Samsungが次世代SSD技術BV-NANDを発表|容量58%増は何を意味する?買い替え時期の判断基準を解説【2026年8月】
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容量58%増は何を意味する?買い替え時期の判断基準を解説【2026年8月】
出典:Samsung Semiconductor Global公式発表・Tom’s Hardware。競合のKioxia・Sandisk製NANDとの比較にはTom’s Hardware(Kioxia・Sandisk BiCS10関連)を参照しています。
メモリの新技術というニュースを見ると、今SSDを買っていいのか迷う人は少なくないはずです。ましてSSDは2026年に入ってからNAND型フラッシュメモリの供給不足で値上がりが続いており、いつ・何を買うべきかの判断はもともと簡単ではありません。
Samsungが今回公開したのは、zHBM、zNAND-O、BV-NANDという3つの技術です。共通するのは「ウエハーボンディング」と呼ばれる積層手法で、メモリと演算チップを横に並べるのではなく、別々に製造した半導体を上下に接合します。このうち一般的なM.2 NVMe SSDに最も近いのが、第10世代V-NANDにあたるBV-NANDです。
3つの技術を横並びで均等に紹介しても、ゲーミングPCを使う人にとっての実利は見えにくくなります。この記事では、SSD選びに直結するBV-NANDの中身と将来のSSDへの影響を中心に据え、AIアクセラレーター向けのzHBM・zNAND-Oは要点だけに絞って整理します。
速報Samsungが3つの次世代メモリ技術をFMS 2026で公開
Samsungは2026年8月4日、Future of Memory and Storage(FMS)2026で、zHBM(AI GPU・AIアクセラレーター向け)、zNAND-O(エッジAI・オンデバイスAI向け)、BV-NAND(SSD・ストレージ向け)の3つの次世代メモリ・ストレージ技術を発表しました。いずれも共通するのが「ウエハーボンディング」で、NANDセルや演算チップを別々のウエハーで製造してから貼り合わせる構造です。
第10世代V-NAND(V10)。NANDセルを形成するウエハーとI/O・制御回路を形成するウエハーを別々に作り、後から接合します。ゲーミングPCが使うSSDに直結する技術で、3つの中では最も早く市場投入が見込まれています。
HBMをAIアクセラレーターの真上に積層する次世代HBM構想です。GeForce RTXやRadeon RXといったゲーミングGPUに搭載される技術ではありません。
NANDフラッシュを演算チップのすぐ上に配置する技術です。一般的なM.2 NVMe SSDとは設計思想が異なり、製品化の時期も未定です。
この記事では、上の3つのうちBV-NANDを主役として詳しく解説したうえで、zHBM・zNAND-Oは次のセクションで簡潔にまとめます。
本命BV-NANDとは|第10世代V-NANDの中身
BV-NAND(Bonding V-NAND)は、Samsungの第10世代V-NAND(V10)に使われる新構造です。NANDセルを形成するウエハーと、I/O・制御回路を形成するウエハーを別々に製造し、後から接合します。セルアレイとロジックをそれぞれ最適なプロセスで作れるようになる点が、従来のV-NANDとの大きな違いです。
FMS 2026で披露されたV10 BV-NANDのプロトタイプは400層を超え、面積密度はTLCで28Gb/mm²、最大I/O速度は5,600MT/sに達します。前世代のV9と比較すると、記憶密度は約58%向上しました。この密度向上は、単に層を積み増しただけでなく、セルとロジックを別ウエハーにすることで達成されています。
ただし、「層数が多いほど密度が高い」とは限りません。同じFMS 2026では、KioxiaとSandiskも332層の次世代NAND「BiCS10」を公開しています。
面積密度はTLCで28Gb/mm²、最大I/O速度は5,600MT/s。前世代V9比で記憶密度は約58%向上しています。
TLCで面積密度29Gb/mm²超、QLCでは37Gb/mm²超。インターフェースは最大4,800MT/sで、いずれもデータセンター向けPCIe 5.0・6.0 SSDを主なターゲットとしています。
BiCS10はSamsung V10より層数が少ないにもかかわらず、TLCの面積密度では上回っています。層を積む効率(1層あたりの密度)や製造プロセス、後工程の技術によって最終的な密度は変わるため、「400層」という数字の大きさだけで最高性能と判断しない方がよいでしょう。
Samsungはさらに、チャネルホールの形成に−70℃以下の低温エッチング設備を採用するなど、量産に向けた製造技術も並行して開発しています。それでも、2026年8月時点で「990 PROや9100 PROの特定の後継製品がBV-NANDを搭載する」といった正式な製品発表はまだありません。海外の専門メディアも、zHBMとzNAND-Oが実用化まで数年単位を要するのに対し、400層クラスのBV-NANDは比較的近い将来に市場投入されるとの見方を伝えています。
前提zHBM・zNAND-Oは何のための技術か
zHBMは、GPUの横に配置されていたHBMを、AIアクセラレーターの真上へ垂直に積層する次世代HBM構想です。Samsungは将来の次世代インターフェースにzHBMを組み込むことで、HBM5比で性能約8倍、メモリ密度10倍超、エネルギー効率3倍、熱抵抗50%超の低減を目指すとしています。ただし、これらはすべて概念モデル段階の目標値で、確定した製品・顧客・量産スケジュールは公表されていません。GPUの真上にDRAMを積層する構造は冷却の難易度が上がりやすく、Samsungも電力供給や広帯域インターフェースの設計を今後の課題としています。
Samsungはすでにより高速なHBM4を量産しており、その先の世代であるHBM4Eも開発を進めています(詳しくはSamsung HBM4E 12層サンプル出荷に関する既報で解説しています)。zHBMはこのさらに先を見据えた技術で、当面はGeForce RTXやRadeon RXなどゲーミングGPUに搭載される見込みはありません。HBM自体が現状AIアクセラレーター向けに偏っている背景は、AMD×Samsung HBM4契約の解説記事でも詳しく取り上げています。
zNAND-Oは、NANDフラッシュを演算チップのすぐ上に配置する技術で、V-NAND技術をベースに4層・8層版が開発されています。高い空間効率とI/O性能、低遅延を両立させ、リアルタイム処理が求められるエッジAI向けに最適化されている点が特徴です。PCIe経由で接続する一般的なM.2 NVMe SSDとは設計思想が異なり、こちらも製品化時期は未定です。
将来性BV-NAND世代のSSDでゲーミングPCはどう変わるか
BV-NANDが実際にコンシューマー向けSSDへ搭載された場合、ゲーミングPCへの影響として期待できる点と、過度な期待は禁物な点の両方があります。
- 密度が上がることで、同じ基板面積でもより大容量のNANDを搭載しやすくなる
- セルとロジックを別ウエハーで最適化できるため、電力効率が改善する余地がある
- PCIe 5.0・6.0世代の高速SSDに使われる可能性がある
- ゲームのロード時間が劇的に短くなるとは限らない(Gen4とGen5の実測比較でも差は小さいケースが多い)
- コンシューマー向けSSDでの具体的な消費電力・発熱データはまだ存在しない
- 新世代NANDが登場した直後に、SSD価格がすぐ下がるとは限らない
ロード時間はSSDの転送速度だけで決まるわけではなく、CPUによる展開処理やゲームエンジン側の作り込みにも左右されます。BV-NAND世代のSSDが登場しても、体感できるロード時間の短縮幅は限定的になる可能性が高いと考えておいた方が現実的です。一方で、容量面のメリットは比較的分かりやすく出やすい部分です。大型ゲームの容量が増え続け、NAND価格の高騰が続く2026年の状況を踏まえると、将来的に2TB・4TB・8TBのSSDを今より作りやすくなる可能性はあります。
結論2026年にSSDを買うなら待つ必要はない
今SSDが必要なら、BV-NAND搭載SSDの登場を待って購入を先延ばしにする必要はありません。ゲーム用途では、現行のPCIe Gen4の高速SSDでも十分な性能があります。Gen5はシーケンシャル性能こそ高いものの、実際のロード時間差は小さいことが多く、限られた予算であれば容量と価格を優先した方が満足度が高くなりやすいのが実情です。
2026年のゲーム容量を踏まえると、512GBよりは1TB、余裕があれば2TB以上を選んでおきたいところです。BV-NAND搭載SSDが一般販売され、価格と実測性能が判明した段階で、そのときはじめて買い替え候補として比較検討すれば十分間に合います。
見通しAI需要とメモリ価格の関係
Samsungがこうした次世代技術に力を入れる背景には、AI向けメモリ需要の急増があります。AIの利用がモデルの学習だけでなく、ユーザーからの問い合わせに応答する推論処理にまで広がったことで、高容量NANDへの需要が増えていると報じられています。
AI向けのHBMやエンタープライズ向けSSDへ製造能力が優先的に振り向けられれば、DDR5やGDDR、コンシューマー向けNANDの供給や価格にも影響が及ぶ可能性があります。実際、2026年のメモリ・SSD市場は値上がり傾向が続いており、この先の価格動向についてはGartner予測を基にした買い時カレンダーの記事で詳しく整理しています。次世代NANDが発表されたからといって、コンシューマー向けSSDの価格がすぐに下がるとは限らない点は押さえておきたいところです。
総括まとめ|BV-NANDは覚えておきたいが買い替えを急ぐ必要はない
Samsungが公開したzHBM、zNAND-O、BV-NANDは、いずれもウエハーボンディングという同じ製造思想から生まれた技術ですが、ゲーミングPCへの関わり方はそれぞれ異なります。
zHBMはAIアクセラレーター向けの構想段階の技術で、GeForce RTXやRadeon RXなどゲーミングGPUに載る見込みはありません。zNAND-Oも製品化時期が未定のエッジAI向け技術です。3つの中でゲーミングPCに最初に影響しそうなのは、第10世代V-NANDとして製品化が進むBV-NANDで、面積密度28Gb/mm²・I/O速度5,600MT/s・V9比で密度約58%増という数値が示されています。
それでも、ゲーム用途では現行のGen4 SSDで十分な性能があり、新技術の登場を理由にPC購入やパーツ交換を先延ばしにする必要はありません。BV-NAND搭載SSDが一般販売され、価格と実測性能が明らかになったタイミングで、あらためて買い替えを検討すれば十分です。




