ASRock X870E Challenger WiFiは買いか|X870版との違いと約1万円差で増える5GbE・M.2・VRM
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X870版より約1万円高い差は5GbE・M.2・VRM
ASRockのX870E Challenger WiFiは、AMDの最上位チップセットX870Eを載せたATXマザーボードです。Socket AM5(Ryzen 9000・8000・7000シリーズが載るCPUソケット)に対応し、2026年4月17日に国内で発売されました。装備だけを見ると、この価格帯のX870Eでは最も充実した部類です。
ただし米国での229.99ドルという価格は国内には当てはまらず、国内の実売は4万円前後です。同じ日に出たX870 Challenger WiFiは約2.9万円なので、判断のポイントは約1万円の差で何が増えるかになります。増えるのは、USB4と帯域を分け合わずに使える4本のM.2、5GbEの有線LAN、上位のオーディオ、110Aの電源回路の4点です。
国内版と海外版では保証期間も違います。海外レビューの仕様表では3年保証ですが、国内代理店のCFD販売が示す保証は2年です。メモリの相性でつまずいた実機報告もあります。

目次
価格国内の実売は4万円前後、X870版との差は約1万円
国内の代理店が発売時に示した店頭想定売価は、X870E Challenger WiFiが57,800円、White版が59,800円でした。現在はそこから大きく下がっており、TSUKUMOの通販ではブラック版が39,800円、White版が40,800円です。
同じく4月17日に出たX870 Challenger WiFiは、同じTSUKUMOで28,980円、White版が28,912円です。X870E版を選ぶと約1万1,000円高くなる計算で、この差に見合う装備があるかが選び方の中心になります。
米国では、7月のレビュー時点でブラック版が279.99ドルでしたが、現在は米Amazonで両色とも229.99ドル前後です。国内の4万円前後は1ドル170円を超える計算になるので、「230ドルなら安い」という海外の評価をそのまま国内価格に当てはめないほうが安全です。
| モデル | 店頭想定売価 | TSUKUMO通販 |
|---|---|---|
| X870E Challenger WiFi | 57,800円 | 39,800円 |
| X870E Challenger WiFi White | 59,800円 | 40,800円 |
| X870 Challenger WiFi | 42,800円 | 28,980円 |
| X870 Challenger WiFi White | 43,800円 | 28,912円 |
出典(確認日2026年9月28日):CFD販売「X870E Challenger WiFi」/CFD販売「X870 Challenger WiFi」/TSUKUMO「X870E Challenger WiFi」/TSUKUMO「X870 Challenger WiFi」/Hardware Busters「X870E Challenger WiFi」レビュー。White版の店頭想定売価は代理店の発表時の告知、TSUKUMOの価格は9月28日時点の税込価格です。
比較X870 Challenger WiFiとの違いを一覧で比較
2枚はどちらもATXで、PCIe 5.0 x16のグラフィックボード用スロット、PCIe 5.0 x4のM.2、USB4(40Gbps)の背面Type-C×2、Wi-Fi 7を備えています。違いは電源回路、M.2の4本目、有線LAN、オーディオ、USBの数に集中しています。

| 項目 | X870E Challenger WiFi | X870 Challenger WiFi |
|---|---|---|
| チップセット | X870E(2チップ構成) | X870(1チップ構成) |
| CPU電源回路 | 20+2+1フェーズ・110A SPS | 16+2+1フェーズ・80A Dr.MOS |
| メモリ | DDR5×4・最大DDR5-8200(OC) | DDR5×4・最大DDR5-8000(OC) |
| M.2 | Gen5 x4×1+Gen4 x4×3 | Gen5 x4×1+Gen4 x4×2+Gen4 x2×1(2本目はUSB4と帯域共有) |
| 拡張スロット | Gen5 x16+Gen3 x2+Gen3 x1 | Gen5 x16+Gen3 x2 |
| 有線LAN | 5GbE(Realtek RTL8126) | 2.5GbE(Realtek RTL8125BG) |
| オーディオ | Realtek ALC4082・光デジタル出力あり | Realtek ALC897 |
| 背面USB-A | 10Gbps×5、5Gbps×3、USB 2.0×2 | 10Gbps×2、5Gbps×1、USB 2.0×4 |
| 前面Type-C端子 | 20Gbps | 5Gbps |
| ファン端子 | 7基 | 6基 |
| CMOSクリア | 背面ボタンあり | 背面ボタンなし |
| 国内保証 | 2年 | 2年 |
出典(確認日2026年9月28日):CFD販売の両製品ページ(前掲)の仕様表/アスク「X870E Challenger WiFiシリーズ」/The FPS Review「X870 Challenger WiFi White」レビュー。X870版の80A Dr.MOSはThe FPS Reviewが伝えるASRockの公称値です。
X870E装備の差はチップセットのレーン数から来ている
USBやM.2の数がこれだけ違うのは、X870Eがチップセットを2個つないだ構成だからです。AMDの公式仕様では、CPUとチップセットを合わせて使えるPCIeレーンはX870Eが最大44本、X870が最大36本です。この8本の差の分だけ、M.2やUSB、有線LANに割り当てられる余裕が大きくなり、X870E版の4本目のM.2が全帯域のx4になっているのもその結果です。
グラフィックボード用のPCIe 5.0、M.2用のPCIe 5.0、USB4は、X870でもX870Eでも必須の装備です。X870Eにしてもゲームのフレームレートが上がるわけではなく、増えるのは周辺機器とストレージをつなぐ余裕です。
出典(確認日2026年9月28日):AMD「AM5 Chipsets」仕様表
M.2M.2をUSB4と取り合わずに4本使えるのがX870E版の一番の強み
X870E Challenger WiFiのM.2は、CPU直結のPCIe 5.0 x4が1本、チップセット側のPCIe 4.0 x4が3本です。実機の検証でも、4本のM.2はほかのスロットやSATAとレーンを共有しておらず、全部埋めても速度が落ちたり何かが無効になったりしないことが確認されています。
X870版も4本のM.2を持ちますが、制約が2つあります。1つは4本目がPCIe 4.0 x2で、帯域が32Gbpsに半減することです。もう1つは、2本目のM.2(M2_2)が背面のUSB4と帯域を分け合うことです。M2_2にSSDを挿すと、M2_2とUSB4はどちらもPCIe 4.0 x2で動きます。BIOSでM2_2をx4に切り替えることはできますが、その場合は背面のUSB4ポートが使えなくなります。レーンの共有で起きる「挿したら別の端子が消えた」系のトラブルは、M.2増設でSATAのSSDやHDDが消える原因と同じ仕組みです。
つまりX870版で、USB4を使いながらx4の速度が出るM.2は、1本目(PCIe 5.0)と3本目の2本だけです。NVMe SSDが2枚までならX870版で困りませんが、3枚目からはどれかがx2になります。ゲームの読み込みではx2でも差は小さいものの、作業用と録画用にNVMe SSDを分けたい人や、USB4の外付けSSDを使う人にとっては、ここが1万円の差のうちいちばん実感しやすい部分です。
M.2_2とM.2_3はグラフィックボード用スロットのすぐ下にあり、大型のグラフィックボードを挿すとヒートシンク付きのSSDは収まらない場合があります。GPUの熱も受けやすい位置なので、頻繁に使うSSDはGPUから離れたM.2_1かM.2_4に挿すのが無難です。スロットの位置と帯域の関係はPCIeスロットは上段と下段どちらを使うべきかで詳しく扱っています。
出典(確認日2026年9月28日):Tom’s Hardware「ASRock X870E Challenger Wifi Motherboard Review」/The FPS Review「X870E Challenger WiFi」レビュー/ASRock公式「X870 Challenger WiFi」仕様の注記
電源回路電源回路は16コアを長時間回すなら効く、8コアまでなら差は出ない
CPU用の電源回路は、Renesas製の20フェーズ制御ICと110AのSPS(電流を測りながら動く高効率のパワーステージ)を20個組み合わせた構成です。国内4万円前後のX870Eとしては、最も強力な部類の電源回路です。
実測の温度にも余裕があります。Ryzen 9 9900Xで負荷をかけた試験では、VRMの温度は外部センサーで47℃強、基板内のいちばん熱いセンサーでも53℃でした。システム全体の消費電力はアイドル時78W、ピーク時265Wで、試験全体の平均は162Wで、同じ条件で試されたほかのボードの平均172Wより約10W低い結果です。
X870版の16フェーズ・80A Dr.MOSでも、Ryzen 7 9800X3Dのような120W級のCPUなら十分に動かせます。電源回路の差が効いてくるのは、Ryzen 9 9950X3Dのような16コアを全コア負荷で長時間回す場合です。ゲームが中心なら、この項目だけを理由にX870E版を選ぶ必要はありません。
出典(確認日2026年9月28日):Tom’s Hardware(前掲)の電源回路の解説と消費電力・VRM温度の測定結果
LAN・音5GbEとALC4082は使う環境があるかで価値が決まる
有線LANは、X870E版が5GbE、X870版が2.5GbEです。5GbEの速度が出るのは、ルーターやNAS、スイッチングハブも5GbE以上に対応している場合だけです。10Gbpsの光回線を契約していて、ルーターに10GbEのLANポートがあるなら、2.5GbEとの差はダウンロードで体感できます。回線が1Gbpsの契約で、家庭内に大きなファイルを送り合う機器もないなら、体感差はほとんどありません。
オーディオは、X870E版がRealtekの上位コーデックALC4082、X870版が普及帯のALC897です。ALC4082はRealtekのオンボード用コーデックでは最上位クラスですが、専用のアンプやDACは載っていません。USB接続のヘッドセットやDACを使う人には、この差は関係がありません。
出典(確認日2026年9月28日):CFD販売の両製品ページ(前掲)のネットワーク・オーディオの仕様
注意点買う前に確認したい4つの弱点
X870E Challenger WiFiは装備の割に安い一方で、価格を抑えるために削られた部分もあります。購入後に困りやすいのは次の4点です。
- メモリの相性:海外の実機試験では、Kingston製のDDR5キットがXMPプロファイルを有効にすると動かず、別のDDR5-6000で測り直しています。DDR5-8000のキットはRyzen 9 9900Xではストレステストを通らず、Ryzen 7 8600Gでは安定しました。DDR5-7200のキットは問題なく動いています。ASRockの対応メモリリスト(QVL)に載っているキットを選ぶのが確実です。
- 国内保証は2年:米国向けは3年保証ですが、国内代理店の保証期間は2年です。
- Wi-Fi 7は160MHz幅まで:Wi-Fi 7の特徴である320MHz幅の通信には対応していません。無線で最高速度を狙う人には物足りない部分です。X870版も同じモジュールです。
- トラブル時の表示が簡易的:起動に失敗したときの表示は、CPU・メモリ・グラフィックス・ブートの4つのLEDだけです。上位モデルにある2桁のエラーコード表示はありません。
両機に共通する弱点もあります。SATAポートは2基だけなので、2.5インチSSDやHDDを3台以上つなぐ構成には向きません。グラフィックボードを外すためのクイックリリースボタンもなく、スロットの留め具は大型のグラフィックボードを挿すと指が届きにくい位置にあります。工具なしで着脱できるのは、1本目のM.2のヒートシンクだけです。
背面のUSB4ポートで映像を出せるのは、CPU内蔵のグラフィックスを使う場合だけです。グラフィックボードの映像をType-Cのモニターに出す用途には使えません。USB4の仕組みとThunderboltとの違いはAM5マザーボードのUSB4ガイドにまとめています。Ryzen 8000シリーズ(8600Gなど)を載せた場合は、グラフィックボード用スロットがPCIe 4.0 x8またはx4に、1本目のM.2がPCIe 4.0 x4になります。
出典(確認日2026年9月28日):Tom’s Hardware(前掲)のメモリ試験・長所短所/CFD販売の仕様表(前掲)の保証期間・無線LAN・映像出力の注記
B850X870もいらない人はB850で足りる
AMDの仕様では、B850はM.2用のPCIe 5.0が標準ですが、グラフィックボード用はPCIe 4.0が基準で、PCIe 5.0に対応するかは製品次第です。USB4もメーカーの任意です。現行のグラフィックボードはPCIe 4.0 x16でも性能がほとんど落ちないので、USB4を使う予定がなければB850で困る場面は多くありません。
B850を選ぶ場合は、グラフィックボード用スロットの世代とVRMの強さを製品ごとに確認する必要があります。予算とCPUに合わせた選び方は、AM5マザーボードの予算別おすすめとCPU別のVRMの目安で整理しています。
結論X870EとX870、結局どちらを選ぶ?
- NVMe SSDを3枚以上挿し、USB4も使いながら全部をx4の速度で使いたい
- 10Gbpsの光回線や、5GbE以上に対応したルーター・NASを使っている
- Ryzen 9 9950X3Dなどの16コアを全コア負荷で長時間回す
- 背面にUSBを多くつなぎ、前面にも20GbpsのType-Cがほしい
- NVMe SSDは2枚までで足りる
- 回線は1Gbps契約で、有線LANは2.5GbEで十分
- CPUはRyzen 7 9800X3Dなどの8コアまで
- USB接続のヘッドセットを使うので、オンボードの音質にこだわらない
ゲーム用のPCで、NVMe SSDが2枚まで、CPUが8コアまでなら、X870版で浮いた約1万円をグラフィックボードやメモリに回すほうが効果は大きくなります。X870E版が1万円の価値を持つのは、SSDの枚数、5GbE、16コアCPUのどれかが当てはまる人です。
販売比較した4モデル
それぞれにブラックとホワイトがあり、中身は色違いで同じです。価格の節で挙げた数字はTSUKUMO通販のもので、下のボタンはAmazonの販売ページに移動します。ホワイトは基板・ヒートシンク・スロットまで白で統一されています。


※価格・在庫は変動します。最新の価格はAmazonの商品ページでご確認ください。
FAQよくある質問
まとめ約1万円の差はSSD3枚以上と5GbEに払うもの
ASRock X870E Challenger WiFiは、国内の実売4万円前後で110Aの20フェーズ電源回路、5GbE、ALC4082、レーンを共有しない4本のM.2をそろえたX870Eです。兄弟機のX870 Challenger WiFiとの差は約1万1,000円で、USB4、Wi-Fi 7、PCIe 5.0のグラフィックボード用スロットは両方にあります。
弱点は、メモリの相性が出やすいこと、国内保証が2年であること、Wi-Fi 7が160MHz幅までであることです。メモリは対応リストに載ったキットを選び、無線より有線を重視する構成で選ぶと、この価格の強みを生かせます。
NVMe SSDを3枚以上使う、5GbEの環境がある、16コアCPUを載せる。このどれかに当てはまればX870E版、当てはまらなければX870版で十分です。浮いた約1万円はグラフィックボードやメモリに回すほうが、ゲームでの差は大きくなります。





