Lexar「THOR ULTRA」発表|最大11,000MB/sのGen5 SSD、NM990より遅いのに注目したい理由
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最大11,000MB/sのGen5 SSD、自社最速のNM990より遅い理由
出典:Lexar公式(THOR ULTRA製品ページ)、HotHardware(仕様報道)、Notebookcheck(仕様報道)、TechPowerUp(仕様報道)、SUNEAST(NM990・NM1090 PRO国内発売発表)にもとづきます。本記事の情報は2026年8月19日時点のものです。
Gen5 NVMe SSDは各社が数値競争を続けており、読込14,000MB/sを超えるモデルも珍しくなくなりました。そんな中でLexarが発表した新型「THOR ULTRA」は、読込最大11,000MB/sと、自社が既に国内発売しているNM990(読込最大14,000MB/s)より低い数値を掲げています。速いほど正義に見えるGen5市場で、あえて控えめな数値を出す製品にどんな意味があるのか、気になった人は多いはずです。
THOR ULTRAは、DRAMを搭載しない6nmコントローラーとHMB(Host Memory Buffer)+Dynamic SLCキャッシュを組み合わせたPCIe 5.0 x4のM.2 SSDです。容量は512GB・1TB・2TB・4TBの4種類で、1TB以上は読込最大11,000MB/s・書込最大10,000MB/s、512GBのみ読込最大9,900MB/s・書込最大5,000MB/sに下がります。DirectStorage対応、保証5年で、2026年8月14日ごろに海外で発表されました。国内での発売日・価格は本記事執筆時点(2026年8月19日)で未発表です。
本記事では、スペックの紹介だけでなく、Lexarの既存ラインナップの中でTHOR ULTRAがどう位置付くのか、なぜ自社最速のNM990より遅いモデルをあえて追加したのか、512GB版だけ性能が落ちる注意点、「HBM」と混同されやすいキャッシュ方式の正しい理解、そして国内価格が決まっていない今Gen5 SSDを検討している人がどう動けばいいのかまで整理します。
目次
仕様THOR ULTRAの実力|容量ごとの速度とIOPS
THOR ULTRAはM.2 2280サイズのPCIe 5.0 x4 SSDで、DRAMチップを搭載しない6nmコントローラーを採用しています。キャッシュにはHMB(Host Memory Buffer)とDynamic SLCキャッシュを組み合わせ、電源管理機能でサーマルスロットリングを抑える設計です。DirectStorageに対応し、専用管理ソフト「DiskMaster」が付属、保証は5年です。容量は512GB・1TB・2TB・4TBの4種類で、速度・ランダムIOPS・TBW(総書き込み可能量)は容量ごとに次のように異なります。
書込:最大5,000MB/s。ランダムIOPS:読込90万・書込120万。TBW:350TB。備考:読込・書込とも他の3容量より明確に低い数値です。
書込:最大10,000MB/s。ランダムIOPS:読込150万・書込190万。TBW:750TB。
書込:最大10,000MB/s。ランダムIOPS:読込220万・書込190万。TBW:1,500TB。
書込:最大10,000MB/s。ランダムIOPS:読込200万・書込190万。TBW:3,000TB。備考:読込IOPSは2TBよりやや低い数値です。
THOR ULTRAのキャッシュ方式は「HBM」ではなく「HMB(Host Memory Buffer)」です。名前が似ているため混同されがちですが、HBM(High Bandwidth Memory)はGPUやAIアクセラレーターで使われる広帯域メモリ規格で、THOR ULTRAとは無関係の別の技術です。HMBは、SSD自体にDRAMチップを載せる代わりに接続先のPCが持つシステムメモリの一部を一時的に借りる仕組みで、DRAMレスSSDのコストと消費電力を抑える標準的な技術です。海外メディアの報道はいずれもHMBと表記しており、THOR ULTRAがDRAMレス構成である点とも一致します。
比較Lexarのラインナップで見るTHOR ULTRAの立ち位置
THOR ULTRAは、Lexarの中で最速のGen5 SSDではありません。同社は2026年7月に「NM990」と「NM1090 PRO」を国内発売しており、いずれも数値上はTHOR ULTRAより高速です。しかもNM990は、THOR ULTRAと同じくDRAMを省いたHMB方式のSSDです。同じ設計思想の製品でありながら、あえて数値を抑えたモデルを追加した格好になります。
速度:読込最大11,000MB/s・書込最大10,000MB/s(1TB以上)。容量:512GB〜4TB。保証:5年。国内発売:2026年8月19日時点で未発表。
速度:読込最大14,000MB/s・書込最大11,000MB/s。保証:5年。実勢価格:2TBが約64,000円〜、1TBが約38,900円(当サイト調べ・2026年7月時点・変動あり)。
速度:読込最大14,000MB/s・書込最大13,000MB/s。保証:5年。実勢価格:2TBが約84,692円〜、1TBが約49,821円(当サイト調べ・2026年8月時点・変動あり)。
確認できる事実として、THOR ULTRAは6nmコントローラーと電源管理機能を備え、サーマルスロットリングを抑える設計になっています。Lexarはこの製品を、デスクトップとノートPCの両方に向けたゲーミング用SSDと位置付けています。放熱に制約があるノートPCの薄型シャーシでは、14,000MB/sを狙う設計より、11,000MB/sに抑えて安定して動作させる設計のほうが扱いやすい可能性があります。また512GBという小容量から展開している点も、NM990より裾野の広い価格帯を狙った可能性があります。ただし、Lexarが速度を抑えた理由そのものを公式に説明しているわけではなく、ここまでの位置付けの解釈はあくまで推測にとどまります。
機能DirectStorageには対応、体感差はゲーム側の実装次第
THOR ULTRAはDirectStorageに対応します。ただし対応はSSD側の条件を満たしているというだけで、体感速度が上がるかどうかはゲーム側の実装次第です。DirectStorageの仕組みや、自分の環境で有効になっているかどうかの確認方法はDirectStorageの対応状況を確認する方法で解説しています。2026年3月に公開された最新版のDirectStorage 1.4とGACL(GPU Aware Compression Library)についてはDirectStorage 1.4の解説記事にまとめています。
判断国内価格が決まるまで、Gen5 SSD選びはどうするか
- DRAMレスでも読込最大11,000MB/sを実現し、Gen5入門機の選択肢が増える
- 512GBから4TBまで4容量展開で、用途に合わせて選びやすい
- 6nmコントローラーと電源管理機能で、ノートPCのような放熱制約がある環境でも扱いやすい設計が期待できる
- DirectStorage対応、保証5年はNM990・NM1090 PROと同水準
- 自社最速のNM990(読込最大14,000MB/s)より遅く、上位モデルではない
- 512GBモデルのみ読込最大9,900MB/s・書込最大5,000MB/sに低下する
- 国内の発売日・価格は2026年8月19日時点で未発表
- キャッシュ方式はHBMではなくHMBのため、仕様を引用する際は表記の混同に注意が必要
国内での発売日・価格が判明するまで、THOR ULTRA自体を購入することはできません。今すぐGen5 SSDを用意するなら、以下のNM990・NM1090 PROが現実的な選択肢です。
総括まとめ|価格が出るまではNM990が現実的な選択肢
THOR ULTRAは、読込最大11,000MB/sというスペックだけで見ればLexarの中で突出した存在ではありません。同社が既に国内発売しているNM990のほうが読込・書込とも高速で、512GBモデルに限っては書込最大5,000MB/sまで落ちます。
それでも、DRAMを省いた6nmコントローラーと電源管理機能を備え、512GBから4TBまで裾野の広い容量展開を持つ点は、価格や省電力、ノートPCのような放熱制約がある環境での運用を意識した設計判断だと考えられます。国内での発売日・価格は2026年8月19日時点で未発表です。いま国内でGen5 SSDを選ぶなら、既に発売されているNM990が現実的な選択肢で、THOR ULTRAは価格が判明してから改めて比較するのが得策です。
