファン、背面・上面に排気ファンを配置するのが基本形です。
エアフローの設計についてはエアフロー設計ガイドで詳しく解説しています。ファンを1〜2基追加するだけでも目に見える効果があります。
GPUのサーマルペーストは2〜3年で乾燥・劣化し、熱伝導効率が低下します。エッジ温度とホットスポット温度のデルタが25℃以上開いている場合は、ペースト劣化のサインです。
GPUクーラーを外してペーストを塗り直す作業が必要なので、メーカー保証が切れている場合に検討してください。VRAM温度が高い場合はサーマルパッド(VRAMチップとクーラーの間に挟むシート)の交換も効果的です。
前面がガラスパネルで通気口がほとんどないケースや、ミニタワーで内部が狭いケースでは、どれだけファンを追加してもエアフローに限界があります。メッシュフロントパネルのATXケースに交換するだけで、GPU温度が10℃以上下がるケースもあります。
最終手段ですが、根本的な冷却改善になるため費用対効果は高いです。
費用ゼロ対策の次の一歩|GPU温度を確実に下げるおすすめ機材
費用ゼロ対策を試しても80℃を超え続ける場合、外部からの空気の流れを作る or ケース内のエアフローを強化するのが次の一歩です。サーキュレーターで部屋ごとの空気循環を作るか、ケースファンを増設してケース内のエアフローそのものを改善するかの2択が王道です。どちらも数千円で5〜10℃の改善が見込めます。
アンダーボルトの手順
アンダーボルトは「GPUに供給する電圧を下げて、同じクロックを維持しつつ発熱を減らす」テクニックです。性能低下はほぼゼロで、温度が5〜15℃下がるため、コストゼロの対策としては最も効果が大きい部類に入ります。
ゲーム中にクラッシュやブラックアウトが起きた場合は、電圧を少し上げて再テストしてください。設定はMSI Afterburnerを閉じれば元に戻るので、失敗しても安心です。
MSI Afterburnerを起動し、ゲーム中のGPUクロック(例:2,100MHz)とGPU電圧(例:1,050mV)をメモしておきます。HWiNFO64のMaximum値でも確認できます。この数値がアンダーボルトの出発点になります。
MSI Afterburnerのメイン画面で Ctrl + F を押すと、電圧/周波数カーブが表示されます。横軸が電圧(mV)、縦軸が周波数(MHz)のグラフです。
900〜975mVあたりを開始点にします。その電圧のポイントをクリックし、ステップ1でメモしたクロック(例:2,100MHz)まで引き上げます。つまり「元のクロックを、より低い電圧で動かす」設定です。
目標電圧ポイントより右側のすべてのポイントを、同じ周波数以下にフラットにしてください(目標ポイントを選択した状態でShift + Enterを押すと自動で整列します)。
チェックマークボタンで適用します。3DMark Time SpyやUnigine Superpositionなどのベンチマークを30分以上回してクラッシュしないか確認します。実際にプレイするゲームで1〜2時間テストするのが最も確実です。
クラッシュやアーティファクト(画面のチラつき)が出た場合は、目標電圧を25mVずつ上げて再テストします。安定するポイントが見つかったら、MSI Afterburnerのプロファイルに保存し、Windows起動時に自動適用する設定にしておくと便利です。
多くのGPUでは、950mV前後で元のクロックを維持できます。うまくいけば消費電力が30〜50W減り、ファンの騒音も下がります。
よくある質問
まとめ|まず温度を計測し、費用ゼロの対策から試す
GPUの温度管理は「とりあえず計測する」ところから始まります。GPU-ZやMSI Afterburnerで温度を確認し、ゲーム中に80℃以下であれば特に心配はいりません。80℃を超えている場合も、ほこりの除去・ファンカーブ調整・パワーリミット調整の3つは費用ゼロで今すぐ試せます。
それでも改善しない場合は、アンダーボルトが最もコストパフォーマンスの高い選択肢です。手順通りに進めればハードウェアを壊すリスクはなく、5〜15℃の改善が見込めます。









