アイネックスTestudo Formationは買いか|約7,000円のデュアルタワー空冷、TDP275W対応と高さ158mmの実際を解説
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下位モデルと違うのはファンの枚数ではなく、CPUとの接触方式と奥行きです
出典:BLUE AIAS公式 BA-CC02TF製品ページ / 同 BA-CC01GP製品ページ / BLUE AIASブランドサイト / AKIBA PC Hotline!(2026年8月10日) / エルミタージュ秋葉原掲載のプレスリリース(2026年7月29日)。価格・仕様は本記事公開時点(2026年8月12日)の情報にもとづきます。
CPUクーラーを1万円以下で探していると、たいていはシングルタワーか、ヒートパイプ4本前後の製品に行き着きます。デュアルタワー、つまりヒートシンクを2つ並べてその間にもファンを挟める構造の製品は、価格帯がもう一段上になるのが普通でした。
その常識に対して、アイネックスの冷却ブランドBLUE AIASが出したのが「Testudo Formation(BA-CC02TF)」です。デュアルタワーに120mmファン2基、直径6mmの銅製ヒートパイプ6本という構成で、アキバの店頭価格は税込6,980円でした。
この記事では、公式が公開している仕様を確認したうえで、同時に出た下位モデルとの違いがどこにあるのか、そしてPCケースやメモリと物理的に干渉しないかを判断するために本当に見るべき数字はどれなのかを整理します。冷却性能の実測データについては公式にも公開されていないため、その扱いも明記します。
目次
要点どんなクーラーなのか

アイネックスの冷却ブランドBLUE AIASから2026年8月5日に出荷が始まったCPUクーラーです。アルミ製のデュアルタワーヒートシンクに直径6mmの銅製ヒートパイプ6本と銅製ベースを組み合わせ、120mm PWMファンを2基搭載します。最大対応TDPはメーカー公称で275W。対応ソケットはIntelのLGA1851から1150まで、AMDはAM5とAM4です。公式の価格はオープンプライスで、店頭では税込6,980円が確認されています。
仕様デュアルタワーと6本ヒートパイプの中身
まず冷却部の構成です。ヒートシンクはアルミ製で、これを2つのタワーに分けた構造になっています。CPUと接する部分は銅製ベースで、そこから直径6mmの銅製ヒートパイプが6本伸びてタワー側へ熱を運びます。この本数と太さは、1万円前後の空冷クーラーで見かける水準です。
構造面では、マンガン鋼のU型柱とジッパーフィン構造を採用していると説明されています。振動や衝撃で歪みにくくし、長期間にわたって冷却性能を保つことが狙いとされています。トップカバーとファンは黒色なので、黒いマザーボードや内部を黒塗装したケースには収まりよく見えるはずです。

搭載する120mmファンの仕様は、1基あたり次のとおりです。
- 回転数は500rpm±250から2,000rpm±10%のPWM制御
- 最大風量47.62CFM、最大静圧2.11mmH₂O
- 最大ノイズレベルは公称23.9dB(A)
- 軸受けはFDB(流体動圧軸受)で、期待寿命は40℃時に120,000時間
- サイズは120×120×25mm、定格入力はDC12V 1.2W 0.1A
実用面で効いてくるのが、PWM対応のデイジーチェーンケーブル仕様である点です。マザーボード側がPWM 4ピンのメス、追加ファン側がオス(3番のパルスケーブルなし)という結線になっており、CPUファンヘッダー1つに2基のファンをまとめて接続できます。ヘッダーの数が少ないマザーボードでは地味に助かる仕様です。ファンには防振パッドも付いており、公式は高回転・大風量ファンへの換装にも対応するとしています。
本体サイズはW125×D138×H158mm(ファンクリップを含む)、重量は880g(リテンションを除く)です。
比較下位モデルとの違いはファンの枚数ではない
同じBLUE AIASから、同じ2026年8月5日にシングルタワー型の「Greek Phalanx(BA-CC01GP)」も出荷が始まっています。市場想定価格は税込3,580〜3,980円で、Testudo Formationのおよそ半額です。上位と下位という関係に見えますが、公式ページの数字を並べると違いの中身が見えてきます。
| 項目 | Testudo Formation | Greek Phalanx |
|---|---|---|
| 型番 | BA-CC02TF | BA-CC01GP |
| 構造 | デュアルタワー | シングルタワー |
| 最大対応TDP | 275W | 235W |
| ヒートパイプ | 6mm径×6本+銅製ベース | 6mm径×4本+ダイレクトタッチ |
| 搭載ファン | 120mm×2基 | 120mm×1基 |
| ファン仕様 | 500〜2,000rpm・47.62CFM・2.11mmH₂O・23.9dB(A) | 500〜2,000rpm・47.62CFM・2.11mmH₂O・23.9dB(A) |
| サイズ | W125×D138×H158mm | W125×D75×H154mm |
| 重量 | 880g | 530g |
| 市場想定価格 | 税込6,980〜7,780円 | 税込3,580〜3,980円 |
注目したいのが、ファンの仕様が両モデルで完全に同一だという点です。回転数の範囲も、最大風量も、静圧も、ノイズレベルも、軸受けの種類も、期待寿命もすべて同じ値が公開されています。つまり価格差の中身は、ファンの性能差ではありません。
違いは3つです。ヒートシンクをデュアルタワーにしたこと、ファンを1基から2基に増やしたこと、そしてCPUとの接触方式が変わっていることです。Greek Phalanxはヒートパイプが直接CPUに触れるダイレクトタッチ方式ですが、Testudo Formationは銅製ベースを挟む方式に変わっています。この違いはカタログの見出しには出てきませんが、熱の受け渡し方が根本的に異なる部分です。
幅はどちらもW125mmで共通、高さも154mmと158mmで4mmしか違いません。差が大きいのは奥行きで、75mmから138mmへとほぼ倍になります。デュアルタワーという言葉から「背が高くなる」と想像しがちですが、実際に増えるのは前後方向です。
設置見るべきは高さより奥行き
CPUクーラーを買うときは、まずPCケースの「最大CPUクーラー高さ」を確認するのが定石です。Testudo Formationは158mmなので、ミドルタワー以上のケースであれば多くは収まる高さでしょう。
ただし、この製品で先に詰まりやすいのは高さではありません。奥行き138mmという数字のほうです。サイドフロー型のクーラーは、CPUソケットの前後方向にヒートシンクが張り出します。デュアルタワーは2つのタワーのあいだにもファンを配置できる構造なので、その分だけ前後に広がります。張り出した先にあるのがメモリスロットです。
公式ページは「マザーボードレイアウトにより、物理的に設置できない場合があります」と明記しており、メモリの高さについて許容値を公開していません。ヒートスプレッダーの背が高いメモリやRGB搭載モデルを使っている場合は、実際に手元のマザーボードで干渉しないか確認する必要があります。
もう1点、ケースメーカーが公表する「最大CPUクーラー高さ」自体が実測と食い違うことがあると、Noctuaが100台以上のケースを実測して報告しています。158mmという数字がケースの公称値に収まっていても、それだけで安心とは限りません。クリアランスの詳しい考え方については、あわせて読みたいのリンクから確認してください。
注意点メーカーが明記している制約
公式ページには、購入前に読んでおきたい注記がいくつか並んでいます。数字の華やかさに隠れがちな部分なので、そのまま挙げておきます。
公式は「すべての環境での動作を保証するものではありません」「安定動作には吸気・排気ファンなどを付け、ケース内の温度管理をすることをおすすめします」と明記しています。275Wという数字は、そのクラスのCPUに取り付けられるという対応範囲を示すもので、275W消費し続けるCPUを常時十分に冷やせると約束するものではありません。
そのほかの注記もまとめておきます。AMD環境ではマザーボード標準のバックプレートを利用して取り付けます。取り付け時は本体底部(CPUとの接触面)の保護シートをはがす必要があります。ファンの120,000時間という数字は期待寿命であって保証期間ではありません。PWMファンの挙動はマザーボード側のBIOSによって変わります。
そして冷却性能についてですが、本記事執筆時点で、この製品のCPU温度を実測したベンチマークデータは公式にも公開されていません。「Ryzen 9クラスでも余裕」「何℃まで抑えられる」「他社製より冷える」といった評価は、現時点ではどこにも根拠がありません。仕様から読み取れるのは構成の充実度までで、実際の冷却性能は今後のレビュー待ちです。
早見表向いている人・向いていない人
- 1万円以下でデュアルタワー構成を試したい
- ミドルタワー以上のケースを使っている
- ファンヘッダーが少なく1系統でまとめたい
- 黒基調の内部で見た目を揃えたい
- 実測データを見てから判断したい
- 背の高いメモリを使っていて干渉を避けたい
- ミニタワーや薄型ケースを使っている
- 最上位CPUで確実な冷却余裕がほしい
価格オープンプライスと実売の関係
公式ページ上の価格表記はオープンプライスです。発売前に配布されたプレスリリースでは、市場想定価格が税込6,980〜7,780円とされていました。そして2026年8月10日にアキバのツクモパソコン本店とTSUKUMO eX.で確認された店頭価格は、税込6,980円でした。実機の展示も行われています。
つまり出だしの実売は、想定レンジの下限に張り付いた形です。下位のGreek Phalanxが税込3,580〜3,980円なので、差額はおよそ3,000円台。この差でデュアルタワー化とファン1基の追加、そして接触方式の変更が付いてくる、という見方になります。
なお価格は流通や時期によって動きます。ここに挙げた数字はあくまで2026年8月時点で確認できたもので、購入時は販売店の表示を確認してください。
Q&Aよくある質問
総括まとめ|構成は充実、確認すべきは奥行きと実測待ちの冷却性能
約7,000円という価格に対して、デュアルタワー、120mmファン2基、6mm径のヒートパイプ6本、FDB軸受けという構成は素直に充実しています。デイジーチェーン対応やファン換装への対応も、この価格帯では気の利いた仕様です。
アイネックスのBLUE AIASブランドから、デュアルタワー型の空冷CPUクーラー「Testudo Formation(BA-CC02TF)」が2026年8月5日に出荷を開始しました。アルミ製デュアルタワーに6mm径の銅製ヒートパイプ6本と銅製ベース、120mm PWMファン2基という構成で、最大対応TDPは公称275W。店頭では税込6,980円が確認されています。
同時に出た下位モデルGreek Phalanxと並べると、価格差の中身がはっきりします。ファンの仕様は回転数からノイズレベルまで両者まったく同一で、違うのはデュアルタワー化とファン枚数、そしてCPUとの接触方式です。高さは154mmと158mmで4mmしか変わらない一方、奥行きは75mmから138mmへほぼ倍増します。設置の可否を判断するなら、高さより先に奥行きとメモリまわりのクリアランスを見るべきです。
気をつけたいのは冷却性能の扱いです。この製品のCPU温度を実測したデータは、本記事執筆時点で公式にも公開されていません。275Wという数字は対応の指標であって性能の保証値ではなく、公式自身も全環境での動作は保証しないと明記しています。構成の充実度で先に判断するか、実測レビューが出るまで待つかは、そこを踏まえて決めるのが安全です。



