PCB不足でGPU・マザーボードは値上がりする?2030年見通しの中身と買い時の判断【2026年10月】
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「2030年」は基板材料メーカー1社の受注残。基板供給会社1社の新規注文は2028年末納品
出典:TechPowerUp「Motherboard and GPU Prices Could Rise Further as PCB Shortages Extend to 2030」(2026年10月30日)、Tom’s Hardware「AI demand triggers massive PCB shortage for PC makers」(同日)。いずれもNikkei Asiaの取材を伝えた記事です。
PCB(プリント基板)は、マザーボードもグラフィックボードも載せている土台です。そのPCBが不足し、「マザーボードとGPUはさらに値上がりする」「不足は2030年まで続く」と伝えられました。メモリの高騰が続くなかで、買い控えるべきか、いま買うべきかが気になるところです。
元の報道を読むと、2030年という数字は基板そのものの納期ではなく、世界有数の銅張積層板(基板の材料)メーカー1社が「受注が2030年まで埋まっている」と答えた内容です。基板供給会社の1社は新規注文の納品が2028年末になると答え、最長30か月かかる注文もあります。材料の価格が少なくとも12倍になったという話もありますが、匿名の台湾PCメーカーの証言で、完成品の値上がり率を示す数字ではありません。
国内の価格は、この報道だけで決まるわけではありません。GPUの値上がりはメモリ高騰の影響が大きく、基板の影響が出やすいのは基板が大きいマザーボードです。使う時期が決まっていて今の価格が普段より安いなら、買ってかまいません。時期が決まっていないなら、「下がるのを待つ」のではなく「必要になるまで待つ」のが現実的な判断です。
目次
結論2030年まで値上がりが続くとは、まだ言えない
分かるのは、基板の供給が逼迫し、納期が延びていることです。分からないのは、国内のマザーボードとGPUがいつ、何%上がるかです。報道に日本の価格の話はなく、基板の原価が完成品の価格に占める割合も示されていません。
報道の中身「2030年」「30か月」「12倍」は、それぞれ別の話
報道は、米国PCメーカーの幹部と、基板・材料の業界関係者への取材をまとめたものです。米国PCメーカーの幹部は匿名で、「来年はPCの出荷が再び減る可能性があるのに、必要なPCBを確保するのに苦労している」と話しています。需要が弱い年でも足りないという点が、今回の特徴です。背景として挙げられているのは、AIサーバーが基板の製造能力を使い切り、より高く買ってくれる用途に材料が回っていることです。
数字は取材先がそれぞれ違い、同じものを指していません。1つの数字を「基板が2030年まで足りない」と読むと、実際より強い言い方になります。
| 数字 | 誰の話か | 読み取れる範囲 |
|---|---|---|
| 2030年受注残 | 銅張積層板の大手メーカー社名は伝えられていない | 受注が2030年まで入っている。2028年までに生産能力を3倍にする計画があるにもかかわらず、という内容 |
| 2028年末新規注文の納品 | 基板の供給会社社名は伝えられていない | 今出す新しい注文は、納品が2028年末になる |
| 30か月一部の最長納期 | 基板メーカー社名は伝えられていない | 納期が2倍に延びた製品が多く、最長で30か月かかる注文もある |
| 12倍材料の価格 | 台湾のPCメーカー社名は伝えられていない | 銅張積層板の価格が7月以降に少なくとも12倍になった。材料の等級や比較の基準は不明 |
※いずれも匿名の取材先の発言を伝えた内容です。社名・材料の等級・比較条件が公開されておらず、数字をそのまま完成品の値上がり率に当てはめることはできません。
公式に確認できる値上げは、これよりずっと小さい数字です。基板材料大手のレゾナックは、銅張積層板とプリプレグ(基板の絶縁層に使う材料)の全製品を、2026年3月1日出荷分から30%値上げすると2026年1月に発表しました。理由は銅箔とガラスクロスの需給の逼迫、人件費と輸送費の上昇です。この30%は材料メーカーの販売価格の改定幅で、グラフィックボードやマザーボードの値上がり率ではありません。
報道では、基板は部品表に載る金額が小さい、目立たない部品だったとも指摘されています。材料が値上がりしても、完成品が同じ率で上がるわけではありません。報道が示しているのは、基板が足りなくなると完成品の値上げ圧力が強まる、という方向までです。
比較GPUとマザーボードでは、影響の出方が違う
同じPCBでも、マザーボードとGPUでは原価に占める役割が違います。GPUの価格は、GPUチップとメモリの調達コストの影響が大きく、基板はその一部です。国内のGPU価格の背景は、グラボ高騰の記事で整理しています。
| 項目 | マザーボード | グラフィックボード |
|---|---|---|
| 基板の使い方 | 基板自体が大きく多層。ASUS ROG STRIX B850-Eは8層です | 基板は小さめだが、GPUチップを載せるパッケージ基板も別に必要 |
| 報道が示した動き | 基板材料の値上がりが、そのまま原価に響く | NVIDIAがIbiden、Samsung Electro-Mechanics、Unimicronとチップ基板で提携 |
| 値上がりの主因 | 基板・銅・コンデンサーなどの部材高騰を理由にした値上げ観測が続いている | メモリ高騰の影響が大きい。基板は要因の1つ |
| 選び方 | 必要な機能に絞ったモデルから比べる | 型番ごとの価格差が大きい。同じ型番を複数店舗で並べて見る |

マザーボード側では、基板や銅の高騰を理由にした値上げの観測が8月から続いています。ASUSが10月8日以降に再値上げするという情報は中国の流通筋が伝えたもので、日本向けの正式発表ではありません。国内の店頭価格は、旧価格で仕入れた在庫がなくなってから動くのが一般的です。経緯はASUSマザーボードの再値上げ観測の記事にまとめています。
GPU側で報道が示したのは、基板材料の高騰より、GPUチップ向けのパッケージ基板をAI向けに確保する動きです。これが消費者向けGPUの供給量にどこまで影響するかは、報道に書かれていません。
価格の見方最安だけで判断せず、同じ型番の価格を並べる
報道には日本の価格が出てこないため、国内で値上がりが始まっているかどうかは、実際に買うGPUとマザーボードの型番ごとの価格で確かめるしかありません。最安の出品は1店舗の在庫限りのことがあり、入れ替わると一気に高く見えます。同じ型番を複数の店舗で並べると、1店舗だけが安いのか、どの店も近い価格なのかを購入前に見分けられます。
過去との比較は、同じ型番の1週間前や1か月前の価格で行います。同じ日の別のGPUと比べて安いことと、その型番が普段より安いことは別の話です。同じ予算なら、NVIDIAの機能(DLSS、CUDA)が要るかどうかを先に決め、近い性能のGPUを並べて選ぶほうが、報道の数字を気にするより確実に安く済みます。
買い時いま買う人と、待てる人の分かれ目
- CPU・マザーボード・GPUまで構成が決まり、1〜2か月以内に組む人
- 今のPCが壊れた、または遊びたいゲームが動かない人
- 狙っている型番が、同じ型番の少し前の価格より安く、複数の店舗で並べても1店舗だけが突出して安いわけではない人
- 今のGPUで遊びたいゲームが動いている人
- CPUやメモリの構成がまだ固まっていない人
- 値上がりの報道だけを理由に、先に1点だけ買おうとしている人
基板供給会社の1社が新規注文の納品を2028年末と答えていることから、材料価格が近いうちに下がるとは断言できません。それでも、報道だけで「今月買わないと損をする」とは言えません。国内の価格は為替、在庫、販売店のセール、メーカーの値上げ時期で動くためです。必要になるまで買わなければ、その間の支払いは発生しません。
マザーボードを買うなら、上位モデルに予算をかける前に、必要な機能を絞るのが効きます。B850のMicro-ATXなら2万円台前半からあります。メモリ高騰を含めたPCパーツ全体の判断はPCパーツの高騰はいつまで続くかの記事で、パーツごとに整理しています。
おすすめ値上がりを気にするなら、必要十分な構成を
値上がりが気になる場合は、機能を絞った構成から選ぶと、価格が上がったときの影響を小さくできます。GPUは近い性能のNVIDIAとAMDを並べ、マザーボードは必要な機能のB850のMicro-ATXから選ぶと選びやすくなります。


※価格・在庫は変動します。最新の価格はAmazonの商品ページでご確認ください。
FAQよくある質問
まとめまとめ|買い時は報道ではなく、使う時期で決める
基板供給会社の1社は新規注文の納品を2028年末と答えていますが、「2030年」は材料メーカー1社の受注残で、国内のGPUやマザーボードの値上がり幅を示す数字はありません。組む時期が決まっているなら、同じ型番の少し前の価格より安いものを今買い、決まっていないなら急ぐ理由はありません。価格は同じ型番を複数店舗で並べ、過去との比較も同じ型番の価格で行ってください。




