Resizable BAR有効化後にWHEA-Loggerが増える原因と対処|PCIeエラーの切り分けと無効化の判断基準【2026年版】
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PCIe層のイベントID17か、CPU層のID18・19かで疑うべき場所が変わります
GPUドライバーやマザーボードBIOSの更新でResizable BAR(Smart Access Memory)を有効にした後、イベントビューアーのWHEA-LoggerにPCI Express関連のエラーが増えるという相談があります。ただしResizable BARの有効化そのものがWHEA-Loggerのエラーを増やすと明記した一次情報は、NVIDIA・AMD・Intel・主要マザーボードメーカーのいずれからも見当たりません。有効化の作業自体が複数のBIOS設定変更を伴うことが多いため、まずはそのどれが影響しているのかを切り分ける必要があります。
出典:NVIDIA公式「GeForce RTX 30 Series Performance Accelerates With Resizable BAR Support」・Intel公式サポート「What Is Resizable BAR and How Do I Enable It?」・Microsoft公式「PCI_EXPRESS_CORRECTABLE_ERROR_STATUS structure」・Microsoft公式「Hardware Errors and Error Sources」・ASUS公式サポート「Resizable BAR機能を有効にする方法」
NVIDIAやAMDのGPUドライバーを更新したタイミング、あるいはマザーボードのBIOSを更新してResizable BAR(AMD環境ではSmart Access Memory)を有効にしたタイミングを境に、イベントビューアーのWHEA-Loggerに記録されるPCI Express関連のエラー、特にイベントID17が目立つようになったという相談があります。NVIDIAコントロールパネルやGPU-Zで確認するとResizable BARは「はい」と表示されており、機能そのものは正常に有効化できているにもかかわらず、ログの件数だけが増えている状態です。
この記事では、Resizable BARがPCI ExpressのBAR(Base Address Register)をどう扱う機能なのか、WHEA-LoggerのイベントID17が実際に検出しているPCI ExpressのAdvanced Error Reporting(AER)は何を計測しているのかを、NVIDIA・Intel公式およびMicrosoft公式のドキュメントにもとづいて整理したうえで、Resizable BARの有効化とエラー増加を結びつける一次情報が現状どこまで存在するのかを確認します。そのうえで、Resizable BARだけを切り分けて検証する手順と、無効化を検討すべき症状の基準をまとめます。
すでに公開している「BIOSでResizable BARを有効にしたのにNVIDIAで『いいえ』と表示される原因」の記事は、Resizable BARが有効化自体できない、あるいはNVIDIAコントロールパネルで機能していないと判定される場合の対処を扱っています。本記事が対象にしているのは、Resizable BARがすでに「はい」と表示され機能している状態で、有効化した後からWHEA-Loggerのエラーが増えたという逆のケースです。WHEA-LoggerのイベントIDそのものの意味やError Source・Error Typeの読み方はWHEA-Logger 17・18・19の原因と直し方の記事で解説しているため、本記事ではResizable BARとの関係だけに絞って整理します。
目次
仕組みResizable BARが変えるのはPCIeのメモリ空間の割り当てです
PCI Express接続のグラフィックボードは、GPUに搭載されたVRAM全体をCPUへそのまま見せているわけではありません。従来のPCI Expressの仕様では、GPUのVRAMをCPU側から読み書きするための窓(Base Address Register、BAR)は256MBまでに制限されており、CPUはこの狭い窓を通じて少しずつデータをやり取りする必要がありました。NVIDIA公式は、Resizable BARを有効にすると、CPUがGPUのフレームバッファ全体へ効率的にアクセスできるようになり、複数の転送要求を順番待ちさせずに並行して処理できるようになると説明しています。Intel公式も、Resizable BARを「PCI Expressデバイスがシステムリソースを最適化するためにBARのサイズを交渉する仕組み」と位置付けています。
この「BARのサイズを交渉する」処理は、PCI Expressデバイスの列挙(エニュメレーション)が行われるタイミング、つまり電源投入からOSが起動するまでのPOST時に、マザーボードのファームウェア(BIOS/UEFI)とGPU側のVBIOSがやり取りして行われます。Resizable BAR Supportを有効にすると、マザーボードはこのタイミングでGPUに対して、256MBの固定サイズではなく、VRAM容量に応じた大きなBARサイズを割り当て直します。多くのマザーボードでこの処理を成立させるためにAbove 4G Decoding(PCIeデバイスへ4GBを超えるアドレス空間を割り当てる設定)を同時に有効化する必要があるのは、この再割り当てが4GBを超えるメモリ空間を必要とするためです。CSMの無効化やUEFI起動への統一が条件になる理由もあわせて、BIOS側の具体的な設定名は後述の関連記事で整理しています。
内訳WHEA-LoggerのイベントID17は、PCIeリンクの通信品質を見ています
WHEA-LoggerのイベントID17は、PCI ExpressのAdvanced Error Reporting(AER)という仕組みが検出した訂正済みエラーを記録したものです。AERはPCI Expressの拡張機能で、通常のPCI Expressエラー報告よりも詳細な情報を扱えるようになっています。Microsoft公式のドライバー開発者向けドキュメントでは、AERの訂正済みエラーステータスに含まれる項目として、次のようなものが定義されています。
見てのとおり、AERの訂正済みエラーはいずれもPCI Expressリンクの物理層・データリンク層における信号のやり取りに関する項目で構成されています。GPUのVRAMをどれだけの範囲でメモリ空間へマッピングするかというBARの設定値そのものを直接示す項目ではありません。つまりイベントID17は「リンクの通信品質が一時的に乱れ、訂正・再送で復旧した」ことを示す指標であり、Resizable BARが有効か無効かという設定値を直接読んでいるわけではないという点は押さえておく必要があります。PCIeリンクの信号品質が不安定になり、GPUが一瞬認識されなくなるような症状まで進んでいる場合は、GPUのPCIeリンクダウン・Link Training失敗を扱った記事で診断LEDや対処法まで整理しています。
関係Resizable BARの有効化とエラー増加は、公式にどこまで説明されているか
NVIDIA・Intel各社が公開しているResizable BARの説明は、いずれもこの機能がPCI ExpressのBAR拡張によってCPUとGPUメモリ間の転送効率を高める仕組みだという内容にとどまっており、Resizable BARを有効にすることでPCI ExpressのAERが検出する訂正済みエラーが増える、あるいはWHEA-Loggerの記録件数が増えるという因果関係を明記した記述は見当たりません。マザーボード各社の公式サポート文書でも同様です。
一方で、Resizable BARを有効化する作業そのものは、単独の設定変更では完結しないという事実があります。Resizable BARを機能させるには、Above 4G Decodingの有効化、CSMの無効化、UEFI起動への統一、対応するGPU VBIOS、最新のGPUドライバーといった複数の条件を同時にそろえる必要があり、マザーボードによっては、Resizable BAR Supportという項目を切り替えるだけで、BIOSが内部的にAbove 4G DecodingやPCIeのメモリ空間の割り当てを自動的に再構成する場合もあります。
これらはいずれもPCI Expressデバイスの列挙とBARの再設定に関わる処理で、WHEA-LoggerのイベントID17が参照しているPCIeリンクのトレーニングや通信品質のチェックと同じ層で動いています。そのため、Resizable BARを有効にした直後からイベントID17が増えた場合、Resizable BARという1つの項目だけを疑うのではなく、その前後で同時に変更したBIOS設定や、BIOS・VBIOSのバージョンを含めて確認する必要があります。Resizable BARの有効化だけを取り出して「これがWHEAエラー増加の直接の原因である」と断定できる一次情報は、現時点では確認できていません。あくまで、BIOSやGPUドライバーの相性問題を切り分けるための一つの要因として確認する、という位置づけで扱ってください。
切り分けReBARが原因かどうかを見分ける5つのポイント
発生件数を日付ごとに比較する場合は、PowerShellでイベントID17だけに絞って集計すると、ほかのイベントIDに埋もれず変化を追いやすくなります。
Get-WinEvent -FilterHashtable @{
LogName = 'System'
ProviderName = 'Microsoft-Windows-WHEA-Logger'
Id = 17
} | Group-Object { $_.TimeCreated.Date } | Select-Object Name, Count | Sort-Object Name
判断様子見でいいケースと、無効化して検証すべきケース
様子見でいいかどうかの基本的な考え方はCorrected・Uncorrectedで変わる危険度早見表の記事と共通ですが、ここではResizable BARとの前後関係も判断材料に加えます。
- 増えているのがイベントID17のみで、Uncorrected・Fatalは記録されていない
- 発生件数が短期間で明らかに増え続けているわけではない
- GPUやNVMe SSDの認識不良、ブラックアウト、突然の再起動を伴わない
- Resizable BARを有効化した前後で、BIOS更新やGPUドライバー更新もまとめて行っている(単独の影響と断定できない)
- Resizable BAR Supportを切り替えた直後から明確に発生件数が増え、他に同時に変更した設定が思い当たらない
- イベントID17に加えて、ブラックアウトやNVMe SSDの認識不良など実際の症状を伴う
- Uncorrected(Nonfatal)やFatalが記録されている
- 初期に販売されたRTX 3060 Ti・RTX 3070・RTX 3080・RTX 3090など、VBIOS更新で後からResizable BARへ対応した世代を使っている
操作Resizable BARだけを無効化して検証する手順
マザーボードごとの項目名(ASUSのRe-Size BAR Support、ASRockのC.A.M.など)はResizable BARが有効にならない原因を解説した記事のBIOSメーカー別の表でも整理しています。項目が見当たらない場合はそちらもあわせて確認してください。
- BitLocker(デバイスの暗号化を含む)の使用有無を確認し、使用している場合は48桁の回復キーをMicrosoftアカウントなどで確認できる状態にしておきます。
- 現在のResizable BAR関連のBIOS設定値(Resizable BAR Support、Above 4G Decoding、CSMなど)をすべてメモしておきます。
- PC起動直後にBIOS/UEFI設定画面に入り、Resizable BAR Support(機種によってはRe-Size BAR SupportやC.A.M.)だけをDisabledへ変更します。Above 4G DecodingとCSMはそのままにします。
- 設定を保存して再起動し、NVIDIAコントロールパネルまたはGPU-ZでResizable BARが「いいえ」に変わったことを確認します。
- 問題が発生していたゲームやベンチマークを、エラーが増えていた期間と同じくらいの時間プレイし、WHEA-Loggerの発生状況を比較します。
- 発生件数が明らかに減った場合は、その構成でのResizable BARとの相性が疑われるため、マザーボードとGPUのメーカーへ最新のBIOS・VBIOSの有無を確認したうえで、有効化を続けるかどうかを判断します。
- 発生件数が変わらない場合は、Resizable BARの設定を元へ戻し、PCIeスロットの接触や電源、ASPM設定など別の要因を確認します。
Resizable BARのようなプラットフォーム寄りのBIOS設定を変更すると、BitLockerが起動時に確認しているシステムの状態が変わり、次回起動時に48桁の回復キーの入力を求められる場合があります。これはBitLockerが不正な変更を検知した際の正常な保護動作であり、故障ではありません。回復キーが分からないまま変更を始めると起動できなくなる可能性があるため、作業前に必ず確認しておいてください。
Q&Aよくある質問
まとめエラーが増えたら、まず切り分けてから判断する
Resizable BARは、PCI ExpressのBARを拡張してCPUがGPUのVRAM全体へアクセスできるようにする機能です。Resizable BARの有効化そのものがWHEA-Loggerのエラーを増やすと明記した一次情報は、NVIDIA・AMD・Intel・主要マザーボードメーカーのいずれからも確認できません。
一方で、Resizable BARの有効化はAbove 4G DecodingやCSMなど複数のBIOS設定変更を伴うことが多く、これらはいずれもPCI Expressデバイスの列挙とWHEA-LoggerのイベントID17が参照する層に関わる処理です。エラーが増えたと感じたら、Resizable BAR単体を疑う前に、同時に変更した設定やBIOS・VBIOSのバージョンを確認し、必要であればResizable BAR Supportだけを一時的に戻して発生件数を比較してください。
PCIeリンクそのものの不安定さが疑われる場合はグラボが一瞬消えて復帰する原因の記事もあわせて確認してください。




