AMD Ryzen搭載Surfaceはなぜ消えた?Microsoftが理由を説明|Snapdragon・Intel・NVIDIAは採用
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Snapdragon・Intel・NVIDIAは採用、x86で買えるのは法人向けIntelだけ
2026年のSurfaceには、QualcommのSnapdragon X2、IntelのCore Ultra シリーズ3、そしてNVIDIAのRTX Sparkを積むモデルがそろいました。PC向けの主要なチップメーカーで、AMDだけが入っていません。
Surface部門のコーポレートバイスプレジデント(CVP)であるBrett Ostrum氏は、その理由を「ラインナップが限られているので、何をどこでやるかを慎重に選ぶ必要がある」と説明しました。性能や消費電力の問題は挙げていません。実際、AMDのRyzen AI 300/400シリーズはMicrosoft自身がCopilot+ PCの対象に載せています。
ここでは、2019年と2021年に出たAMD版Surfaceの実測、2026年のSurfaceの構成、噂されている次のAMD製チップまでを並べて、AMDが外れた理由を性能以外の面から読み解きます。PCゲームも遊びたい人が、いまのSurfaceをどう選べばよいかも最後にまとめました。

目次
要点Microsoftは「製品数が限られている」と説明
Windows Centralが9月28日に掲載したインタビューで、Ostrum氏はAMDを採用していない理由を初めて公の場で語りました。Microsoftはこれまで、AMD版Surfaceをやめた理由を一度も説明していません。
「AMDと一緒に仕事をするのは大好きです。ただ、Surfaceの製品ラインナップは限られているので、何を、どこでやるのかを慎重に選ばなければなりません」。そのうえで改めて「私はAMDと仕事をするのが大好きです」と繰り返しています。
発言から分かるのは、関係が悪くなったわけではないことと、理由が「枠の数」だという点です。性能、消費電力、供給量、価格、Windowsとの相性といった技術的な理由は一つも挙がっていません。今後AMDを採用するかどうかについても、Ostrum氏は答えていません。
聞き手のZac Bowden氏自身も、同じ記事で「過去には同じ機種でIntel版とAMD版を出せていたのに、なぜ今はできないのか」と、この説明に納得していないと書いています。
出典:Windows Central(2026年9月28日)
経緯AMD版Surfaceは2019年と2021年の2世代だけ
AMDのCPUを積んだSurfaceは、Surface Laptop 3とSurface Laptop 4の2機種だけです。どちらも市販のRyzenをそのまま載せたのではなく、「Microsoft Surface Edition」と名付けた専用版を使っていました。
| 機種 | 発売 | 搭載CPU | バッテリー実測 |
|---|---|---|---|
| Surface Laptop 3 15インチ | 2019年 | Ryzen 5 3580U/Ryzen 7 3780U Surface Edition | 8時間00分 Ryzen 5 3580U |
| Surface Laptop 4 13.5/15インチ | 2021年 | Ryzen 5 4680U/Ryzen 7 4980U Surface Edition | 12時間04分 Ryzen 7 4980U・15インチ |
| Surface Laptop 5 AMD版を廃止 | 2022年 | Intel第12世代Coreのみ | 9時間50分 Core i7-1255U・1回のみの測定 |
バッテリーはすべて同じ海外レビューの同じテスト(Webブラウズ・動画再生・OpenGLを輝度150nitsで連続実行)の結果です。Surface Laptop 5の値は発売直前に1回だけ測ったもので、通常の3回平均ではありません。
専用版の中身は、グラフィックスの規模から分かります。市販のRyzen 7 3700Uの内蔵GPUはRadeon RX Vega 10ですが、Surface Laptop 3のRyzen 7 3780UはVega 11、Ryzen 5 3500UのVega 8に対してRyzen 5 3580UはVega 9でした。GPUの演算ユニットを1基ずつ増やした、Surface向けの選別品です。
出典:Microsoftサポート:Surface Laptop 3の仕様 / Tom’s Hardware:Surface Laptop 3(15インチ)レビュー / Tom’s Hardware:Surface Laptop 5とLaptop 4のバッテリー比較
検証Ryzen版Surface Laptop 4は失敗作ではなかった
「AMD版の出来が悪かったから切られた」という見方は、実測と合いません。弱点があったのは初代のSurface Laptop 3で、15インチなのにバッテリーは8時間ちょうど。高級ノートの平均をわずかに下回りました。
2年後のSurface Laptop 4では、Ryzen 7 4980Uの15インチが12時間4分まで伸びています。4K動画を1080pに変換するHandbrakeのテストでも8分21秒で終え、比較に並んだIntel機より数分速い結果でした。性能とバッテリーの持ちを両立した世代です。
そして、AMDをやめた次のSurface Laptop 5(Core i7-1255U)は9時間50分でした。測定回数の違いがあるので断定はできませんが、少なくともバッテリーの面では、後継のIntel版が前世代のAMD版を下回っています。CPUの計算性能ではIntel版が上回っており、どちらが上かは用途で分かれる結果でした。
弱点は「世代の遅れ」だった
Surface Laptop 4の専用Ryzenには、別の問題がありました。2021年の発売時点で、市場にはZen 3世代のRyzen 5000シリーズが出始めていたのに、SurfaceのチップはZen 2世代のRyzen 4000シリーズでした。
専用チップの共同開発に時間がかかったぶん、最新世代を使えなかったと考えられます。専用版を作るたびに1世代遅れるなら、Microsoftにとって毎回AMD版を用意する手間は重くなります。Microsoftが理由として挙げたわけではありませんが、2世代で終わった背景として考えられる点です。
出典:Tom’s Hardware:Surface Laptop 4(15インチ、AMD)レビュー
現状2026年のSurfaceはチップごとに役割が分かれている
2026年に発表されたSurfaceを並べると、チップメーカーごとに担当がはっきり分かれています。価格はすべて米国の希望小売価格です。
| 製品 | プロセッサ | 種類 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| Surface Laptop/Pro for Business 5月19日発表、1,499ドルから | Intel Core Ultra(シリーズ3) | x86 | 法人向け |
| Surface Pro 13インチ/Surface Laptop 13.8・15インチ 6月16日発売、1,499ドルから | Snapdragon X2 | Arm | 一般向けの主力 |
| Surface Pro 12インチ/Surface Laptop 13インチ 10月13日発売、1,149.99ドルから | Snapdragon X2 Plus | Arm | 一般向け(小型) |
| Surface Laptop Ultra 5月31日発表、2026年後半発売 | NVIDIA RTX Spark | Arm | 制作・AI開発向け |
目立つのは、一般向けのSurfaceがすべてArmになったことです。x86のCPUを積むのは、法人向けのIntel搭載モデルだけになりました。
Snapdragonとの関係は、かつてのAMDとの専用版づくりよりも深くなっています。MicrosoftはSnapdragon X2について、Surfaceのエンジニアがチップの開発段階からQualcommと組み、薄型PCでの持続性能、電力効率、静かな冷却、端末上のAI処理に合わせて調整していると説明しています。
Surface Laptop Ultraは、NVIDIAのBlackwell世代のRTX GPUに最大128GBのユニファイドメモリ(CPUとGPUで共有するメモリ)とCUDAを組み合わせ、1ペタFLOPSのAI演算をうたう機種です。通常のSurface Laptopとは狙う用途がまったく違います。
出典:Microsoft Devices Blog(5月19日) / Microsoft Devices Blog(5月31日) / Microsoft Devices Blog(6月16日) / Microsoft Devices Blog(9月23日)
分析AMDが入る「枠」がどこにもない
ここからはMicrosoftの説明ではなく、上の構成から読み取れることです。Ostrum氏の言う「限られたラインナップ」は、機種の数が少ないというだけでなく、同じ役割の機種を2つ作らないという意味に読めます。
- 一般向けの薄型ノートとタブレットは、開発段階から組んでいるSnapdragonが担当しています。MicrosoftはSurfaceを「Windows、Copilot、Microsoft 365の最良の体験を形にするハードウェア」と位置づけており、Arm版Windowsを引っ張る役目もSnapdragon機が負っています。
- x86が必要な法人には、Intel機があります。AMD版を足しても、同じ役割のx86機が2つ並ぶだけです。
- GPU性能と大容量メモリが必要な人には、RTX SparkのSurface Laptop Ultraが用意されています。AMDのRyzen AI Maxシリーズを使う高性能機を作っても、ここと役割が重なります。
Surface Laptop 3・4の時代は、同じ筐体でIntel版とAMD版を選べるという売り方ができました。いまはチップごとに違う製品を作っているので、「AMD版も用意する」だけでは枠が生まれません。前の節で見たように、専用チップを毎回用意する手間が重いことも、優先順位を下げる方向に働いたと考えられます。
出典:Microsoft Devices Blog(9月23日)
要件Ryzen AIはCopilot+ PCの基準を満たしている
「AI PCとしての性能が足りないから外された」わけでもありません。MicrosoftのWindows 11仕様ページには、Copilot+ PCに使えるプロセッサとして、Snapdragon X、Intel Core Ultra 200V/300Vシリーズと並んで、AMD Ryzen AI 300/400シリーズが載っています。
Ryzen AI 400シリーズの最上位の一つ、Ryzen AI 9 HX 475は、Zen 5とZen 5cを合わせた12コア24スレッド、最大60TOPSのNPU、16基の演算ユニットを持つRadeon 890Mを内蔵しています。Copilot+ PCの要件であるNPU 40TOPS以上を十分に超えています。
ただし、Windowsのゲーム向け機能では差が残っています。ゲームの映像をAIで拡大する自動スーパー解像度(Auto SR)は、9月25日時点でSnapdragon X/X2とIntel Core Ultra シリーズ3が対象で、Ryzen AI 300シリーズは入っていません。詳しくは新型SurfaceがCopilot+ PCの名称を外した理由で整理しています。
出典:Microsoft:Windows 11 specifications / AMD:Ryzen AI 9 HX 475
ゲームゲーマーにとってAMD版Surfaceが意味を持つ理由
PCゲームの面から見ると、x86のRyzen AIを積んだSurfaceがないのは惜しい状況です。一般向けのSurfaceはすべてArmなので、x86向けに作られたWindowsのゲームはエミュレーター「Prism」を通して動かすことになります。
Prismでゲーム本体が動くタイトルは増えていますが、Microsoftはエミュレーションがユーザーモードのコードに限られ、ドライバーは動かせず、カーネルモードの部品はArm64向けに作り直す必要があると明記しています。カーネルで動くアンチチートや、周辺機器の設定ソフトのドライバーがArm64に対応していなければ、ゲームが起動しないことがあります。
x86のRyzen AIなら、この心配はありません。Steamのゲームもアンチチートも、一般的なWindowsノートと同じように動きます。Radeon 890Mを積む上位モデルなら、内蔵GPUで軽めのゲームを遊ぶ余地もあります。
噂の次期AMD製チップはArmだった
ただし、AMD版Surfaceが復活しても、x86に戻るとは限りません。2025年5月には、MicrosoftがAMDのArm系チップ「Sound Wave」(開発コード名)を積むSurfaceを2026年に出すというリーク情報が出ています。Sound Waveは性能コア2基と効率コア4基の6コア、RDNA 3.5世代のGPU 4基という、低消費電力向けの構成とされるチップです。
Windows Centralは今回の記事で、このチップは2026年中に出るとされていたものの、まだ兆しがないと書いています。未発表のチップなので採用は確定していませんが、もし実現しても「x86のゲームがそのまま動くAMD版Surface」にはならない点は押さえておくべきです。
出典:Microsoft Learn:How emulation works on Arm / Windows Central(2025年5月15日)
判断ゲームも遊びたい人はSurfaceをどう選ぶか
AMD版Surfaceが戻るという公式の予定はありません。待つより、いまの構成を前提に選んだほうが確実です。判断の分かれ目は、遊びたいゲームがArmで動くかどうかです。
- 遊びたいタイトルがArm版Windowsで動くと確認できている
- アンチチート付きの対戦ゲームを遊ばない
- ゲームは軽いものやクラウドゲームが中心で、バッテリーの持ちを重視する
- カーネルで動くアンチチートの対戦ゲームを遊ぶ
- 周辺機器の設定ソフトやMODツールを使う
- Radeon内蔵GPUでゲームを遊びたい(Ryzen AI 400搭載の他社ノートが候補)
自分のゲームがArmで動くかは、Snapdragon X ARM PCゲーミング完全ガイドでアンチチートの対応状況と合わせて確かめられます。Surface Laptop UltraのRTX SparkもArmなので、同じ確認が必要です。性能と対応タイトルはRTX Spark完全解説にまとめています。
Microsoftは10月7日にWindowsとSurfaceのイベントを予定しており、まだ出ていないSurface Laptop Ultraの価格と発売日が注目点です。予定は10月7日のイベントの記事で確認できます。
FAQよくある質問
まとめまとめ|AMDが外れたのは性能ではなく枠の問題
MicrosoftがAMD搭載Surfaceを出していない理由は、公式には「ラインナップが限られている」の一言だけです。AMDとの関係悪化も、性能やAI要件の不足も理由に挙がっていません。
過去のAMD版Surface Laptop 4はバッテリー12時間4分を記録し、後継のIntel版を上回っていました。弱点は専用チップの開発で世代が遅れることでした。2026年はSnapdragon、Intel、NVIDIAに役割が割り振られ、AMDが入る枠が残っていません。
一般向けのSurfaceはすべてArmになり、x86のゲームやアンチチートをそのまま使えるのは法人向けのIntel機だけです。噂のAMD製チップもArmなので、x86のRyzen版Surfaceが戻る見込みは薄いと考えておくのが安全です。
ゲームも遊びたいなら、遊ぶタイトルがArmで動くかを先に確かめ、動かないならRyzen AI 400を積む他社のノートPCと比べて選ぶのが確実です。



