RTX 50の「見えないホットスポット温度」問題|表示67℃の裏で107℃到達・こっそりスロットリングの実態と対処
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RTX 5070 Tiが表示67℃でも内部は100℃超 ・ 原因はグリス塗布不良 ・ 温度が低い=安心とは限らない
出典:VideoCardz(HWMonitor対応の報道)/TechPowerUp/wccftech(v1.65.1修正の報道)/VideoCardz(HWiNFO対応の報道)/VideoCardz(Colorfulサポート対応の報道)/PC Gamer(実機検証記事)/NVIDIA公式製品ページ(Maximum GPU Temperature仕様)
グラフィックボードには、GPUチップ全体の温度(エッジ温度)とは別に、チップ内部で最も熱くなる一点を測る「ホットスポット温度(ジャンクション温度)」というセンサーがあります。冷却がうまくいっているかを判断するうえで、実はこのホットスポット温度が重要です。
ところがRTX 50シリーズでは、このホットスポット温度が長らくGPU-ZやHWiNFOといった一般的な監視ソフトから見られなくなっていました。
2026年7月11日、修理業者がNVIDIAの内部診断ツールで実測したところ、表示上は67℃と涼しげなカードが、内部では100℃を超えて上限の107℃に達し、密かに性能を落としていた——という事例が明らかになりました。
そして7月14日、監視ソフト「HWMonitor」の更新でホットスポットセンサーの表示が復活し、一般ユーザーでも自分のカードの実温度を直接確認できるようになっています。
この記事では、混同されがちなこの問題を正確に整理したうえで、HWMonitorで実際にホットスポット温度を確認する方法、GIGABYTE以外のカードでも表面化してきている高温報告、そしてグリス塗り直しと保証交換(RMA)のどちらを選ぶべきかの判断基準まで、続報を踏まえて解説します。
目次
何が起きたか表示67℃・実測100℃超という乖離
ブラジルの修理業者が、過熱と動作不安定で持ち込まれたGIGABYTE製のRTX 5070 Tiを、NVIDIAの内部診断ツール「MODS」で調べました。その結果が次の通りです。
整理混同しやすい「3つの別々の話」
この件は、時期の異なる別々の話が一緒くたに語られがちです。正確に切り分けると次のようになります。ここを混同すると「RTX 50は全部欠陥」といった誤解につながります。
| 時期 | 何が起きたか | 性質 |
|---|---|---|
| 2025年1月 | NVIDIAがRTX 50でホットスポット温度を一般の監視ソフトから見えなくした | 以前から既知の「仕様変更」 |
| 2025年4月 | 基板の電源部(VRM周辺)に局所的な高温が生じるという別の指摘 | 基板設計に関する別の論点 |
| 2026年7月 | 内部ツールで実測し、表示67℃・実100℃超の乖離とグリス塗布不良を可視化 | 今回の新事実 |
つまり「ホットスポットが見えないこと」自体は1年半前から知られていた既知の仕様で、新しいのは「内部ツールでなら読み出せると実証されたこと」「表示温度と実温度の大きな乖離が具体的に示されたこと」「その原因が個体のグリス塗布不良だったこと」の3点です。
冷静に「RTX 50は全部欠陥」ではない
今回問題が見つかったのは、あくまで組立時のグリス塗布不良という個体の品質問題であり、RTX 50すべてに共通する設計欠陥という話ではありません。
ただし、この修理業者は同様の症状(グリス塗布不良やヒートシンクの接触不良)を複数の個体で確認しているとも述べています。
問題の本質は、欠陥率そのものよりも、「表示温度が低いから安心」と判断できなくなっている点にあります。
ホットスポットが見えない以上、塗布不良の個体を引いても、表示温度からは異常に気づけません。
だからこそ、後述するHWMonitorでの直接確認や、それに代わる見分け方が重要になります。
なお、GPUの一点だけが局所的に高温になる問題は今回が初めてではありません。
RTX 30世代では、GDDR6Xメモリのサーマルパッドの品質・接触不足でメモリ温度だけが異常上昇(110℃到達)する事例が知られていました。
今回はメモリではなくGPUコアのホットスポットという違いはありますが、「全体温度は正常でも一部だけ危険な高温になり得る」という点は共通しており、表示される平均的な温度だけを見る危うさを改めて示しています。
波及Colorfulなど他メーカー製カードでも高温報告
ホットスポット温度が可視化されたことで、GIGABYTE以外のメーカー製カードでも、同様の高温を訴える報告が相次いで表面化しています。
個体差による品質のばらつきという今回の見立てを裏付ける材料にもなっています。
いずれも、今回のRTX 5070 Tiと同じくグリスの塗布状態や個体差に起因するとみられ、RTX 50シリーズ全体に共通する設計欠陥という話ではありません。
ただし、これまで見えなかったホットスポットが可視化されたことで、こうした個体差のある高温報告が複数メーカーで表面化しやすくなった、という段階だと捉えておくのが実態に近いといえます。
出典:VideoCardz(Colorfulサポート対応の報道)
確認方法HWMonitorで直接確認する、それでも迷うときの見分け方
MODSは修理店向けの内部ツールで、一般ユーザーは使えません。ただし2026年7月14日、この前提が変わりました。
CPUIDが2026年7月14日に公開した監視ソフト「HWMonitor v1.65」で、NVIDIAが発売時に隠していたRTX 50のホットスポットセンサー値が復活し、一般ユーザーでも表示できるようになりました。公開直後のv1.65は数値が大きく変動したり過大な値を示す不具合があり、7月16日公開の修正版「v1.65.1」で解消されています。この修正には、今回のRTX 5070 Tiを実測した修理チーム「PauloGomesTeam」が協力したことも明らかになっており、一連の流れは今回の一件と地続きの話です。
同時期にHWiNFOもRTX 50のホットスポット温度取得に対応していますが、開発者によると候補となるセンサーが2つあり、どちらが本来のGPUホットスポットでどちらがVRM(電源回路)側のホットスポットかはまだ確定していないとのことです。7月15日にはAIDA64のベータ版(v8.30.8337)でもRTX 50のホットスポット対応が追加されており、選択肢はHWMonitor・HWiNFO・AIDA64の3つに広がっています。
またHWMonitor・HWiNFOのいずれも、NVIDIAが正式に対応したAPI経由ではなく、GPUのレジスタを直接読み取るという非公式な手法で温度を取得しているため、将来のドライバ更新でこの読み取りが塞がれる可能性もあります。
「今のところ見えるようになった」程度に捉えておくのが安全です。
確認する手順はシンプルです。HWMonitorの最新版(v1.65.1以降)をインストールし、ゲームなど負荷のかかる状態でセンサー一覧を開くと、GPU項目の中に「Hot Spot」に相当する表示が追加されています。
負荷テスト中の推移を見れば、今回の事例のような表示温度とホットスポットの乖離がないか、自分のカードで直接確認できます。
出典:VideoCardz(HWMonitor対応の報道)/TechPowerUp/wccftech(v1.65.1修正の報道)/VideoCardz(HWiNFO対応の報道)
目安として、ASUS TUF Gaming RTX 5070 Ti OC Editionを使い「Crimson Desert」を4K解像度・パストレーシング有効で実行した検証では、GPU本体温度が62〜63℃、ホットスポットは一時的に80℃台半ばまでスパイクしたのち75〜80℃で安定し、異常なファンノイズや性能低下は見られなかったと報告されています。
今回のような「表示67℃・ホットスポット100℃超」という乖離との比較材料になります。
参考までに、一般的にはエッジ温度とホットスポット温度の差は10〜15℃程度、高密度なRTX 50世代でも30℃程度までは正常とされます(NVIDIA公式の閾値ではなく、あくまで一般的な目安です)。
当サイトのGPU適正温度ガイドでは旧世代基準で「差25℃以上は接触不良を疑う」としていますが、RTX 50は高密度設計でエッジとの差がもともと大きく出やすいため、その基準をそのまま当てはめないでください。
今回の「エッジ67℃・ホットスポット100℃超」は差が30℃を大きく超えており、明確な異常域です。
なお、NVIDIAは各製品ページで「Maximum GPU Temperature」という仕様値を公表していますが、これはGPU本体(エッジ)温度の上限であり、ホットスポット温度の公式な上限値ではありません。
NVIDIAはホットスポット温度についての公式な安全上限値を公表しておらず、今回の記事で扱っている「107℃でスロットリング」という数字は、あくまで今回の実測ベースの数値である点にご注意ください。
| 製品 | 公式上限温度 | 備考 |
|---|---|---|
| RTX 5090 | 90℃ | NVIDIA公式仕様(エッジ温度) |
| RTX 5080 | 88℃ | NVIDIA公式仕様(エッジ温度) |
| RTX 5070 Ti | 88℃ | NVIDIA公式仕様(エッジ温度) |
| RTX 5070 | 85℃ | NVIDIA公式仕様(エッジ温度) |
出典:NVIDIA公式製品ページ(RTX 5090/RTX 5080/RTX 5070 Ti/RTX 5070の各Specificationsに記載の「Maximum GPU Temperature」。いずれもGPU本体=エッジ温度の上限仕様で、ホットスポット温度の上限ではありません)
HWMonitorが使えない環境の場合や、表示された数値の信頼性に迷う場合は、これまで通りGPU-ZやHWiNFO、MSI Afterburnerで見られる指標から、間接的に異常を疑うこともできます。
対処塗り直しと保証交換(RMA)の判断
結論「温度が低いから安心」をやめる
この件の一番のメッセージは、RTX 50では表示温度が低くても、それだけで冷却が正常とは判断できないということです。
これまではホットスポットが見えない以上、クロックとfpsの挙動で異常を疑うしかありませんでしたが、2026年7月14日以降はHWMonitorの更新で、判断材料そのものである実際のホットスポット温度を直接確認できるようになりました。
実測した修理業者は、内部ツールを持たない一般ユーザーがホットスポットを確認できないままでは、冷却不良の個体に気づけず早期故障につながりかねないとして、NVIDIAに対し一般の監視ソフトでの表示復活を求めていました。
NVIDIA自身が公式に対応したわけではないものの、その3日後にはCPUIDのHWMonitorがセンサー値の読み出しに対応し、ユーザーが自分で確認する手段は実質的に確保された形です。
ただし正式なAPI経由の対応ではないため、将来のドライバ更新で読み出しが塞がれる可能性は残ります。
これからRTX 50シリーズを買う人は、冷却に定評のある3連ファンなどのしっかりした冷却モデルを選び、購入後にHWMonitorでホットスポット温度、そしてクロックとfpsが仕様どおり出ているかを一度確認しておくと安心です。
すでに使っている人も、以前よりfpsが落ちた・クロックが不安定と感じたら、保証期間を確認したうえで販売店に相談するのが良いでしょう。
FAQよくある質問
まとめ見えるようになった今こそ、自分の数値を確認する
RTX 50世代でホットスポット温度が見えなくなったことで、「表示温度が低い=冷却は正常」という従来の判断は一時、通用しなくなっていました。
今回明らかになったのは、表示67℃の裏で内部が100℃を超え、上限107℃で密かにスロットリングしていた個体の存在です。
原因はグリス塗布不良という個体の品質問題でしたが、それを表示温度から見抜けなかったことが本質的な問題でした。
状況は2026年7月14日に大きく変わりました。監視ソフト「HWMonitor」の更新で、一般ユーザーもホットスポット温度を直接確認できるようになったからです(初版の不具合は7月16日のv1.65.1で解消済み)。
まずは最新版のHWMonitorで自分のカードの数値を確認し、平常時75〜85℃程度に収まっているか、負荷時に100℃を超えて張り付いていないかをチェックするのが第一歩です。
HWMonitorが使えない場合やHWiNFOとの表示が食い違う場合は、これまで通りクロックとfpsが仕様どおり安定して出ているかで冷却の健全性を判断してください。
異常を感じたら、保証期間を確認してまずメーカーに相談する。適正温度の目安や冷却の基本は、GPUの適正温度ガイドもあわせてご覧ください。





