WireView Pro II Noctua Edition発売|通常版との違いと70ユーロ差の中身、互換性・保証の注意点を整理
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通常版より70ユーロ高い40mmファン版は誰向けか
出典(確認日2026年9月27日):Thermal Grizzly公式Noctua Editionデータシート、Noctua Edition製品ページ、通常版製品ページ、Wired版製品ページ、WireView Pro IIデータシート、操作ガイド(Firmware v01)、延長保証規約、互換リスト、VideoCardz「Thermal Grizzly prepares WireView Pro II Noctua Edition」、TechAceWireView Pro II(Normal)販売ページ
RTX 5090のように600W近い電力を1本の12V-2×6コネクタで受けるGPUでは、コネクタの焼損対策として「ピンごとの電流を見張るデバイス」を後付けする人が増えています。その代表格がドイツのThermal Grizzly(サーマルグリズリー)の「WireView Pro II」で、2026年9月27日にNoctua(ノクチュア)とのコラボモデル「Noctua Edition」が公式ストアで発売されました。
結論から言うと、Noctua Editionは監視性能を上げたモデルではありません。ピン単位の電流監視、警告、自動シャットダウン、ログ記録、GPUコネクタの2年延長保証はすべて通常版と共通で、変わるのはファン・筐体・放熱構造です。70ユーロの差額は「安全を買う代金」ではなく、「RTX 5090級の負荷でも監視デバイスを静かにしておく代金」と考えるのが正確です。
差額の恩恵がはっきり出るのは、600W近い負荷を長時間かけるRTX 5090級のGPUだけです。さらにRTX 5090 FEやRTX 5080 FEには直挿しタイプそのものが付かず、Noctua Editionは筐体も大きくなるため、買う前の分かれ目は価格よりも「消費電力」と「GPUまわりのすき間」にあります。

目次
要点Noctua Editionで変わること・変わらないこと
Noctua Editionは189.90ユーロ(米国向け222.18ドル)、通常版は119.90ユーロ(同140.28ドル)です。変わるのはNoctua NF-A4x10 PWM(40mm)ファン、専用ファングリル、大型化したCNCアルミ筐体、内部の追加冷却プレートとサーマルパッドで、監視機能と延長保証は通常版と同じです。9月27日時点で国内代理店での取り扱いは確認できません。
比較通常版とNoctua Editionの違いを一覧で確認
Thermal Grizzlyの公式発表は、Noctua Editionを「WireView Pro IIの全機能を備えたモデル」と位置づけています。違いは冷却まわりに集中しています。
| 項目 | WireView Pro II(通常版) | Noctua Edition |
|---|---|---|
| 公式ストア価格 | 119.90ユーロ/140.28ドル | 189.90ユーロ/222.18ドル |
| 冷却ファン | 30mmファン | Noctua NF-A4x10 PWM(40mm) |
| ファンの動き方 | セミパッシブ(負荷と温度に応じて回転) | セミパッシブ(負荷と温度に応じて回転) |
| 筐体と放熱 | CNC加工アルミ筐体をヒートシンクとして利用 | 大型化したCNC加工アルミ筐体+追加の冷却プレートとサーマルパッド |
| ファングリル | 通常設計 | 搭載ファンに合わせた専用設計 |
| 本体の大きさ・重さ | 62.5×65×39.5mm・81.5g | 65×70×39.5mm・120g |
| 付属USB-Cケーブル | 30cm | 60cm |
| 画面デザイン | 標準デザイン | 茶色を使ったNoctua専用デザイン(変更可) |
| ピン単位の電流監視 | あり | あり |
| 警告・自動シャットダウン | あり | あり |
| ログ記録 | あり | あり |
| GPUコネクタの延長保証 | 購入日から2年 | 購入日から2年 |
| コネクタの向き | Normal/Reversed | Normal/Reversed(価格は同じ) |
※Thermal Grizzly公式の製品ページ・データシートにもとづきます(Noctua Editionの外形寸法はNoctua Editionの技術図面から)。価格は税込の公式ストア価格で、送料は別です。
Thermal GrizzlyはComputex 2026の展示で、40mmファンを収めるために基板を手直しし、筐体を大きくしたと説明しました。外形寸法は通常版の62.5×65mmから65×70mmへ、ひと回り大きくなりました(厚みは39.5mmで同じ)。追加の冷却プレートはコネクタのはんだ付け部の近くに置かれ、配線とピンの熱を筐体へ逃がす構造です。Computex時点で見込まれていた価格は199ユーロ前後でしたが、実際の公式価格はそれより約9ユーロ安い189.90ユーロに落ち着いています。
仕組みWireView Pro IIが見張っているのはピンごとの電流
WireView Pro IIの価値は、GPU全体の消費電力ではなく、12V-2×6の中の6本の12V経路にどう電流が分かれているかを1本ずつ測れる点にあります。電流・電圧・温度・消費電力を常時測定し、320×170ピクセルのTFT IPS液晶にピンごとの値を表示します。
なぜピン単位が重要なのかは、簡単な計算で分かります。12V-2×6の上限である600Wを12Vで流すと合計は50Aです。6本に均等に分かれれば1本あたり約8.3Aですが、1本が接触不良でほぼ電流を流さなくなると、残る5本の平均は10Aに上がります。GPUの消費電力表示は600Wのまま変わらないので、総電力だけを見る電力計ではこの偏りに気づけません。
操作ガイドでは、ピン電流・総電力・温度のそれぞれに上限値を設定でき、設定値を10秒を超えて上回り続けると警告が鳴ります。ガイドの画面例ではピン電流の上限が10A、温度の上限が80℃になっています。付属のY字分岐ケーブルをマザーボードの電源スイッチ端子につなげば、警告後にPCをソフトシャットダウン(電源ボタンを1回押した扱い)またはハードシャットダウン(長押し扱い)させることもできます。
ログは60秒ごとに内部メモリへ保存され、ピンごとの電流、総消費電力、12V-2×6出力付近の基板温度が残ります。連続稼働で約340日、一般的な使い方なら3〜4年分を保持し、容量を超えると古い記録から上書きされます。焼損が起きたあとに「いつから特定のピンに電流が寄っていたか」をさかのぼれるのは、画面を見ているときしか役に立たない電力計にはない強みです。
接触抵抗が上がって電流が偏り、局所的に発熱する仕組みそのものは12V-2×6焼損の完全対策ガイドで詳しく整理しています。
冷却40mmファンはコネクタの焼損を防ぐ装置ではない
「大きなファンで冷やせば焼損しにくくなる」と考えたくなりますが、Noctua Editionのファンが冷やしているのはWireView Pro II自身の基板と筐体です。焼損の原因になる接触不良は、コネクタの接点そのものの抵抗が上がって熱を持つ現象なので、外から風を当てても接点の状態は直りません。
WireView Pro IIのような「間に挟むデバイス」は、それ自体に電流が流れて熱を持ちます。8ピン仕様の旧モデルでは、RX 7900 XTXとの組み合わせで本体側が焼損した報告も出ています。通常版は、アルミ筐体を放熱板として使い、温度が上がったときだけ30mmファンを回すセミパッシブ方式で、この熱を処理しています。Noctua Editionは同じ方式のまま、放熱に使える筐体を大きくし、ファンを40mmにして、ファンが回りはじめるまでの余裕を広げたモデルです。
30mm角と40mm角の外形面積は900mm²と1,600mm²で、約78%の差があります。羽根の面積や風量がこの比率どおりに増えるわけではありませんが、同じ風量を出すなら大きいファンのほうが低い回転数で済むのが一般的です。Noctuaの社内テストは、ケースファンを外してケース内が40℃を超える厳しい環境で行われ、ファンが止まっている状態でも回っている状態でもNoctua Editionのほうが放熱が良く、回転時の音も通常版より小さかったという結果です。
狙い本命はRTX 5090級でもファンを止めておけること
Computexの会場で、Thermal Grizzly CEOでオーバークロッカーとしても知られるder8auer(ダーバウアー)氏は、ケース内にある程度の風の流れがあれば、GPUが600W前後を使っていてもNoctua Editionはファンを回さずに動作できる可能性があると説明していました。公式の製品ページはこの600Wという数字を載せておらず、騒音値も公表されていないため、あくまで開発側の見込みとして受け取るのが妥当です。
それでも、この数字が意味を持つのはRTX 5090のユーザーです。RTX 5090はNVIDIA公式の総消費電力(TGP)が575Wで、12V-2×6の上限600Wの約96%を使う設計です。実際にDLSS 5を有効にしたRTX 5090 FEでは16ピン側の平均が582.7Wに達したという計測もあります。
GPUクーラーやケースファンを低回転にそろえた静音PCで、コネクタに挿した監視デバイスの小さなファンだけが高回転で鳴る、という状況は避けたいものです。Noctua Editionが解決するのはまさにこの問題で、RTX 5070 Ti(300W)やRTX 5080(360W)のように消費電力が300W台のGPUでは、通常版のファンが回る場面自体が少ないため、差額の恩恵も小さくなります。
価格70ユーロの差額と日本で買う場合の目安
公式ストアの価格差は、ユーロで70ユーロ、ドルで81.90ドルです。比率にすると、Noctua Editionは通常版の約1.58倍です。
70ユーロは40mmファン1個の値段としては高すぎる金額で、差額の大半は、大型化したCNC筐体、ファンに合わせたグリル、追加の冷却プレート、基板の手直しといった「専用設計の少量生産品」であることへの対価と見るのが自然です。逆に言えば、Noctuaブランドのファンが欲しいという理由だけで選ぶと割高です。
日本での価格は9月27日時点で発表されていません。参考として、国内代理店TechAceの公式ストアでは通常版(Normal)が税込25,980円で販売されています。この金額に公式ストアの価格比(約1.58倍)をそのまま掛けると約4万1,000円になります。為替や輸送費、代理店の価格設定で変わるため実際の価格ではありませんが、通常版と同じ2万円台で買える製品ではなく、4万円前後を覚悟しておくのが現実的です。
ピン単位の監視だけが目的なら、より安い選択肢もあります。49.99ドルでピンごとの異常電流を検知するCooler Master GPU Shield Adapterや、GPU側の機能で6本の電源ピンを監視するASUS GPU Tweak IIIのPower Detector+は、画面表示や長期ログを省いた代わりに導入費用がずっと小さくなります。電流ではなくコネクタの温度で異常を検知するCORSAIR ThermalProtectのような、さらに安い方式もあります。
保証GPUコネクタの2年延長保証は条件つき
WireView Pro IIの価格を考えるうえで見落とせないのが、Noctua Editionにも付く延長保証です。規約では、WireView Pro IIの購入日から24か月以内に12VHPWRまたは12V-2×6コネクタ部分でGPUが損傷した場合、GPUメーカーの保証が切れていても、まずコネクタの交換修理を行い、直らなければ同等性能のGPUと交換します。
条件と手続きは次のとおりです。
- 電流・温度・電力の保護機能を標準設定・標準しきい値のまま使い、無効にしていないこと
- GPUメーカーの仕様の範囲で使っていること(シャントMOD、電力上限を引き上げたXOC BIOS、商用マイニングは対象外)
- 請求できるのは最初の購入者だけで、請求書が必要。譲渡はできない
- WireView Pro IIと損傷したGPUの両方をThermal Grizzlyへ送る(送料は先に自己負担で、請求が認められれば返金)
- 交換品は「同等性能」のGPUで、同じ製品や同じ価格の製品とは限らない
日本から利用する場合はドイツへの発送になり、手間も時間もかかります。それでも、数十万円するRTX 5090のコネクタ損傷をメーカー保証とは別に2年間カバーする点まで含めると、表示だけの電力計とは価格の意味が違います。この保証は通常版にも同じ条件で付くため、Noctua Editionを選ぶ理由にはなりません。
互換性価格より先に確認したいのはGPUに付くかどうか
WireView Pro IIはGPUの12V-2×6端子に直接挿し込むため、GPUクーラーの形によっては物理的に取り付けられません。通常版の互換リストには「NormalでもReversedでも非対応」とされたモデルが16機種載っており、代表的なものは次のとおりです。
- NVIDIA GeForce RTX 5090 Founders Edition
- NVIDIA GeForce RTX 5080 Founders Edition
- ASUS GeForce RTX 5080 Noctua OC Edition
- GIGABYTE AORUS RTX 5080 Master、RTX 5080 Gaming OC、RTX 5070 Ti Gaming OCなどGIGABYTE製の5モデル
- Palit RTX 5080 GamingPro、INNO3D RTX 5090 iCHILL Frostbite、ZOTAC RTX 5090 ArcticStorm AIO
ほかにも水冷ブロックを付けたRTX 5090や、一部のRTX 4090が非対応に入っています。GIGABYTE製のRTX 50シリーズを使っている人は特に、購入前にリストで型番を照合してください。
ASUSのRTX 5080 Noctua OC Editionは、Noctuaと共同開発したファンを積むGPUです。Noctuaコラボ同士の組み合わせでも、直挿しタイプは物理的に付きません。
Normal(N)とReversed(R)は、GPU側の端子の向きに合わせて選び分けます。互換リストは、GPUを水平に取り付けて電源ケーブルをケースの下側へ逃がす前提で、モデルごとにどちらを使うかを割り当てています。Noctua Editionは液晶の表示を180度回転できるため、公式は「どちらを選ぶかは主に電源ケーブルの取り回しで決まる」と説明しています。
注意したいのは、Noctua Edition専用の互換リストが用意されていないことです。製品ページからリンクされているのは通常版と同じリストですが、Noctua Editionは外形が65×70mmと、通常版の62.5×65mmよりひと回り大きくなっています。公式もサイドパネルやCPUクーラーとの隙間を含めて、技術図面と照らし合わせて確認するよう求めています。通常版で「対応」とされているGPUでも、ケース側のすき間が小さい構成では、図面の寸法を自分で測って確かめる必要があります。
別案FEや狭いケースならWired版のほうが合う
WireView Pro IIには、本体をGPUに直接挿さずに40cmの12V-2×6ケーブルでつなぐ「Wired」版もあります。公式ストア価格は149.90ユーロで、通常版より30ユーロ高く、Noctua Editionより40ユーロ安い位置づけです。Founders Editionを含め、12V-2×6を搭載するすべてのGPUに対応します。
Noctua Editionは静かになる代わりに本体が大きくなるので、GPU周辺のすき間に余裕がない構成とは相性が悪くなります。RTX 5090 FEやRTX 5080 FEを使っている場合、そもそも直挿しタイプは付かないため、選択肢はWired版になります。SFFケースや大型クーラーでGPUの端子まわりが窮屈な場合も、本体をケース内の空いた場所に置けるWired版のほうが現実的です。Wired版は国内のAmazon.co.jpでも扱いがあります(Amazonで価格を見る)。
コネクタ付近の温度で異常を検知してPCを止める方式なら、LIAN LIのEDGE Hub ADVもあります。ピン監視に加えて電流の偏りそのものを是正したい場合は、Aqua ComputerのAMPINELという別の方式の製品もあります。
結論通常版・Noctua Edition・Wired版のどれを選ぶか
- RTX 5090など500Wを超えるGPUを、ゲームや生成AIで長時間高負荷のまま使う
- PC全体を静音でそろえていて、監視デバイスのファン音も抑えたい
- 互換リストで自分のGPUが対応していて、ひと回り大きい本体が入るすき間を確認できた
- RTX 5080やRTX 5070 Tiなど300W台のGPUで、ファンが回る場面が少ない
- 監視・警告・自動停止・ログ・2年保証が欲しいだけで、静かさにはこだわらない
- RTX 5090 FE・RTX 5080 FEを使っている、またはGPU端子まわりが狭い(Wired版)
どれを選んでも、監視できる内容と保証の条件は同じです。判断の軸は「GPUの消費電力が高く、静かさを優先したいか」と「GPUの端子まわりに本体を置く空間があるか」の2つに絞れます。Noctua Editionは国内で扱いが始まるまで時間がかかりそうなので、すぐに監視を始めたいなら国内在庫のある通常版から選ぶのが現実的です。
FAQよくある質問
まとめ70ユーロは安全性ではなく静かさへの上乗せ
Thermal Grizzlyの「WireView Pro II Noctua Edition」は2026年9月27日に公式ストアで発売され、価格は189.90ユーロです。通常版より70ユーロ高く、Noctua NF-A4x10 PWM(40mm)、専用ファングリル、大型化したCNCアルミ筐体、追加の冷却プレートとサーマルパッドで冷却を強化しています。
一方で、ピン単位の電流監視、警告、自動シャットダウン、ログ記録、GPUコネクタの2年延長保証は通常版と同じです。差額を払う意味があるのは、RTX 5090級のGPUを長時間高負荷で使い、静音PCで監視デバイスのファン音まで抑えたい場合です。本体がひと回り大きくなり、専用の互換リストもないため、購入前に互換リストと技術図面でGPUとケースのすき間を確認してください。RTX 5090 FEやRTX 5080 FE、端子まわりが狭い構成なら、40cmケーブルで本体を離せるWired版が候補になります。





