Panther Lake(Core Ultra 300)は「外付けGPU不要」を実現したか——Arc B390内蔵ゲーミング性能を正直に検証
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Arc B390の実測は「RTX 4050に迫る」が、RTX 5050には届かない
Core Ultra X9 388Hに載る内蔵GPU「Arc B390」は、前世代の内蔵GPUの約1.6〜1.8倍のfpsを出します。一方で、いまノートPCの入門GPUになっているRTX 5050との差は大きいままです。ネイティブ描画では前世代の約1.6〜1.8倍、フレーム生成で100fps超え、15W前後なら上位GPUを上回るのが実測の結果です。
「グラボなしの薄型ノートで、ゲームもそれなりに遊べるのか」。Intelが2026年1月に出したPanther Lake(Core Ultra Series 3)は、この問いに正面から答えようとした世代です。上位のX9・X7には、Xe3コア12基の内蔵GPU「Arc B390」が載りました。
結論から言うと、条件つきで「はい」です。Cyberpunk 2077の1080p Ultraで44.8fps、Baldur’s Gate 3で50.1fpsと、ネイティブ描画でも遊べる水準に入りました。ただしRTX 5050搭載ノート(75.2fps/80.7fps)には届かず、AMDのRyzen AI Max+ 395(92.1fps/99.9fps)には約2倍の差をつけられています。
この世代の強みは、fpsの絶対値よりも、少ない電力で動くことと、フレーム生成を内蔵GPUで使えることにあります。重いゲームをネイティブで遊びたい人は外付けGPU搭載機を、薄さとバッテリーを優先してゲームも遊びたい人はArc B390搭載機を選ぶ、という分け方になります。
出典:Notebookcheck 1080p実測 / Notebookcheck 低消費電力の比較 / PC Gamer 実機テスト / Wccftech ゲーム別fps / Intel公式 Core Ultra Series 3発表 / VideoCardz 搭載モデルの構成
目次
要点先に結論|誰に向いているか
ネイティブの1080p Ultraで44〜50fps。RTX 4050ノートとは同程度(Baldur’s Gate 3)から約2割差(Cyberpunk 2077)、RTX 5050ノートとは約4割差です。XeSSとフレーム生成を使えばCyberpunk 2077で100〜166fpsまで伸びます。
- 持ち運び用の薄型ノートで、RPG・レース・シミュレーションも遊びたい人
- XeSS対応のタイトルを中心に、フレーム生成で滑らかさを稼ぎたい人
- ハンドヘルドなど、15〜20Wの低消費電力で動かす用途
- CS2やVALORANTなど、遅延を嫌う対戦ゲームでfpsを最大にしたい人
- レイトレーシングを使う重量級タイトルをネイティブで遊びたい人
- 型番に「X」が付かないPanther Lakeを選ぼうとしている人(内蔵GPUは4コアで別物)
搭載モデルArc B390が載るのは一部の型番だけ
Panther Lakeの内蔵GPUは、型番によって規模が3段階に分かれます。12コアのArc B390が載るのはCore Ultra X9 388HとX7(368H・358H)です。Core Ultra 5 338Hは10コアのArc B370で、それ以外のPanther Lakeは4コアの内蔵GPUです。購入前に、型番と内蔵GPU名の両方を確認してください。
| 型番 | 内蔵GPU | Xe3コア数 |
|---|---|---|
| Core Ultra X9 388H | Arc B390 | 12 |
| Core Ultra X7 368H/358H | Arc B390 | 12 |
| Core Ultra 5 338H | Arc B370 | 10 |
| Core Ultra 9 386H など「X」なし | 標準のIntel Graphics | 4 |
12コア版の主な仕様は、最大クロック2.5GHz、レイトレーシングユニット12基、L2キャッシュ16MBです。前世代Lunar Lake(Arc 140V)は8コア・最大2.05GHz・L2キャッシュ8MBでした。Intelは発表時に、Core Ultra X9 388HのゲーミングがLunar LakeのCore Ultra 9 288V比で最大77%高速と説明しています(45タイトルの平均、1080p High・対応時は2倍アップスケーリング、Intel測定)。
実測性能1080pネイティブ描画のfps
アップスケーリングを使わない素の描画力は、同じ条件で複数のGPUを並べた測定があります。比較対象のノートはCPUが異なるため完全な同条件ではありませんが、GPUの位置づけを見るには十分です。
| GPU | Cyberpunk 2077 1080p Ultra | Baldur’s Gate 3 1080p Ultra |
|---|---|---|
| Radeon 8060S(Ryzen AI Max+ 395) | 92.1 | 99.9 |
| RTX 5050 搭載ノート | 75.2 | 80.7 |
| RTX 4050 搭載ノート | 53.9 | 51.1 |
| Arc B390(Core Ultra X9 388H) | 44.8 | 50.1 |
| Arc 140V(Lunar Lake) | 28.3 | 28.7 |
| Radeon 890M(Ryzen AI 9 HX PRO 370) | 26.5 | 27.4 |
読み取れることは3つです。前世代の内蔵GPU(Arc 140V・Radeon 890M)に対しては、約1.6〜1.8倍です。RTX 4050ノートに対しては、Baldur’s Gate 3でほぼ並び、Cyberpunk 2077で約17%下回ります。そして現行の入門GPUであるRTX 5050ノートには、Cyberpunk 2077で約6割、Baldur’s Gate 3で約6割にとどまります。
別の実機テストでもCyberpunk 2077(Medium)で64fps、Black Myth: 悟空は39fpsと、同じ傾向でした。Metro Exodus Enhanced EditionだけはRTX 4050搭載機(75W版)をfpsで上回り、ゲームによって順位が入れ替わることも分かります。
RTX 4050 Laptopは消費電力の上限が機種ごとに違います。別のテストで測った75W版はCyberpunk 2077(Medium)で81fps、Arc B390は64fpsでした。表のRTX 4050は上限の低い機種の値なので、「4050級」という言い方は目安として読んでください。
ゲーム別XeSSとフレーム生成を使ったときのfps
Arc B390はXeSS 3のフレーム生成に対応しており、内蔵GPUで2倍から最大4倍の生成を使えます。測定結果では、Cyberpunk 2077(1080p Medium・XeSS Balanced)が生成なしで99.45fps、2倍の生成で165.74fpsでした。生成による伸びは約66%です。
| ゲーム・設定(1080p、Core Ultra X9 388H) | フレーム生成なし | フレーム生成あり |
|---|---|---|
| Cyberpunk 2077 Medium・XeSS Balanced | 99.5fps | 165.7fps(2倍) |
| Assassin’s Creed Shadows Medium・XeSS Balanced | 58fps | 118fps(2倍) |
| Doom: The Dark Ages High・XeSS Balanced | 58.4fps | 97.8fps(2倍) |
| Ghost of Tsushima High・XeSS Balanced | 53fps | 89fps(2倍) |
| Borderlands 4 High・XeSS Balanced 1200p | 50.2fps | 82.2fps(2倍) |
| Battlefield 6 High・XeSS Balanced | 47.5fps | 192fps(4倍) |
フレーム生成なしのfpsを見ると、XeSSを使った1080pで47〜58fps前後のタイトルが多く、MediumからHigh設定で60fpsに届くかどうかが実力です。Forza Horizon 5(High・XeSS Quality)は111fps、F1 25(High・XeSS Balanced)は104fpsと、最適化の進んだレースゲームでは余裕があります。
フレーム生成で表示のfpsは増えますが、操作が画面に反映されるまでの遅延はむしろ増えます。生成なしで50fps前後出ているゲームに2倍の生成を使うのが現実的で、30fps台から無理に引き上げる使い方には向きません。対戦ゲームでは使わないのが基本です。
低消費電力15〜20Wでは、より大きなGPUを上回る
Arc B390の本領は、電力を絞った領域にあります。検証者The Phawxの測定では、Black Myth: 悟空(720p Low)をArc B390が10Wで30fps、15Wで平均46.6fpsで動かしました。同じ15Wで、AMDのRadeon 8060Sは39fpsです。1080pでも15Wでの平均はArc B390が29.3fps、Ryzen AI Max+ 395が22.6fpsでした。
20Wでも僅差でArc B390が上回り、30Wを超えるあたりからRadeon 8060Sが逆転すると報告されています。ハンドヘルドのように15〜25Wで使う機器では、GPUの規模が小さいArc B390のほうが電力あたりの性能で有利になります。一方、Intelが示した27.1時間は、Lenovo IdeaPadの参照設計で測った1080pのNetflix動画再生での値で、ゲームを遊んだときの持続時間ではありません。
その後の展開ハンドヘルドへの展開が始まった
発売から9か月で、Arc B390はノートPCだけでなくハンドヘルドにも広がりました。IntelがArc B390を載せた「Arc G3 Extreme」を2026年5月28日に発表し、第1弾のMSI Claw 8 EX AI+は6月23日にグローバル発売され、国内では7月29日に28万9,800円(税込)で発売されました。
Xe3コアが10基の標準版「Arc G3(Arc B370)」についても、20W動作では上位のArc G3 Extremeとの差が約2%まで縮まるという検証結果があります。電力を絞るほど、コア数を増やした上位版のメリットが小さくなる傾向は、先ほどの低消費電力の結果と同じです。詳しくは関連記事を参照してください。
おすすめArc B390を試せる国内の製品
国内でArc B390を試せる製品として、まずMSI Claw 8 EX AI+が挙げられます。比較対象としては、Ryzen AI Z2 Extreme搭載のROG Xbox Ally Xがあります。
まとめまとめ|「外付けGPU不要」は、遊び方を選べば成り立つ
Arc B390は、ネイティブの1080p Ultraで44〜50fps、XeSSを使えば60fps前後、フレーム生成を足せば100fps超えまで届く内蔵GPUです。前世代の内蔵GPUとは別物の性能ですが、RTX 5050搭載ノートとは約4割の差があり、重量級のタイトルをネイティブで遊ぶ用途では外付けGPU搭載機が必要です。
薄さとバッテリーを優先して、遊ぶゲームがXeSS対応のRPGやレース、シミュレーション中心なら、Arc B390搭載機で十分に遊べます。選ぶときは型番の「X」と内蔵GPUの名前(Arc B390)を確認してください。
Arc B390は「内蔵GPUで遊べる」を実現した最初の世代です。ゲーミングノートの代わりにはなりませんが、15〜25Wで動かすハンドヘルドや薄型ノートでは、いまもっとも有力な選択肢です。






