RTX 5090でもDLSS 5は重い|Founders Editionは電力上限到達、MSI Lightning Zは最大802Wを記録
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
Founders Editionは電力上限到達、MSI Lightning Zは最大802Wを記録
出典:Tom’s Hardware「We explored early DLSS 5 performance with community mods, and the limits of the 12V-2×6 power connector may hold it back on the RTX 5090」(2026年9月2日、Jeffrey Kampman氏執筆)。非公式ツール「Optiscaler」を使った検証結果であり、NVIDIA公式が実施したベンチマークではありません。
「DLSS 5を使うと、自分のRTX 5090は重くなるのか」。正式版の投入前から、この疑問に対する断片的な検証がいくつも報告されてきましたが、今回の検証で加わったのは新しい切り口です。フレームレートだけでなく消費電力まで測定し、同じ「RTX 5090」というGPUでも、カードごとの電力設計によって結果が変わることを示しています。
検証に使われたのは非公式ツール「Optiscaler」で、Cyberpunk 2077・Hogwarts Legacy・Controlの3タイトルをRTX 5090 Founders EditionとMSI RTX 5090 Lightning Zで比較しています。結果はいずれも性能が39〜49%低下し、消費電力も大きく上昇。特にFounders Editionは575Wという電力上限に張り付く挙動が確認されました。
これまでの連載記事1〜3は「どのゲームで動くか」「どれだけFPSが落ちるか」を中心に扱ってきましたが、今回は初めて「同じRTX 5090でも、電力上限の違いによって結果が変わる」という切り口が加わっています。数値の中身と、通常のRTX 5090ユーザーが実際にどう受け止めればいいのかを整理します。
目次
経緯DLL流出から電力検証まで、これまでの流れ
今回の検証を理解するには、ここまでの経緯を振り返る必要があります。発端は『NBA 2K27』の早期アクセス版から見つかった未公開のDLSS 5用DLLの流出で、数時間後にはモディングコミュニティの手で『Control』への移植が確認されました(詳しくはこの段階を解説した記事で取り上げています)。続いて、モッダー個人の手によってRTX 40シリーズ互換への改造が確認され、さらにモディングコミュニティ「RenoDX」がReShade経由でこのDLLを個別のゲームへ組み込む作業を進めた結果、対応タイトルは十数本規模へ拡大しました(対応拡大の詳細はこちら)。
今回行われたのは、こうした非公式MODの流れの中で使われてきた検証ツール「Optiscaler」を使い、フレームレートだけでなく消費電力まで含めて数値化する検証です。対象カードを2種類用意し、同じGPU「RTX 5090」でも電力設計が異なるとどう結果が変わるのかを調べています。
検証手法Optiscalerとは何か、テスト条件の詳細
「Optiscaler」は、ゲームが呼び出すアップスケーラー(DLSS・FSR・XeSSなど)を別の実装へ差し替えるオープンソースのツールで、GitHub上で有志によって開発が続けられています。今回のDLSS 5対応は、このOptiscalerにNeural Rendering対応を追加した派生版が使われているとみられ、RenoDXコミュニティが各ゲームへ非公式DLSS 5 MODを組み込む際にも同じ仕組みが使われてきました。
今回のテスト条件は、Cyberpunk 2077・Hogwarts Legacy・Controlの3タイトルで、4K出力(内部レンダリングは1920×1080、DLSS Performanceモードでアップスケール、フレーム生成は無効)、画質は最高設定、対応タイトルではレイトレーシングまたはパストレーシングを有効にし、DLSS Ray Reconstructionも併用するという条件で統一されています。
検証に使われたのは、GeForce RTX 5090 Founders EditionとMSI GeForce RTX 5090 Lightning Zの2枚です。Lightning Zは2026年前半に発売された特別モデルで、世界1,300台の限定生産・抽選販売・1枚あたり5,090ドルという、通常のRTX 5090とはかけ離れた製品です。
ハードウェア差なぜこの2枚を選んだのか、電力設計を比較する
なぜこの2枚が選ばれたのか。答えは電力設計にあります。両カードの仕様を並べると、次のような違いがあります。
- 電力上限(TGP)575W
- 電源コネクタ12V-2×6 ×1本
- 位置づけNVIDIA純正・最も一般的な構成
- 電力上限OC BIOS時800W/Extreme BIOS時1000W
- 電源コネクタ12V-2×6 ×2本(デュアル)
- 位置づけ世界1,300台限定・抽選販売・1枚5,090ドル
つまりLightning Zは、コネクタの本数を増やしたうえで電力上限そのものを大幅に引き上げた、いわば「規格の枠内で電力の天井を作り替えた」特別仕様です。一方、通常のRTX 5090ユーザーが使っているカードは、ほぼすべてFounders Editionと同じ575W前後の電力上限を持っています。
実測データCyberpunk 2077・Hogwarts Legacy・Controlの電力とfps
DLSS 5を無効にした状態と、Optiscaler経由で有効にした状態を比較した結果は次のとおりです。
Cyberpunk 2077
- 消費電力(無効→有効)482W → 551W(約14%増)
- 性能低下率42%
- 消費電力(無効→有効)580W → 723W(約25%増)
- 性能低下率39%(FEよりベースfpsが高い)
性能低下率だけを見るとLightning Zの方がわずかに小さく見えますが、これはLightning Zが電力に余裕があるぶん、DLSS 5を有効にする前のベースフレームレート自体が高かったことも影響しています。
Hogwarts Legacy
- 消費電力575Wの上限に到達(具体的な数値は非公開)
- 性能低下率49%(3タイトル中で最大)
- 消費電力(無効→有効)480W → 720W(約50%増)
- 性能低下率42%
Control
- 消費電力575Wの上限に到達
- 性能低下率42%
- 消費電力(無効→有効)691W → 802W(約16%増)
- 性能低下率42%(平均fpsは約20%高く、1%Lowも大幅に高い)
3タイトルを通じた性能低下の幅は39〜49%で、Founders Editionはいずれのテストでも575Wの上限に張り付く挙動を示しました。一方Lightning Zは、Controlで802Wまで消費電力が伸びており、電力に余裕がある分だけDLSS 5実行時のクロック低下を抑えられていると見られます。
要因なぜFEとLightning Zで差が出るのか
ここで誤解しやすいのが、「12V-2×6コネクタという規格そのものに問題がある」という受け止め方です。今回分かっているのは、Founders Editionに設定されている575Wという電力上限に対し、Lightning Zがデュアルコネクター・最大1000Wという大幅な余裕を持っていた、という点にとどまります。コネクタの規格自体が原因ではなく、カードごとに設定されている電力上限(Power Limit)の違いが結果に表れている、というのが今回分かっている範囲です。12V-2×6コネクタの仕様や、過去に報告された偏電流のリスクについては、ATX 3.1電源の解説記事で詳しく取り上げています。
今回の検証では、RTX 5090 Founders Editionの設計が575WというTGPのもとでDLSS 5の性能を制約している可能性が高いという見立てにとどまっており、断定はされていません。DLSS 5はTensor Coreへの負荷が非常に大きい技術のため、電力上限に達するとGPUクロックが下がりやすくなるという一般的な挙動が、今回のケースにも当てはまっている可能性がある、という位置づけです。
留保この検証の限界、正式実装とは何が違うのか
今回の検証で使われている「Optiscaler」は非公式のMOD/インジェクションツールであり、開発者がNVIDIAの「Streamline」フレームワークを通じてゲームへ正式に統合した実装ではありません。この点についても、Optiscaler経由のDLSS 5注入方式が、開発者がStreamlineを通じて統合した場合の挙動を必ずしも代表しない可能性がある、という留保が付けられています。
一方で、NVIDIA公式の技術資料が示す「4Kフレームあたり約8ミリ秒」というモデル実行時間は、Optiscaler実行時に観測された数値とほぼ一致しているといいます。非公式MODだからといって参考データとして無意味というわけではなく、両方の留保を踏まえて受け止める必要があります。
なお、正式な実装はすでに1本存在します。NVIDIAは2026年9月3日公開の「GeForce Game Ready Driver 616.64」で、『NBA 2K27』向けにDLSS 5を正式投入しました(対象はGeForce RTX 50シリーズのみ)。開発者がStreamline経由で正式に統合した実装がどう動くかは、Optiscalerでの検証結果と単純に比較できるものではありません。詳しくはGeForce 616.64を解説した記事でも取り上げています。
結論買い替え不要、判断は配信済みの正式版の実測で
- 電源を1000W級へ交換する必要はありません
- Lightning Z級のカードを探す必要もありません(世界1,300台限定・抽選制で、一般に流通していません)
- Founders Editionが575Wの上限に張り付いたのは故障ではなく、電力上限の設計に起因する可能性が高い挙動です
- 今回の数値はOptiscaler経由の非公式検証によるもので、正式版DLSS 5の挙動を保証するものではありません
- 正式版は2026年9月4日に『NBA 2K27』で配信が始まり、対象はGeForce RTX 50シリーズとRTX 50 Laptop GPUです
- 買い替えの判断は、この非公式検証ではなく正式版の実測を確認してから行うのが妥当です
今回の結果を見て、電源やGPUを買い替える必要はありません。Lightning Zは世界1,300台限定・抽選制の特別モデルで、通常のRTX 5090ユーザーが同じ環境を再現する現実的な方法はありませんし、Founders Editionが電力上限に張り付いたこと自体も、外れ個体や不具合を意味するものではなさそうです。DLSS 5正式版はその後、2026年9月4日に『NBA 2K27』で配信が始まりました。対象はGeForce RTX 50シリーズとRTX 50 Laptop GPUで、RTX 40シリーズは含まれません。したがって判断材料は「正式版を待つ」ことではなく、非公式MODの数値ではなく正式版での実測を確認することに変わっています。
FAQよくある質問
総括電力設計の差が示すもの、買い替え判断は変わらない
非公式ツール「Optiscaler」を使ってRTX 5090 Founders EditionとMSI RTX 5090 Lightning Zで非公式版DLSS 5を検証したところ、Cyberpunk 2077・Hogwarts Legacy・Controlの3タイトルで性能が39〜49%低下しました。Founders Editionは575Wの電力上限に張り付く挙動を見せ、デュアルコネクター・最大1000WのLightning Zはより高い消費電力(Controlで802W)まで伸ばせた分、フレームレートの落ち込みを抑えていました。
ここで分かっているのは、12V-2×6コネクタという規格そのものに問題があるという話ではなく、カードごとに設定されている電力上限(Power Limit)の違いが結果に表れている、という点です。この検証だけで断定はできず、Optiscalerが非公式のMOD/インジェクションツールである以上、開発者がNVIDIA Streamline経由で正式統合した場合の挙動と完全に一致する保証もありません。
Lightning Zは世界1,300台限定・抽選制・1枚5,090ドルの特別モデルで、通常のRTX 5090ユーザーが同じ環境を再現する方法はありません。電源やGPUを買い替える必要はありません。DLSS 5正式版は2026年9月4日に『NBA 2K27』で配信が始まっており、対象はGeForce RTX 50シリーズとRTX 50 Laptop GPUです。買い替えを判断するなら、非公式MODによる本記事の数値ではなく、正式版での実測が出そろうのを待ってください。
※本記事の情報は2026年9月2日(現地時間)公開の検証記事、および2026年9月6日時点で確認できる公開情報にもとづきます。



