SSD不足は2027年にどうなる? Silicon Motion幹部「悪化」TrendForce「後半に緩和」で予測が真っ二つ
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Silicon Motion幹部「悪化」・TrendForce「後半に緩和」で予測が真っ二つ
NANDコントローラー大手Silicon MotionのSVP Nelson Duann氏は、クライアント・車載ストレージ部門を統括する立場からのインタビューで、NAND供給の70〜80%が今後データセンター向けに割り当てられる可能性があり、2027年は2026年よりも厳しくなると語りました。
ところが同じ2027年について、市場調査会社TrendForceは2026年7月21日、後半には供給が需要を上回り逼迫が緩和へ向かうと発表しています。NAND供給網の内側にいる企業幹部と、市場全体をビット単位でモデル化する調査会社で、見立てが正反対になっています。
「SSDの値上がりはいつまで続くのか」という問いに、業界の内側からも正反対の答えが返ってきています。NANDの供給網に近い半導体企業の幹部は「2027年はもっと悪化する」と語り、大手市場調査会社は同じ年について「後半には緩和する」と予測しました。
本記事では、NANDコントローラー大手Silicon Motion幹部Nelson Duann氏の発言と、TrendForceが2026年7月21日に発表した最新の需給予測を、それぞれの根拠まで踏み込んで整理します。
日本国内のNVMe SSD実勢価格やブランド別の供給状況は継続更新中の別記事に譲り、本記事では「なぜ2027年の見通しがここまで割れるのか」という対立の構造と、ゲーミングPC向けSSDを今買うか待つかの判断材料に絞って掘り下げます。
Silicon Motion幹部の警告|NAND供給の70〜80%がデータセンターへ
Silicon MotionはNAND/SSDメーカー向けにコントローラーを供給する半導体企業で、来年投入予定のコンシューマー向けPCIe 6.0 SSDコントローラーについて語ったインタビューの中で、Duann氏はNAND供給網の先行きについても踏み込んだ発言をしています。
- 供給先の優先順位|データセンターが最優先で確保し、スマートフォン・PCが次点、需要が伸びている自動車向けもなお後回しにされやすい配分構造
- データセンター向け配分|NAND供給の70〜80%がデータセンターに回る可能性。残る20〜30%をスマートフォン・PC・車載などが分け合う計算になる
- 2027年の見通し|AIデータセンターが取り分をさらに拡大するため、2027年は2026年よりも厳しくなる
- 背景|AIサーバーはGPUやHBMだけでなく、学習データ・推論結果・KVキャッシュの保存用に大容量のエンタープライズSSDを大量導入している
TrendForce新予測|2027年後半にNAND需給が逆転する
2026年7月21日、TrendForceはNANDフラッシュの需給予測を更新し、2026年はなお供給不足が続くものの、2027年後半には供給が需要を上回るという見通しを発表しました。
- 2026年通期|4〜5%の供給不足が継続し、逼迫した状態が続く見通し
- 2027年前半|高止まりが続く見通しで、緩和はまだ視野に入らない
- 2027年後半|需給バランスがプラスに転じ、供給が需要を上回る見通し
- 供給側の要因|微細化などプロセス更新によるビット増産に加え、中国メーカーの増産で2027年に世界のNANDビット生産の約19%に達する見込み
- 需要側の要因|スマートフォン生産は前年比15〜20%減、ノートPC出荷も約10%減とみられ、消費者向けの需要そのものが鈍化する
一方でサーバー出荷は前年比17%増と伸びが続き、TrendForceの集計ではサーバーが全NAND需要の40%超、スマートフォンとノートPCを合わせても約40%という構造になっています。同じTrendForceが2026年3月31日に公開した別のレポートでは、2026年第2四半期のNAND契約価格が前四半期比70〜75%上昇する見通しに加え、エンタープライズSSDは2026年に明確な不足が見込まれるとも指摘されていました。2027年後半の緩和予測は、あくまでこうした高止まり局面を経た先の話になります。
対立の構造なぜ予測が割れるのか|取引先の実感 vs 市場全体モデル
同じ2027年について「悪化」と「緩和」という正反対の言葉が出てくるのは、両者が見ている対象と時間軸が異なるためです。
- 視点NAND/SSDメーカー向けにコントローラーを供給する立場からの取引実感
- 見ている対象主要顧客の発注傾向・アロケーションの変化
- 時間軸直近の受注動向の延長線で2027年を見立てる
- 性質特定企業の視界から見た業界予測で、市場全体の確定統計ではない
- 結論の方向データセンター優先配分が続き、悪化が継続
- 視点供給側(増産計画・プロセス更新・新興メーカー)と需要側(スマホ・PC・サーバー)を積み上げたモデル
- 見ている対象業界全体のビット単位の供給量と需要量
- 時間軸四半期ごとに更新される定量予測
- 性質供給拡大要因と需要鈍化要因の両方を織り込む市場モデル
- 結論の方向市場全体では2027年後半に需給が逆転
この2つの予測は、必ずしも矛盾しているわけではありません。TrendForceが示す「需給の逆転」は市場全体のビット単位の話で、その中でAI・データセンター向けの取り分がさらに拡大し続けても成立し得ます。つまり市場全体では供給が需要に追いつく一方、コンシューマー向け機器メーカーから見た配分比率は悪化し続けるという両立が起こり得るということです。実際、TrendForce自身も2026年3月31日の時点で「エンタープライズSSDは2026年に明確な不足」と指摘しており、優先度の低いコンシューマー向けから先に供給が絞られるという構図自体は、両者で共通しています。
供給拡張の時期新工場の稼働時期|緩和も2027年後半以降が現実的な視野
TrendForceが示す「2027年後半の緩和」がどの程度現実的かを見るために、主要NANDメーカー各社の新工場計画を確認します。
各社の計画を横断すると、最も早いKioxiaのBiCS10量産(2027年目標)やMicronのシンガポール新棟(2028年後半にウェハ出荷)が先行し、Samsung・SK Hynixの新ファブは2029年前後にずれ込む見通しです。TrendForceが示す「2027年後半の緩和」は、この中でも最速シナリオに近い数字だと分かります。
実務への影響ゲーミングPCへの影響|1TBが標準に戻る可能性とPCIe 5.0を急がない理由
2つの予測のどちらに転んでも、少なくとも2027年前半までは供給が緩まないという点は共通しています。ゲーミングPC向けSSDを選ぶうえで、実務的に押さえておきたいポイントを整理します。
判断基準買うか待つか|判断基準の整理
今のうちに確保買うべき人
- 近いうちにPCを組む予定がある人
- 1TBクラスで妥協できる人(価格を抑えやすい)
- 2027年前半まで高止まりが続く前提で動きたい人
- BTOでSSD込みの構成を検討している人
様子見も選択肢待てる人
- 2TB以上の大容量にこだわり、無理はしたくない人
- TrendForceの2027年後半緩和予測に賭けて待てる人
- 既存PCで当面は運用を継続できる人
- Silicon Motionの悪化シナリオ通りに進んだ場合のリスクも織り込める人
参考今の相場で選べる1TB NVMe SSD
逼迫局面が続く間は、無理に大容量を狙わず1TBクラスで確保しておくのが現実的な選択です。価格帯の異なる2本をピックアップしました。
NANDコントローラー大手Silicon Motion幹部Duann氏は、NAND供給の70〜80%が今後データセンター向けに割り当てられる可能性があり、2027年は2026年よりも厳しくなると語りました。一方TrendForceは2026年7月21日、2026年はなお4〜5%の供給不足が続くとしつつ、2027年後半には需給が逆転し逼迫が緩和するという予測を発表しています。
2つの予測が食い違って見えるのは、Duann氏の発言が自社の取引先を通じた実感ベースの業界予測であるのに対し、TrendForceの予測は供給拡大要因と需要鈍化要因を積み上げた市場全体のビット需給モデルだからです。市場全体では供給が需要に追いつく一方、AI・データセンター向けの配分比率がその中でさらに拡大し続けても矛盾はしません。主要NANDメーカー各社の新工場計画を見ても、増産効果が出始めるのは早くて2027年後半から2028年というのが実情で、TrendForceの緩和予測はその中でも最速シナリオに近い数字です。
ゲーミングPC向けSSDを選ぶうえでは、少なくとも2027年前半までは逼迫が続くという前提で動くのが無難です。近いうちにPCを組む予定があるなら、無理に大容量を狙わず1TBクラスで早めに確保する判断が現実的。待てる余地がある人は、TrendForceが示す2027年後半の緩和シグナルを見ながらタイミングを計るのがよいでしょう。




