SSD不足は2027年に解消する?Micron「2028年も供給制約」、TrendForceは「後半に緩和」【2026年10月】
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Micron「2028年も供給制約」・TrendForce「2027年後半に緩和」で割れる予測【2026年10月】
NANDを量産するMicronは2026年9月30日(米国時間)の決算説明会で、SSDに使われるNANDの業界全体の出荷量が2027年・2028年とも20%台半ばで伸びるとしたうえで、両年とも供給制約が続くとの見通しを示しました。7月にはNANDコントローラー大手Silicon Motionの幹部も、2027年は2026年より厳しくなると語っています。
反対に、市場調査会社TrendForceは7月21日に「2027年後半には供給が需要を上回り、逼迫が和らぐ」と予測し、7月30日の別のレポートでも同じ見立てを示しました。メーカー側の2社と調査会社で、2027年の見方がはっきり分かれています。
出典:Micron公式|2026年度第4四半期決算・Micron決算説明会の原稿(PDF)・Tom’s Hardware・TrendForce|2027年NAND需給予測(7月21日)・TrendForce|2027年メモリ市場見通し(7月30日)・TrendForce|2026年10〜12月の契約価格予測(9月30日)
「SSDの値上がりはいつまで続くのか」という問いに、業界の内側からも正反対の答えが返ってきています。NANDを量産するMicronとNANDコントローラー大手Silicon Motionは2027年を今年より厳しいとみており、大手市場調査会社TrendForceは同じ2027年について「後半には緩和する」と予測しています。
MicronとTrendForceは、2027年にNANDの供給の伸びが2026年より大きくなる点では一致しています。分かれているのは、AIデータセンター向けのSSD需要がその増産分を上回り続けるかどうかの見積もりです。
1年以内にSSDを買う、またはPCを組む予定があるなら、値下がりを待つ根拠は見当たりません。TrendForceの緩和予測どおりに進んでも効いてくるのは2027年後半からで、2026年10〜12月のNANDの契約価格も前四半期比15〜20%上がる見通しです。
目次
最新の決算Micronは2027・2028年もNANDの供給制約が続くと説明
Micronは2026年9月30日(米国時間)、2026年度第4四半期の決算を発表しました。決算説明会の市場見通しでは、DRAMとあわせてNANDについても、2027年と2028年は業界全体が供給制約の状態にとどまるとしています。
- 需給|メモリとストレージの需給は2027年・2028年に2026年よりはるかに逼迫し、NAND業界は両年とも供給制約が続く
- 業界のNAND出荷量の伸び|2026年は20%台前半(従来の想定をやや上回る)、2027年・2028年は20%台半ば
- 新工場|シンガポールのNAND新工場は2028年後半に出荷を始める予定。新工場の生産は出荷開始から数四半期たって本格的に効いてくる
- データセンター向けSSD|第4四半期の売上は100億ドル近くで前年同期の10倍超。MicronのNAND売上の3分の2を超えた
- NANDの価格|第4四半期のMicronのNAND平均販売価格は前四半期比で約30%上昇
注目したいのは出荷量の伸びです。2026年の20%台前半から、2027・2028年は20%台半ばへと、供給の伸びはむしろ大きくなります。それでもMicronが供給制約が続くとみるのは、需要の伸びがそれを上回ると見ているためです。具体的には、AIの推論で使うKVキャッシュをSSDへ逃がす用途と、データセンターのHDDをSSDに置き換える動きが、SSDの市場を広げていると説明しています。
Silicon MotionのDuann氏が語った「データセンターが優先される配分」も、Micronの数字と同じ方向を指しています。MicronのNAND売上のうちデータセンター向けSSDが3分の2を超えたことは、売上ベースではすでにNANDの大半がデータセンターへ向かっていることを示しています。ただし、これは金額の比率で、出荷したビット数の比率ではありません。
Micronは決算説明会で「需給がいつ均衡に戻るかは見通せていない」とも述べていますが、これはクリーンルームの不足を説明したDRAMの段落での発言です。公開された説明会の原稿でNANDについて示されているのは「2027・2028年は供給制約が続く」までで、2029年以降には触れていません。DDR5の見通しと買い時はメモリ不足はいつまで続くかを大手3社の決算から読む記事もあわせて確認してください。
なお、Micronはメモリを売る側で、需給が引き締まるという見通しを示すほど価格交渉で有利になる立場にあります。新工場の時期や出荷量の伸びといった計画の数字と、「逼迫が続く」という評価は分けて読む必要があります。
Silicon Motion幹部の警告|NAND供給の70〜80%がデータセンターへ
Silicon MotionはNAND/SSDメーカー向けにコントローラーを供給する半導体企業で、来年投入予定のコンシューマー向けPCIe 6.0 SSDコントローラーについて語ったインタビューの中で、Duann氏はNAND供給網の先行きについても踏み込んだ発言をしています。
- 供給先の優先順位|データセンターが最優先で確保し、2番手がスマートフォン、3番手がPC、需要が伸びている自動車向けが最後回しにされやすい配分構造
- データセンター向け配分|NAND供給の70〜80%がデータセンターに回る可能性。残る20〜30%をスマートフォン・PC・車載などが分け合う計算になる
- 2027年の見通し|AIデータセンターが取り分をさらに拡大するため、2027年は2026年よりも厳しくなる
- 背景|AIサーバーはGPUやHBMだけでなく、学習データ・推論結果・KVキャッシュの保存用に大容量のエンタープライズSSDを大量導入している
70〜80%という数字は、Silicon Motionが自社の取引先の発注動向から見立てた業界予測であり、世界のNAND需要を網羅的に集計した確定統計ではありません。同社はNAND/SSDメーカー向けにコントローラーを供給する立場のため、主要顧客がどれだけデータセンター向けに舵を切っているかという実感が色濃く反映された数字と捉える必要があります。
TrendForce新予測|2027年後半にNAND需給が逆転する
2026年7月21日、TrendForceはNANDフラッシュの需給予測を更新し、2026年はなお供給不足が続くものの、2027年後半には供給が需要を上回るという見通しを発表しました。
- 2026年通期|4〜5%の供給不足が継続し、逼迫した状態が続く見通し
- 2027年前半|高止まりが続く見通しで、緩和はまだ視野に入らない
- 2027年後半|需給バランスがプラスに転じ、供給が需要を上回る見通し
- 供給側の要因|微細化などプロセス更新によるビット増産に加え、中国メーカーの増産で2027年に世界のNANDビット生産の約19%に達する見込み
- 需要側の要因|スマートフォン生産は前年比15〜20%減、ノートPC出荷も約10%減とみられ、消費者向けの需要そのものが鈍化する
一方でサーバー出荷は前年比17%増と伸びが続き、TrendForceの集計ではサーバーが全NAND需要の40%超、スマートフォンとノートPCを合わせても約40%という構造になっています。同じTrendForceが2026年3月31日に公開した別のレポートでは、2026年第2四半期のNAND契約価格が前四半期比70〜75%上昇する見通しに加え、エンタープライズSSDは2026年に明確な不足が見込まれるとも指摘されていました。2027年後半の緩和予測は、あくまでこうした高止まり局面を経た先の話になります。
TrendForceは7月30日に公開したメモリ市場全体の2027年見通しでも、NANDは高層化した製品への移行と新工場の立ち上がりで供給の伸びが2026年を大きく上回り、2027年後半には供給に余裕が出て価格に下げ圧力がかかるとしました。同じレポートでDRAMは2027年に需給の差がさらに広がるとしており、NANDとDRAMで見通しを分けているのがTrendForceの特徴です。
直近の価格について、TrendForceは9月30日に2026年第4四半期(10〜12月)の予測を出しています。NAND全体の契約価格は前四半期比15〜20%の上昇で、上げ幅は用途によって大きく異なります。
- NAND全体|契約価格は前四半期比15〜20%上昇
- エンタープライズSSD|メモリ製品の中で唯一、前の四半期より値上がりのペースが速まる。増産分の大半はすでに納入先が決まっており、市場に出回る量は少ない
- PC向けSSD(クライアントSSD)|PCメーカーは上半期に積んだ在庫で10〜12月の出荷をまかなえるため、NANDメーカーは値上げ幅を抑える姿勢
- PCメーカーの動き|部品代を抑えるため、主力モデルに載せるSSDの容量を減らしている
- NANDウェハー|価格は過去最高の水準に達し、小売の流通が吸収しきれなくなりつつある
PC向けSSDの上げ幅が抑えられるのは、PCメーカー側に在庫があり買い増しが少ないためで、供給が緩んだからではありません。もう一つの「主力モデルのSSD容量を減らす」動きは、BTOパソコンや完成品PCを買う人に直接関わります。同じ価格帯の後継モデルでも、標準構成のSSD容量が前のモデルより減っていないか、構成表で確かめておく必要があります。
対立の構造なぜ予測が割れるのか|取引先の実感 vs 市場全体モデル
同じ2027年について「悪化」と「緩和」という正反対の言葉が出てくるのは、両者が見ている対象と時間軸が異なるためです。
- 視点NAND/SSDメーカー向けにコントローラーを供給する立場からの取引実感
- 見ている対象主要顧客の発注傾向・アロケーションの変化
- 時間軸直近の受注動向の延長線で2027年を見立てる
- 性質特定企業の視界から見た業界予測で、市場全体の確定統計ではない
- 結論の方向データセンター優先配分が続き、悪化が継続
- 視点供給側(増産計画・プロセス更新・新興メーカー)と需要側(スマホ・PC・サーバー)を積み上げたモデル
- 見ている対象業界全体のビット単位の供給量と需要量
- 時間軸四半期ごとに更新される定量予測
- 性質供給拡大要因と需要鈍化要因の両方を織り込む市場モデル
- 結論の方向市場全体では2027年後半に需給が逆転
この2つの予測は、必ずしも矛盾しているわけではありません。TrendForceが示す「需給の逆転」は市場全体のビット単位の話で、その中でAI・データセンター向けの取り分がさらに拡大し続けても成立し得ます。つまり市場全体では供給が需要に追いつく一方、コンシューマー向け機器メーカーから見た配分比率は悪化し続けるという両立が起こり得るということです。実際、TrendForce自身も2026年3月31日の時点で「エンタープライズSSDは2026年に明確な不足」と指摘しており、優先度の低いコンシューマー向けから先に供給が絞られるという構図自体は、両者で共通しています。
9月末に出たMicronの見通しは、この構図にもう一つの視点を加えます。MicronはNANDを自ら量産し、顧客と引き取り保証付きの複数年契約を結んでいるメーカーです。そのMicronが、2027年に供給の伸びが大きくなる点はTrendForceと同じく認めたうえで、それでも需要が上回るとみています。予測が割れているのは増産のペースではなく、AIデータセンター向けのSSD需要がどこまで伸びるかの見積もりだということです。
供給拡張新工場の稼働時期|緩和も2027年後半以降が現実的な視野
TrendForceが示す「2027年後半の緩和」がどの程度現実的かを見るために、主要NANDメーカー各社の新工場計画を確認します。
各社の計画を横断すると、最も早いKioxiaのBiCS10量産(2027年目標)やMicronのシンガポール新棟(2028年後半にウェハ出荷)が先行し、Samsung・SK Hynixの新ファブは2029年前後にずれ込む見通しです。TrendForceが示す「2027年後半の緩和」は、この中でも最速シナリオに近い数字だと分かります。
Micronは、新工場の生産は出荷開始から数四半期たって本格的に効いてくると説明しています。2028年後半に出荷を始めるシンガポール新棟が供給を大きく押し上げるのは、2029年に入ってからになる計算です。
実務ポイントゲーミングPCへの影響|1TBが標準に戻る可能性とPCIe 5.0を急がない理由
Micron・Silicon Motion・TrendForceのどの見通しに沿って進んでも、少なくとも2027年前半までは供給が緩まないという点は共通しています。ゲーミングPC向けSSDを選ぶうえで、実務的に押さえておきたいポイントを整理します。
見極め方買うか待つか|判断基準の整理
今のうちに確保買うべき人
- 近いうちにPCを組む予定がある人
- 1TBクラスで妥協できる人(価格を抑えやすい)
- MicronやSilicon Motionの見通しどおり、2027年も逼迫が続く前提で動きたい人
- BTOでSSD込みの構成を検討している人
様子見も選択肢待てる人
- 2TB以上の大容量にこだわり、無理はしたくない人
- 1年以上先まで待て、TrendForceの2027年後半の緩和に賭けられる人
- 既存PCで当面は運用を継続できる人
- Micronの見通しどおり2028年まで逼迫が続いた場合のリスクも織り込める人
待つ場合は、四半期ごとに出る2つの情報を見てください。1つはTrendForceの契約価格予測で、PC向けSSDが「上昇」から「横ばい」「下落」に変わるかどうか。もう1つはMicronの次の決算(例年12月)で、NANDについて「供給制約が続く」という見通しが変わるかどうかです。どちらも変わらないうちは、店頭で一部の製品が値下がりしても、流れが変わったとは言えません。
参考今の相場で選べる1TB NVMe SSD
逼迫局面が続く間は、無理に大容量を狙わず1TBクラスで確保しておくのが現実的な選択です。価格帯の異なる2本をピックアップしました。
SSDに使われるNANDの不足について、2027年の見通しは割れています。Micronは9月30日の決算説明会で2027・2028年とも供給制約が続くとし、Silicon Motion幹部のDuann氏も、NAND供給の70〜80%がデータセンターに回る可能性を挙げて2027年は2026年より厳しくなると語りました。一方TrendForceは、2027年後半には需給が逆転し逼迫が和らぐという予測を7月に2度示しています。
MicronとTrendForceは、2027年に供給の伸びが大きくなる点では一致しています。分かれているのは、KVキャッシュの保存やHDDの置き換えといったデータセンター向けのSSD需要が、その増産分を上回り続けるかどうかです。主要メーカーの新工場が効き始めるのは早くても2027年後半から2028年で、Micronのシンガポール新棟の出荷開始も2028年後半です。
ゲーミングPC向けSSDは、少なくとも2027年前半までは逼迫が続く前提で動くのが無難です。2026年10〜12月もNANDの契約価格は上がる見通しで、近いうちにPCを組む予定があるなら、無理に大容量を狙わず1TBクラスで早めに確保する判断が現実的です。待てる人は、TrendForceの四半期ごとの価格予測とMicronの次の決算で見通しが変わるかを確かめてから動いてください。





