DirectX Dump FilesでGPUクラッシュを調べる方法|.dxdmpの出し方とPIXの開き方【2026年10月】
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.dxdmpの出し方とPIXで開く手順、プレイヤーにできる範囲
ゲーム中にGPUが応答しなくなり、画面が一瞬暗転して落ちる。ドライバーのせいなのか、ゲームのバグなのか、電源や熱なのかは、イベントログやDXGIのエラーコードだけでは、絞り切れないことが多い症状です。
MicrosoftはAgility SDK 1.620とPIX 2610.28で、市販ゲームでもGPUクラッシュの状態を.dxdmpファイルに残して調べられるようにしました(2026年10月28日発表)。TDR(GPUの応答停止をWindowsが検出して復旧する仕組み)が起きると、DirectXが復旧の前にGPUの状態を書き出します。
ただし、この機能の主な使い手はゲームの開発元です。プレイヤーの手元では、既定でファイルが残りません。残せたとしても読むのはPIXで、結果は「どのシェーダーやリソースが関わったか」までです。電源や温度の問題は、ダンプでは判別できません。
最終確認日:2026年10月30日。参照した資料:DirectX Dump Files are now ready for your retail games(DirectX Developer Blog)、D3D12: DirectX Dump Files(仕様)、DirectX Dump Files(Microsoft Learn)、Generate DirectX Dump Files、Analyze DirectX Dump Files in PIX、D3DConfig(DirectX Developer Blog)、KB5089573(Microsoftサポート)、PIX 2610.28(PIX Blog)
目次
結論立場ごとにできることは違う
Microsoftは、DirectX Dump Filesを「開発・QA」「一般のプレイ」「再現しない稀なクラッシュの調査」の3つの場面で使い分ける前提で設計しています。プレイヤーが関わるのは、そのうち「一般のプレイ」でゲーム側がファイルを回収する場合です。
| 立場 | .dxdmpの扱い | やること |
|---|---|---|
| プレイヤー | 既定では保存されない。ゲーム側が保存・アップロードする作りのときだけ回収される | D3DConfigで保存を有効にするか、通常の切り分けに戻る |
| 開発・QA | RetainDumpFile APIかD3DConfigで%LOCALAPPDATA%\CrashDumpsに保存する | PIXで開き、Summaryビューから原因を絞る |
| 稀なクラッシュの調査 | 一部のプレイヤーのPCで取得量を増やし、クラッシュパイプラインでアップロードする | 負荷の高い設定を1〜2セッションだけ使う |
Microsoftの発表では、プレイヤーのPCからファイルを集める仕組みはゲーム側のクラッシュパイプラインが担います。Microsoftは回収を簡単にする取り組みを進めていますが、現時点では「自分で送れば必ず解析される」機能ではありません。
条件.dxdmpが作られる条件とGPUごとの違い
生成側の条件は、Microsoftの発表で次のように示されています。
- Windows 11 バージョン24H2または25H2で、ビルド26100.8524または26200.8524以降(2026年5月26日のプレビュー更新KB5089573)
- ゲームがAgility SDK 1.620以降を使っていること
- GPUドライバーは何でもよい。ただし対応ドライバーのときだけハードウェアの状態やドライバーのデータが加わる
- 開発者モードは不要
ドライバーが対応していない場合も、Direct3Dランタイムの状態、DRED(Device Removed Extended Data。GPU停止時に実行中のコマンドを記録する仕組み)のデータ、アプリが足したデータ、システム情報を含む「部分的なダンプ」が作られます。ハードウェアの状態を含む「完全なダンプ」はドライバーの対応が必要です。
| GPU | 対応状況 | 取得量の選択肢 |
|---|---|---|
| NVIDIA | Turing世代以降、R620以降のドライバー | NO_OVERHEAD/MEDIUM_OVERHEAD/HIGH_OVERHEAD |
| AMD | Radeon RX 9000シリーズとRX 7000シリーズ | MEDIUM_OVERHEAD/HIGH_OVERHEAD |
| Intel | 近日対応予定 | 未定(近日対応予定) |
| Qualcomm | Snapdragon X2プラットフォームは近日対応予定 | 未定(近日対応予定) |
NO_OVERHEADは通常のプレイでも性能に影響しない設定で、小売ゲームでは既定でオンです。MEDIUM_OVERHEADとHIGH_OVERHEADは取得量が増える代わりに、フレームレートの低下やメモリ使用の増加があり得ます。AMDの表にNO_OVERHEADが載っていないため、RadeonでMicrosoftが想定する「性能に影響しない完全なダンプ」は現時点では確認できません。
生成されない場合もあります。ソフトウェアによるデバイス削除(TDRではないもの)は、まだダンプを作りません。Microsoftは今後のリリースで対応する予定としています。
保存D3DConfigで.dxdmpを残す
小売ゲームでは、ディスク容量を使わないよう、ダンプを残す設定が既定でオフです。ファイルを手元に残すには、Windowsのオプション機能「Graphics Tools」に含まれるD3DConfigを使います。MicrosoftのLearnでは、コードを変えずに設定を上書きする開発者向けの手段として案内されています。
- Graphics Toolsを入れ、コマンドプロンプトでD3DConfigが動くことを確かめます。
- 調べたいゲームの実行ファイル名を登録します。D3DConfigの設定は、登録したアプリだけに適用されます。
- ダンプを残す設定を有効にします。
- ゲームを一度終了し、起動し直します。設定はデバイスの作成時にしか読み込まれません。
d3dconfig apps --add MyGame.exe
d3dconfig device retain-dump-file=true
MyGame.exeは調べたいゲームの実行ファイル名に置き換えます。同じ名前の実行ファイルすべてに設定が効きます。
TDRが起きると、ダンプは%LOCALAPPDATA%\CrashDumpsにゲームの実行ファイル名-年-月-日-時-分-秒.dxdmpの形式で保存されます。通常のクラッシュダンプ(.dmp)も同じフォルダーに作られますが、別の種類のファイルです。.dmpの開き方はWinDbgでゲームのクラッシュダンプを開く手順で説明しています。
dump-file-driver-optionsで取得量を増やせますが、フレームレートの低下やダンプの大型化があり得ます。Microsoftも稀なクラッシュの調査用として「1〜2セッションだけ使い、終わったら戻す」と案内しています。ふだんのプレイでは既定のままにします。
解析PIXで.dxdmpを開く
PIXはMicrosoftが配布しているGPUデバッグツールで、.dxdmpを開くにはPIX 2610.28以降が必要です。クラッシュしたPCである必要はなく、クラッシュしたGPUやドライバーが手元になくても開けます。各社のデータはPIXに組み込まれたプラグインが読み取ります。
- PIXで「File」から「Open」を選びます。
%LOCALAPPDATA%\CrashDumpsにある.dxdmpファイルを開きます。- 最初に「Summary」ビューを見ます。エラーの種類(ハングのバケット)と、疑わしいリソースやシェーダーが出ます。
- 「Event List」ビューで、1フレームのどこまでGPUが進んだかを確かめます。
- ページフォルトなら「Page Faults」、ハングやシェーダー例外なら「Shader Waves」と「Shaders」で、実行中の命令まで追います。
シェーダーのHLSLを見るには、開発側のシェーダーオブジェクトとPDBの検索パスをPIXに設定する必要があります。プレイヤーの手元では、この部分が見られないことがほとんどです。
| ビュー | 分かること | ドライバー対応 |
|---|---|---|
| Summary | ハングのバケットと、原因の候補、関連情報 | 不要 |
| Event List | ドライバーのイベントとPIXマーカー、実行状況。無い場合はDREDのブレッドクラム | あると詳しい |
| Page Faults | アクセスに失敗したGPUアドレスと、そこにあったリソース | あると詳しい |
| Shader Waves/Shaders | 実行中のシェーダーと現在の命令、例外の有無 | 必要 |
| File Details | ドライバー、アダプター、OS、アプリの情報 | 不要 |
限界ダンプで分かることと、分からないこと
同じゲームで同じ場所のシェーダーやリソースが繰り返し出るなら、ゲーム側の不具合の可能性を開発元に説明しやすくなります。一方、毎回違う場所で止まる場合は、ダンプの中身より先に電源・温度・ドライバーの切り分けが必要です。DXGIのエラーコードごとの見方はDXGI_ERROR_DEVICE_HUNG・REMOVED・RESETの違いと直し方、症状から原因記事を探すならGPUドライバー・TDR・DXGIクラッシュの診断チャートが起点になります。
共有開発元やサポートに渡すときの注意
.dxdmpにはゲームの状態やシステム情報が入ります。ファイル詳細にはドライバー、アダプター、OS、アプリの情報が含まれ、ゲームが足したデータも一緒に残ります。サポートに添付する前に、公式の窓口が.dxdmpを受け付けているかを確かめ、受け付けていなければ、PIXのSummaryに出たエラーの種類と、ドライバーのバージョン、発生日時を文章で伝えるほうが安全です。
ゲームのクラッシュが起きた時刻は、信頼性モニターやイベントビューアーの記録と突き合わせると、ダンプの生成時刻と照合できます。ファイル名に年月日時分秒が入っているため、時刻の照合は難しくありません。
FAQよくある質問
CrashDumpsに.dxdmpが出るかで確かめられます。出ない場合は、ゲームが対応していないか、TDR以外の停止の可能性があります。CrashDumpsですが、開くツールが違います。.dxdmpはPIX、.dmpはWinDbgなどで開きます。d3dconfig device retain-dump-file=falseを実行します。登録したアプリはd3dconfig appsで一覧を確認できます。まとめまとめ|.dxdmpは「開発元に渡す材料」を残す機能
DirectX Dump Filesは、TDRが起きた瞬間のGPUの状態を.dxdmpに残し、PIXで読める機能です。Windows 11 24H2/25H2の対応ビルドとAgility SDK 1.620以降のゲームが条件で、プレイヤーが手元に残すにはD3DConfigで保存を有効にします。読めるのは実行中のシェーダーやリソースまでで、電源や温度といった原因は分かりません。
自分のPCで落ちる原因を探す目的なら、まず電源・温度・ドライバーの切り分けを先に行い、.dxdmpは同じ場所で繰り返し落ちるゲームを開発元に報告するときの材料として残します。



