Windows 11の4月アプデで古い周辺機器が動かなくなるかもしれない——レガシーカーネルドライバー信頼廃止を解説

(更新: 2026.6.10)
Windows 11の4月アプデで古い周辺機器が動かなくなるかもしれない——レガシーカーネルドライバー信頼廃止を解説

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WINDOWS
出典:Microsoft公式(2026.03.27)/ PCWorld / Computerworld
4月アプデで古い周辺機器が動かなくなる?

Windows 11の4月アップデートで「クロス署名カーネルドライバー」の信頼が廃止されます。20年来のセキュリティホールを閉じる措置ですが、古いデバイスが影響を受ける可能性があります

この記事のポイント
  • 2026年4月のWindows Updateでクロス署名カーネルドライバーの信頼が廃止。WHCP認証なしのドライバーは最終的にブロックされる
  • まず評価モード(100時間+再起動3回)で監視し、問題がなければ自動で強制モードに移行
  • 最新ドライバーを使っていればほぼ影響なし。ただし古いオーディオIF・ゲームパッド・キャプチャカード等は要確認
目次

何が変わるのか——30秒で理解する

Windowsのカーネル(OS最深部)で動作するドライバーには「署名」が必要です。これまではサードパーティの認証局が署名した「クロス署名」ドライバーも信頼されていました。20年以上前から続く仕組みです。

4月のアップデートで、この信頼が廃止されます。今後はMicrosoft自身が認証(WHCP認証)したドライバーのみがデフォルトで信頼されます。

理由はセキュリティです。クロス署名の仕組みでは秘密鍵をドライバー開発者が自分で管理するため、鍵の盗難や不正利用が相次いでいました。攻撃者が盗んだ鍵でマルウェアをカーネルドライバーに偽装する手口が横行していたのです。セキュリティ専門家はこれを「20年来のセキュリティホール」と呼んでいます。

すぐにブロックされるわけではない

いきなり古いドライバーが動かなくなるわけではありません。段階的に移行されます。

1
評価モード(4月〜)カーネルがドライバーの読み込みを監視・記録するだけで、ブロックはしない。システム稼働100時間+再起動3回が評価期間の条件。
2
自動判定評価期間中にクロス署名ドライバーが1つも検出されなければ、自動で強制モードに移行。1つでも検出されたら、そのドライバーが使われなくなるまで評価期間がリセットされる。
3
強制モードWHCP認証のないドライバーの読み込みがブロックされる。ブロック時にはユーザーに通知が表示される。

つまり、古いドライバーを使っている環境では強制モードに移行しない設計です。ただし、いずれはすべての環境が強制モードに移行することを前提とした設計であり、「古いドライバーを使い続ければ大丈夫」は長期的には成立しません。

PCゲーマーへの影響——ほとんどの人は問題ない

先に安心材料を書きます。

影響なし
  • GPU(NVIDIA / AMD / Intel):現行ドライバーはWHCP認証済み
  • 主要アンチチート(EAC / BattlEye / Vanguard):WHCP認証済み
  • 大手周辺機器メーカーの現行製品:Razer、Logicool、SteelSeries等
要確認
  • 古いオーディオインターフェース:メーカーがサポート終了した製品
  • 古いキャプチャカード:配信用の旧モデル
  • レガシーゲームパッド / USBアダプター:レトロゲーム用、古いフライトスティック等
  • ViGEmBus / DS4Windows系:仮想ゲームパッドドライバー

特に注意が必要なのはViGEmBusです。DS4WindowsやreWASD等がPS4/PS5コントローラーの仮想ゲームパッドとして依存しているカーネルドライバーですが、プロジェクトが2023年に終了しており、今後WHCP認証を取得する見込みが不透明です。

影響を受けやすい代表的なレガシーデバイス

具体的にどのカテゴリの製品が影響を受けやすいのか、PCゲーマー視点で整理しました。古い周辺機器を現役で使い続けている人は、自分の機材が該当しないか確認してください。

オーディオインターフェース・サウンドカード系

2017年以前に発売されたUSBオーディオインターフェースは要注意です。配信用にしばらく使われている定番製品でも、メーカーがサポート終了していればドライバー更新が止まっています。具体的には、初代Focusrite Scarlettシリーズ(USB 1.0/2.0世代)、Behringer U-PHORIA UM2/UMC22の旧リビジョン、PreSonus AudioBox iSeriesの旧モデル等が該当する可能性があります。現行モデル(Scarlett 3rd/4th Gen、UMC202HD等)は基本的にWHCP認証済みです。

サウンドカードもCreative Sound Blaster Audigy / X-Fiシリーズの古いPCIeモデルは要注意です。AE-5・AE-7・AE-9などの現行Sound Blasterシリーズは問題ありません。

キャプチャカード・配信機材

2016年以前のキャプチャカード(初代AverMedia LGP、Elgato Game Capture HD60初代、MagewellのレガシーUSB 3.0モデル等)は要確認です。Elgato HD60 X・4K Pro、AverMedia Live Gamer 4K等の現行モデルはWHCP認証済みのドライバーで配信されています。

ゲームパッド・USB-シリアル変換アダプター

レトロゲーム機のコントローラーをPCに繋ぐUSB変換アダプター(PS2→USB、Xbox 360→USB、ドリームキャスト→USB等)は、メーカー名すら判然としない中国製の汎用品が多く、ドライバー更新は期待できません。

もう一つの大きな注意点がViGEmBus / DS4Windows / reWASD系の仮想ゲームパッドドライバーです。PS4/PS5コントローラーをPCゲームで使うために広く利用されていますが、原本のViGEmBusプロジェクトは2023年に開発停止しています。コミュニティフォーク版が WHCP認証を取得するかは未確定で、強制モード移行後は使えなくなるリスクがあります。

古いプリンタ・スキャナ・カードリーダー

ゲーミング用途ではないものの、サブとして使っている10年以上前のプリンタ・複合機・カードリーダーは影響を受ける可能性が高いです。特にCanon・Epson・HPの2010年代前半までのモデルは、メーカーがWindows 11対応を打ち切っているケースが多く、ドライバー更新は望めません。

PowerShellで影響ドライバーを一括チェック

イベントビューアーを開く前に、PowerShellで一括チェックすると効率的です。管理者権限のPowerShellで以下のコマンドを実行してください。

クロス署名ドライバーをイベントログから抽出

4月アップデート適用後、評価モードでクロス署名ドライバーが検出されると Event ID 3076 がCodeIntegrity Operationalログに記録されます。これをPowerShellで一括取得します。

Get-WinEvent -LogName "Microsoft-Windows-CodeIntegrity/Operational" | Where-Object {$_.Id -eq 3076} | Select-Object TimeCreated, Message | Format-List

出力されたMessage欄に、影響を受けるドライバーのファイルパスと署名情報が表示されます。たとえば「C:\Windows\System32\drivers\xxxxx.sys」のように具体的なファイル名がわかります。

すべてのカーネルドライバーの署名状態を確認

4月アップデート適用前に、現状ロードされているドライバーの署名状況を確認することもできます。

Get-CimInstance Win32_SystemDriver | Where-Object {$_.State -eq "Running"} | Select-Object Name, PathName | Export-Csv -Path "$env:USERPROFILE\Desktop\drivers.csv" -NoTypeInformation -Encoding UTF8

デスクトップに「drivers.csv」が作成されます。各ドライバーのファイルパスがリストアップされるので、Webで型番を検索してWHCP認証の有無を個別に確認できます。

主要メーカーの対応傾向

業界全体での対応状況を整理します。個別の発表は各メーカーの公式サイトで確認してください。

対応積極派

NVIDIA / AMD / Intel / Microsoft純正周辺機器は、現行ドライバーすべてWHCP認証済みです。Razer Synapse・Logicool G HUB・SteelSeries Engine・Corsair iCUE等の主要ゲーミングデバイス管理ソフトのドライバーもWHCP認証済みで、4月以降も問題なく動作します。

条件付き対応

大手オーディオブランド(Focusrite、PreSonus、SteinbergのUR/AXRシリーズ等)は、現行モデルは対応済みですが、サポート切れの旧モデルは対象外です。メーカー公式サイトで「Supported Products」リストを確認してください。

対応未定

個人開発のオープンソースドライバー(ViGEmBus、HidHide、Virtual HID等)、すでに事業撤退した中華系ガジェットメーカー、開発停止したホビープロジェクト等は対応されない可能性が高いです。代替手段の検討を始めるタイミングです。

4月のアップデート適用後、以下の方法で影響を受けるドライバーがないか確認できます。

1
イベントビューアーで確認アプリケーションとサービスログ → Microsoft → Windows → CodeIntegrity → Operational を開く。Event ID 3076(監査対象)が記録されていれば、そのドライバーがクロス署名であることを意味する。
2
デバイスマネージャーで署名を確認各デバイスのプロパティ → ドライバータブ → 「ドライバーの詳細」。署名者がMicrosoft以外のCAの場合、クロス署名ドライバーの可能性あり。
3
ドライバーを最新版に更新Windows Update → オプションの更新プログラム → ドライバーの更新 を確認。メーカー公式サイトから最新ドライバーをダウンロードするのも有効。

動かなくなった場合の対処法

強制モードでドライバーがブロックされた場合、以下の選択肢があります。

  • メーカーに問い合わせてWHCP認証済みドライバーを入手——最も確実な解決策
  • Windows Updateのオプション更新を確認——メーカーがMicrosoft経由でドライバーを配信している場合
  • ハードウェアの買い替え——ドライバーが更新されないレガシー製品の場合、残念ながらこれが最終手段

緊急時|Windows 10へのロールバック

業務で絶対に使い続けなければならないレガシー機材があり、すぐには代替できない場合、Windows 10へのロールバックも選択肢です。Windows 10は2025年10月にメインサポートが終了していますが、ESU(Extended Security Updates)プログラムで2026年10月まで延長セキュリティ更新を受けられます。ただし長期的な解決にはならないため、あくまで「代替機材を準備する間の時間稼ぎ」として考えてください。

アップデート適用から10日以内であれば、設定 → システム → 回復 → 以前のバージョンのWindowsに戻すから簡単に戻せます。それ以降は、Windows 10のクリーンインストールが必要になります。

許可リストによる救済可能性

Microsoftは「過去2年間の数十億件のドライバロードシグナル」に基づく許可リストを維持しています。広く使われているクロス署名ドライバーは、この許可リストによって引き続きロードが許可される可能性があります。たとえば、業界標準として広く使われているASIO4ALLや、特定の業務用機材のドライバーは、ユーザー数の多さから許可リスト入りしている可能性が高いです。

ただし、許可リストの具体的な内容は公開されておらず、自分のデバイスが含まれているかは強制モード移行後に実際に試すまで分かりません。これも「使えればラッキー」程度に考えておくのが安全です。

買い替え対象になりそうな人へのおすすめ周辺機器

影響を受ける機材を使っていて、すでに買い替えを検討している人へ。Microsoft純正・大手メーカー現行モデルはすべてWHCP認証済みで、4月以降も安心して使えます。最初の1台におすすめの定番をピックアップしました。

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まとめ——セキュリティ向上は歓迎、ただし確認を

この変更自体は正当なセキュリティ措置です。20年間放置されてきたセキュリティホールが閉じられるのは良いことです。最新ドライバーを使っている一般的なPCゲーマーへの影響はほぼゼロです。

ただし、古いオーディオ機器やキャプチャカード、レトロゲーム用のUSBアダプター、DS4Windows系のツールを使っている人は、4月のアップデート後にイベントビューアーでEvent ID 3076が記録されていないか確認してください。記録されていたら、そのデバイスのドライバー更新を検討する時期です。

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