ASUS ProArt P16 RTX Spark版は10月8日登場|旧RTX 5090版H7606との違いとゲーム用途の注意点
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旧RTX 5090版H7606との違いとゲーム用途の注意点
出典:VideoCardz、ASUS プレスリリース(IFA 2026)、ASUS ProArt P16(H7607)仕様(米国)、ASUS日本 ProArt P16(H7607)、ASUS日本 ProArt P16(H7606)仕様、NVIDIA RTX Spark 製品ページ、NVIDIA Newsroom、NVIDIA Windows on Arm Porting Guide、NVIDIA GeForce RTX 50 Laptop 仕様、Notebookcheck(H7606 RTX 5090版レビュー)、Apple MacBook Pro 16インチ(M5 Pro・M5 Max)仕様、ASUS日本 ROG Flow Z13(GZ302)仕様、AMD Ryzen AI Max+ 395 仕様
ASUSの16型クリエイター向けノート「ProArt P16」に、NVIDIAのArm系SoC(CPUとGPUを1チップにまとめたプロセッサ)「RTX Spark N1X」を積む新型H7607が加わります。ASUSは中国向けの公式SNSで、この新型を10月8日に投入すると予告しました。
ただしH7607は、RTX 5090 Laptop GPUまで選べた旧H7606の単純な後継ではありません。電力はSoC全体で45〜80Wに収まり、GPU専用のVRAMの代わりに最大128GBのメモリをCPUとGPUで共有し、CPUはx86ではなくArmです。ゲームの快適さを最優先するなら、発売後の実測が出るまで旧H7606のほうが確実です。
以下では、10月8日に何が決まる見込みなのか、H7606と仕様を並べると何が違うのか、ゲーム用途でArm版Windowsのどこに気をつければよいのか、今買えるMacBook Pro 16インチやROG Flow Z13と比べてどうなのかを、各社の公式仕様とNVIDIAの開発者向け資料から整理します。
目次
要点まず何が起きたか
ASUSは中国向けにProArt P16のRTX Spark版を10月8日に投入すると予告しました。発売・予約開始・正式発表のどれを指すかは示されていません。ASUS日本には製品ページがありますが、2026年9月30日時点で販売モデルと価格は載っていません。
日程10月8日に決まるのは発売日か
ASUSは中国向けの公式SNSで、RTX Spark N1Xを搭載するProArt P16(中国名はProArt 创16)が10月8日に「登場」すると告知しました。RTX Spark搭載PCはNVIDIAとMicrosoftが「今秋発売」としてきましたが、メーカーが具体的な日付を出したのはこれが最初期の例です。
ただ、告知の文言は「登場」で、店頭に並ぶ日なのか、予約を始める日なのか、価格を含めて正式に発表する日なのかは分かりません。H7607の仕様は6月のCOMPUTEX 2026で披露され、9月のIFA 2026で詳細まで公開済みなので、10月8日に新しく出てくる情報は価格と販売構成が中心になるはずです。
日付はMicrosoftのイベントと重なります。Microsoftは米国時間10月7日10時(日本時間10月8日2時)にサンフランシスコでWindowsとSurfaceのイベントを開き、NVIDIAのJensen Huang CEOも登壇します。イベントの中身はMicrosoftの10月7日イベント解説で整理していますが、ASUSは両者の関係を説明していないので、現時点で言えるのは日付が一致しているところまでです。
日本日本での発売はまだ決まっていない
ASUS日本のサイトにはProArt P16(H7607)の製品ページがあり、「今秋発売予定」と書かれています。ただし仕様表の欄は販売モデルが0件の状態で、価格もありません。ProArtの製品一覧に出ているのは旧H7606のほうで、ASUS Storeの最低価格は489,800円です(2026年9月30日時点)。
ASUSは8月の決算説明会で、H7607を含むRTX Spark搭載ProArtの初回分が流通向けの予約で埋まったと説明しています。経緯はProArt初回分完売の解説にまとめていますが、日本でも発売直後は数が少ない可能性があります。

比較旧H7606との違いは中身の設計そのもの
H7606はRyzen AI 9 HX 370と単体のGeForce RTX 50 Laptop GPUを組み合わせた、ごく一般的な構成の高性能ノートでした。H7607ではCPUとGPUを1チップにまとめたRTX Spark N1Xに置き換わっています。ASUSの公式仕様で主な違いを並べると次のとおりです。
| 項目 | H7607(RTX Spark) | H7606(従来型) |
|---|---|---|
| CPU | Grace 20コア(Arm) | Ryzen AI 9 HX 370 12コア24スレッド(x86-64) |
| GPU | Blackwell内蔵GPU 6,144 CUDAコア | RTX 5060〜5090 Laptop GPUから選択 |
| メモリ | 24〜128GB(CPUとGPUで共有) | 32GB/64GB+GPU専用VRAM 8〜24GB |
| 電力 | SoC全体で45〜80W | RTX 5090版はGPU 120W+CPU 80W |
| ACアダプター | USB Type-C 140W | 角形コネクタ 240W |
| 厚さ・重さ | 12.9〜15.9mm・1.77kg | 14.9〜18.3mm・1.85〜1.95kg |
| 主な端子 | USB4×3、USB-A×1 | USB4×1、USB-C×1、USB-A×2、HDMI、SDカード |
| バッテリー | 99.9Wh | 仕様表に記載なし |
※H7607は米国の仕様表、H7606は日本の仕様表にもとづきます。H7606の電力は海外の実機レビューで確認されたRTX 5090搭載機の設定値です。
いちばん大きいのは電力です。旧H7606のRTX 5090版は、GPUだけで120W(Dynamic Boostの25Wを含む)、CPUで80Wを使えます。H7607のRTX Spark N1XはCPUとGPUを合わせたSoC全体で45〜80Wなので、使える電力は半分以下です。付属ACアダプターが240Wから140WのUSB Type-Cに変わり、最薄部で2mm薄く、RTX 5090版より約0.2kg軽くなったのも、電力が下がって冷却や電源を小さくできたためと考えられます。
ゲーマーにとって見落としやすいのが端子です。米国の仕様表を見ると、H7607の端子はUSB4が3基とUSB-Aが1基、それに3.5mmジャックだけで、H7606にあったHDMIとSDカードスロットは載っていません。テレビや外部モニターにつなぐなら、USB4の映像出力に対応したケーブルか変換アダプターを用意する必要があります。
性能CUDAコア数だけでRTX 5070 Ti相当とは言えない
RTX Spark N1XのGPUは6,144 CUDAコアで、数だけならRTX 5070 Ti Laptop GPU(5,888基)とRTX 5080 Laptop GPU(7,680基)の間です。とはいえ、使える電力とメモリの速さがまったく違うので、コア数から性能を決めることはできません。
| GPU | CUDAコア | GPUが使うメモリ | メモリ帯域 |
|---|---|---|---|
| RTX Spark N1X | 6,144 | 最大128GB(CPUと共有) | 300GB/s |
| RTX 5070 Ti Laptop | 5,888 | 12GB GDDR7 | 672GB/s |
| RTX 5080 Laptop | 7,680 | 16GB GDDR7 | 896GB/s |
| RTX 5090 Laptop | 10,496 | 24GB GDDR7 | 896GB/s |
NVIDIAの開発者向け資料によると、RTX Sparkのメモリは256bit幅・300GB/sで、CPUとGPUの両方から同じデータを扱えます。容量は大きい一方、帯域はRTX 5070 Ti Laptop GPUのGDDR7の半分以下です。高解像度のゲームはメモリ帯域の影響を受けやすいので、コア数が近くても同じフレームレートが出るとは限りません。
NVIDIAは、RTX SparkでAAAゲームを1440p・100fps超で遊べると発表しています。ただし条件は「レイトレーシング、DLSS、Reflexを使った場合」で、タイトルや画質設定、DLSSのモードは明かされていません。旧H7606のRTX 5090版は、海外の実機レビューの計測で『Cyberpunk 2077』のQHD・Ultra設定が90.8fpsでした。2つの数字は条件が違うので、比べて優劣は決められません。9月30日時点でH7607の第三者によるゲームベンチマークはまだなく、順位が分かるのは発売後の実測待ちです。
メモリ128GB共有メモリが効くのはゲームよりAIと制作
RTX Sparkの最大128GBは、GPU専用のVRAMではなくCPUとGPUが共有するメモリです。旧H7606のRTX 5090版はシステムメモリ64GBとは別にGDDR7 24GBを持っていて、GPUが高速に使えるのはこの24GBまででした。
容量が効いてくるのは、VRAMに収まらない大きなデータを扱う作業です。NVIDIAとASUSは、90GBを超える3Dシーンのレンダリング、12K 4:2:2の動画編集、1,200億(120B)パラメータのLLM(大規模言語モデル)を最大100万トークンの文脈で動かす例を挙げています。24GB VRAMでは載らなかったモデルやシーンをノートPC1台で扱えるのが、H7607を選ぶいちばんの理由です。
反対に、ゲームだけなら128GBを使い切ることはまずありません。ゲームの実行速度に効くのは容量より帯域なので、ゲーム中心の人が高額な128GB構成を選んでもフレームレートは上がりません。メモリは24GB・32GB・64GB・128GBの構成が仕様表に並んでおり、価格は容量で大きく変わるはずです。128GBのDGX系マシンの価格が上がっている事情はDGX Spark 4,999ドル化の解説で整理しています。
互換性ゲームで確かめたいのはArm版Windowsの互換性
RTX Spark N1XのCPUはArmなので、H7607で動くのはArm版のWindows 11です。x86・x64向けに作られた普通のゲームやアプリは、Windowsに組み込まれたエミュレーター「Prism」を通して動きます。
NVIDIAのRTX Spark向け移植ガイドは、この仕組みの限界をはっきり書いています。Prismで動くのはx86・x64の「ユーザーモード」のアプリで、x86・x64の「カーネルモードドライバー」はArm版Windowsでは動きません。ARM64版のドライバーを用意するか、その機能を外すしかないとしています。
ゲームで問題になるのは、カーネルドライバーを使うアンチチートと周辺機器ソフトです。対戦ゲームのアンチチートはArm版が出ていないと起動できず、マウスやキーボードの設定ソフト、キャプチャーボードのドライバーも同じです。Apex LegendsのEA Javelinのように対応が進んだ例はRTX Sparkのアンチチート対応の解説でまとめていますが、まだ全タイトルではありません。
バッテリー駆動にも注意が要ります。NVIDIAは開発者向けに、ゲームでは「パフォーマンス」電源モードを勧め、バッテリー駆動時は30fpsでフレームレートに上限をかけることを推奨しています。持ち歩いてゲームをする場合、ACアダプターにつないだ時と同じ性能が出る前提で考えないほうが安全です。
判断H7607とH7606、どちらを選ぶか
- ローカルLLMやComfyUIで、24GBのVRAMに収まらないモデルを動かしたい
- 数十GB規模の3Dシーンや高解像度の動画編集を外に持ち出したい
- 1.77kgの薄型ボディとUSB Type-C充電を重視する
- ゲームはDLSSを使って1440pで遊べれば十分
- 対戦ゲームやアンチチート付きのタイトルを確実に遊びたい
- MODやゲーミングデバイスの設定ソフトをよく使う
- HDMIやSDカードスロットを変換なしで使いたい
- RTX 5080・5090 Laptop GPUの性能がほしい
決め手は、普段遊ぶゲームがArm版Windowsで問題なく動くと確認できるかどうかです。確認できないうちは、x86のCPUと単体GPUを積んだH7606のほうが外れがありません。RTX Spark搭載機の全体像や、Surface Laptop UltraなどProArt以外の候補はNVIDIA RTX Spark 完全解説にまとめています。同じRTX Sparkでも、LenovoのYoga 9n 2-in-1のように最大64GB・70Wに抑えた機種もあり、メーカーごとに電力とメモリの設定が違います。
他機種大容量メモリが目当てならMacBook ProとROG Flow Z13とも比べる
「GPUから大容量のメモリを使える」というH7607のいちばんの売りは、日本ですでに買えるノートにもあります。AppleのM5 Maxを積むMacBook Pro 16インチと、AMDのRyzen AI Max+ 395を積むASUSのROG Flow Z13です。3機種ともCPUとGPUがメモリを分け合う作りですが、OSとCPUの種類、メモリの速さが違い、ゲームを遊ぶかどうかで向く機種が分かれます。
| 項目 | ProArt P16(H7607) | MacBook Pro 16インチ(M5 Max) | ROG Flow Z13(GZ302EA) |
|---|---|---|---|
| CPU | Grace 20コア(Arm) | M5 Max 18コア(Arm) | Ryzen AI Max+ 395 16コア(x86-64) |
| GPU | Blackwell 6,144 CUDAコア | 32コア/40コア | Radeon 8060S(40CU) |
| 最大メモリ | 128GB | 128GB(40コアGPU版のみ) | 64GB(通常モデル) |
| メモリ帯域 | 300GB/s | 460GB/s(32コア)/614GB/s(40コア) | 約256GB/s |
| OS | Windows 11(Arm版) | macOS | Windows 11(x86版) |
| Windows向けゲーム | Prism経由で動く(アンチチートはArm版が必要) | そのままでは動かない(macOS版があれば可) | そのまま動く |
| 画面 | 16型 3840×2400 OLED・120Hz | 16.2型 3456×2234・最大120Hz | 13.4型 2560×1600・180Hz |
| 重さ | 1.77kg | 2.15kg | 約1.2kg(キーボード込み約1.59kg) |
| 日本での販売 | 今秋予定(価格未定) | 発売中 | 発売中 |
※各社の公式仕様にもとづきます。ROG Flow Z13のメモリ帯域は、AMDが公表する256bit幅・LPDDR5X-8000からの計算値です。
AIや動画編集で差が出やすいのはメモリ帯域です。MacBook Pro 16インチのM5 Max(40コアGPU)は614GB/sで、RTX Spark N1Xの300GB/sの約2倍あります。128GBを選べるのも40コアGPU版だけです。その代わりmacOSではWindows向けのゲームがそのままでは動かず、Steamで遊べるのもmacOS版があるタイトルに限られます。
ゲームの互換性をいちばん気にしなくてよいのはROG Flow Z13です。CPUが普通のx86なので、アンチチート付きの対戦ゲームや周辺機器の設定ソフトは、ほかのWindows PCと同じように動きます。一方で画面は13.4型の液晶で、ASUS日本の仕様表に載っている通常モデルのメモリは最大64GBです。128GBを前提にした大きなモデルやシーンを扱う作業には向きません。
H7607にしかないのは、16型の4K OLEDと128GBの共有メモリをWindowsで使える組み合わせです。ただしArm版Windowsの互換性と、日本での価格・発売日はまだ分かりません。AI・制作が主な目的でmacOSでも困らないならMacBook Pro 16インチ、ゲームも確実に遊びたいならROG Flow Z13が、今すぐ買える現実的な選択肢です。
注目点10月8日以降に確かめたいこと
- 10月8日の発表が発売なのか、予約開始なのか、正式発表なのか
- メモリ容量ごとの価格と、64GB・128GB構成が最初から売られるか
- 日本での発売日・国内価格・販売される構成
- 第三者によるゲームの実測(RTX 5070 Ti・5080 Laptop GPU搭載機との比較)
- 普段遊ぶゲームのアンチチートと周辺機器ソフトがArm版Windowsで動くか
おすすめゲームも遊ぶなら今買えるのは旧H7606
H7607は2026年9月30日時点では日本で買えません。ゲームの互換性を気にせずProArt P16の4K OLEDと薄型ボディを使いたいなら、今買えるのは旧H7606です。GPUの性能を優先するならRTX 5090版、予算を抑えるならRTX 5070 Ti版が候補です。
まとめまとめ|H7607はRTX 5090版の上位機ではなく別の道具
ASUSはProArt P16のRTX Spark版(H7607)を中国で10月8日に投入すると予告しましたが、それが発売日かどうかはまだ分かりません。日本は製品ページが「今秋発売予定」のままで、価格も構成も出ていません。
H7607はSoC全体で45〜80Wに収め、最大128GBの共有メモリとArmのCPUで薄さとAI処理の容量を取った機種です。GPUだけで120Wを使える旧H7606のRTX 5090版とは狙いが違い、ローカルAIや大規模な制作作業では有利ですが、ゲームではArm版Windowsの互換性という確認項目が増えます。発売を待たずに大容量の共有メモリを使いたいなら、MacBook Pro 16インチ(M5 Max)やROG Flow Z13がすでに買える選択肢です。
AI・制作用途で24GB VRAMの壁に当たっているならH7607の価格発表を待つ価値があります。ゲームを確実に遊びたいなら、実測と互換性の情報がそろうまでは旧H7606を選ぶのが確実です。



