8.3形式ファイル名(8dot3)を無効にするとWindowsは速くなる?ゲームへの効果とMicrosoftが注意するstripの危険
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ゲームへの効果とMicrosoftが注意するstripの危険、安全な設定手順
8.3形式のファイル名(8dot3、短いファイル名)は、ファイル名が「8文字+拡張子3文字」までだったMS-DOS時代のソフトのために、長いファイル名とは別にNTFSが保存している予備の名前です。「Program Files」なら「PROGRA~1」という形で、Windows 11のシステムドライブにも今も作られています。
Microsoft自身も、性能のためにこの予備の名前の作成を止められると説明しています。ただし効果が大きいのは、1つのフォルダーに大量のファイルを作るバックアップの復元などの作業です。ゲームを遊ぶだけのPCでは、止めても体感できる差はほとんど出ません。
注意が要るのは、作成を止めることと、すでにある短い名前を消すこと(strip)を混同した場合です。後者は元に戻せず、アンインストールできないソフトが出ることがあります。2つの違いと、試すなら安全な順番を説明します。
目次
要点先に結論
ゲームのfpsを上げる目的なら変える必要はありません。大量の小さなファイルを扱うデータ用ドライブで試す場合も、Cドライブはそのままにして、新しいファイルに短い名前を作らない設定だけにします。既存の短い名前を消すstripは、バックアップを取ったうえで、データ用ドライブ以外には使いません。
仕組みNTFSが持つもう1つの名前
NTFSでは、長いファイル名を作ると、Windowsが同じファイルに8.3形式の別名(エイリアス)を自動で付けて、ディスクに一緒に保存することがあります。長い名前を扱えない古いソフトが、そのファイルを開けるようにするためです。
短い名前は、コマンドプロンプトで「dir /x」を実行すると確認できます。Windows 11(ビルド26200)のCドライブで実行すると、次のように長い名前の左側に短い名前が並びます。
C:\>dir C:\ /x
2026/09/26 11:08 <DIR> PROGRA~1 Program Files
2026/09/04 20:26 <DIR> PROGRA~2 Program Files (x86)
名前がもともと8.3形式に収まるファイル(「Users」など)には、別名は作られません。Microsoftは、この別名の作成は性能のためにシステム全体、またはドライブごとに無効にできると説明しています。
出典:Microsoft Learn:ファイル、パス、名前空間の名前付け
効果速くなるのは大量のファイルを作る作業
短い名前を作るときは、同じフォルダーの中で名前が重ならないかを調べる必要があります。Microsoftの説明では、NTFSはファイルを作るたびに、長い名前に対応する8.3形式の名前を照合します。フォルダー内のファイルが増えるほど、この照合の負担が大きくなります。
Dellは、バックアップソフトAvamarで100万を超えるファイルを1つのフォルダーに復元すると、処理がどんどん遅くなり、何日たっても終わらない事例を報告しています。原因は8.3形式の名前の作成で、同じフォルダーにファイルを作り続けるテストの結果は次のとおりです。
| 8.3形式の名前の作成 | 1つのフォルダーへのファイル作成の結果 |
|---|---|
| 有効 | 約130万ファイルで処理が止まったような状態になる |
| 無効 | 2〜3時間で500万ファイル以上を作成できる |
Dellは、実用上の目安として1フォルダー約110万ファイルを超えるとファイル作成が急激に遅くなるとしています。どこから遅くなるかはPCによって変わります。Microsoftのファイルサーバー向けの解説でも、短い名前の作成と一覧の取得には時間がかかるため、作成を止めて既存の短い名前も取り除くことが性能の改善策として紹介されています。
出典:Dell:Avamar: Slow performance restoring folder with >1 million files due to 8.3 file names enabled / Microsoft:Windows Server 2012 File Server Tip: Disable 8.3 Naming
ゲームfpsや読み込み時間はほぼ変わらない
負担が増えるのは、ファイルを作る・名前を変えるときと、フォルダーの中身を一覧にするときです。ゲームのfpsはGPUとCPUの描画処理で決まり、ファイル名の管理とは関係しません。
ゲームの読み込みは、インストール済みのファイルを長い名前で開いて読む処理が中心で、短い名前を新しく作る場面はほとんどありません。インストールやアップデートではファイルを作りますが、ゲームのフォルダーは細かく分かれていて、1つのフォルダーに100万単位のファイルが並ぶことは通常ありません。Dellの事例のような差が出る条件からは外れています。
効果を期待できるのは、次のように1つのフォルダーに大量のファイルが溜まる使い方です。
- バックアップの復元や、大量のファイルを1か所にまとめてコピーする作業
- ソフトウェアのビルドや、ゲームエンジンのプロジェクトのように小さなファイルを大量に作る開発作業
- 動画編集や3DCGで、画像の連番ファイルを1つのフォルダーに書き出す作業
注意Microsoftが注意しているのはstrip
設定の変更には2つの段階があります。新しいファイルに短い名前を作らないようにする「作成の停止」と、すでに保存されている短い名前を消す「strip(除去)」です。Microsoftが強く注意しているのは後者です。
Microsoftは、8.3形式の名前を完全に削除し、その名前を指しているレジストリのキーを直さないままにすると、アプリが予期せず動かなくなったり、アンインストールできなくなったりする場合があると明記しています。stripの前には、フォルダーかドライブのバックアップを取るよう求めています。
インストーラーの中には、「C:\PROGRA~1\…」のような短い名前でインストール先をレジストリに書き込むものがあります。短い名前を消すと、その記録が存在しない場所を指すことになります。strip後に作成を有効へ戻しても、消した短い名前は元に戻りません。
| 操作 | 変わること | 元に戻せるか |
|---|---|---|
| query(確認) | 今の設定を表示するだけ | 何も変わらない |
| set(作成の停止) | これから作るファイルに短い名前を付けない | 値を戻せば、新しいファイルには再び付く |
| scan・strip /t(事前の調査) | 影響を受けるレジストリのキーを洗い出すだけ | 何も変わらない |
| strip(除去) | 既存のファイルから短い名前を消す | 戻せない(バックアップからの復元のみ) |
出典:Microsoft Learn:fsutil 8dot3name
確認今の設定を確認する
設定はシステム全体の値(レジストリのNtfsDisable8dot3NameCreation)と、ドライブごとの値の2段階で決まります。管理者として開いたコマンドプロンプトかWindows Terminalで、ドライブを指定して次を実行します。
fsutil 8dot3name query C:
管理者として開かないと、「アクセスが拒否されました」と表示されて結果が出ません。結果には、ドライブの状態(volume state)とレジストリの状態(registry state)、その2つから判断した最終的な状態が表示されます。システム全体の値の意味は次のとおりです。
| システム全体の値 | 意味 |
|---|---|
| 0 | すべてのドライブで短い名前を作る |
| 1 | すべてのドライブで短い名前を作らない |
| 2(既定) | ドライブごとの設定に従う |
| 3 | システムドライブ以外では短い名前を作らない |
Windows 11の既定は2で、Cドライブでは短い名前が作られる状態です。Windows Serverでは新しくフォーマットしたデータ用ドライブは最初から作成が無効になりますが、古いWindowsでフォーマットしたドライブを引き継いだ場合などは有効のまま残ります。ゲームを入れているDドライブがどちらかは、ドライブ文字を変えて1台ずつ確認するのが確実です。
手順試すなら安全な順番で
Cドライブには、Windowsやインストール済みのソフトが短い名前で参照している場所が多く残っています。変えるのは、大量のファイルを扱うデータ用ドライブだけにします。
- 管理者のコマンドプロンプトで「fsutil 8dot3name query D:」を実行し、作成が有効になっているかを確認します(Dは対象のドライブ文字に置き換えます)。
- 有効なら「fsutil 8dot3name set D: 1」で、そのドライブの作成を止めます。システム全体の値が2(既定)のときだけ、ドライブごとの設定が効きます。
- もう一度「fsutil 8dot3name query D:」を実行し、作成が無効になったことを確かめます。
- 元に戻すときは「fsutil 8dot3name set D: 0」を実行します。これから作るファイルには、再び短い名前が付きます。
Cドライブ以外をまとめて止めたい場合は、「fsutil 8dot3name set 3」でシステム全体の値を3にする方法もあります。システムドライブの互換性を残したまま、ほかのドライブの作成を止められます。戻すときは「fsutil 8dot3name set 2」です。
出典:Microsoft Learn:fsutil behavior
既存の短い名前まで消すなら、先にscanとテスト実行
作成を止めても、それまでに作られた短い名前は残ります。大量のファイルが溜まったフォルダーでも速くしたい場合にstripを使いますが、対象はデータ用ドライブのフォルダーに限り、先にバックアップを取ります。そのうえで、まず影響を調べます。
fsutil 8dot3name scan /s D:\Data
fsutil 8dot3name strip /t /s D:\Data
scanは、短い名前を消したときに影響を受けるレジストリのキーを調べるコマンドです。「/t」を付けたstripはテスト実行で、実際には名前を消さずに同じ調査だけを行います。結果はログファイルに書き出され、既定では一時フォルダー(%temp%)に保存されます。
レジストリのキーが見つかったフォルダーには、ソフトが短い名前で参照している場所があります。stripでは、レジストリから参照されているファイルは消去の対象から外され、パスが260文字を超えるファイルも対象外です。「/f」を付けると参照があっても強制的に消しますが、Microsoftはアンインストールできなくなるおそれがあるとして、事前のバックアップを求めています。ゲーミングPCで「/f」を使う理由はありません。
関連設定無効にすれば速くなると言われる設定
8.3形式の名前と同じように、Windowsの古い機能や安全機能を止めれば速くなると紹介される設定はほかにもあります。効果が出る条件と失うものを確かめてから変えます。
- Windows 11のメモリ整合性(VBS)は、2026年10月から自動で有効になるPCが広がります。ゲームへの影響と確認方法をまとめています。
- HPETやbcdeditのuseplatformclockも、無効にすればfpsが上がると単純化されやすい設定です。
- ネットワークでは、TCP Auto-Tuningの無効化がPingを下げる設定として紹介されますが、実際にはダウンロードに上限がかかります。
- ゲーム用ドライブのファイルシステムそのものを選ぶなら、NTFSとexFATの違いを先に確認します。
- Steamのインストールや更新でエラーが出る場合は、ファイル名の設定より先にディスク書き込みエラーの原因を切り分けます。
- SSDが遅い・認識しないといった症状は、NVMe SSDのトラブル診断チャートから原因を探せます。
FAQよくある質問
まとめゲーム目的なら既定のままでよい
8.3形式のファイル名は、古いソフトのためにNTFSが保存している予備の名前です。作成を止めると、1つのフォルダーに大量のファイルを作る作業は大きく速くなりますが、ゲームのfpsや読み込み時間はほとんど変わりません。
試すなら、データ用ドライブで「fsutil 8dot3name set ドライブ文字: 1」を実行し、作成を止めるところまでにします。既存の短い名前を消すstripは元に戻せないため、バックアップとscan・テスト実行を済ませてから、データ用ドライブのフォルダーだけに使います。



