DLSS 5でRTX 5090の12V-2×6が91.7℃に|16ピン平均582.7W、RTX 5080は52℃で済んだ理由【2026年9月】
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16ピン平均582.7W、RTX 5080は52℃で済んだ理由
RTX 5090でDLSS 5(NVIDIAの生成型ニューラルレンダリング)を有効にすると、12V-2×6電源コネクタの温度が90℃を超える計測結果が出ました。『Cyberpunk 2077』を4K・DLSS Quality・Ultraプリセットで20分動かしたところ、RTX 5090 Founders Editionのコネクタは最大91.7℃に達しています。
ただし、この結果は「DLSS 5でコネクタが溶ける」ことを示してはいません。6本の電源ピンの電流はいずれも規格の9.2A未満で、同じ条件のRTX 5080はコネクタ52.2℃にとどまりました。問題の中心は、RTX 5090が1本の12V-2×6で600Wの定格に近い電力を長時間流し続ける点にあります。
以下では、公開された測定値からDLSS 5で増えた電力の行き先と、1接点に不具合が出たときの余裕を計算し、差し込みや配線で確認すべき点をまとめます。
目次
結果RTX 5090のコネクタは80.9℃から91.7℃へ
テストはRTX 5090 Founders EditionとRTX 5080 Founders Editionで行われ、室温は27.5℃±0.5℃です。サーマルカメラでコネクタを2方向から測っています。
| RTX 5090 FE | DLSS 5オフ | DLSS 5オン | 差 |
|---|---|---|---|
| コネクタ(センスピン側) | 80.9℃ | 91.7℃ | +10.8℃ |
| コネクタ(ラッチ側) | 77.1℃ | 83.4℃ | +6.3℃ |
| GPUコア(最大) | 82.3℃ | 86.3℃ | +4.0℃ |
| 平均消費電力(HWiNFO) | 509.2W | 575.1W | +65.9W |
DLSS 5を有効にすると、テスト中で最も熱い部分はGPUコアではなく電源コネクタになりました。室温からの上昇幅で見ると、オフの53.4℃に対してオンは64.2℃で、コネクタの温度上昇が約2割大きくなった計算です。
平均消費電力の575.1Wは、RTX 5090 Founders Editionの公式TGP(Total Graphics Power)575Wとほぼ同じです。20分の平均がそのまま電力上限に張り付いていたことになります。DLSS 5はTensorコアで生成処理を上乗せするため、電力に余裕があるGPUではその余裕を使い切ります。この傾向は、RTX 5090 FEが電力上限に達した別の電力検証とも一致します。
電力増えた約66Wのほぼ全量が16ピン側に乗った
外部計測器のPCATでは、カード全体と16ピン入力を分けて測っています。ピークは瞬間値なので、平均値で比べるのが適切です。
| PCAT計測 | DLSS 5オフ | DLSS 5オン | 増加 |
|---|---|---|---|
| カード全体(平均) | 527.3W | 593.9W | +66.6W |
| カード全体(ピーク) | 582.5W | 658.0W | +75.5W |
| 16ピン入力(平均) | 516.5W | 582.7W | +66.2W |
| 16ピン入力(ピーク) | 571.7W | 646.7W | +75.0W |
カード全体の平均は66.6W増え、16ピン入力の平均は66.2W増えました。DLSS 5で増えた電力の99.4%が16ピン側で、PCIeスロットからの供給はほぼ変わっていません。有効時のカード全体593.9Wのうち、16ピンが受け持つ割合は約98%です。
12V-2×6ケーブルの定格は600Wです。16ピンの平均582.7Wはその約97%にあたり、DLSS 5オフの516.5W(約86%)から11ポイント上がりました。ピークの646.7Wは600Wを超えていますが、瞬間値と連続定格をそのまま比べて規格違反とは言えません。見るべきは、20分の平均で定格の97%を使い続けている点です。
出典:VideoCardz(QuasarZoneの計測を紹介、2026年9月24日) / QuasarZone(原典・韓国語) / NVIDIA:GeForce RTX 5090 仕様
ピン電流6本とも9.2A未満、ただし余裕は0.7A
QuasarZoneは別にASUS ROG Astral RTX 5090を575Wに制限し、6本の12V電源ピンの電流を個別に確認しています。DLSS 5オフでは6.94〜7.47A、オンでは7.83〜8.51Aでした。最も多いピンと少ないピンの差は約0.7Aです。
12V-2×6の規格(PCI-SIG)は、電源ピン1本あたり9.2A以上の定格を求めています。今回の最大8.51Aはその内側で、正常な状態のコネクタで危険な電流が流れていたわけではありません。
一方で、8.51Aは9.2Aの約92.5%です。6本に電流が均等に分かれている限りは規格内ですが、接触抵抗が増えて特定のピンに電流が寄ったときの余裕は0.69Aしかありません。
1接点が効かなくなったと仮定すると
公開値から単純なモデルで計算してみます。DLSS 5オンの16ピン平均582.7Wを12V・6接点で均等に分けると、1接点あたり約8.09Aで、実測の7.83〜8.51Aとほぼ合います。
この電力を残り5接点で流すと、1接点あたり約9.71Aになり、9.2Aを超えます。DLSS 5オフの516.5Wなら5接点でも約8.61Aで、9.2Aの内側に収まります。実際のGPUでは電圧の変動や保護動作が入るので故障時の挙動そのものではありませんが、DLSS 5オンでは1接点の不具合を吸収する余裕がなくなることが数字で分かります。
出典:12V-2×6のピン定格(PCI-SIGの要件を紹介した記事)
比較RTX 5080は同じDLSS 5でも52.2℃
同じテストで、RTX 5080 Founders Editionのコネクタは、DLSS 5オンでも2方向で48.6℃と52.2℃でした。RTX 5090の91.7℃とは約40℃の差です。
| DLSS 5オン | RTX 5090 FE | RTX 5080 FE |
|---|---|---|
| コネクタ最高温度 | 91.7℃ | 52.2℃ |
| 平均消費電力 | 575.1W | 350.3W |
| 公式TGP | 575W | 360W |
| DLSS 5による電力の増え方 | +12.9% | +17.5% |
DLSS 5による電力の増え方は、RTX 5080のほうがむしろ大きくなっています。それでもコネクタは50℃前後で済みました。温度を決めているのはDLSS 5の有無ではなく、コネクタに流れる電力の絶対量です。RTX 5080の350Wは600Wの定格に大きな余裕がありますが、RTX 5090は定格の近くで動いています。
基板の設計やコネクタ周辺の冷却はRTX 5080とRTX 5090で同じではないため、40℃の差をすべて電力で説明することはできません。ただ、「12V-2×6だからDLSS 5で90℃になる」という見方は、同じコネクタを使うRTX 5080の結果で否定されます。
留保91.7℃は焼損寸前か、公式対応ゲームでも同じか
91.7℃は高い値ですが、焼損寸前とも安全とも言い切れません。NVIDIAがRTX 5090に示している最大90℃はGPUの温度で、12V-2×6コネクタ表面の上限ではないからです。言えるのは、正常な検証機でも90℃を超える局所温度が出た、というところまでです。
テストに使われた『Cyberpunk 2077』は、DLSS 5の公式対応タイトルではありません。9月1日の提供開始時に公式対応として発表されたのは『NBA 2K27』で、Cyberpunk 2077では非公式ツールで有効化します。公式対応ゲームでも同じ電力と温度になるかは、統合のされ方や設定で変わる可能性があります。非公式ツールの違いはDLSS 5の対応GPUと有効化の手順で整理しています。
対策RTX 5090でDLSS 5を使う前に確認すること
DLSS 5を避ける必要はありませんが、500W台後半を長時間流す使い方になる以上、コネクタの状態はこれまで以上に大事です。
- コネクタが最後まで挿さり、ラッチが掛かっているか。起動したから挿さっている、とは限りません。一度抜いて、段差がなくなるまで押し込み直します。
- コネクタの根元でケーブルを曲げていないか。ケースのサイドパネルに押されて根元が曲がっていると、横方向の力で接触が浅くなります。根元から数cmはまっすぐ出るように配線します。
- ピンごとの電流を監視できる環境があるか。ROG Astralのようにピンごとの電流を見られるカードなら、GPU Tweak IIIのPower Detector+で偏りを確認できます。ASUSは1本が0Aになったときと9.2Aを超えたときを警告の対象にしています。
電源ユニットを1200Wや1600Wに増やしても、この問題は解決しません。GPUが1本の12V-2×6から580W前後を受け取る構造は変わらないからです。電源容量はシステム全体の余裕の話で、コネクタの接触や電流の偏りは別に確認する必要があります。挿し方と原因の詳細は12V-2×6焼損対策ガイドにまとめています。
出典:ASUS ROG:Power Detector+の警告が表示された場合の対処方法 / NVIDIA:DLSS 5提供開始の告知
ASUSのGPU Tweak IIIには、過電流を検知してPCを即座に止める機能も加わりました。仕組みと限界はGPU Tweak IIIの即時シャットダウン解説で扱っています。
おすすめ電流の偏りを見張る・抑える製品
ピンごとの電流を見られないカードを使っているなら、外付けのモニターで偏りを確認するか、偏りを抑えるケーブルに替える方法があります。
FAQよくある質問
まとめDLSS 5は原因ではなく、RTX 5090の余裕の小ささを表に出した
DLSS 5を有効にすると、RTX 5090 FEの12V-2×6コネクタは80.9℃から91.7℃に上がり、16ピンの平均入力は582.7Wと600Wの定格の約97%に達しました。増えた約66Wはほぼ全量が16ピン側に乗っています。
6本のピン電流は9.2A未満で、RTX 5080は同じ条件で52.2℃でした。DLSS 5そのものがコネクタを傷めるのではなく、1本のコネクタで600W近くを扱うRTX 5090の余裕の小ささが、長時間の高負荷で表に出た形です。
RTX 5090でDLSS 5を使うなら、コネクタの差し込みとケーブルの曲げを確認し、可能ならピンごとの電流を一度見ておくのが確実です。





