ASUSマザーボードが10月に再値上げ?ROG約10%・TUF約7%・PRIME約5%|MSI・GIGABYTEの動向も解説
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ROG約10%・TUF約7%・PRIME約5%|MSI・GIGABYTEの動向も整理
ASUS製マザーボードについて、2026年10月8日以降に代理店向けの卸価格を再び引き上げる見通しが中国の流通筋から伝えられました。上昇率の目安はPRIMEシリーズが約5%、TUF GAMINGシリーズが約7%、ROGシリーズが約10%で、上位のシリーズほど大きくなる案です。8〜9月にはASUS・MSI・GIGABYTEなど複数メーカーで値上げの観測が続いていましたが、ASUSについて実施時期とシリーズ別の幅まで示されたのは今回が初めてです。
ただし、ASUSが正式に発表した価格改定ではなく、日本向けの話でもありません。元の情報でも、実際の上昇幅はメーカーの最終的な価格設定しだいとされています。国内の店頭価格は旧価格で仕入れた在庫、為替、国内代理店の価格、販売店のセールやポイント還元を経て決まるため、10月8日に日本のROGが一斉に10%上がるわけではありません。
以下では、10月の再値上げ情報の中身とROG・TUF・PRIMEの価格への影響を先に整理し、そのうえで8月から続く部材コスト上昇の背景、B850とB650の違い、今マザーボードを買うべきかの判断基準をまとめます。
目次
最新ASUSマザーボードが10月8日以降に再値上げか|ROG約10%・TUF約7%・PRIME約5%
2026年9月24日、中国のPCパーツ流通情報を扱うChannelGate(視博合聚)が、ASUSのマザーボード工場から10月に全面的な値上げを行う通知が出たと伝え、翌25日にはIT之家も同じ内容を報じました。新しい卸価格は10月8日以降に正式に適用される見通しで、代理店や販売店に対しては9月中に在庫を積み増しておくよう促しています。
シリーズ別の上昇率はPRIME約5%・TUF約7%・ROG約10%
伝えられている案では、上昇率の目安はPRIMEシリーズが約5%、TUF GAMINGシリーズが約7%、ROGシリーズが約10%です。これまでのように一部の型番を小刻みに上げるのではなく、今回で一度に上げ切る方針とされています。ただし、数字はあくまで実施される可能性のある案として示されたもので、実際の上昇幅はメーカーの最終的な価格設定によって決まります。
8月の時点でも、ASUSは低価格帯を比較的穏やかに、ミドルからハイエンドを大きく引き上げる見込みと伝えられていました(後述)。上位シリーズほど上昇率を大きくする今回の配分は、その方針と一致しています。
「9月末までに5〜15%」の見込みから、時期と幅が具体的に
9月13日の時点では、ASUSが9月末までに卸価格を約5〜15%引き上げる見込みと伝えられていました(後述)。今回の情報では実施が10月8日以降にずれ、幅も上限約10%に絞られています。見込みの段階だった話が、シリーズごとの数字まで具体的になったと見るのが自然です。
背景にあるのは、ASUSがここまでの値上げでコスト上昇を吸収しきれていないことです。同じ情報によると、ASUSが実施した値上げは一部の型番で5〜20元(日本円で数百円以下)にとどまり、値上げしていない型番も多かったとされています。第3四半期の販売目標の達成を優先した可能性も指摘されています。一方で上流では部材価格の上昇に加えて、マザーボード用チップセットの調達価格も約10%上がったとされ、各メーカーとも原価ベースで少なくとも10〜15%は引き上げないと赤字販売になる水準だと伝えられています。10月の改定は、8〜9月に転嫁しきれなかった分をまとめて反映する位置付けです。
ROG・TUF・PRIMEはいくら上がるか|上昇率からの単純計算
| シリーズ | 上昇率の目安 | 現在価格に当てはめた例 |
|---|---|---|
| PRIME | 約5% | 30,000円 → 31,500円(+1,500円) |
| TUF GAMING | 約7% | 30,000円 → 32,100円(+2,100円) |
| ROG | 約10% | 50,000円 → 55,000円(+5,000円) 80,000円 → 88,000円(+8,000円) |
上の表は、中国の卸価格の上昇率を日本の販売価格にそのまま当てはめた単純計算です。国内の店頭価格が同じ率・同じ時期に上がるとは限りません。それでも差額が最も大きく出るのはROGで、8万円クラスのモデルでは8,000円の差になります。
ROGほど上昇率が大きい理由は示されていない
シリーズごとに幅が分かれている理由は、ASUSも流通筋も説明していません。ROGの部材コストだけがPRIMEの2倍上がったという情報はなく、「部材が10%上がったからROGも10%」と読むのは誤りです。上位シリーズは電源回路のフェーズ数、基板の層数、Wi-Fi、LAN、M.2スロット、USBコントローラーなど使う部品が多く、高価格でも買う層がいるため値上げ幅を配分しやすいシリーズでもありますが、これも推測の域を出ません。押さえておくべきなのは、上位ほど上昇率を大きくする案が示されたという点です。
日本の店頭価格が動くのは在庫が入れ替わってから
日本向けの価格改定日は発表されていません。今回の情報は中国市場の代理店・販売店に向けたもので、国内の店頭価格が動くとすれば、旧価格で仕入れた在庫が売れて新しい卸価格の製品に入れ替わってからになることが多いです。そのため、確認したいのは10月8日当日の価格ではなく、10月中旬以降に在庫が補充されたときの価格です。
とはいえ、部材コストの上昇は中国市場に限った話ではありません。国内でもレゾナックやパナソニック インダストリーが基板材料の値上げを実施しており(後述)、基板やコンデンサー、ネットワーク関連の部品は世界共通のサプライチェーンから調達されています。日本だけが影響を受けずに済むとは考えにくい状況です。
ASUS製のB850・B650は10月8日までに買うべきか
購入するASUS製マザーボードとCPU、ケースまで決まっていて、1〜2か月以内に組む予定があるなら、いまの価格で買っておく判断には合理性があります。特にROGは上昇率の目安が約10%と最も大きく、十分に安く売られているモデルを値上げ後まで待つ理由はほとんどありません。
反対に、組む時期が決まっていない、あるいはCPUやメモリの構成が固まっていないなら、値上げ報道だけを理由にマザーボードを先に買う必要はありません。B650のように旧世代の在庫処分で値下がりする製品もあり(後述)、店頭価格がすべて同じ方向に動くわけではないからです。狙っているモデルの価格推移を確認し、普段より安い水準で売られていれば買う、という判断で十分です。
MSI・GIGABYTE・ASRockの9月の動き
10月8日以降という時期とシリーズ別の上昇率まで示されているのはASUSだけで、MSIとGIGABYTEについて同じ時期に追加値上げを行うという情報は出ていません。ただし、同じ流通筋が伝えた9月分の動きを見ると、各社の対応ははっきり分かれています。
- GIGABYTE:8〜9月にかけてH610、B760M、A520など流通量の多い型番の卸価格を上げ続けましたが、出荷は好調で、9月前半はこれらの型番が品薄になり、工場が注文数どおりに出荷できない状態だったとされています。
- ASRock:9月の卸価格表では、X870 Pro RS WiFiを120元、B860の主要型番を30元、B850の一部上位型番を50元引き下げ、その他は据え置きました。値上げとは逆の動きです。
- Colorful(七彩虹):B760、H610、B550、A520の価格支援を9月にすべて取りやめ、低価格帯の型番は実質10〜20元の値上がりになったとされています。
- MSI:9月13日に伝えられた2モデル(いずれも日本未発売)の追加値上げ以降、新しい情報は出ていません。
表向きの卸価格を据え置いたまま価格支援やリベートを減らすやり方は、8月のGIGABYTEと同じです。メーカーの価格が変わらなくても、販売店のクーポンや期間限定値引き、CPUとのセット割引が縮小すれば、買う側の支払額は上がります。MSIやGIGABYTEの製品を狙っている場合も、値上げの発表を待つより、実売価格とセット割引の条件を見ておくほうが確実です。
※2026年9月24日にChannelGate(視博合聚)が伝え、翌25日にIT之家が報じた中国の流通筋の情報にもとづきます(IT之家)。ASUSの公式発表ではなく、日本向けの価格改定でもありません。
経緯ASUS・MSI・GIGABYTEの値上げ観測|情報の出どころと現状
中国のPCパーツ流通情報を扱う博板堂では、ASUS、GIGABYTE、MSIがマザーボードの販売価格を引き上げる可能性が伝えられています。同サイトの情報によると、GIGABYTEは代理店に対して翌月からの値上げを通知し、MSIは8月に大幅な価格改定を実施する計画があるとされています。ASUSについても、8月から価格を引き上げる可能性が伝えられました。
その後、2026年8月4日にはより具体的な内容が伝えられました。MSIの中国部門は本社から値上げの通知を受け取っており、8月から工場出荷分を順次、全型番を対象に値上げする見込みです。引き上げ幅は10〜15%程度と見られ、主要4社のなかでは最も大きいとされています。MSI側の説明として挙げられているのは、基板、銅、チップ用コンデンサー、パワーデバイス、制御チップの上昇幅が大きく、マザーボードの部材調達コストへの圧迫が続いており、ブランド側でコスト差を吸収し続けることが難しくなっているという内容です。
同じ日には、中国メーカーのColorful(七彩虹)が8月から全シリーズのマザーボードに新価格を適用し、第1弾として全体で5〜10%引き上げること、あわせて従来の特価や各種の販売支援策を取りやめることも伝えられました。ASUSは8月に価格改定を開始することが確認されているものの、統一した基準は公表されていません。引き上げ方には差があり、低価格帯は比較的穏やかで、ミドルからハイエンドのほうが大きくなる見込みとされています。
興味深いのはGIGABYTEです。8月の代理店向け価格体系表では大部分の型番が7月の価格を据え置いており、新たに追加されたのはB860M D2HX SI 5GとB850M D2HX SI 5Gの2モデルだけでした。ただし、リベート(販売奨励金)の適用をより多く取りやめることで、実質的なコスト上昇を反映するとされており、複数の型番が対象になります。表向きの卸価格が動かなくても、仕入れる側の負担は増えるという形です。
※2026年8月4日に中国の流通筋から伝えられた内容にもとづきます(IT之家/快科技)。いずれもメーカーの公式発表ではありません。
ただし、値上げの対象モデルや値上げ幅、日本市場での実施時期については、現時点で公式に発表されているわけではありません。中国市場における代理店向けの仕切り価格が上がっても、日本国内の店頭価格には為替、既存在庫、販売店独自の値引きやポイント還元、メーカーキャンペーンなどが影響します。店頭価格へ反映されるまでには、通常タイムラグが生じます。「9月からすべてのマザーボードが一斉に値上がりする」と断定できる段階ではなく、今後の公式発表を確認する必要があります。
ASUS・MSIは9月も追加値上げへ|ASUSは5〜15%の可能性(2026年9月13日追記)
9月に入っても、マザーボード価格を押し上げる動きは続いています。2026年9月13日に伝えられた中国サプライチェーン筋の情報によると、MSIでは「PRO H610M-E」と「PRO B650M-X」の2モデルについて、代理店向け卸価格が追加で引き上げられるとされています。PRO H610M-Eは約100元、PRO B650M-Xは約20元の値上げで、報道時の1元=23円換算ではそれぞれ約2,300円、約460円に相当します。一方、その他のMSI製マザーボードについては今回据え置きとされています。
ここは8月の値上げと分けて考える必要があります。8月にはMSIが広い製品群で価格を引き上げたと伝えられていましたが、今回新たに報じられた9月分は2モデルに限定されています。しかも、PRO H610M-EとPRO B650M-Xはいずれも日本では販売されていません。したがって、今回のMSIの追加値上げだけを見て「日本のMSI製B850・B650もすぐ値上がりする」と判断する必要はありません。少なくとも9月13日時点では、日本市場への直接的な影響は限定的です。
一方、注意したいのがASUSです。今回の情報では、基板や各種チップなどのコスト上昇を理由に、ASUSが2026年9月末までに代理店向け卸価格を引き上げる見込みとされています。想定されている上昇幅は約5〜15%です。ただし、9月13日時点では最終的な値上げ率は確定しておらず、ASUSが日本市場向けの価格改定として公式発表した数字でもありません。
ここまでの記事で確認してきた価格動向と組み合わせると、今回の情報には一定の整合性があります。9月2日時点の流通情報では、PCB、コンデンサー、Wi-Fiモジュールなどの値上がりによって、マザーボード1枚あたりの製造コストが少なくとも10%上昇した一方、8月に実施された価格改定は平均約3%程度にとどまったとされています。つまりメーカー側は、上昇したコストを8月の段階では販売価格へすべて転嫁していませんでした。今回ASUSで5〜15%という追加改定の可能性が出てきたのは、これまでメーカー側が吸収していた分の一部を、今後の卸価格へ反映する動きと見ることができます。
ただし、「ASUSが5〜15%値上げする可能性がある」ことと、「日本のASUS製マザーボードが5〜15%値上がりする」ことは同じではありません。たとえば現在3万円で販売されているB850マザーボードが、単純計算で3万1,500〜3万4,500円になると考えるのは早計です。今回伝えられているのは中国市場を中心とした代理店向け価格の情報であり、日本では旧価格で仕入れた在庫が残っているほか、為替、国内代理店の仕切り価格、販売店の利益率、メーカーキャンペーン、ポイント還元などを経て最終的な店頭価格が決まります。そのため国内価格へ反映されるとしても、値上げ率やタイミングは製品ごとに異なる可能性があります。
今回の続報から読み取るべきなのは、「9月になっても部材高騰による価格転嫁が終わっていない」という点です。8月には平均約3%の価格改定に抑えられていたものの、上流ではPCBが15〜50%、コンデンサーが約50%、Wi-Fiモジュールが10〜20%上昇したと伝えられています。メーカーがすべてを吸収し続けるのは難しく、今後も一部モデルから段階的に価格が修正される可能性があります。特にASUS製B850・X870など比較的新しいマザーボードを購入する予定があり、すでにCPUやPCケースまで決まっている場合は、狙っている製品が従来と大きく変わらない価格で販売されているうちに確保する判断には合理性があります。反対に、今回の報道だけを理由に用途の決まっていないマザーボードを急いで購入する必要はありません。MSIについては今回の追加値上げ対象が日本未発売の2モデルに限られており、ASUSについても5〜15%という数字はまだ確定ではありません。「すべてのマザーボードが一斉に15%上がる」と受け取るのではなく、自分が狙っているモデルの実売価格が実際に動き始めたかを確認することが重要です。
※2026年9月13日に中国サプライチェーンの情報筋から伝えられた内容にもとづきます。いずれもメーカーの公式発表ではありません。
AMD製チップセットもQ4に約10%値上げの可能性|これまでの部材高に別の要因が加わる(2026年9月19日追記)
ここまで見てきたマザーボードの値上げ観測は、PCBやコンデンサーなど部材コストの上昇が主因でした。そこへ2026年9月17日前後、サプライチェーン筋の情報として新たな要因が加わりました。AMDが2026年第4四半期(Q4)から、マザーボード用チップセットを含む一部製品の顧客向け価格を約10%引き上げると通知したと複数の海外メディアが報じています。対象にはAIアクセラレーターやコンシューマー向けGPUも含まれる一方、Ryzen CPUは明示されていません。
背景とされているのはTSMCの製造コスト(ウェハー価格)上昇です。複数の海外メディアが2026年7月21日前後に報じたところによると、TSMCは2027年から半導体の製造価格を顧客・製品ごとに最大10%引き上げる計画で、原材料・製造装置のコスト上昇、海外工場の建設費などが理由とされています。今回のAMDチップセット値上げ観測も、この流れを背景にしていると見られます。
AMD製チップセットの供給価格上昇がマザーボードメーカーへ転嫁されれば、B850やX870など現行AM5マザーボードの製造コストにさらなる上乗せ要因が加わる可能性があります。ただし、AMD製チップセットの供給価格が約10%上昇したからといって、マザーボードの販売価格も10%上昇するわけではありません。マザーボードにはPCB、VRM、LAN、Wi-Fi、オーディオ、USBコントローラーなど多数の部品が使われており、チップセットはその一部だからです。メーカーや代理店がどの程度コスト上昇を吸収するかによっても、最終的な販売価格は変わります。
今回の情報で気になるのは、マザーボード価格を押し上げる要因が一つではなくなっていることです。これまで確認してきたPCBなどの部材価格上昇に加えて、AMD製チップセット自体にも値上げの可能性が出てきました。そのため、「8〜9月の価格改定が終わればマザーボード価格も落ち着く」と現時点で判断するのは難しくなっています。なお、今回の約10%という数字はAMD製チップセットなどの顧客向け価格に関する報道であり、AMDやマザーボードメーカーが国内小売価格を一律10%引き上げると正式発表したものではありません。今後、ASUS・MSI・GIGABYTE・ASRockなど各メーカーの価格改定や、日本国内での実売価格に実際に変化が出るかを確認していく必要があります。
※2026年9月17日前後にサプライチェーン筋の情報として複数の海外メディアが報じた内容にもとづきます。メーカーの公式発表ではありません。
背景なぜ値上がりするのか|基板・銅箔コストの上昇
今回の値上げ観測の背景にあるのは、マザーボードの土台となるプリント基板や銅箔、樹脂、電源回路用の半導体といった部材コストの上昇です。
半導体材料大手のレゾナックは2026年1月16日、電子回路基板の主要材料である銅張積層板とプリプレグの全製品について、2026年3月1日出荷分から30%の値上げを発表しました。理由として、原材料である銅箔やガラスクロスの需給逼迫による価格高騰に加え、人件費や輸送費の上昇を挙げています。銅張積層板とプリプレグは、マザーボードを含むあらゆる電子機器の基板に使われる基幹材料です。
基板材料の値上げは1社では終わっていません(2026年9月6日追記)
その後、パナソニック インダストリーも同じ材料の価格改定を2回発表しています。2回目の改定は2026年9月1日出荷分から適用されており、値上げは進行中です。
| 用途 | 2026年6月26日発表 (8月1日出荷分から) | 2026年8月6日発表 (9月1日出荷分から) |
|---|---|---|
| 一般多層基板材料 | 銅張積層板 +20%/プリプレグ +25% | 銅張積層板 +30%/プリプレグ +30% |
| 低伝送損失多層基板材料 | 銅張積層板 +10%/プリプレグ +15% | 銅張積層板 +15%/プリプレグ +15% |
| サブストレート基板材料 | 銅張積層板 +5%/プリプレグ +5% | 銅張積層板 +30%/プリプレグ +30% |
| ガラスコンポジット基板材料 | +20% | +30% |
| フレキシブル基板材料 | +15% | +15% |
PC用マザーボードに直結するのは一番上の「一般多層基板材料」です。ここが6月発表分で20〜25%、8月発表分でさらに30%上がっています。値上げの理由も回を追って変わっており、6月発表分は中東地域の情勢不安による石油化学製品の供給環境と国際物流への影響の長期化、8月発表分は主要原材料の継続的な価格上昇に加えて副資材・エネルギー費用・物流費の高止まりが挙げられています。
ここで押さえておきたいのは、材料メーカー2社が別々のタイミングで値上げを重ねており、しかも直近の改定は9月1日出荷分からという「これから効いてくる」段階にあることです。マザーボードの値上げが観測どおりの幅で起きたかどうかにかかわらず、原価側の上昇はまだ止まっていません。
出典:パナソニック インダストリー「電子回路基板材料の価格改定について」(2026年8月6日)、同(2026年6月26日)(2026年9月6日確認)
基板そのものの価格上昇を示すデータもあります。2026年4月には、プリント基板の価格が前月比で最大40%上昇したとする分析が示されました。銅箔価格についても2026年に入ってから最大30%上昇しており、基板メーカーの間では、エポキシ樹脂などの調達リードタイムが従来の3週間程度から15週間程度まで延びたとされています。
2026年8月4日に伝えられた内容では、上流の原材料がどれだけ上がっているかがより具体的に示されています。プリント基板の板材が全体で15〜50%、各種コンデンサーが軒並み約50%、無線LANモジュールが全ラインで10〜20%の上昇です。マザーボードは基板の上にこれらの部品を載せて作るため、値上げが一部の部材にとどまらず広い範囲で同時に起きている点が、メーカー側で吸収しきれなくなっている理由につながります。
これらの価格上昇の背景には、AIサーバー向け基板需要の急拡大があります。AIサーバーでは、一般的なPC用マザーボードよりも多層で高性能な基板が大量に必要になります。生産能力や高性能材料が、利益率の高いAIサーバー向けへ優先的に振り向けられるほど、一般消費者向けマザーボードのコストも連動して上がりやすくなる構図です。
マザーボードの値上げ自体は観測段階ですが、その材料にあたる銅張積層板の値上げはレゾナックとパナソニック インダストリーの2社が公式に発表済みです。しかもパナソニックの直近の改定は2026年9月1日出荷分からの適用で、原価側の上昇はまだ進行中です。上流の部材コストが実際に上がっている以上、マザーボードの店頭価格に何らかの形で波及する可能性は低くありません。
コストは10%上がったのに、8月の値上げ幅は数%にとどまっています(2026年9月9日追記)
部材の上昇幅と、実際にチャネルや店頭へ反映された値上げ幅には開きがあります。2026年9月2日に伝えられた内容では、プリント基板・コンデンサー・無線LANモジュールの値上がりによって、マザーボード1枚あたりの製造コストは少なくとも10%上がったとされています。
一方で8月に各社が実施した価格改定は、中国のチャネル価格で見ると個別モデルで最大50元程度、モデルによっては10〜20元程度にとどまったと伝えられています。製品価格に対する比率でみれば数%規模で、部材の上昇幅とは明らかに差があります。
この差は、いまのところメーカーが吸収している分です。DIY市場の需要が弱く出荷台数も減っている状況では、コスト上昇をそのまま販売価格へ乗せると売れ行きがさらに落ちます。そのため各社は利益率を削って価格を抑えているとみられ、すでに次の値上げが検討されているとも伝えられています。
「板材が50%上がった」という数字だけを見ると、マザーボードも同じだけ高くなるように思えます。しかし1枚の価格には基板と電子部品のほか、ヒートシンク、CPUソケット、各種スロット、組み立て、検査、BIOSの開発、物流、販売店の取り分まで含まれるため、特定部材の上昇率がそのまま製品価格へ乗ることはありません。注目すべきなのは上昇率の大きさではなく、製造コストが10%上がったのに転嫁が数%で止まっている状態が、いつまで続くかのほうです。
※2026年9月2日に中国の流通筋から伝えられた内容にもとづきます(快科技)。メーカーの公式発表ではありません。
逆風販売不振でも値上げされる理由
マザーボード市場では、価格上昇と販売台数の減少が同時に進んでいます。
ASUS、GIGABYTE、MSI、ASRockの大手4社は、2026年のマザーボード出荷見通しを大幅に引き下げました。4社合計では前年比で約28%の縮小が見込まれており、内訳はASUSが約33%減、GIGABYTEが約22%減、MSIが約24%減、ASRockが約37%減とされています。ASUSは2026年に出荷するマザーボードが1,000万枚あまりにとどまる見通しで、2025年の約1,500万枚から大きく落ち込む計算です。
通常であれば、売れない製品は値下げして在庫を減らそうとするものです。しかし、販売台数が減っても、基板・電源回路・ネットワークコントローラー・USBコントローラーといった部材の仕入れ価格は下がりません。むしろ上昇しているため、製品1枚あたりの製造コストは上がり、販売数量も減るという二重の逆風にさらされ、メーカーや販売店は従来の利益を維持しにくくなっています。
そのため、店頭価格の一斉値上げという分かりやすい形だけでなく、期間限定クーポンの縮小、ポイント還元の減少、CPUとのセット割引の終了といった、実質的な値上げから始まる可能性があります。実際、GIGABYTEが8月の価格表を大部分据え置いたままリベートの適用を絞る形を取ったと伝えられているのは、この「値札を動かさずに実質値上げする」やり方そのものです。Colorfulが値上げと同時に従来の特価や販売支援策を取りやめたとされる点も同じ方向の動きといえます。低価格帯モデルのラインアップが整理されたり、後継製品が上位仕様へ置き換えられて実質的な最低価格が上がったりするケースにも注意が必要です。
在庫B650は逆に安くなる可能性もある
ここまでの情報だけを見ると、すぐにでもマザーボードを確保しなければならないように感じるかもしれません。ただしB650については、値上げとは逆方向の動き、つまり在庫処分による値下げが起きる可能性もあります。
AMDは2025年、B650からB850への切り替えを進めていることを明らかにしました。B650チップセットの新規生産は既に終了しており、マザーボードメーカー各社は在庫の整理を求められています。既存のB650在庫は、今後数四半期をかけて流通市場から徐々に減っていく状況です。
実際、2026年に入ってからもB650モデルの特価販売は続いています。発売から時間が経過した型落ちチップセットになるほど、販売店としては在庫を長く抱えるよりも、セールやCPUとのセット販売で早めに減らしたいと考えるためです。
そのため、B650がすべて一方向に値上がりするとは限りません。特定の人気モデルは在庫減少にともなって品薄・高値になっていく一方、在庫を多く抱えるモデルは処分価格になることも考えられます。B650を狙うのであれば、平均価格が下がるのをじっと待つより、必要な機能を備えたモデルがセール対象になったタイミングで判断するほうが現実的です。
スペックB850とB650の違い|PCIe 5.0対応の境界線
B850とB650は、どちらもAMDのSocket AM5に対応するミドルレンジ向けチップセットです。
AMDの資料によると、AM5対応チップセットは600シリーズ(B650・B650E・X670・X670Eなど)と800シリーズ(B850・X870・X870Eなど)に分かれ、いずれもRyzen 7000・8000・9000シリーズに対応します。ただしB650でRyzen 8000・9000シリーズを使う場合は、BIOSアップデートが必要になることがあります。
ゲーム性能そのものは、同じCPU・メモリ・グラフィックボードを使う限り、チップセットがB850だからといって大幅に高くなるわけではありません。両者の主な違いは、PCI Express 5.0への対応条件です。
B850では、NVMe SSD用のPCIe 5.0 x4接続が標準要件になっています。一方でグラフィックボード用スロットのPCIe 5.0対応は任意で、B850という名前だけで必ずPCIe 5.0 x16に対応するとは限りません。B650では、SSD用PCIe 5.0対応も製品によって異なります。B650でもPCIe 5.0対応のM.2スロットを備えたモデルはあるため、チップセット名だけでなく各製品の仕様を確認する必要があります。
このほか、B850世代の製品はWi-Fi 7、2.5GbE、着脱式の有線・無線アンテナ、工具不要のM.2ヒートシンク、BIOS Flashbackといった周辺機能が新しくなっている傾向があります。ただし、これらはB850チップセットに必須の機能ではありません。低価格なB850より、電源回路やUSB端子が充実した上位のB650のほうが向いているケースもあります。
選び方B850とB650、どちらを買うべきか
B850とB650の価格差が小さいなら、基本的にはB850を選ぶのがおすすめです。PCIe 5.0 SSDへの対応が分かりやすく、今後も主流製品として扱われるため、BIOS更新や情報を見つけやすいことが理由です。Wi-Fi 7や高速USBなど、新しい接続機能を備えた製品も選びやすくなっています。
一方で、B650がB850より明確に安く、必要な端子を備えているなら、B650を選んでもゲーム性能で大きく不利になることはありません。特にRyzen 5 9600X、Ryzen 7 9700X、Ryzen 7 7700X3Dなどを使い、グラフィックボード1枚とM.2 SSDを1〜2台搭載する一般的なゲーミングPCの範囲では、B650でも十分な構成を組めます。
目安としては、価格差が数千円程度ならB850、価格差が大きいならB650という判断で問題ありません。ただし、安いB850と高品質なB650を比較する場合は、チップセットの新しさだけで決めるべきではありません。VRMの構成、M.2スロット数、USB Type-C、2.5GbE、Wi-Fi、オーディオ端子、BIOS更新機能などをあわせて比較する必要があります。
該当者今マザーボードを買うべき人
2026年8月から9月までにゲーミングPCを組む予定があり、使用するCPUやPCケースまで決まっているなら、セール中のマザーボードを先に購入する選択肢があります。
この判断は、9月1日出荷分からの材料値上げが決まったことでやや前倒し寄りに傾きました。理由は国内価格の反映のされ方にあります。海外で卸価格が改定されても、国内の店頭価格が動くまでには、輸入代理店が仕切り価格を改める段階と、旧価格で仕入れた在庫が売り切れる段階の二段階があります。つまり店頭価格がまだ動いていないことは、値上げが見送られた証拠ではなく、旧価格の在庫がまだ残っている状態を見ている可能性があります。組む構成が決まっていて、狙っているモデルが従来どおりの価格で並んでいるなら、数千円下がるのを待つより確保しておく合理性は以前より高くなっています。
特にB650は流通在庫が減少する段階に入っているため、特定の人気モデルを狙っている場合、同じ製品が今後さらに安くなるとは限りません。気になるモデルがセール価格になっているタイミングで、購入を前倒ししてもよい状況です。
AMDは2026年、Socket AM5のサポートを少なくとも2029年まで継続し、Zen 6・Zen 7世代のCPUもAM5へ投入する方針を公式に表明しています。これからAM5マザーボードを購入しても、CPUを交換しながら長く使える可能性があります。
ただし、「AM5を2029年まで支える」という表明が、現在販売されているすべてのマザーボードで、2029年までに登場するすべてのCPUが必ず動作することを保証するわけではありません。将来のCPU対応は、各マザーボードのBIOS容量、電源設計、メーカーのサポート方針にも左右されます。長期間使うつもりなら、販売実績が多く、BIOS更新が継続しているシリーズを選ぶことが重要です。
9月13日の続報を踏まえると、この判断はASUS製マザーボードを狙っている人について、さらに少し前倒し寄りになりました。ASUSでは9月末までに代理店向け価格を約5〜15%引き上げる可能性が伝えられているためです。ただし、これは日本向けの値上げ率が5〜15%になることを意味しません。すでにCPU、ケース、必要なM.2スロット数やUSB端子まで決まっており、候補のASUS製B850・X870マザーボードが従来と同程度の価格で販売されているなら、値下がりを長く待つメリットは以前より小さくなっています。さらに9月24日には、ASUSが10月8日以降に卸価格を改定する見通しと伝えられ、ROGでは約10%と上昇率の目安も具体的になりました。
一方、MSIについて今回報じられた9月の追加値上げは日本未発売の2モデルが対象です。MSI製B850やX870を狙っているという理由だけで、今回のニュースから急いで購入する必要性が高まったとは判断しにくい状況です。メーカー名だけで一括して判断せず、欲しいモデルごとの価格推移を見ることが重要です。
様子見まだ買わなくてもよい人
PCを組む時期が決まっていない場合や、次世代CPUの性能を確認してから構成を決めたい場合は、マザーボードだけを急いで買う必要はありません。
マザーボードを単体で先に購入すると、初期不良を確認できないまま販売店の交換期間が終了してしまう可能性があります。CPUやメモリがなければ、電源が入るか、メモリスロットやM.2スロットが正常に機能するかをテストできないためです。
また、将来のCPU発売時には、新しいBIOSを標準搭載した改良モデルや、CPUとのセットキャンペーンが登場する可能性もあります。今回の値上げ観測は、あくまで可能性を示すものであり、日本国内での実施時期や対象製品は確定していません。数か月以上先の予定のために、マザーボードだけを先に確保するのはリスクがあります。
着眼点価格以外に確認したいポイント
マザーボードを選ぶ際は、チップセット名だけではなく、実際に使用する構成との相性を見る必要があります。
同じB850でも製品ごとの差は大きいため、「B850だから将来性が高い」「B650だから古くて遅い」と単純に判断すべきではありません。
厳選参考|今組むならこのB850マザーとCPU
値上げの正式発表を待つより先に構成を固めたい人向けに、価格と機能のバランスが取れたB850マザーボードと、組み合わせやすいAM5 CPUを紹介します。


※価格・在庫は変動します。最新の価格はAmazonの商品ページでご確認ください。
FAQよくある質問
結論総評|値上げの可能性を踏まえた判断
ASUS製マザーボードは、10月8日以降にPRIME約5%、TUF GAMING約7%、ROG約10%の卸価格改定が行われる見通しと伝えられています。9月13日の段階では「9月末までに5〜15%」という幅のある見込みでしたが、時期とシリーズ別の幅まで具体的になりました。中国の流通筋の情報で日本向けの正式発表ではない点は変わりませんが、購入するASUS製のB850・X870・B650がすでに決まっているなら、現在の価格を確認しておく価値は高くなっています。特にROGは上昇率の目安が最も大きく、十分に安く売られているモデルを値上げ後まで待つ理由は少ないでしょう。
背景にある値上げ圧力も収まっていません。レゾナックやパナソニック インダストリーが基板材料の価格改定を実施し、中国の流通情報でもPCB、コンデンサー、Wi-Fiモジュールなど幅広い部材の価格上昇が報告されています。8月にメーカーが実施した価格改定は平均数%程度にとどまっており、製造コストの上昇分をまだ完全には転嫁できていない状況です。そして9月には、MSIの一部モデルで実際に追加の卸価格改定が行われ、ASUSについても9月末までに約5〜15%の追加改定が行われる可能性が伝えられました。
ただし、国内ユーザーが過度に焦るべきなのは「5〜15%」という数字ではありません。MSIの今回の対象モデルはいずれも日本未発売で、ASUSの値上げ幅もまだ確定していません。中国の卸価格が上昇しても、日本の店頭価格には旧在庫、為替、代理店、販売店の値引きやキャンペーンが影響するため、そのまま同じ比率で上昇するとは限りません。それでも、8月に抑えられていた価格転嫁が9月にも続き始めたことは重要です。
2026年中にAM5ゲーミングPCを組む予定があり、CPUやマザーボードまで具体的に決まっているなら、狙っているB850やX870が従来と大きく変わらない価格で販売されているタイミングを逃さない方がよいでしょう。一方、B650では在庫処分による値下げが起きる可能性も残っています。すべてのマザーボードが同じ方向へ値上がりするとは限らないため、「値上げ報道が出たから何でも買う」のではなく、必要な機能を備えた特定モデルの価格を追うのが現実的です。9月13日の情報を加味すると、特にASUS製の現行B850・X870をすでに購入候補にしている人は、以前よりも価格推移を注意して見ておきたい状況になったといえます。さらに9月19日には、AMD製チップセット自体もTSMCの製造コスト上昇を背景にQ4から約10%値上げされる可能性が新たに伝えられました。これでマザーボード価格を押し上げる要因は、部材コストとチップセットコストの2方向になっています。






