GPT-6 AstraでCoD:BO2をMinecraftへ移植|約45fpsで動くが「AIがBO2を作った」わけではない
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
約45fpsで動くが「AIがBO2を作った」わけではない
出典:Tom’s Hardware「Developer uses GPT-6 Astra to get CoD Black Ops 2 Hijacked map running natively inside Minecraft」、GitHub「luckeyfaraday/claude-of-duty」README、およびOpenAI公式「GPT-6 Astraでゲームを試作し、Playcoの手作業による修正を50%削減」にもとづきます。記事内の情報は2026年9月20日時点のものです。画像:© Luckey Faraday

『Minecraft』の中で『Call of Duty: Black Ops II(BO2)』が動くという、一見すると何が起きているのか分かりにくいデモが公開されました。AI開発者のLuckey Faraday氏は2026年9月17日、BO2の人気マップ「Hijacked」をMinecraft内で動作させる映像をX(旧Twitter)へ投稿しました。
Faraday氏の投稿によると、Hijackedをブラウザ経由でもMinecraft内の仮想画面でもなく、Javaへ移植してMinecraft自身のOpenGLコンテキスト上で直接描画しているとのことです。マップ・当たり判定・ボット・ナビメッシュ・武器・レンダリングもFabric ModとしてMinecraft内で動作しており、映像ではおおむね45fps程度で動いています。
ただし、「GPT-6 Astraに指示したらBO2がMinecraft内に丸ごと生成された」と考えると、今回のデモを実態以上に評価することになります。今回のMinecraft版に至るまでには、それより前に存在していたブラウザ版という開発過程がありました。
目次
開発過程いきなりMinecraft版を作ったわけではない
今回のデモを理解するうえで重要なのが、Minecraft版より前に「ブラウザ版BO2」が存在していたことです。Faraday氏はGitHubで「Claude of Duty: Vibe Slops II」という非公式ファンプロジェクトを公開しています。これはThree.jsを利用してBO2のHijackedをブラウザ上でプレイできるよう再構築したFPSです。
つまり、今回GPT-6 Astraが取り組んだのは、何もない状態からMinecraft向けBO2を生成することではありません。すでにブラウザ上で動いていたFPSをベースに、Minecraftで直接動かせるJava版へ作り直す工程です。海外メディアの取材でもFaraday氏は、ブラウザ版をまずMinecraft内の仮想PC画面に表示させ、その後GPT Astraにプロジェクト全体をJavaで再構築させたと説明しています。
技術的な違い「Minecraft内の画面でBO2」と「MinecraftでBO2が動く」は違う
Minecraftでは以前から、ゲーム内にPCやディスプレイのようなものを作り、そこへ別のプログラムの映像を表示するデモがあります。しかし今回の最終版は、その方式ではありません。
Faraday氏はX(旧Twitter)への投稿で「Not through a browser, not on a screen inside the game. I ported Hijacked to Java and it runs directly on Minecraft’s own OpenGL context(ブラウザ経由でも、ゲーム内の画面でもない。HijackedをJavaへ移植し、Minecraft自身のOpenGLコンテキスト上で直接動いている)」と説明しています。さらに「The map, collision, bots, navmesh, weapons and rendering are all running inside Minecraft as a Fabric mod(マップ、当たり判定、ボット、ナビメッシュ、武器、レンダリングはすべてFabric ModとしてMinecraft内で動作している)」とも述べています。Fabricは軽量なオープンソースのMinecraft用Mod基盤で、BO2のコンテンツとHijackedマップはこのModフレームワークを通じて直接組み込まれています。
Minecraftが別のゲーム映像を再生しているというより、Minecraftを実行基盤として別のFPSシステムを動かしている、と考えた方が実態に近いでしょう。
前段階実はブラウザ版の時点でかなり作り込まれている
今回のニュースではMinecraft版が目立ちますが、技術的に面白いのは元になったブラウザ版です。GitHubの公開情報を確認すると、「Claude of Duty: Vibe Slops II」は単にHijackedの3Dモデル内を歩けるだけのデモではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対戦形式 | プレイヤー1名+敵ボット6名によるFree For All(7人対戦) |
| 勝利条件 | 30キル先取、または5分経過時点のトップ |
| ボットの挙動 | 視野・衝突判定でプレイヤーを発見、追跡、射撃、最終目撃位置の記憶、索敵、リスポーンに対応 |
| ボット同士の関係 | 互いに攻撃可能で、ボット対ボットのキルもスコアに反映 |
| 移動用ナビ | Recastで事前生成したナビゲーションメッシュ |
| 衝突判定 | カプセル型コリジョン+専用ジオメトリから生成したBVH |
| 使用エンジン | Three.js(ブラウザ上で動作) |
そのため「AIがそれっぽい3D画面を作った」というレベルではなく、FPSとして動かすために必要な複数のシステムを組み合わせたプロジェクトになっています。
GitHubのプロジェクト説明によると、このブラウザ版もFaraday氏が1行ずつコードを書いたものではなく、複数のAIモデルによるエージェント処理を通じて構築されたとされています。今回のMinecraft版だけを見て「GPT-6 Astraが短期間でBO2をMinecraftへ移植した」と捉えるのは正確ではなく、その前段階としてすでにブラウザ版の開発作業が行われていた点は押さえておきたいところです。
素材の扱いゲームの素材までAIが生成したわけではない
もう一つ区別しておきたいのが、コードとゲームアセットです。GitHubでは、このプロジェクトが非公式・非商用のファンプロジェクトであることを明記しています。プロジェクトの説明文では「A browser-based Three.js first-person shooter played on the Black Ops II Hijacked map export(Black Ops IIのHijackedマップの書き出しデータを利用したブラウザ版Three.js製FPS)」とされており、Activision・Treyarch・Microsoft・Anthropicのいずれとも提携・公認関係にないことも明記されています。
ライセンス表記では、MITライセンスの対象はプロジェクト独自のコードとドキュメントのみで、書き出されたゲームアート・音声・マップ・モデル・アニメーション・名称などの第三者コンテンツは、それぞれ元の権利者に帰属し再ライセンスされないと説明されています。つまり、映像に登場するHijackedや武器、テクスチャなどをAIがゼロから生成したわけではなく、元のBO2から取り出したデータを利用しながら、それを別の実行環境でFPSとして成立させるためのコードやシステムをAIコーディングで構築しているプロジェクトです。
性能の読み方約45fpsは「BO2をMinecraftでエミュレーションした性能」ではない
公開映像で約45fps出ている点も注目されていますが、この数字の読み方には注意が必要です。今回Minecraft内で動いているのは、BO2のオリジナル実行ファイルそのものではありません。BO2をMinecraft上でエミュレーションして約45fps出しているわけでもありません。
元になったブラウザ版はThree.jsで再構築され、Minecraft版ではさらにJavaとFabric Modへ移植されています。そのため、「Minecraftで2012年発売のBO2を約45fpsでエミュレーションできた」といった性能比較には使えません。むしろ注目すべきなのは、Java・Fabric・OpenGLという別の環境へ持ち込んでも、マップ描画だけではなくボットや当たり判定などを含めてリアルタイムに動かせている点です。
再現度BO2の完全移植ではない
今回のデモは非常にインパクトがありますが、『Call of Duty: Black Ops II』全体がMinecraftへ移植されたわけではありません。中心となっているのはマルチプレイヤーマップ「Hijacked」です。
元になったブラウザ版についても、GitHubでは衝突判定がオリジナルゲームの物理データを完全再現したものではないことが説明されています。プロジェクトの説明では「The extracted game files do not include usable T6 clipmap/physics brushes, so this is a close geometry-derived approximation rather than the original engine collision(抽出したゲームファイルには利用可能なT6クリップマップ・物理ブラシのデータが含まれていないため、オリジナルエンジンの衝突判定ではなく、ジオメトリから導き出した近似値になっている)」と明記されています。そのため、オリジナルBO2をそのまま別環境で起動しているわけではなく、ゲームデータを利用しながらFPSとして再構築したものと考える方が正確です。
現状Minecraft版はまだ公開されていない
今回のMinecraft版デモは、2026年9月20日時点でまだ一般公開されていません。海外メディアの取材によるとFaraday氏自身も「まだやるべきことが多く残っている」としており、プロジェクトが今後も続けば追加マップや武器、マルチプレイモードの拡張も見込まれるとしています。一方、元になったブラウザ版「Claude of Duty: Vibe Slops II」はGitHubで公開されており、コードとドキュメント部分はMITライセンスのもとで確認できます。
AIコーディング注目したいのは「新規生成」より「既存プロジェクトの理解」
今回の実験から見えてくるAIコーディングの進化は、「AIがゲームを作れるようになった」という単純な話ではないように見えます。より注目したいのは、すでに存在する比較的大きなプロジェクトをAIへ渡し、構造を理解させたうえで別の環境へ移植できるようになってきたことです。
OpenAIが公開しているゲーム開発会社Playcoの事例でも、GPT-6 Astraを組み込んだAI開発環境「Playbot」はUnityやGodotへ直接接続し、シーン編集だけでなく、ゲームのプレイ、テスト、変更の検証まで行っています。OpenAI公式によると、Playcoはこの仕組みを使って1つのグレーボックスからテーマの異なる3つのゲームプロトタイプを構築し、そのほとんどが初回から動作したとしており、Playcoの手作業による修正が50%削減されたと説明しています。
もちろん一企業による限定的な評価結果なので、あらゆるゲーム開発で作業量が半減すると一般化することはできません。それでも今回のMinecraft版と共通しているのは、AIへコードを書かせるだけではなく、既存の開発環境やプロジェクトへAIを組み込み、実際に動くところまで反復させていることです。
FAQよくある質問
まとめ「AIがBO2を作った」より「既存プロジェクトを別環境へ再構築した」実験
Luckey Faraday氏が公開したデモでは、『Call of Duty: Black Ops II』の人気マップ「Hijacked」をベースにしたFPSがMinecraft内で動作しています。ブラウザやMinecraft内の仮想ディスプレイへゲーム映像を表示しているのではなく、Javaへ再構築され、Fabric ModとしてMinecraft自身のOpenGLコンテキストを利用しています。公開映像では約45fpsで動作し、マップ・当たり判定・ボット・ナビメッシュ・武器・レンダリングもMinecraft内で処理されています。
ただし、GPT-6 AstraがBO2をゼロからMinecraftへ完全移植したわけではありません。元になるブラウザ版「Claude of Duty: Vibe Slops II」がすでに存在し、そこではBO2から書き出したゲームデータが利用されています。さらに、そのブラウザ版自体も複数のAIモデルによるエージェント処理を通じて構築されたものです。今回のMinecraft版は2026年9月20日時点でまだ一般公開されておらず、Faraday氏自身も開発途上であることを認めています。
だからこそ今回の事例は、「AIがAAAゲームを作れるようになった」という話よりも、すでに存在する複雑なゲームプロジェクトをAIが理解し、別の言語や実行環境へ再構築できる範囲が広がっていることを示す実験として興味深いものがあります。

