GPD WIN 5にRyzen AI Max+ 388版追加|Radeon 8060Sは40CU維持、395版よりゲーム向け?
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Radeon 8060Sは40CU維持、395版よりゲーム向け?
出典:VideoCardz「GPD WIN 5 adds Ryzen AI Max+ 388 with full Radeon 8060S GPU for $1,722」、AMD公式Ryzen AI Max+ 388製品ページ、同Ryzen AI Max+ 395製品ページ、GPD公式WIN MAX 3実機比較、同WIN 5「385 vs 395」比較、リンクスインターナショナル国内正規販売ページにもとづきます。
GPDの高性能ポータブルゲーミングPC「GPD WIN 5」に、AMD Ryzen AI Max+ 388を搭載した新モデルが追加されました。海外メディアの報道によると構成はRyzen AI Max+ 388、32GB LPDDR5X、1TB SSDで1,722ドル。送料は別途30ドルかかります。出荷は9月末を予定しているとのことです。9月19日時点の為替レート(156.85円/ドル)で単純換算すると約27万円ですが、この価格は米国向けの案内であり、日本から購入した場合の最終価格とは異なります。
今回のモデルで注目したいのは、単純にCPUを下位モデルへ変更して安くしたわけではない点です。Ryzen AI Max+ 388のCPUは8コア16スレッドですが、内蔵GPUには最上位Ryzen AI Max+ 395と同じ「Radeon 8060S」を搭載しています。40基のCompute Unitと最大2.9GHzというGPU仕様まで共通です。これまでGPD WIN 5で8コアCPUを選ぶと、GPUも32CUのRadeon 8050Sへ下がるRyzen AI Max 385しかありませんでした。つまり今回の388版は、「16コアまでは必要ないが、Radeon 8060Sの性能は欲しい」というゲーマーにとって、これまで存在しなかった中間グレードになります。

目次
仕様Ryzen AI Max+ 388は「CPUだけ半分、GPUは395と同じ」
GPD WIN 5で選択できる主要3CPUを比較すると、388の立ち位置が分かりやすくなります。
| CPU | Ryzen AI Max+ 395 | Ryzen AI Max+ 388 |
|---|---|---|
| CPU構成 | 16コア32スレッド | 8コア16スレッド |
| 最大ブースト | 5.1GHz | 5.0GHz |
| GPU | Radeon 8060S・40CU・2.9GHz | Radeon 8060S・40CU・2.9GHz |
| キャッシュ | L2 16MB+L3 64MB | L2 8MB+L3 32MB |
| Package Die数 | 3(CCD×2+IOD) | 2(CCD×1+IOD) |
※参考としてRyzen AI Max 385はCPUが8コア16スレッド(388と同じ)、GPUがRadeon 8050S・32CU・2.8GHzに縮小されます。
AMD公式仕様でも、388と395のRadeon 8060Sは40CU・最大2.9GHzで共通です。一方、旧来の385はRadeon 8050Sとなり、32CU・最大2.8GHzへ縮小されます。CPUだけを見ると388は385に近く、GPUだけを見ると395と同じです。そのためRyzen AI Max+ 388は、「Ryzen AI Max 385の強化版」というより、むしろ「Ryzen AI Max+ 395からCPUコアだけ減らしたモデル」と考えた方が実態に近いでしょう。
さらにAMDの仕様表を見ると興味深い違いがあります。Ryzen AI Max+ 395のPackage Die Countは3なのに対し、Ryzen AI Max+ 388は2です。395は最大16コアを実現するため2基のZen 5 CPUダイ(CCD)を持つ一方、388は8コアなのでCCDが1基少ない構成になっています。それでも巨大なRadeon 8060Sを内包するI/Oダイ側は残っています。つまり388では、ゲーム性能に直接影響しやすい40CUのGPUを削らず、マルチコアCPU性能側を削ることで製品価格を下げていると見ることができます。ハンドヘルドゲーミングPCとしては、かなり理にかなった削り方です。
実測8コアになってもゲーム性能は大きく落ちない可能性がある
では、Ryzen AI Max+ 395からCPUコア数を半分にすると、ゲーム性能も大きく落ちるのでしょうか。現時点では「GPD WIN 5の388版」と「395版」を同じ筐体・同じ設定で比較した正式なベンチマークは確認できません。ただし、Ryzen AI Max+ 388を搭載するGPD WIN MAX 3の試作機を使った比較データがあり、388のゲーム性能を予想する材料にはなります。
| テスト(1080p・75W) | WIN MAX 3 Ryzen AI Max+ 388 | WIN 5 Ryzen AI Max+ 395 |
|---|---|---|
| 3DMark Time Spy | 10,960 | 10,541 |
| Forza Horizon 5 | 230fps | 234fps |
| Cyberpunk 2077 | 129.33fps | 127.57fps |
| Cinebench 2024 Multi | 976 | 1,511 |
| Geekbench 6 Multi | 14,620 | 17,996 |
※GPD公式のWIN MAX 3レビューに掲載された実測値にもとづきます。
結果はかなり特徴的です。CPUのマルチコア性能では16コアの395が明確に高速ですが、3DMarkや実ゲームになると388と395の差がほとんどありません。Cyberpunk 2077では、このテストに限れば388搭載機の方がわずかに高い結果さえ出ています。もちろん、これは「388が395より速い」という意味ではありません。WIN MAX 3はWIN 5とは筐体や冷却設計が異なり、しかもテスト機は製品版ではなく試作機です。ドライバーや電力制御も完全に同条件とは言えないため、CPUそのものの性能比較として数字を直接扱うことはできません。それでも、Radeon 8060Sをそのまま搭載する388が「395から大幅にゲーム性能を落とした廉価版」ではないことを示す材料としては興味深い結果です。
傍証385と395の既存比較を見ると「GPUを残した388」がさらに面白い
GPD WIN 5では、すでにRyzen AI Max 385とRyzen AI Max+ 395の実機比較も行われています。最大75WまでTDPを揃えたテストでは、Cinebench 2024のマルチコア性能で395が385を47%上回る一方、ゲーム性能の差はそれほど大きくありませんでした。Cyberpunk 2077では55W・75Wとも約7%差、Shadow of the Tomb Raiderでは約10%差です。Forza Horizon 5では75W時に約8%差でした(TDPが上がるほど395有利になる傾向があり、55W時点では約22%差まで開いています)。
しかもこの比較では、385側のGPUは32CUのRadeon 8050Sです。今回の388は8コア16スレッドというCPU構成こそ385と同じですが、GPUが40CUのRadeon 8060Sへ強化されています。このことを考えると、388版WIN 5では385より395にかなり近いゲーム性能になる可能性があります。特にCyberpunk 2077のようにGPU負荷が大きいAAAタイトルでは、395の16コアCPUより「Radeon 8060Sを搭載しているかどうか」の方が性能差へ強く影響する場面が増えるはずです。逆に、CPU負荷が非常に高いゲームやエミュレーター、ゲームをしながら配信・エンコード・コンパイルなどを同時に行う用途では、16コア32スレッドの395が有利になります。
電力ハンドヘルドでは16コアを使い切るよりGPUへ電力を回したい
Ryzen AI Max+シリーズはCPUとGPUが同じパッケージ内で電力や冷却能力を共有します。AMDが定めるRyzen AI Max+ 388と395のcTDPはどちらも45〜120Wですが、GPD WIN 5の公式仕様では実用上45〜75Wの範囲が示されています。デスクトップPCならCPUとGPUそれぞれへ100W以上を供給することも珍しくありませんが、手に持つWIN 5ではそうはいきません。限られた電力枠の中でゲームを動かす場合、16個のCPUコアを最大性能で動かすことより、40CUのRadeon 8060Sへ十分な電力を与えた方がフレームレートにつながるゲームは少なくありません。
ただし、「CPUコアが少ない388の方が常にGPUへ多くの電力を回せる」「395よりゲームが速くなる」とまでは現時点では断定できません。ゲームエンジンごとのCPU負荷、電力管理、SmartShift相当の制御、温度、ファン設定などでも挙動は変わります。製品版WIN 5同士を同一TDPで測定した結果が出てから判断する必要があります。
注意388版最大の弱点はCPUではなく32GBメモリかもしれない
価格を抑えた388版には、もう一つ重要な違いがあります。今回発表された1,722ドルのモデルはメモリ32GB、SSD 1TBです。通常のゲーミングノートPCなら32GBは十分大容量ですが、Ryzen AI Maxでは事情が少し異なります。Radeon 8060Sには単体GPUのような専用GDDRメモリがなく、CPUとGPUでLPDDR5Xメモリを共有するためです。GPD WIN 5の最上位構成では128GBメモリを搭載でき、GPDは大容量をVRAMとして割り当てられることを特徴として挙げています。
一方、32GBモデルでゲーム用に大きなGPUメモリ領域を確保すれば、Windowsやゲーム本体が利用できるメモリ容量とのバランスも考える必要があります。1080pゲーミングを中心に使うのであれば32GBでも大きな問題になるケースは限られると考えられますが、大容量テクスチャを使用するゲーム、MOD環境、動画編集、生成AI、ローカルLLMまで1台でこなしたいなら64GB以上の方が使いやすくなります。つまり388版は、Ryzen AI Maxの特徴である「大容量共有メモリを使ったAIマシン」というより、Radeon 8060Sをできるだけ安く使うためのゲーミング構成という色が強いモデルです。
性能Radeon 8060Sは1080pゲーミングなら単体GPUに迫る
Radeon 8060S自体の性能も整理しておきます。Radeon 8060SはRDNA 3.5世代の40CUを搭載し、最大クロックは2.9GHzです。既存記事「Ryzen AI Max+搭載ミニPCおすすめ比較」で扱ったRyzen AI Max+ 395搭載ミニPCの実測データでは、3DMark Time Spyが11,094を記録しています。実ゲームでも1080p高設定においてCyberpunk 2077が99.7fps、Baldur’s Gate 3が100.6fpsとなり、同じ検証環境のRTX 4070 Laptop GPUと数%程度の差に収まるタイトルがありました。
もちろんWIN 5ではミニPCほど大きな冷却機構や電力枠を確保できないため、そのまま同じ性能になるわけではありません。それでも7インチ・1920×1080というWIN 5の画面解像度を考えると、Radeon 8060Sは非常に強力です。4Kゲーミングを狙うGPUではありませんが、内蔵ディスプレイでAAAゲームをプレイする目的なら十分すぎるほど高性能な部類に入ります。だからこそ、CPUだけ8コアへ減らしてRadeon 8060Sを残した388の構成が効いてきます。
本体GPD WIN 5本体の仕様は従来モデルと基本的に共通
CPU以外のWIN 5の特徴は従来モデルと基本的に変わりません。ディスプレイは7インチ、1920×1080、120HzでFreeSync Premiumに対応します。本体重量は約590gで、80Whの着脱式外部バッテリーを背面へ装着した場合は約940gです。冷却にはデュアルファンと4本のヒートパイプが採用されています。WIN 5には内蔵バッテリーがなく、80Whバッテリーを背面へ取り付けるか、専用ケーブルで接続するか、AC電源などから給電して使用します。
非常に高性能な一方で、Steam DeckやROG Allyのような一般的なハンドヘルドPCとは設計思想がかなり異なります。「いつでも片手で取り出せるゲーム機」というより、コンセントや大容量バッテリーも利用しながら高性能PCを持ち運ぶための製品と考えた方が実態に近いでしょう。388へ変更されても、この特徴は変わりません。
海外メディアの報道によると、GPDは通気口やネジ周辺でケースにひび割れが発生するという報告を受け、ケース構造の重要な部分を変更したと説明しています。今回の388版だけの問題ではなく、GPD WIN 5全体に関わる改善点です。購入を検討する場合は、この点が実際の個体でどう改善されているか、発売後のレビューもあわせて確認したいところです。
価格1,722ドルは安いのか
新しい388版は32GB+1TBで1,722ドルです。2026年9月19日時点の為替レートでは単純換算で約27万円となります。決して安いハンドヘルドPCではありませんが、Radeon 8060S搭載機として見ると意味のある価格です。GPDは395構成についても複数のメモリ・ストレージ容量でIndiegogo等に価格を案内しており、32GBモデルでも388版より数百ドル高い水準です。構成するメモリやSSD容量が異なるためCPUだけの価格差とは言えませんが、ゲーム目的なら395へ大きな追加費用を払う意味は以前より小さくなります。
一方、日本で購入する場合は少し慎重に判断したいところです。国内正規代理店のリンクスインターナショナルが現在案内しているWIN 5は、Ryzen AI Max+ 395とRyzen AI Max 385です。9月19日時点では388版の国内正規モデルは確認できません。海外から直接購入する場合と国内正規品では、送料、税金、保証、故障時の対応条件も異なります。388版が今後国内正規流通へ追加されるのであれば、日本価格を確認してから395・385と比較した方が判断しやすいでしょう。
結論385・388・395のどれを選ぶべき?
- AAAゲームを1080pで遊ぶことを最優先し、CPUの全コアを使う作業はしない人
- Radeon 8060Sの性能は欲しいが、16コアCPUのぶんまで支払う必要性を感じない人
- 32GBメモリで足りる使い方(重いローカルAI・大容量MOD環境を求めない)をする人
- とにかく価格を抑えたい人は385(ただしGPUはRadeon 8050S・32CUに縮小)
- 配信・エンコード・コンパイルなどCPU全コアを使う作業も並行したい人は395
- 64GB以上のメモリでローカルAI・大容量MODまで1台でこなしたい人は395
ゲームを主目的にするなら、今回追加されたRyzen AI Max+ 388は3モデルの中でかなり魅力的な位置に入ります。385は8コア16スレッドで価格を抑えられるものの、GPUもRadeon 8050S・32CUへ縮小されます。395ならRadeon 8060Sをフル構成で利用できますが、ゲームだけでは使い切りにくい16コア32スレッドCPUにもコストを払うことになります。388はその間に入り、CPUを8コア16スレッドへ抑えながらRadeon 8060Sの40CUを維持しています。
FAQよくある質問
まとめまとめ|388は「廉価版395」ではなくゲーム向けに再配分したモデル
GPD WIN 5へ追加されたRyzen AI Max+ 388版は、32GBメモリと1TB SSDを搭載して1,722ドルです。CPUはRyzen AI Max+ 395の16コア32スレッドから8コア16スレッドへ半減していますが、GPUはRadeon 8060Sの40CU・最大2.9GHzをそのまま維持しています。ここが従来のRyzen AI Max 385との最大の違いです。実際に388を搭載したWIN MAX 3のテストでも、CPUマルチコア性能では395との差が出る一方、Cyberpunk 2077やForza Horizon 5では395搭載WIN 5に近いフレームレートが確認されています。筐体が違うため直接比較はできませんが、少なくとも「8コアになったからゲーム性能も半分」という製品ではなさそうです。
むしろWIN 5のように電力と冷却能力が限られるハンドヘルドPCでは、16コアCPUを搭載するより、8コア16スレッドを確保したままフルスペックのRadeon 8060Sを残す方がゲーム用途では合理的です。気になるのは32GB構成のメモリ容量の余裕と、日本国内での正式な販売価格、そしてケース構造変更の実際の効果です。国内正規版が登場し、385と395の間に納得できる価格で設定されれば、Ryzen AI Max+ 388版はGPD WIN 5の中で最もゲーム用途に向いた構成になる可能性があります。395の「16コア+40CU」というスペックに魅力を感じつつ、実際にはゲームしか使わないという人ほど、今回の388版はチェックしておきたいモデルです。



