Steam DeckでDualSenseが正しく動かない問題にGE-Protonが対応|環境変数3種の使い分けと対象ゲーム
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GE-Proton 11-4が追加した環境変数3種の使いどころ
出典:GE-Proton11-4 公式リリースノート、GE-Proton11-5 公式リリースノート、proton-ge-custom 公式リポジトリのREADME、Steamworks公式ドキュメント「Anti-Cheat」、GamingOnLinux(2026年8月)、Steam Deck HQ(2026年8月)にもとづきます。本記事の情報は2026年8月12日時点のものです。
Steam DeckやLinuxを入れたPCにDualSenseをつないでゲームを起動すると、うまくいかない場面があります。ボタンの割り当てが入れ替わる、PlayStationの表示のはずが画面にはXboxのボタンアイコンが出る、振動が効かない、そもそもコントローラーとして認識されない。特に古めのタイトルで起きやすい症状です。
この領域に、有志のカスタム互換ツール「GE-Proton」の11-4がまとめて手を入れました。ハプティクスやコントローラー内蔵スピーカーの対応を仕上げたうえで、症状の種類ごとに切り替えられる環境変数を3種類用意し、どのゲームでどれを使うかまで公式のリリースノートに書いています。
3時間半後にはEasy Anti-Cheatの読み込み不具合だけを直した11-5が出ているため、今から入れるなら11-5です。この記事では3種類の環境変数の違いと選び方、対象として名前が挙がっているゲーム、導入手順を整理します。
目次
要点何が変わったのか
コントローラー周りの変更が中心ですが、押さえるべきところは限られています。
まず土台の部分として、DualShock 4、DualSense、DualSense Edgeのハプティクス、コントローラー内蔵スピーカーの音声、抜き差しへの追従が完成したと説明されています。Sony製コントローラーのモデルを切り替えたときのオーディオ処理も直りました。DS5のハプティクス用オーディオデバイスを正しく列挙するために、PipeWireのALSAプラグインがx86_64とaarch64の両方で同梱されています。
前提先にSteam Inputを切っておく
3種類の切り替えは、いずれもSteam Inputが動いていない状態を前提にしています。Steam Inputは、Steamがコントローラーの入力を受け取ってゲーム側へ変換する仕組みです。これが有効なままだと二重に変換がかかるため、先に無効化します。
手順は次のとおりです。
選択環境変数3種のどれを当てるか
設定は、Steamのプロパティにある起動オプションへ1行貼り付ける形で指定します。症状によって当てるものが変わるので、順番に見ていきます。
ボタン配置は合っているのに認識されない場合
DualShock 4には完全対応しているものの、DualSenseやDualSense Edgeには対応していないゲームで使います。WineがDualSenseを本物のDualShock 4として提示し、デバイスの識別情報とレポートの構造までDS4に合わせます。ゲームから見ると本物のDS4なので、もともとのPlayStation向けの割り当てとDS4のアイコン表示がそのまま活きます。
PROTON_SONY_DUALSENSE_AS_DUALSHOCK4=1 %command%
Xboxのアイコンが出て割り当てもずれる場合
コントローラー自体は検出されるのに、PlayStationのアイコンが実装されていないためXboxのアイコンが表示され、割り当ても正しくないという状態に効きます。DS4、DualSense、DualSense Edgeの入力を、正しく対応付けたXInputコントローラーへ変換します。従来型の2モーターによる振動はSony製コントローラー側へ翻訳して返されます。
PROTON_SONY_HIDRAW_XINPUT=1 %command%
この変換はゲーム側の画像を書き換えるものではないため、Xboxのアイコンや誤ったアイコンが表示されたままになる場合があります。直るのは入力の割り当てです。開発元はこの設定について、PlayStationコントローラーへの対応が部分的でアイコンが正しくないゲームや、そもそも対応していない古いゲームで最も役に立つと説明しています。
Steam Inputが無いと起動しないゲームの場合
Steam Inputに強く依存していて、Steamクライアントなしで動かす必要がある場合や、Steam Inputを無効化した状態で遊びたい場合に使います。互換性のある疑似的なSteam Inputデバイスを用意し、XInputのコントローラーと割り当てをそこへ転送する仕組みです。Sony製コントローラーの場合はXInput変換と組み合わせて動くため、上の設定と併記します。
PROTON_SONY_HIDRAW_XINPUT=1 PROTON_STEAMINPUT_XINPUT_FALLBACK=1 %command%
開発元は、この3つ目についてはめったに必要ないと補足しています。Wine-Waylandを使っているとSteamのオーバーレイが動かず、それに依存するSteam Inputのプロファイル切り替えも使えなくなるため、そうした環境向けの逃げ道という位置づけです。
DualShock 4、DualSense、DualSense Edgeへ正しく対応しているゲームでは、これらの設定はどれも不要だと公式に明記されています。動いているものへ当てると、かえって割り当てが崩れます。症状が出ているタイトルにだけ、1つずつ試す使い方が前提です。
対象公式に名前が挙がっているゲーム
リリースノートには、それぞれの設定の具体例としてゲーム名が並んでいます。手元のタイトルが該当するかの目安になります。
- アサシン クリード オデッセイ
- アサシン クリード オリジンズ
- アサシン クリード III リマスター(リベレーション リマスターを含む)
- アサシン クリード II
- アサシン クリード リベレーション
- アサシン クリード IV ブラック フラッグ
- 黒い砂漠(Black Desert Online)
3つ目のSteam Inputフォールバックについては、開発元が把握している唯一の該当例として『モンスターハンターワイルズ』が挙げられています。ただし同作はSteam専用のPCゲームなので本来ならSteam Inputが正しく動くはずで、動かない場合の手段だという但し書きが付いています。
これらの設定は、開発元が把握している対象のSteamアプリIDについては自動的に有効化されます。環境変数が用意されているのは、動作確認をしたい場合と、まだ知られていないゲームを自分で試す場合のためです。つまり上に挙げたタイトルは、11-4以降なら何も入力せずに直っている可能性があります。
個別の修正としては、『黒い砂漠』のコントローラー検出と起動時のクラッシュ、『モンスターハンターワイルズ』のコントローラーとUSBオーディオの処理が追加されました。さらに、もともとSony製コントローラーを想定していないタイトルとして、アサシン クリード シャドウズ、ミラージュ、ヴァルハラ、ブラック フラッグ リシンクドでSony製コントローラーの機能に対応しています。
導入GE-Protonを入れて有効にする
GE-ProtonはValve公式のProtonとは別物で、Steamに標準では入っていません。公式リポジトリのリリースページから配布物を取得し、Steamの互換ツール用ディレクトリへ展開します。
ネイティブ版のSteamを使っている場合、展開先は~/.steam/steam/compatibilitytools.dです。ディレクトリが無ければ作成してから展開します。
mkdir -p ~/.steam/steam/compatibilitytools.d
tar -xf GE-Proton*.tar.gz -C ~/.steam/steam/compatibilitytools.d/
Flatpak版のSteamでは配置先が変わります。こちらは~/.var/app/com.valvesoftware.Steam/data/Steam/compatibilitytools.d/です。自分がどちらの方式でSteamを入れたかによって展開先が違うので、ここを間違えると一覧に出てきません。
mkdir -p ~/.var/app/com.valvesoftware.Steam/data/Steam/compatibilitytools.d
tar -xf GE-Proton*.tar.gz -C ~/.var/app/com.valvesoftware.Steam/data/Steam/compatibilitytools.d/
展開したらSteamを再起動します。あとはゲームを右クリックしてプロパティを開き、互換性タブの最下部にある「特定のSteam Play互換ツールを強制的に使用する」にチェックを入れて、一覧からGE-Proton 11-5を選びます。
GE-Protonのバージョン管理ツールを既に使っているなら、そちら側で11-5が見えているか確認して更新すれば同じことです。なお公式Protonのチャンネルを切り替える手順や安定版へ戻す考え方はProton 11.0-2 RCをSteam Deckで試す方法の記事で扱っているので、そちらもあわせて確認してください。
修正コントローラー以外に直ったもの
11-4はコントローラー中心の更新ですが、それ以外の修正もまとまって入っています。動画再生とランチャー周りが目立ちます。
土台側もWineのベースが更新され、DXVK、DXVK-NVAPI、VKD3D、VKD3D-Protonがまとめて上がっています。Arm64向けにもLLVM-mingwのARM64X対応がバックポートされ、ARM64X版のDXVKとVKD3D-Protonが有効化されました。表示面では、DXVKのシェーダーコンパイラの文字がDXVK_HUDで明示的に要求しない限り自動で出なくなっています。
続報3時間半後に出た11-5はEACの修正だけ
11-4が公開されたあと、同じ日のうちに11-5が出ています。公開時刻の差は3時間32分で、リリースノートに書かれているのは1行だけです。Easy Anti-Cheatの壊れていた読み込みを直した、という内容になっています。
Easy Anti-Cheatはオンラインゲームで不正行為を検出するための仕組みです。11-4へ更新した直後からEasy Anti-Cheatを使うゲームが起動しなくなった、アンチチートの読み込み画面から先へ進めなくなったという場合は、原因を探す前に11-5へ入れ替えて確かめるのが早道です。
Steamworksの公式ドキュメントでは、ProtonがEasy Anti-CheatとBattlEyeに対応する一方、Easy Anti-Cheatについてはゲーム側でProton向けの対応を有効にする必要があると説明されています。つまり開発元がLinuxでの利用を許可していないタイトルは、GE-Protonを新しくしても遊べるようにはなりません。11-5が直したのは、対応済みのゲームを動かす際にGE-Proton側で起きていた読み込みの不具合です。
注意GE-Protonが向かない場面
GE-ProtonはValveのProtonを土台に、追加のWineパッチやゲームごとの修正を取り込んだカスタム互換ツールです。公式のProtonに無いものとして、動画再生向けのMedia Foundationパッチ、AMD FSRのパッチ、NVIDIA CUDAによるPhysXとNVAPIの対応、Raw inputのマウス対応、ゲームごとの修正を自動で当てる仕組みなどが挙げられています。
ただし常に公式Protonより優れているという意味ではありません。ゲームによってはValve公式の安定版やProton Experimentalの方が正常に動きます。今の環境で問題なく遊べているゲームまで、わざわざGE-Protonへ切り替える必要はありません。
また11-4では、コントローラー以外にWine本体、DXVK、VKD3D-Proton、Wine-Waylandなど広い範囲が更新されています。11-3以前から一気に11-5へ上げた場合、変わっているのはEasy Anti-Cheat周りだけではありません。更新後に別のゲームで不具合が出たときは、Easy Anti-Cheatの修正を疑う前に、これらの土台側の更新との相性も含めて切り分ける必要があります。
FAQよくある質問
%command%まで含めて1行で貼り付けます。先にコントローラーの設定からSteam Inputを無効化しておく必要があります。総括まとめ|症状が出ているゲームにだけ1行足す
GE-Proton 11-4は、LinuxでPlayStation純正コントローラーを使ったときの噛み合わなさに正面から手を入れた更新です。ハプティクスとコントローラースピーカーの対応を仕上げたうえで、DS4として見せる、XInputへ変換する、疑似的なSteam Inputを用意するという3つの逃げ道を用意し、どのゲームでどれを使うかまで公式に示しました。
使い方は難しくありません。症状が出ているゲームのSteam Inputを切り、起動オプションへ1行貼るだけです。対象として知られているタイトルなら自動で有効になるため、何もしなくても直っている可能性もあります。導入するバージョンは、Easy Anti-Cheatの読み込み不具合まで直した11-5を選んでください。
GE-Proton 11-4はDualShock 4・DualSense・DualSense Edgeのハプティクス、コントローラー内蔵スピーカー、抜き差しへの追従を完成させたうえで、症状別に3つの環境変数を追加しました。DualSenseをDS4として提示するPROTON_SONY_DUALSENSE_AS_DUALSHOCK4=1はアサシン クリード オデッセイ・オリジンズ・IIIリマスターなど、XInputへ変換するPROTON_SONY_HIDRAW_XINPUT=1はアサシン クリード II・リベレーション・IVブラック フラッグ・黒い砂漠などが例として挙げられています。疑似Steam Inputを用意するPROTON_STEAMINPUT_XINPUT_FALLBACK=1はモンスターハンターワイルズが唯一の該当例で、めったに使いません。いずれも先にSteam Inputを無効化することが前提で、正しく対応しているゲームには不要です。既知のSteamアプリIDでは自動的に有効化されます。あわせてストリートファイター6のカットシーン、サイバーパンク2077のランチャークラッシュ、Killing Floor 3の動画クラッシュ、Wine-Wayland関連も修正されました。3時間32分後に公開された11-5はEasy Anti-Cheatの読み込み不具合を直した1行のみのホットフィックスで、導入するならこちらを選びます。ただしProtonでEasy Anti-Cheatを使うにはゲーム側の対応が必要なため、アンチチートの制限そのものが外れるわけではありません。



