Razer Pro Click V2 Verticalは買いか|15,739円の逆転価格とFPSローセンシに不向きな理由
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
15,739円は通常型より安い逆転価格、FPSローセンシには不向きな理由
出典:Razer公式のPro Click V2 Vertical Edition製品ページ(JP・技術仕様)、通常型Pro Click V2製品ページ(JP)、Razer Newsroomの発表(2025年4月24日)、PC Gamerの実機レビュー、Ergonomics誌・Work誌に掲載された人間工学研究(PubMed収録)、価格.com、Amazon.co.jp商品ページにもとづきます。価格・在庫は本記事執筆時点(2026年8月22日)に直接確認しました。
デスクワークが長い人ほど、手首の痛みや腱鞘炎の予防のために縦型マウスを検討したことがあるはずです。ただ縦型マウスには「疲れにくい代わりに操作性が犠牲になる」というイメージも根強く、ゲームでも使えるのか、価格に見合うのかが判断しにくい製品カテゴリでもあります。
Razerの「Pro Click V2 Vertical Edition」は、そんな縦型マウスにゲーミングブランドの技術を持ち込んだ製品です。2025年5月30日に国内発売され、公式価格は20,480円。それが2026年8月22日時点のAmazon.co.jpでは税込15,739円まで値下がりしており、約23%オフという水準に加えて、同じRazerブランドの通常型「Pro Click V2」(17,080円)よりも安いという価格の逆転が起きています。
この記事は実機レビューではありません。Razer公式のスペック情報、海外メディアが実際に使用して書いたレビュー、縦型マウスの効果を検証した人間工学の学術研究を突き合わせ、「仕事とゲームを兼用したい人」と「FPSで低感度操作をする人」で結論が変わる理由を整理します。あわせて、Razer公式サイト内でセンサー表記が「30K」と「35K」で食い違っている点も確認しておきます。
目次
結論買うべき人・様子見すべき人
- 自宅やオフィスでの長時間デスクワークが多く、手首や前腕の疲れを軽減したい人
- 仕事とゲームを1台で兼用したい人(FPS以外のジャンルが中心の人)
- 通常型Pro Click V2の購入も検討していた人(いまはVertical Editionの方が安い)
- ChatGPTやMicrosoft Copilotを日常的に使っていて、AI連携の時短機能に魅力を感じる人
- FPSで低感度(ローセンシ)を使う競技志向のプレイヤー
- とにかく軽いゲーミングマウスが欲しい人(通常型でも110g、本機は150g)
- 縦型マウスに慣れるまでの学習コストを避けたい人
- 左利きの人(右利き専用設計のため使用できません)
結論から言うと、デスクワーク中心で軽くゲームも楽しむという使い方であれば、いまの価格は十分に検討する価値があります。一方、FPSで低感度を使う競技志向のプレイヤーには、150gという重さと低い重心が操作の妨げになりやすく、無理に選ぶ製品ではありません。以下、価格・重量・実機レビューの評価・学術研究の3つの角度から理由を見ていきます。
概要Razer初のワイヤレス縦型エルゴノミックマウス
Pro Click V2 Vertical Editionは、Razerが2025年4月24日にグローバルで発表した、ブランド初のワイヤレス縦型エルゴノミックマウスです。日本では同年5月30日に発売されました。71.7度という急な傾斜角度で、握手をするときのような自然な手の角度を再現し、ベースサポートが手首を持ち上げることで長時間の作業でも負担がかかりにくい設計になっています。右利き専用で、左利き向けのモデルは用意されていません。

センサーにはRazer Focus Proオプティカルセンサーを採用し、最大30,000DPI・550IPS・40Gの加速度に対応します。接続方式はRazer HyperSpeed Wireless(2.4GHz)、Bluetooth(最大3台切り替え)、USB-C有線の3方式に対応し、ポーリングレートは最大1,000Hzです。バッテリーは公称最大6か月で、USB-Cケーブルによる5分間の急速充電で2〜3営業日分の駆動時間を確保できます。ライティングは18ゾーンのChroma RGBアンダーグローで、本体重量は150gです。持ち方やセンサーの基礎から選びたい場合はゲーミングマウスの選び方もあわせて参考にしてください。
価格通常型Pro Click V2との価格逆転
Razerは同時に、傾斜30度の通常型「Pro Click V2」も発売しています。センサー・接続方式といった基本仕様は共通ですが、傾斜角度・重量・バッテリー持続時間・RGBゾーン数が異なり、公式価格も通常型17,080円に対しVertical Editionは20,480円と、上位モデルとして高く設定されています。ところが2026年8月22日時点のAmazon.co.jp実勢価格を見ると、Vertical Editionが税込15,739円まで下がっており、公式価格が変わらない通常型(17,080円)より1,341円安いという逆転現象が起きています。
- 価格17,080円(税込・公式/価格.com最安とも同額)
- 傾斜角度30度
- 重量約110g
- バッテリー最大3.5か月
- RGB14ゾーンアンダーグロー
- 価格15,739円(税込・Amazon.co.jp/公式20,480円)
- 傾斜角度71.7度
- 重量150g
- バッテリー最大6か月
- RGB18ゾーンアンダーグロー
センサー(Focus Pro・最大30,000DPI・550IPS・40G)自体は両モデル共通で、価格差の理由は角度・重量・バッテリー・RGBゾーン数といった設計差にとどまります。本来はより上位のVertical Editionの方が高いはずですが、Amazon.co.jpのセールによって通常型より安く買える状態になっているため、通常型の購入を検討していた人にとっては、縦型に抵抗がなければVertical Editionを選ぶ方が合理的な状況です。
人間工学縦型マウスは万人が同じように疲れにくくなるわけではない
縦型マウスは「疲れにくい」と紹介されることが多い一方、この効果を誰もが同じように得られるわけではありません。学術研究の結果を見ると、得られる効果と引き換えになるものも明確です。
Ergonomics誌に掲載された2013年の研究(16人を対象、Quemelo・Vieira)では、標準マウスと縦型マウスを比較したところ、前腕の回内角度は標準マウスの42度に対し縦型マウスは28度まで減少し(p=0.001)、手首の伸筋群の筋活動量も標準マウスの16%に対し縦型マウスは13%まで低下しました(p=0.006)。一方でポインティング性能を測るFitts law形式のテストでは、ターゲットに到達するまでの時間が標準マウスの3.4秒に対し縦型マウスは4.2秒に伸びており(p<0.001)、研究チームは「性能を取り戻すには追加のトレーニングと慣れの時間が必要」と結論づけています。
Work誌に掲載された2015年の研究(12人を対象、Odell・Johnson)でも、フラットマウス・角度付きマウス・完全な縦型マウスを比較検証した結果、角度を抑えた試作マウスは前腕の回内を軽減しつつポインティング性能を落とさなかった一方、完全な縦型マウスは回内を最も抑えられた代わりに、比較した中でポインティング性能が最も低い結果になったと報告されています。
2つの研究に共通するのは、縦型マウスが手首の負担を軽減する効果自体は一貫して確認されている一方、狙った位置に素早く正確にカーソルを合わせるポインティング性能は標準的なマウスに劣るという点です。慣れるまでの期間や、反応速度が求められる場面での性能低下を織り込んだうえで導入を検討する必要があります。
実機レビュー海外メディアが指摘した重さと安定性のトレードオフ
当サイトでは実機を検証していません。ここでは海外メディアが2025年7月16日に公開した実機レビュー(100点満点中80点)の内容を紹介します。
良い点として挙げられているのは、長時間使用しても快適な点、公称6か月という長いバッテリー持続時間、そしてどれだけ強く小突いても倒れない安定性の3つです。レビュアーは机の上で本体を何度も叩いてみたものの、一度も倒れなかったと報告しています。
一方、弱点として指摘されているのは価格・重さ・慣れるまでの学習コストの3つです。特に問題視されているのが、150gという重さと低い重心による「山のような慣性」です。素早く動かそうとしても物理的な抵抗を感じ、単に回転させるだけでも見た目以上に力が必要になるため、狙った位置に素早く正確にカーソルを合わせる場面では不利になると報告されています。レビュアーは、高いDPI設定で小さくマウスを動かすプレイスタイルであれば重さの影響を受けにくいとも指摘しており、逆に言えば低いDPI・低い感度で大きくマウスを動かす、いわゆる「ローセンシ」のFPSプレイヤーには不向きな設計だと言えます。レビューの結論でも、純粋にゲーム用途を重視するなら、より軽量で安価な他社の縦型マウスを検討するよう勧めています。
バッテリーについては、RGBライティングを含むデフォルト設定のまま1か月使用したところ、満充電の状態から50%まで減少したと報告されています。公称6か月という数値はRazer Synapseの省電力設定を最大限に活用した場合の理論値に近いとみられ、RGBを常時点灯させる使い方では体感の持続時間はもう少し短くなりそうです。
AI連携AI Prompt Masterは購入理由の中心にしない
Pro Click V2 Vertical Editionには、DPI切り替えボタン(DPI Stage Cycling/AIボタン)を1秒間長押しすることで呼び出せる「AI Prompt Master」機能が搭載されています。Razer Synapse 4経由でChatGPTやMicrosoft Copilotと連携し、選択したテキストの要約やメール文面の下書き、アプリごとのショートカット登録などができる機能です。ChatGPT・Microsoft Copilotとも、有料プランに加入していない無料アカウントのままで利用できます。
ただ、この機能はあくまで「あれば便利」の範囲にとどまります。マウス側でできることはテキストの受け渡しとプロンプトの呼び出しが中心で、実際の処理はブラウザやアプリ側のAIサービスに依存します。AI連携機能そのものを目的にこの価格帯のマウスを選ぶ必要はなく、縦型エルゴノミクス設計のおまけと捉えておくのが実態に近い位置づけです。
仕様センサー表記の食い違いとスペック一覧
Razer公式サイトを確認する過程で、センサーの表記にばらつきがある点も見つかりました。
Razer公式のPro Click V2 Vertical Edition製品ページ(技術仕様タブ)とRazer Newsroomの発表資料は、いずれも「Razer Focus Pro 30K Optical Sensor」、最大感度30,000DPIと表記しています。米国版製品ページの構造化スペックデータも、最大感度30,000DPI・最大速度550IPS・最大加速度40Gで一致しています。一方、Razer公式サポートページのパーツ構成図では同じセンサーが「Razer™ Focus Pro 35K Optical Sensor」と表記されている一方、同じページ内の仕様表では30,000DPIと記載されており、サポートページ内で表記が矛盾しています。購入判断に影響する数値ではありませんが、「35K」という表記を見かけた場合はサポートページ側の誤記である可能性が高いと考えられます。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 対応ハンド | 右利き専用 |
| 傾斜角度 | 71.7度(ベースサポートあり) |
| センサー | Razer Focus Pro 30Kオプティカルセンサー |
| 最大DPI | 30,000 |
| 最大速度/加速度 | 550IPS/最大40G |
| ボタン数 | 6ボタン(メカニカルスイッチ) |
| スイッチ耐久性 | クリック回数6,000万回 |
| 接続方式 | Razer HyperSpeed Wireless(2.4GHz)/Bluetooth(最大3台切替)/USB-C有線 |
| ポーリングレート | 最大1,000Hz |
| バッテリー | 公称最大6か月/USB-C 5分充電で2〜3営業日分 |
| ライティング | 18ゾーンChroma RGBアンダーグロー |
| マウスソール | 100% PTFE |
| オンボードメモリプロファイル | 1 |
| 重量 | 150g |
| 国内発売日 | 2025年5月30日 |
| 公式価格 | 20,480円(税込) |
| Amazon.co.jp実勢価格 | 15,739円(税込・2026年8月22日時点) |
※スペックはRazer公式製品ページ・Razer Newsroomの発表内容(2026年8月時点)にもとづきます。価格は変動するため、購入前に必ず最新の表示価格を確認してください。
選び方4つの軸で見る導入判断
FAQよくある質問
まとめ兼用なら買い、競技志向のFPSには不向き
Razer「Pro Click V2 Vertical Edition」は、71.7度の傾斜とベースサポートで手首の負担を軽減する、Razer初のワイヤレス縦型エルゴノミックマウスです。2026年8月22日時点のAmazon.co.jp実勢価格は税込15,739円で、公式価格20,480円から約23%オフ、さらに同じRazerブランドの通常型Pro Click V2(17,080円)よりも安いという価格の逆転が起きています。
デスクワーク中心で軽くゲームも楽しみたい人、通常型Pro Click V2の購入を検討していた人にとって、いまの15,739円という価格は買う価値があります。人間工学の研究でも、縦型マウスが前腕の回内や手首の筋活動を軽減する効果は確認されており、長時間の作業には理にかなった選択です。
一方、FPSで低感度(ローセンシ)を使う競技志向のプレイヤーには向きません。海外メディアのレビューが指摘するとおり、150gの重さと低い重心による慣性は、素早い振り向き動作の妨げになります。高DPIで小さく動かすプレイスタイルなら影響を受けにくいものの、ゲーム性能を最優先するなら、より軽量な専用ゲーミングマウスのほうが選択肢として合理的です。



