AMD Ryzen 4000のTPM脆弱性修正、自分のBIOSに届いているか確認する方法|ミニPCでの未対応報告も【2026年9月】

AMD Ryzen 4000のTPM脆弱性修正、自分のBIOSに届いているか確認する方法|ミニPCでの未対応報告も【2026年9月】

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GUIDE / 2026-09
Ryzen 4000のTPM脆弱性、修正BIOSは届いているか
確認方法と、ミニPCでの未対応報告について
AMDは2026年5月から、Ryzen 4000シリーズ Mobileなど広い世代向けにTPM脆弱性(CVE-2026-6726・CVE-2026-6727)の修正ファームウェアをOEMへ提供しています。ただしBIOS更新として実際に配布されるかどうかはメーカー次第で、一部のミニPCで修正が届いていないとする報告もあります。
CVSS最大8.5(High)Ryzen 4000 Mobileは5月18日提供済みOEM側の対応は個別確認が必要

AMDが公表したTPM 2.0の脆弱性CVE-2026-6726・CVE-2026-6727は、Ryzen 4000シリーズを含む広い世代のfTPM(Firmware TPM)に影響します。修正ファームウェア自体は2026年5月からメーカー各社へ順次提供されていますが、それが実際に自分のPCのBIOS更新として届いているかどうかは、また別の話です。

この記事で確認できている事実は、AMD公式のセキュリティ情報にもとづくCVEの深刻度と、Ryzen 4000シリーズ Mobile向け修正ファームウェア「RenoirPI-FP6 1.0.0.Ee」が2026年5月18日にOEMへ提供されたという2点です。一方、2021年発売のミニPC「HM80」(Minisforum製、Ryzen 7 4800U搭載)のオーナーが、この修正の統合をサポートに依頼したところ十分な対応を得られなかったとSNSに投稿している件については、投稿者1名の申告にとどまり、Minisforumからの公式な説明は確認されていません。この記事では、確認できている事実と未確認の報告をはっきり分けて扱います。

中心に据えるのは「自分の使っているPCが対策済みかどうか、どう確認すればいいか」という実用的な手順です。AMD公式が示す世代別の修正ファームウェアの一覧、BIOSバージョンの確認方法、そして未確認情報として紹介するミニPCの事例まで、一次情報にもとづいて整理します。

目次

要点まず押さえておきたいこと

概要AMD公式が確認したTPM脆弱性の内容

AMDは公式のセキュリティ情報「AMD-SB-7064」で、2件のTPM 2.0関連の脆弱性を確認したと発表しています。いずれも「(non-AMD)」の注記付きで、AMD独自の設計ミスではなく、業界団体Trusted Computing Group(TCG)が策定するTPM 2.0リファレンス実装コード側の問題を、AMDのFirmware TPM(fTPM)も取り込んでいるために影響を受けるという位置づけです。

CVE-2026-6726(CVSS 4.0で8.5・High)は情報漏えいの脆弱性です。ローカルで昇格した権限を持つ攻撃者が、TPM対応の認証局から偽造したTPMキー(Attestation Key・Device Identity Key・TLS認証キーなど)に対する証明書を取得し、他のTPM 2.0アテステーション(PCの状態が改ざんされていないことを証明する仕組み)を偽装できる可能性があります。

CVE-2026-6727(CVSS 4.0で8.3・High)はRSA OAEP復号処理におけるタイミングサイドチャネルの脆弱性です。ローカルで昇格した権限を持つ攻撃者が、RSAエンドースメントキーで暗号化されたデータ(Import Blob・Credential Blob・Session Saltなど)を復号したり、TPM 2.0アテステーションキーを偽造したりできる可能性があります。

攻撃にはローカルでの高い権限が前提条件

2件とも、攻撃者がすでにローカル環境で昇格した権限を持っていることが条件です。インターネットに接続しているだけで外部から即座に悪用されるタイプの脆弱性ではありません。ただし、TPMはBitLockerの暗号化キーなど重要な情報の保護に使われる機能のため、放置してよい理由にはなりません。CVEの詳細な攻撃条件(CVSSベクター)や、Ryzen 3000〜9000シリーズ・Threadripper・Ryzen AIまで含めたデスクトップ側の対象世代全体の一覧は、AMD Ryzen「TPM 2.0」に脆弱性を解説した記事で詳しく整理しています。

提供状況Ryzen 4000シリーズ Mobile向けは2026年5月18日から提供済み

AMD公式の対応表によると、ノートPCやミニPCに搭載される「Ryzen 4000シリーズ Mobile Processors with Radeon Graphics」(Ryzen 7 4800Uなどが該当)向けの修正ファームウェアは「RenoirPI-FP6 1.0.0.Ee」で、AMDからOEMへの提供日は2026年5月18日です。AMDはこのファームウェアをマザーボードメーカーやPCメーカー(OEM)へ提供する立場で、そこから先、実際にBIOS更新として配布するかどうかは各メーカーの対応次第になります。

Mobile向けの修正は世代ごとに提供時期・ファームウェア名が異なります。ミニPCやノートPCでよく使われる世代を中心に、AMD公式が示す修正済みファームウェアと提供日を整理しました。

Mobile世代修正済みファームウェア(fTPM)AMDからOEMへの提供日
Ryzen 3000シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
PicassoPI-FP5 1.0.1.2f2026年5月15日
Ryzen 4000シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
RenoirPI-FP6 1.0.0.Ee2026年5月18日
Ryzen 5000シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
CezannePI-FP6 1.0.1.1e2026年5月15日
Ryzen 6000シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
RembrandtPI-FP7 1.0.0.Bh2026年5月12日
Ryzen 7030シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
CezannePI-FP6 1.0.1.1e2026年6月15日
Ryzen 7040シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
PhoenixPI-FP8-FP7 1.2.0.h2026年6月1日
Ryzen 7045シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
DragonRangeFL1PI 1.0.0.3m2026年5月13日
Ryzen 8040シリーズ Mobile
(Radeon Graphics搭載)
PhoenixPI-FP8-FP7 1.2.0.h2026年6月1日

デスクトップ向けでは、Ryzen 4000/5000シリーズ デスクトップ向けに「ComboAM4v2PI 1.2.0.12」が2026年5月27日に提供されているなど、Mobileとは別系統のファームウェアが用意されています。デスクトップ側を含む世代別の対応状況は、先行して公開した解説記事で一覧にしています。いずれの世代でも、上記の日付は「AMDが修正版を用意してメーカーへ渡した日」であり、「ユーザーが実際にBIOSを入手できる日」とは別である点に注意してください。

確認方法自分のPCが対策済みか確認する手順

修正ファームウェアがOEMへ提供されていても、それが自分のPCのBIOSに反映されているかどうかは個別の確認が必要です。次の手順で確認できます。

  1. 自分のCPU世代を確認します。Windowsの「設定」→「システム」→「バージョン情報」、またはタスクマネージャーの「パフォーマンス」タブでCPU名が表示されます。上表と照らし合わせ、該当する世代を特定してください。

  2. 現在のBIOSバージョンを確認します。msinfo32を実行し、「BIOSバージョン/日付」の欄を確認します。ノートPCやミニPCの場合、BIOS画面(起動時にDelキーやF2キーなどで入る画面)でもバージョン表記を確認できます。AGESA/PIのバージョン文字列そのものが表示されない機種もあります。その場合はメーカーのBIOS更新履歴と照合します。

  3. メーカーのサポートページでBIOS更新履歴を確認します。製品型番でサポート・ダウンロードページを開き、最新のBIOS更新履歴に「TPM」「セキュリティ」「AGESA」「ファームウェア」などの記載があるか確認します。更新履歴の記載が薄いメーカーもあるため、記載がなくてもバージョン番号自体を上表と比較してください。

  4. 対応BIOSが公開されていれば適用します。適用前にBitLockerを使っている場合は回復キーを控えておくと安心です。BIOS更新後にBitLockerの回復キーを求められるケースがある点は、BitLocker回復キーの対処法で解説しています。具体的な更新操作はBIOSアップデートのやり方を参照してください。

  5. 対応BIOSが見当たらない場合は、サポート窓口に修正の提供予定を問い合わせます。AMDからメーカーへの提供自体は多くの世代で完了していますが、メーカー側の検証・配布には時間差があります。問い合わせの際は、AMD公式のセキュリティ情報「AMD-SB-7064」と、該当する修正ファームウェア名(上表参照)を伝えるとやり取りがスムーズです。

未確認の報告Minisforum「HM80」での対応をめぐる投稿について

ここから先は、AMD公式の情報とは性質が異なる未確認の報告です。海外メディアの報道によると、2021年発売のミニPC「HM80」(Minisforum製、Ryzen 7 4800U搭載)のオーナーが、AMDの修正ファームウェアをBIOSへ統合するようMinisforumのサポートに依頼したところ、次のような経緯をたどったとSNS(Reddit)に投稿しています。

  • 当初、要望が「性能向上の要望」として扱われた
  • その後、新しいモデルの購入を勧められた
  • 最終的に、HM80が保証期間外であることを理由に説明された

投稿者は、数週間にわたり約14〜15通のメールをサポートとやり取りしたと説明しており、「製造時点から存在するファームウェアの不具合は、通常の経年劣化を対象にした保証条件とは別の話だ」という趣旨の主張もあわせて投稿しています。

この件は「未検証・Minisforumからの公式な反応なし」の段階です

この報告を伝えた海外メディア自身が、内容は投稿者1名によるサポートとのやり取りの記録であり、第三者が検証できる確定的な開示ではないと明記しています。根拠となっているのはRedditへの投稿(r/Minisforumに投稿後、r/MiniPCsにもクロスポスト)1件のみで、実際のメール全文などの一次資料は公開されていません。記事執筆時点で、Minisforumからこの件についての公式な声明・反論は確認されていません。

あわせて注意したいのは、この件が示しているのはあくまで「HM80というひとつの機種で、投稿者1名が経験したサポートとのやり取り」であり、Minisforumの他機種や、他のミニPC・BTOメーカーが同様の対応をとっているかどうかは、この記事では確認していないということです。修正ファームウェアの統合状況はメーカー・機種ごとに個別に異なる可能性があるため、自分の使っている機種については、前章の手順で個別に確認することをおすすめします。

整理確認できている事実と、断定できないこと

✓
確認できている事実
  • AMD公式がCVE-2026-6726(CVSS 8.5)・CVE-2026-6727(CVSS 8.3)を確認し、「AMD-SB-7064」として公開している
  • 両CVEとも「(non-AMD)」表記で、TCGのTPM 2.0リファレンス実装コード由来の問題である
  • Ryzen 4000シリーズ Mobile向け修正ファームウェア「RenoirPI-FP6 1.0.0.Ee」は2026年5月18日にOEMへ提供されている
  • 攻撃にはローカルで昇格した権限が前提条件になる
  • 修正はWindows Updateではなく、メーカーが配布するBIOS更新で提供される
  • HM80(Ryzen 7 4800U搭載)のオーナーが、サポートとのやり取りの経緯をSNSに投稿している
i
断定できないこと
  • Minisforumが修正ファームウェアの統合を意図的に見送ったかどうか
  • 投稿者とサポートのやり取りの一次資料(メール全文など)が示す全体像
  • Minisforum公式からの説明・反論の内容
  • Minisforumの他機種、または他のミニPC・BTOメーカーが同様の対応をとっているかどうか

Q&Aよくある質問

自分のPCがこのTPM脆弱性の修正済みか、どう確認すればいいですか
まずタスクマネージャーやmsinfo32で自分のCPU世代を確認し、本文の世代別テーブルと照らし合わせます。そのうえでBIOSバージョンをメーカーのサポートページのBIOS更新履歴と比較し、上表の修正済みファームウェア以降になっていれば対策済みです。詳しい手順は本文の「確認方法」で解説しています。
Minisforumが修正を提供していないというのは事実ですか
投稿者1名によるSNS上の報告であり、確定した事実ではありません。報道元の海外メディア自身が、第三者が検証できる開示ではないとしています。記事執筆時点でMinisforumからの公式な声明も確認されていません。自分の機種で修正が提供されているかどうかは、個別にサポートへ確認することをおすすめします。
対応BIOSがまだ公開されていない場合はどうすればいいですか
AMDからメーカーへの提供自体は世代ごとに2026年5〜6月に完了していますが、メーカー側の検証・配布には時間差があります。急いで焦る必要はありませんが、製品型番とAMD-SB-7064の情報を添えてサポート窓口に提供予定を問い合わせることをおすすめします。
今すぐ乗っ取られる危険はありますか
いいえ。攻撃にはローカル環境で昇格した権限があることが前提条件です。インターネットに接続しているだけで外部から即座に悪用されるタイプの脆弱性ではありません。ただし放置してよい理由にはならないため、対応BIOSが出たら更新することをおすすめします。
Windows Updateを適用すれば直りますか
いいえ。今回の修正はWindows Updateではなく、メーカーが配布するBIOS(AGESA/PI)アップデートで提供されます。各メーカーのサポートページから入手してください。
Minisforum以外のミニPCメーカーも同じ対応なのですか
この記事では確認していません。今回報告されているのはHM80という1機種についての1名の申告であり、Minisforumの他機種や他社製品が同様の対応をとっているかどうかを示す情報はありません。自分の機種については個別にサポートへ確認することをおすすめします。

まとめまとめ|提供済みでも、手元に届いているかは別問題

AMDが公表したTPM 2.0の脆弱性CVE-2026-6726・CVE-2026-6727は、Ryzen 4000シリーズ Mobileを含む広い世代のfTPMに影響し、CVSSスコアは最大8.5(High)です。攻撃にはローカルでの高い権限が前提になるため今すぐの遠隔侵入リスクは低いものの、修正ファームウェア自体は2026年5月から各世代向けに順次OEMへ提供されています。

ただし、AMDからメーカーへ修正が渡された日と、ユーザーが実際にBIOS更新として入手できる日は別です。自分の使っているPCが対策済みかどうかは、CPU世代の確認、現在のBIOSバージョンの確認、メーカーのサポートページでの照合という手順で個別に確かめる必要があります。2021年発売のミニPC「HM80」をめぐる報告は、この確認が必要な理由を示す一例として紹介しましたが、投稿者1名の申告にとどまる未確認情報であり、Minisforumからの公式な説明も確認されていません。断定はできない段階として扱い、続報があればこの記事を更新します。

結論

Ryzen 4000シリーズ Mobile向けのTPM脆弱性修正ファームウェア「RenoirPI-FP6 1.0.0.Ee」は2026年5月18日にOEMへ提供済みです。ただし実際にBIOS更新として届いているかはメーカー・機種ごとに異なるため、CPU世代とBIOSバージョンを自分で確認する必要があります。ミニPC「HM80」で修正が届いていないとする報告は投稿者1名によるSNS上の申告で、Minisforumからの公式な反応は確認されていません。事実と未確認の情報を混同せず、自分の機種は個別に確認してください。

出典:AMD公式セキュリティ情報「Trusted Platform Module (TPM) Reference Code Errata」(AMD-SB-7064)、VideoCardz「Minisforum HM80 owner says company refused BIOS security update, suggested buying a new PC」、Notebookcheck「Minisforum accused of ignoring AMD’s own BIOS security fix on a 2021 mini PC」にもとづきます。本記事の情報は2026年9月10日時点のものです。

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