VAIO T発表|画面をキーボード上に反転する新型2-in-1、Arc B390はX7 358H限定でゲームに使える【2026年9月】
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画面をキーボード上に反転する新型2-in-1、Arc B390搭載モデルはゲームにも使える?

出典(確認日2026年9月13日):VAIO公式発表、VAIO公式製品仕様、VAIOストア「勝色特別仕様」商品ページ、Intel公式 Core Ultraシリーズ3製品一覧、Microsoft公式 Copilot+ PC要件、Notebookcheck「Dell XPS 16」実測レビューにもとづきます。
VAIOは2026年9月10日、13.3型モバイルPC「VAIO T」を発表しました。一見すると一般的な2-in-1ノートPCですが、最大の特徴はディスプレイ中央付近にもう1つ回転軸を設けた「マルチフリップ機構」です。通常の360度ヒンジとは異なり、キーボード側を大きく回転させることなく画面だけを反転できます。
さらにVAIOストア限定の「勝色特別仕様」ではPanther Lake世代のCore Ultra X7 358Hを選択でき、12基のXeコアを備えるIntel Arc B390 GPUが統合されています。試作機の3DMarkではTime Spy総合6950というスコアも確認されました。
結論から言うと、ゲーム性能だけを目的に40万円前後を支払うPCではありません。しかし約1.3kgのモバイルPCを仕事で持ち歩きながら、外出先でもPCゲームを遊びたいという用途ではかなり珍しい選択肢です。ただしVAIO Tならどの構成でもArc B390が使えるわけではなく、購入時にはここを間違えないことが重要です。
目次
機構約10年ぶりに復活した「マルチフリップ機構」
VAIO Tは、VAIOが過去に採用していたフリップディスプレイを現代向けに復活させた製品です。VAIOとしてフリップディスプレイを採用するのは2016年の「VAIO Z」以来、約10年ぶりです。ディスプレイ部分に反転用のヒンジを組み込み、通常のノートPCとして使う「ノートPCモード」、画面を反対側へ向ける「ビューモード」、反転させた画面をキーボード側へ閉じる「タブレットモード」という3種類の使い方ができ、VAIOはこれを「トリプルスタイル」と呼んでいます。反転した画面はマグネットで固定され、画面の向きは加速度センサーとジャイロセンサーで認識します。
今回のVAIO Tは、VAIOがノジマグループに加わってから両社が共同で開発した「VAIO Next」シリーズの第1弾でもあります。2026年9月18日から受注を開始し、ノジマ店舗では9月22日に固定構成モデルを発売する予定です。
13.3型ディスプレイはタッチ操作に対応していますが、デジタイザーペンには対応していません。ビュースタイルやタブレットスタイルでペンを押し付けると構造上画面が揺れてしまうため、ペン入力を採用しなかったとされています。イラスト制作や手書きノート用途ではなく、ビューモードで動画を見る、商談で相手へ画面を向ける、タッチ操作中心でWebサイトを閲覧するといった使い方に向いた設計です。
日常性能そもそも仕事用PCとしての基本性能はどうか
VAIO Tはゲーム専用機ではなく、まず仕事用のモバイルPCです。ゲーム性能を見る前に、キーボードやWebカメラ、セキュリティといった毎日触れる部分の基本性能を確認しておきます。
フリップ機構そのものも、仕事の場面で実用的な使い方ができます。対面の打ち合わせでは、キーボードを自分側へ置いたまま画面だけを相手側へ向けられるため、資料や画面を見せるためにPC本体を回す必要がありません。ハイブリッドワークを前提にした設計だと考えると、フリップ機構はギミックというより実務上の合理性から生まれた機構と言えそうです。
実務性能Officeの複数起動やAI活用も快適にこなせるか
ゲームより気になる人が多いのは、むしろ「Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsを同時に開いた状態でブラウザのタブも大量に開く」「ChatGPTなどのAIサービスを使いながら別の作業をする」といった、普段の実務での快適さかもしれません。ここはCPUのコア構成とメモリ容量、そしてNPU(AI処理専用のプロセッサ)性能が効いてきます。
| CPU | コア構成 | NPU性能 |
|---|---|---|
| Core Ultra 5 325 | 8コア8スレッド(P4+LPE4) | 最大47 TOPS |
| Core Ultra 7 356H | 16コア16スレッド(P4+E8+LPE4) | 最大50 TOPS |
| Core Ultra X7 358H | 16コア16スレッド(P4+E8+LPE4) | 最大50 TOPS |
Intel公式仕様によると、Core Ultra 7 356HとCore Ultra X7 358Hはどちらも16コア16スレッドで、Pコア4基に加えて通常のEコアを8基搭載します。Officeアプリを複数起動しながらブラウザのタブを大量に開く、Teams会議をしながら資料を編集するといった「同時に色々動かす」使い方では、コア数が多いほど処理を割り振る余裕が生まれます。エントリーのCore Ultra 5 325は8コア8スレッドとコア数は少なめですが、一般的なOffice作業+ブラウジング程度であれば十分な処理能力です。メモリも勝色特別仕様では32GBまたは64GBを選べるため、アプリやタブを大量に開いたまま作業してもメモリ不足で動作が重くなりにくい構成です。
Intel公式仕様によると、Core Ultra 5 325・Core Ultra 7 356H・Core Ultra X7 358Hはいずれも内蔵NPUが47〜50 TOPSと、Microsoftが定めるCopilot+ PCの基準(NPU単体40 TOPS以上)を満たしています。Arc B390はX7 358H限定ですが、Copilot+ PC対応自体はCPUの選択に関わらずVAIO T全体に共通する強みです。Recallや高精度な字幕生成・翻訳といったWindows標準のAI機能は、どの構成を選んでもNPUを使って処理できます。
一方、ChatGPTやClaudeのようにブラウザ経由で使うクラウドAIサービスは、処理の大部分がサーバー側で行われるため、NPU性能への依存は小さく、どのCPU構成でも快適に使えます。NPU性能が効いてくるのは、Windows Copilot+機能のようにPC本体で処理が完結するオンデバイスAIや、画像生成AIをローカルで動かす場合です。特にローカルの画像生成AIやAI処理をGPUで加速したい場合は、12基のXeコアを持つArc B390を搭載するCore Ultra X7 358Hの方が有利になります。「クラウドAIを使うだけ」ならどの構成でも困りませんが、「PC単体で重いAI処理を完結させたい」場合はX7 358Hを選ぶ意味が出てきます。
最重要VAIO TでArc B390を使えるのはCore Ultra X7 358Hだけ
ゲーミングPCの観点で最も注意したいのがCPUの選び方です。VAIO TにはCore Ultra 5 325、Core Ultra 7 356H、Core Ultra X7 358Hという複数のCPUがありますが、Arc B390を搭載しているのはCore Ultra X7 358Hだけです。Intel公式のCore Ultraシリーズ3製品一覧でも、Core Ultra X7 358HはIntel Arc B390 GPU搭載と明記されている一方、Core Ultra 7 356HとCore Ultra 5 325は単に「Intel Graphics」となっています。
VAIO側の仕様も同じです。勝色特別仕様でX7 358Hを選んだ場合のみArc B390となり、同じ勝色モデルでもCore Ultra 7 356Hを選択すると「Intel Graphics」になります。通常カラーではX7 358H自体を選択できません。「VAIO TはPanther Lake搭載だからゲーム性能が高い」という理解では不十分で、ゲームも目的に購入するならCPU名の末尾まで確認してCore Ultra X7 358H+Arc B390を選ぶ必要があります。
実測VAIO T試作機でTime Spy 6950を記録
Core Ultra X7 358HとCore Ultra 7 356Hは、どちらも16コア16スレッドでTDPも25Wと、CPU部分だけを見るとよく似ています。しかしGPUは別物です。ITmediaが試作機の勝色特別仕様(Core Ultra X7 358H・64GBメモリ・1TB SSD)で実施したテストでは、3DMark Fire Strikeが13,520、Time Spyが6,950となっています(試作機による測定のため製品版では結果が変わる可能性があります)。
海外の実測レビューでは、同じCore Ultra X7 358H+Arc B390を搭載するDell XPS 16のTime Spy総合スコアが7,436、Fire Strikeが13,997でした。VAIO TのTime Spyは6,950なので差は約6.5%、Fire Strikeも13,520対13,997で約3.4%差です。筐体サイズや冷却設計が違うため単純比較はできませんが、少なくとも今回の試作機を見る限り、VAIO TだからArc B390の性能が大幅に抑え込まれている様子はありません。
ゲーム性能実際のゲームはどのくらい動きそう?
現時点で製品版VAIO Tを使った多数のゲームベンチマークは確認できていないため、VAIO Tで「Cyberpunk 2077が何fps」と断定することはできません。ただし、同じCore Ultra X7 358H+Arc B390を搭載したDell XPS 16のゲームテストを参考にすると、おおよその性能帯は見えてきます。
| ゲーム(Dell XPS 16実測) | Low | High〜Ultra |
|---|---|---|
| Cyberpunk 2077 | 80.4fps | High 56fps/Ultra 48.7fps |
| Baldur’s Gate 3 | 72.3fps | High 55.6fps/Ultra 54.3fps |
| F1 24 | 142.7fps | High 103.4fps/Ultra 36.8fps |
| Black Myth: Wukong | 47fps | High 29fps/Ultra 16fps |
VAIO TのTime Spyスコアが同じB390搭載XPS 16に近いことを踏まえると、製品版でも性能が維持されるなら、フルHD前後で画質を調整すれば多くのゲームを現実的に遊べるクラスと考えられます。Valorantのような軽めのゲームなら性能にはさらに余裕がありそうです。反対に、最新AAAゲームを2560×1600のネイティブ解像度・最高画質・レイトレーシング有効で快適に動かす用途には向きません。Arc B390で重いゲームを遊ぶなら、1920×1200などへレンダリング解像度を下げるか、XeSSなどのアップスケーリングを利用する方が現実的です。
注意「RTX 4050相当」とだけ考えて買うのは危険
Arc B390については、GeForce RTX 4050 Laptop GPUに近い性能という表現を見かけることがあります。合成ベンチマークを見ると、従来の内蔵GPUとは明らかに違う領域へ入っているのは確かです。ただし「RTX 4050と同じゲーム性能」と考えるのはおすすめしません。Arc B390はCPUに統合されたGPUで、専用VRAMではなくシステムメモリを共有します。ゲームごとのドライバー最適化やレイトレーシング性能を含めると、GeForce搭載ゲーミングノートとは特性が異なります。実際、RTX 5050 Laptop搭載機と比較したレビューでも、専用GPU搭載機の方が有意に高速という評価です。Arc B390の強みは、専用GPUを追加せずに薄型・軽量PCでここまで3D性能を高められることにあります。VAIO Tについても「40万円台のゲーミングノート並みのGPU」というより、約1.3kgのビジネスモバイルノートに、軽量ゲーミングPCとしても使えるGPUが入っていると評価した方が実態に近いでしょう。
構成メモリは32GB以上、ディスプレイはゲーミング向けではない
耐久性フリップ機構専用の耐久試験も実施
通常のノートPCよりヒンジが複雑になるため、耐久性が気になる人もいるでしょう。VAIOはVAIO Tについて通常の品質試験に加え、MIL-STD-810Hに基づいた試験を実施しています。さらに今回の独自構造に合わせて「フリップ耐久試験」も追加したと説明しており、製造は長野県安曇野市のVAIO本社工場、最終品質確認の「安曇野FINISH」も実施されます。試験に合格したことが将来の故障を保証するわけではありませんが、特殊なヒンジを追加しただけで従来と同じ試験を済ませているわけではなく、フリップ部分専用の耐久確認を行っている点は安心材料になります。
価格VAIO Tの価格は「43万7800円から」だけではない

VAIO Tの価格は販売形態によって複数あります。ノジマの固定構成モデルはCore Ultra 5 325搭載で43万7800円からですが、2026年11月30日までは発売記念として3万3000円引きの40万4800円からです。一方、VAIOストアのCTOモデルは最小構成37万4800円から、VAIOストア限定の勝色特別仕様は最小構成42万3500円からとなっています。
ゲーム用途で重要なCore Ultra X7 358Hは勝色特別仕様限定です。42万3500円はあくまでモデル全体の最小構成価格なので、X7 358H・メモリ容量・SSD容量・大容量バッテリーなどを選んだ最終価格はさらに上がります。VAIO Tをゲーム目的でも使いたいなら、最低価格より「X7 358Hを選択した状態でいくらになるのか」を見る必要があります。
判断ゲーム目的だけなら40万円をVAIO Tに使う必要はない
2026年9月時点では、マウスコンピューターのG TUNE P6にGeForce RTX 5060 Laptop GPU・16型WQXGA・180Hz液晶を搭載するモデルが23万1,800円から販売されています。携帯性を重視した14型のASUS ROG Zephyrus G14でも、RTX 5060 Laptop GPUと2880×1800・120Hz OLEDを搭載した2026年モデルがASUS Storeで39万9,800円です。ゲーム性能やディスプレイ性能だけで比較するなら、VAIO Tよりこうしたゲーミングノートを選んだ方が合理的です。専用GPUには専用VRAMがあり、ゲーム向け高リフレッシュレートディスプレイも搭載されています。VAIO Tの価値を「40万円台でどれだけFPSが出るか」という物差しだけで測ると、かなり割高に見えます。
VAIO Tが面白いのは、RTX 5060搭載ゲーミングノートの代わりになるからではありません。普段は約1.3kgの13.3型モバイルノートとして使い、仕事では長時間バッテリー・Thunderbolt 4・有線LAN・タッチ操作・フリップディスプレイを活用する。そのPCを出張先へ持っていけば、別途ゲーミングノートを用意しなくてもArc B390でPCゲームまで遊べる。ここにVAIO Tならではの価値があります。大きく重いゲーミングノートを毎日持ち歩きたくない人や、仕事用とゲーム用で2台のノートPCを管理したくない人には面白い構成ですが、自宅でゲームをする時間がほとんどでPCを頻繁に持ち歩かないなら、同じ予算をゲーミングノートやデスクトップPCへ投入した方が高いフレームレートとゲーム向けディスプレイを得られます。
FAQよくある質問
まとめ「仕事もゲームも1台で」に価値を感じるなら個性的な選択肢
VAIO Tは、画面部分だけを反転させる「マルチフリップ機構」を採用した13.3型モバイルPCで、約10年ぶりにVAIOのフリップディスプレイが復活しました。ゲーミングPCの観点で注目したいのはVAIOストア限定の勝色特別仕様で、Core Ultra X7 358Hを選ぶと12基のXeコアを持つArc B390が使え、試作機は3DMark Time Spy 6950を記録しています。これは同じ構成のDell XPS 16(7,436)に約6.5%差まで迫る結果です。
ただしCore Ultra 7 356HとCore Ultra 5 325はArc B390ではないため、「VAIO Tならどれでもゲーム性能が高い」と考えて安価な構成を選ばないよう注意が必要です。ゲーム性能だけを求めるなら20万円台から買えるRTX 5060搭載ゲーミングノートの方が合理的ですが、約1.3kgの高性能モバイルノートとして持ち歩き、その1台だけで仕事もゲームもこなしたい人にとって、Core Ultra X7 358H+Arc B390を搭載したVAIO Tは2026年のモバイルPCの中でもかなり個性的な1台です。



