MSI「B650E GAMING WIFI」登場|B650Eは名前が旧世代でも中身はPCIe 5.0対応、B650・B850との違い
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名前は2022年のチップセットでも中身はPCIe 5.0世代
AM5マザーボードを選ぶとき、「B650」「B650E」「B850」「X870」というチップセット名だけを見て、番号や文字が新しいほうが優れていると判断していないでしょうか。ところがAM5向けのBシリーズ・Xシリーズには、実は同じ半導体を使い回しているチップセットが少なくありません。名前の新旧と中身の新旧が一致しない場面があり、型番の見た目だけで選ぶと判断を誤ります。
MSIは2026年9月、AM5マザーボードのグローバル製品ページに「B650E GAMING WIFI」を追加しました。B650EはAMDが2022年8月にRyzen 7000シリーズと同時に発表したチップセットで、MSIがこの名前の製品を投入するのは約4年ぶりです。中身を見るとGPU用スロットはPCIe 5.0 x16、3基あるM.2スロットのうち1基がGen5対応と、2025年に登場したB850世代と並ぶスペックになっています。
B650E GAMING WIFIのスペックを、既存の「B650 GAMING PLUS WIFI」「B850 GAMING PLUS WIFI」と実際の数値で比較すると、チップセット名だけでは新旧を判断できない理由が見えてきます。AMDのチップセット設計まで踏み込んで整理したうえで、実勢価格を踏まえていま選ぶべきモデルの基準も示します。
目次
経緯MSIがなぜ今B650Eを追加したのか
AMDは2022年8月29日、Ryzen 7000シリーズの発表と同時に、AM5対応チップセットとしてX670E・X670・B650E・B650を発表しました。翌10月には各社から最初のB650・B650Eマザーボードが登場しましたが、MSIはこの時点でX670・B650を中心に展開し、B650Eという名前を冠したモデルはラインアップに加えていませんでした。
その後AMDは2024年にX870・X870Eを、2025年1月にB850を投入し、AM5チップセットの主力は800シリーズへ移行しました。MSIも新モデルはX870・B850を中心に展開を続け、B650Eという名前を使った製品はグローバル製品ページに一枚もない状態が続いていました。
2026年9月、MSIはこの空白を埋める形で「B650E GAMING WIFI」を製品ページに追加しました。AMDがB650Eを発表してから約4年、MSIにとって初のB650E冠モデルということになります。価格や発売時期については2026年9月16日時点で公式に発表されていません。
出典:VideoCardz「MSI adds its first B650E motherboard to current AM5 lineup, four years after chipset introduction」(VideoCardz)、MSI公式「B650E GAMING WIFI」製品ページ(いずれも2026年9月16日確認)。

スペックB650E GAMING WIFIのスペック|B650・B850との違いを比較
まず、旧モデルにあたる「B650 GAMING PLUS WIFI」との違いです。GPU用スロットとM.2構成が大きく引き上げられています。
| 項目 | B650E GAMING WIFI | B650 GAMING PLUS WIFI |
|---|---|---|
| GPU用スロット | PCIe 5.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
| M.2スロット | 3基(Gen5 x4 + Gen4 x4 + Gen4 x2) | 2基(いずれもGen4 x4) |
| メモリ目安(OC) | DDR5-8000+ | DDR5-7200+ |
| 背面USB最速 | 10Gbps(Type-C) | 20Gbps(Type-C) |
| 実勢価格 | 未発表 | 27,172円 |
PCIe世代とM.2はB650E GAMING WIFIが明確に上ですが、ひとつだけ「退化」に見える項目があります。背面USBです。新しいB650E GAMING WIFIの最速ポートはUSB Type-C 10Gbpsですが、既存のB650 GAMING PLUS WIFIは20Gbpsに対応しています。PCIeレーンをGPUスロットとM.2に多く振り分けた結果、USBの帯域配分が抑えられた形です。
次に、同じ現行世代にあたる「B850 GAMING PLUS WIFI」との比較です。PCIeレーン構成はほぼ同じで、差が出るのはネットワーク機能です。
| 項目 | B650E GAMING WIFI | B850 GAMING PLUS WIFI |
|---|---|---|
| GPU用スロット | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 |
| M.2スロット | 3基(Gen5 x4 + Gen4 x4 + Gen4 x2) | 3基(Gen5 x4 + Gen4 x4 + Gen4 x2) |
| LAN | 2.5GbE(Realtek RTL8125D) | 5GbE(Realtek RTL8126VB) |
| Wi-Fi | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 7 |
| 実勢価格 | 未発表 | 32,580円 |
※スペックはMSI公式製品ページ「B650E GAMING WIFI」「B650 GAMING PLUS WIFI」「B850 GAMING PLUS WIFI」の仕様表(2026年9月16日確認)、価格は通販の最安値(2026年9月16日時点)にもとづきます。
B650E GAMING WIFIとB850 GAMING PLUS WIFIは、GPU用スロットもM.2構成もほぼ同一です。異なるのはLANとWi-Fiで、B850 GAMING PLUS WIFIのほうが新しい規格に対応しています。PCIe 5.0世代のマザーボードとしては、B650E GAMING WIFIがネットワーク機能を絞った分だけ安く出てくる可能性がある、という位置づけになりそうです。
B650E GAMING WIFIのGPU用スロットがPCIe 5.0 x16で動作するのは、Ryzen 9000・7000シリーズ使用時のみです。Ryzen 8000シリーズを使う場合、GPU用スロットはRyzen 8700/8600/8400ならPCIe 4.0 x8、Ryzen 8500/8300ならPCIe 4.0 x4に下がります。M.2_1スロットも同様に、Ryzen 8000シリーズではPCIe 4.0 x4までの対応です。Ryzen 8000シリーズのAPUで組む場合は、PCIe 5.0対応をうたうマザーボードでもその恩恵を受けられません。
仕組みB650Eという名前が「旧世代」を意味しない理由
B650・B650E・B850・X870(無印)は、いずれもAMD・ASMedia製の「Promontory 21」という共通の半導体を使っています。つまり、これらのチップセットは名前こそ違っても中身の半導体は同じで、対応するPCIeレーンの構成はAMDが各名称に課す認証条件と、それを受けたマザーボードメーカー側の実装によって決まります。
B650EはAMDの認証条件のなかで、GPU用スロットと少なくとも1基のM.2スロットをPCIe 5.0対応にすることが求められる名称です。実際、MSI公式のB650E GAMING WIFI仕様ページでも、Chipset欄の表記は「AMD B650」となっています。製品名の「E」はPCIe 5.0対応の認証条件を満たしたことを示すラベルであり、別のチップを積んでいるわけではないことが、この表記からもうかがえます。
この共通シリコンの仕組みを踏まえると、「B850だから新しくて速い」という思い込みも崩れます。MSIの「B850 GAMING PRO WIFI6E」は、Ryzen 9000・7000シリーズ使用時でもGPU用スロットがPCIe 4.0 x16までで、PCIe 5.0に対応しているのはM.2スロットだけです。B850という名前が付いていても、GPU用スロットのPCIe世代はメーカー・製品ごとに異なります。
確認すべきなのは、チップセット名の新旧ではなく、その製品ごとの実際のPCIeレーン配分です。
出典:TechSpot「Guide to AMD Ryzen AM5 Motherboard Chipsets」、TechPowerUp「AMD Shuffles Feature-sets of its 800-series Chipset, X870 is B650E Successor」、MSI公式「B850 GAMING PRO WIFI6E」製品ページ。

性能PCIe 5.0 x16のゲーム性能への影響
GPU用スロットがPCIe 5.0 x16になったからといって、いまのグラフィックボードでゲーム性能が大きく変わるわけではありません。海外の検証記事でRTX 5090を使ってPCIe世代ごとの性能を比較したところ、PCIe 5.0 x16とPCIe 4.0 x16の性能差はほぼ確認されていません。「黒神話:悟空」の4K計測ではPCIe 4.0が84.7fps、PCIe 5.0が85.5fpsと、差はおよそ1%にとどまっています。ほかのタイトルでも同様に、両者はほぼ横並びという結果でした。
現行世代で最も帯域を必要とするRTX 5090でこの結果なので、それより帯域要求の低いミドルクラスのグラフィックボードであれば、PCIe 5.0とPCIe 4.0の違いを体感する場面はさらに少なくなります。B650E GAMING WIFIのPCIe 5.0対応GPU用スロットは、今すぐの性能向上というより、将来のグラフィックボードに備えた余裕と考えたほうが実情に近いでしょう。
むしろ体感差が出やすいのはGen5 M.2です。理論上の転送速度はPCIe 4.0のM.2の約2倍にあたり、大容量ファイルの転送や、対応した高速ストレージを使う場面では違いが分かりやすく出ます。ゲームのロード時間そのものは、CPUやゲーム側の実装にも左右されるため、Gen5化だけで劇的に短縮されるとは限りません。
出典:GamersNexus「NVIDIA RTX 5090 PCIe 5.0 vs. 4.0 vs. 3.0 x16 Scaling Benchmarks」(2025年2月13日)。
選び方今買うなら、B650とB850どちらを選ぶか
B650E GAMING WIFIは価格・発売時期が未発表のため、今すぐ選択肢に加えられる製品ではありません。2026年9月16日時点で実際に買えるのは、B650 GAMING PLUS WIFIとB850 GAMING PLUS WIFIの2機種です。
- 実勢27,172円と、B850より約5,000円安い(2026年9月16日時点)
- 背面USB Type-Cは20GbpsとB650E GAMING WIFIより高速
- 今のグラフィックボードならPCIe 5.0 x16の恩恵はほぼない
- PCIe 5.0 x16のGPU用スロットとGen5 M.2を両方搭載
- 5GbE・Wi-Fi 7と、これから先のネットワーク環境まで見据えられる
- 価格差は実勢5,408円(2026年9月16日時点)にとどまる
B650E GAMING WIFIの価格が判明したら、この2機種のどちらの立ち位置に近い価格で出てくるかが判断の目安になります。PCIeレーン構成はB850 GAMING PLUS WIFIとほぼ同じなので、価格がB850 GAMING PLUS WIFIの32,580円を大きく下回らない限り、あえてB650E GAMING WIFIを選ぶ理由は薄くなります。反対に、Wi-Fi 6E・2.5GbEで妥協できる代わりにB850より安く出てくるなら、B850並みのPCIeレーン構成を持つ選択肢として検討する価値が出てきます。
FAQよくある質問
まとめまとめ|チップセット名だけで新旧を判断しない
MSIが「B650E GAMING WIFI」を追加したことで、B650・B650E・B850という3つの名前を持つAM5マザーボードが同時にラインアップされる状態になりました。ここまで確認してきたとおり、B650・B650E・B850・X870(無印)は共通の「Promontory 21」という半導体を使っており、チップセットの型番だけでPCIeレーンの新旧を判断することはできません。
B650E GAMING WIFIは価格・発売時期が未発表のため、今すぐ選択肢に入れられる製品ではありません。予算を抑えたいなら実勢27,172円のB650 GAMING PLUS WIFI、PCIe 5.0 GPU用スロットとWi-Fi 7を両方欲しいなら32,580円のB850 GAMING PLUS WIFIというのが、2026年9月16日時点での現実的な選択肢です。B650E GAMING WIFIの価格が判明したら、この2機種のどちらに近い価格で出てくるかを確認してから判断しても遅くありません。





