DDR4が50%超高騰でDDR5との差が急縮小|AM4「DDR4延命」が逆に割高になる落とし穴【2026年7月版】
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AM4「DDR4増設で延命」が逆に割高になる2026年7月の落とし穴
出典:TrendForce(市場調査会社の公式予測)/台湾サプライチェーン筋の見積もりとされる報道/AMD公式。
古いRyzenと手持ちのDDR4メモリを使い回して、AM4環境を安く数年延命する。これは長らくコスパ最強の定番でした。ところが2026年に入ってからのメモリ高騰で、その前提が静かに崩れ始めています。安いはずの型落ちDDR4が急騰し、新しいDDR5との価格差が驚くほど縮まってきました。
レガシー規格になったDDR4は、AIインフラ向けの生産優先で供給が絞られ、希少化で値上がりしています。台湾サプライチェーン筋の見積もりとされる報道では、DDR4 8Gb品の契約価格が2026年第3四半期に前期比でおよそ50%上がるとされ、これはPC向けメモリ全体の上げ幅(市場調査会社の公式予測でおよそ15〜20%)を大きく超えます。秋葉原の店頭でも、延命目的で買い足すDDR4がこの局面で大きく上がり、DDR5との差が急速に縮んでいます。
この記事では、なぜ古いDDR4がこれほど上がったのかという構造を整理したうえで、AM4を延命するのかAM5へ移るのかを、CPUとメモリを合わせた総額の試算で判断できるようにまとめます。DDR4とDDR5の一般的な性能比較は別記事に譲り、ここでは「今この高騰局面で、いくらかけて延命するのが得か」に絞って解説します。規格そのものの買い比較はDDR4 vs DDR5の記事もあわせてどうぞ。
目次
要点まず何が起きたか
メモリ大手がAI向けの生産を優先し、DDR4のような成熟規格は供給が絞られています。契約・モジュール単位では、同じ8Gb容量でDDR5を上回る逆転が2025年に起きました。日本の小売キットでは同容量ならまだDDR4がやや安いものの、その差は大きく縮み、新規に買い足して延命する割安感は薄れています。
ポイントは3つです。ひとつ目は、値上がりの主役が最新規格ではなく型落ちのDDR4だということ。ふたつ目は、日本の小売価格では同容量ならまだDDR4が安いものの、DDR5との差が急速に縮んでいること。
みっつ目は、この状況が短期では戻りにくく、少なくとも2028年ごろまで高止まりする見方が強いことです。順に見ていきます。
背景なぜ型落ちのDDR4が急騰しているのか
原因は需要の急増ではなく、供給側の割り当ての変化にあります。メモリ大手はいま、生成AI向けのサーバーで使われるHBMや高性能なサーバー用DRAMを最優先で生産しています。
HBMは通常のDRAMのおよそ3倍のウェハ(半導体の原板)を消費するため、同じ生産能力でも作れる一般向けメモリの量が大きく減ります。さらに、大容量のエンタープライズ向けSSD(16〜30TBクラス)が動作用に独立したDRAMを必要とし、こちらの需要も上乗せされています。
この割り当てのしわ寄せが、いちばん強く出ているのが型落ちのDDR4です。各社は成熟した製造ラインをAI向けに転用し、DDR4のような旧規格に回すウェハを削っています。生産が絞られたぶん希少化して値上がりするという、値下がりが基本だったレガシー規格としては逆の動きになっているわけです。
台湾メーカーが残るDDR4生産の多くを握り、価格決定力を持ちつつあることも上げ幅を後押ししています。皮肉なことに、DDR4は各社にとって意外なドル箱になり、当初の計画より生産終了の時期を2026年まで延ばす動きも出ています。
DDR4 8Gb品の契約価格が第3四半期に前期比でおよそ50%上がるという数字は、台湾サプライチェーン筋の見積もりとされる報道によるものです。一方で、市場調査会社が公式に出しているのはPC向けDRAM全体でおよそ15〜20%という予測で、こちらとは別物です。つまり、レガシー規格のDDR4だけが平均を大きく超えて上がっている、という構造の話として読むのが正確です。
構造としての逆転も、すでに数字で確認できます。市場調査会社の報告では、2025年7月に同じ8Gb容量で比べてDDR4モジュールの価格がDDR5を上回りました。新しく高性能なDDR5のほうが安く、型落ちのDDR4のほうが高いという、普通とは逆の並びです。
ただしこれは契約・モジュール単位の話で、日本の小売キット(後述の店頭価格)の並びとは分けて見る必要があります。DDR5は増産が続いて価格がこなれていくのに対し、DDR4は減産で希少化していく。同じ「メモリ高騰」でも、DDR4とDDR5では向いている方向が正反対だと理解しておくと判断を誤りません。
先行きも楽観はできません。DDR5・DDR4・DDR3のいずれも、少なくとも2028年ごろまでは高止まりが続くという見方が強まっています。ただし、際限なく暴騰し続けるという話ではありません。
市場調査会社の公式なトーンは、AI需要が価格を下支えする一方で、消費者向けの需要は弱く、前年の水準がすでに高いこと(高い基準効果)から、上げ幅そのものは徐々に鈍化していく、というものです。鈍りながらも上昇は続く、というのが現実的な読み筋です。DDR3も高密度の製品から品薄と値上がりが始まっており、古い世代ほど安泰とは言えなくなっています。
実勢日本の店頭価格で見るDDR4とDDR5
ここまでは世界市場の話でしたが、日本の店頭ではどうなっているかを見ておきます。秋葉原のショップを2026年7月前半に調べたところ、DDR4は同じ容量ならまだDDR5より安く並んでいました。
ただし値上がりのペースが速く、以前のような「圧倒的に安い旧規格」ではなくなっています。値動きが荒く一日単位で前後しますが、おおまかな価格帯は次のとおりです。
| 規格・容量 | 2026年7月時点の実勢 | メモ |
|---|---|---|
| DDR4-3200 16GB(8GB×2) | 約16,000〜22,000円 | AM4延命の最小構成向け |
| DDR4-3200 32GB(16GB×2) | 約33,000〜40,000円 | 延命の主力。ここが大きく上昇 |
| DDR4-3200 64GB(32GB×2) | 約75,000〜80,000円 | 大容量。値動きが非常に荒い |
| DDR5 32GB(16GB×2) | 約58,000〜65,000円 | 参考。DDR5はこの容量が下限クラス |
| DDR5 64GB(32GB×2) | 約95,000〜100,000円 | 参考。大容量は10万円目前 |
※秋葉原ショップの2026年7月前半・調査時点の価格帯です。DDR4は特に値動きが激しく、店頭価格は日々前後します。実際の購入時は最新の店頭・通販価格を確認してください。
同じ容量で並べると、32GBならDDR4が約33,000〜40,000円でDDR5の約58,000〜65,000円より安く、64GBでもDDR4の約75,000〜80,000円がDDR5の約95,000〜100,000円より下です。メモリ単体で見れば、DDR4はDDR5のおよそ6割の価格で、まだ明確な差があります。日本の小売キットでは、DDR4とDDR5の立場が逆転しているわけではありません。
ただ問題は差の縮み方で、延命用に狙われやすいDDR4 32GB(16GB×2)が約33,000〜40,000円まで上がったことで、「安いから旧規格を選ぶ」という割安感はかなり薄れました。この上昇分がAM4延命の総額に効いてきます。
影響AM4「DDR4で延命」の前提が崩れる
いちばん影響を受けるのが、AM4環境(Ryzen 5000シリーズや5800X3Dが載る、2017年から続くAMDの旧世代ソケット)で安く延命しようとしていた人たちです。
これまでは「古いRyzenと手持ちのDDR4を使い回し、CPUだけ強化して数年戦う」のが定石でしたが、DDR4を新規に買い足す前提だと、その安さが大きく目減りし、プラットフォームごと新しくするAM5移行と総額が拮抗する場面まで出てきました。逆に言えば、メモリを買い足さずに済むかどうかで、延命の得か損かがはっきり分かれます。
延命が追い風になる人
- すでにDDR4 32GBなどのメモリ資産があり、買い足しが不要な人
- Ryzen 7 5800X3Dの新品(約67,800円)が入手でき、CPU換装だけで大きく底上げできる人
- AM5サポートが2029年まで延長され、次の移行先も長く使えるのが確定した人
延命が割高になる人
- DDR4を新規購入・大幅増設する必要がある人(16GB×2で約16,000〜22,000円、32GB×2で約33,000〜40,000円)
- 2028年ごろまで高止まり見通しで、待っても値下がりを当て込みにくい人
- 中古の5800X3Dを高値で掴もうとしている人(7月は新品供給が戻り、その必要は薄い)
判断延命かAM5移行か|損益分岐の4パターン
自分がどのケースに当てはまるかで、正解は変わります。手持ちの資産と、これから何を買い足すかで、次の4パターンに整理できます。
この4パターンを、実際の金額に置き換えて並べてみます。いずれも本体まわり(CPU・マザーボード・メモリ)だけの目安で、2026年7月時点の範囲です。
| ケース | 内訳 | 総額の目安 |
|---|---|---|
| AM4延命A(DDR4資産あり) | Ryzen 7 5800X3D のみ | 約66,000〜68,000円 |
| AM4延命B(DDR4 32GBを新規購入) | 5800X3D+DDR4 32GB(16GB×2) | 約99,000〜108,000円 |
| AM5移行 | Ryzen 5 9600X+B650マザー+DDR5 32GB(16GB×2) | 約106,000〜125,000円 |
※CPU・マザーボード・メモリのみの目安(2026年7月時点・範囲)。クーラー・SSD・電源・ケースは別途です。AM5の内訳目安はRyzen 5 9600Xが約33,000〜35,000円、B650マザーが約15,000〜25,000円、DDR5 32GBが約58,000〜65,000円。延命Bでマザーボードも新規に買う場合は、B550の約11,000〜17,000円を加算してください。
DDR4資産があれば延命Aが圧勝で、AM5移行より約4〜6万円も安く済みます。ところがDDR4を新規購入する延命Bになった瞬間、AM5移行の総額とほぼ並びます。
最安どうしで比べても差は約6,000円で、しかも両者の価格帯は重なっており、組み合わせ次第では延命Bのほうが高くつくことすらあります。あと少し足せばプラットフォームごと最新化できる水準です。
分岐点は結局、使えるDDR4を持っているかどうかの一点です。持っているなら延命が堅く、ゼロから買うなら移行も同じ土俵で比べる価値があります。
ここで見落としがちなのが、メモリ単体で見ればDDR4はまだ割安だという点です。32GB(16GB×2)のギガバイト単価は、DDR4が約1,050〜1,250円、DDR5が約1,800〜2,030円で、DDR4のほうが4割ほど安い計算になります。
それでも総額でAM5移行と並んでしまうのは、AM5側のCPU(Ryzen 5 9600Xが約33,000〜35,000円)が5800X3D(約67,000円)より大幅に安く、DDR5の割高分を打ち消してしまうからです。つまり「メモリは安いのに、プラットフォーム全体では拮抗する」というのが、今回の逆説のからくりです。
逆に言えば、手持ちのDDR4をそのまま使えるなら、その4割の割安さがまるごと総額の差として効いてくるため、延命Aが大きく得をするわけです。
日本では約67,800円で、2026年6月26日に発売されました。中身は2022年版と同一の8コア16スレッド・96MBの3D V-Cache搭載で、性能はそのままに新品で買い直せるのが利点です。同時にAMDはSocket AM5のサポートを2029年まで延長すると発表しており、AM4を延命しても、その次の移行先が長寿命なのは確定しています。発売前に高騰していた中古は、7月に新品供給が戻ったため、高値で掴む必要はほぼなくなりました。
なお、DDR4を延命させる動きはIntel側にもあります。組み込み・産業向けを主眼にしたBartlett Lake(LGA1700で、DDR4とDDR5の両対応構成を含む世代)に加え、いわゆる「Raptor Lake Next」でDDR4対応が2027年前半に復活するとのリーク報道も出ています(あくまでリーク段階の情報です)。
DDR4資産を長く活かしたい人にとっては、こうした受け皿の動向も判断材料になります。詳しくはIntelのDDR4対応LGA1700再投入の記事を参照してください。
おすすめ延命するならメモリと5800X3Dをどう買うか
結論として、いま現実的なのは「DDR4を必要な分だけ足してCPUで底上げする」か「メモリ込みで一式そろえて割高なDDR4単品買いを避ける」かの二択です。前者はDDR4単品から、後者はメモリまで込みで見積もれるBTOが向いています。
用途に合わせて次の2つから選んでください。
FAQよくある質問
まとめまとめ|DDR4は「今ある分で戦う」が基本
2026年7月のメモリ市場では、型落ちのDDR4が急騰し、DDR5との価格差が急縮小しています。契約・モジュール単位では同じ8Gb容量でDDR5を上回る逆転も起きましたが、日本の小売キットでは同容量ならまだDDR4がやや安い状態です。
原因はAI向け生産の優先による供給の絞り込みで、DDR4は希少化で値上がり中です。台湾サプライチェーン筋の見積もりとされる報道での「DDR4 8Gb品が第3四半期に約50%」という数字と、市場調査会社が公式に出す「PC向けDRAM全体で約15〜20%」という数字は別物で、レガシー規格だけが平均を超えて上がっている構造だと押さえておいてください。
AM4を延命するなら、メモリを買い足さずCPUだけ強化できる人がいちばん得をします。逆にDDR4を新規購入・増設する前提だと安さが薄れ、総額試算ではAM5移行との差がごくわずかまで縮む場面もあります。
少なくとも2028年ごろまでは高止まりの見通しで、待っても下がりにくいのが実情です。手持ちのDDR4は今ある分で戦い、足りない性能はCPU換装で補う。これが高騰局面での堅い立ち回りです。
延命が得なのは「DDR4を買い足さずCPUだけ換える」人。DDR4を新規購入・大幅増設するなら割安感は薄れ、総額ではAM5移行との差がごくわずかまで縮みます。分岐点は使えるDDR4を持っているかの一点。2028年ごろまで高止まり見通しのため、必要なら待たずに動くのが基本です。






