CXMTがNANDフラッシュ参入を検討|北京新拠点で研究開発ラインの計画、DRAM世界4位はまだ着工前でSSD値下げは早計
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北京新拠点は着工前の構想段階、SSD価格に効くのはいつか
出典:Reuters「Exclusive-China’s CXMT eyes flash-memory push amid global shortage; firm to take on Samsung, YMTC」(The Standard配信分、2026年9月18日)、TrendForce「AI Server Demand Continues to Support Memory Prices in 3Q26」(2026年7月3日)、TrendForceデータにもとづくevertiq「DRAM industry revenue surges 59.5% in Q2」(2026年9月7日)にもとづきます。2026年9月20日時点の情報です。
CXMT製DDR5がゲーミングPC向けマザーボードでも正式に最適化対象になるなど、この夏はDRAM側の話題が続いていました。そこへ今度は「NANDにも参入」という報道が出てくると、SSDも早晩安くなるのでは、と期待したくなる人もいるはずです。
2026年9月18日、CXMTが北京の新拠点にNANDフラッシュの研究開発用生産ラインを設ける計画を進めていることが分かりました。関係者3人の話として、AI・スーパーコンピューター向けストレージ製品でCXMT製NANDの採用を検討しているスタートアップを含む複数の潜在顧客と、すでに協議を始めているとも伝えられています。
ニュースの見出しだけを追うと見落としがちなのが「どのくらい早い段階の話なのか」という一点です。北京の新拠点は着工すらしておらず、量産までは早くても2〜3年かかるとみられています。CXMTのNAND参入がSSD価格にいつ、どう効いてくるのかを、この段階の区別まで踏み込んで整理します。
目次
要点まず何が起きたか
詳細CXMTが計画しているNAND参入の中身
CXMTは北京に設ける新拠点で、3D NANDの研究開発用生産ラインを立ち上げる計画を進めています。同社はすでに北京に研究機関も設立しており、NAND開発を含むプロジェクトがそこに含まれているといいます。あわせて、AIシステムやスーパーコンピューター向けのストレージ製品でCXMT製NANDチップの採用を検討している新興企業を含む、複数の潜在顧客との協議も始まっているとされています。企業名までは明かされていません。
一方で、この件にCXMT自身のコメントは含まれていません。CXMT・YMTC・Samsung・北京市政府のいずれも取材依頼に即座には応じなかったことが明らかになっています。つまり現時点で分かっているのは「関係者の話として伝わってきた計画」までで、CXMTが自社の口からNAND参入を正式に認めた事実はまだありません。
段階「研究開発ラインの計画」はどれくらい早い話か
今回の計画の舞台となる北京の新拠点は、報道の時点でまだ着工していません。複数の海外メディアが伝えるところでは、量産開始までは早くても2〜3年程度かかるとみられています。研究開発ラインがいつ稼働するのか、試験生産から大規模な商用生産へ移行する意図があるのかも不明で、時期は明言されていません。
整理すると、今回のニュースは「CXMTのNAND参入が決まった」でも「研究開発ラインの稼働が始まった」でもなく、その手前の「関係者の話として伝わってきた検討・協議段階の報道」です。CXMTが3D NAND計画を公式に確認していない点も含め、提案・見出しの語感から受ける印象より、実際にはさらに一段階早い時期の話だと捉えておくのが実態に近いといえます。
構図「DRAMのCXMT」「NANDのYMTC」という分業が崩れ始めている
中国のメモリ業界では、CXMTとYMTCは「双子星」と呼ばれてきました。CXMTが中国国内のDRAM生産を主導し、YMTCが国内NAND市場を主導するという、住み分けができていたためです。CXMT製DDR5がゲーミングノートやCorsair製メモリキットへの採用を広げてきた経緯は、Corsair Vengeanceへの採用やAppleのCXMT製DRAM採用を巡る米政府の反対、ASUSによるCXMT製DDR5の低レイテンシ最適化で伝えてきた通りで、CXMTはすでにDRAM市場で急成長しているメーカーです。TrendForceのデータでは、CXMTの世界DRAM収益シェアは2026年第1四半期の7.6%から第2四半期には9.5%まで伸び、Samsung(39.4%)・SK hynix(24.9%)・Micron(23.3%)に続く世界4位まで浮上しています。
NAND側のYMTCも、すでに世界大手の一角に入るメーカーです。出荷ビット量ベースでは2026年第2四半期に世界3位まで浮上しており、詳しいシェア数値やエンタープライズSSD向けの構成比は中国YMTCがNAND出荷シェアで世界3位に浮上した記事で整理済みです。今回さらに分かったのは、YMTC自身も2026年4月の時点で、CXMTの主戦場であるDRAM市場への参入を視野に、低消費電力DRAM(LPDDR)のサンプルを顧客へ送付していた点です。「DRAMのCXMTがNANDへ」「NANDのYMTCがDRAMへ」という、双方が相手の得意分野へ同時に踏み込み始める動きが進んでいます。
価格SSD価格を動かしているのは、CXMTの計画とは別の要因
TrendForceは2026年7月3日時点の予測で、2026年第3四半期のNAND Flash契約価格を前四半期比10〜15%上昇、DRAM契約価格を同13〜18%上昇と見込んでいます。2026年前半に急騰していた局面と比べると、上昇ペース自体は鈍化しつつある方向です。背景には、消費者向け需要の価格受容度が限界に近づいていること、PC向けOEMメーカーがすでに高水準の在庫を抱えていて追加値上げを受け入れにくくなっていること、スマートフォンベンダーも小売価格の引き上げと並行してより慎重な生産・調達計画へ切り替えつつあることがあります。
むしろ今のSSD相場を動かしているのは、既存の大手NANDメーカー側の供給方針です。TrendForceの集計では、Samsung・SK hynix・Micron・キオクシア・SanDiskの上位5社合算のNAND売上高が、2026年第2四半期に前四半期比77%も増加しました。AIサーバー向けエンタープライズSSDの需要が旺盛な一方、各社がDRAM・HBM(広帯域幅メモリ)を優先して生産能力を振り向けているため、NAND側の供給が絞られたままの状態が続いています。国内の実勢価格の動きはSSD高騰の続報記事で継続的に追っていますが、CXMTのNAND参入計画そのものが、この状況を短期間で変える材料にはなりません。
影響歓迎できる点と、注意したい点
- CXMTがDRAMで見せた急成長パターンをNANDでも再現できれば、中長期的にSSD市場の供給元が増える可能性がある
- YMTCのDRAM参入とあわせ、中国メモリ産業全体の競争が強まれば、既存大手の価格戦略にも影響しうる
- 北京新拠点は着工前で、量産開始まで早くても2〜3年。直近のSSD価格には影響しない
- CXMT自身はまだ3D NAND計画を公式に確認していない、協議・検討段階の報道にとどまる
- 既存メーカーがDRAM・HBM優先の生産方針を変えない限り、NAND供給の逼迫自体は当面続く見通し
Q&Aよくある質問
おすすめ今SSDを選ぶなら
CXMTのNAND量産を待つ必要はありません。現行のNVMe SSDから、容量と用途で選べば十分です。
まとめまとめ|NAND参入は構想段階、価格を動かすのは既存メーカーの供給方針
CXMTのNANDフラッシュ参入は、2026年9月18日に明らかになったばかりの計画で、北京新拠点はまだ着工していません。量産開始までは早くても2〜3年とみられ、CXMT自身もこの3D NAND計画をまだ公式に確認していない、協議・検討段階の報道です。DRAMのCXMT・NANDのYMTCという中国メモリ産業の分業構図は、YMTCのDRAM参入も含めて崩れ始めていますが、その変化がSSD価格に反映されるのはまだ先の話です。
直近のSSD価格を動かしているのは、CXMTの計画ではなく、既存NAND大手のDRAM・HBM優先の生産方針とAIサーバー向け需要です。TrendForceは2026年第3四半期のNAND契約価格を前四半期比10〜15%上昇と予測しており、鈍化はしていても値下がりの局面には入っていません。CXMTの量産を待つ理由はなく、必要なタイミングでの実勢価格をもとにSSDを選び、CXMTについては「量産開始」「月産能力」「SSDメーカーへの採用」といった続報が出た段階で改めて注目すれば十分です。
CXMTのNAND参入は、2026年9月18日に明らかになった北京新拠点での研究開発ライン計画にとどまり、新拠点はまだ着工前で量産開始まで早くても2〜3年、CXMT自身もまだ公式に確認していない段階です。DRAMのCXMT・NANDのYMTCという分業構図はYMTCのDRAM参入も含めて崩れ始めていますが、直近のSSD価格を動かすのは既存NANDメーカーのDRAM・HBM優先の生産方針とAIサーバー需要で、TrendForceは2026年第3四半期のNAND契約価格を前四半期比10〜15%上昇と予測しています。CXMTの量産を待つ必要はなく、続報が出た段階で改めて注目すれば十分です。




