Pulsar PCMK 3 HE TKL Somethingは買いか|通常版との1,500円差はGravity S PROスイッチ
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通常版との1,500円差で変わるのはGravity S PROスイッチだけ
出典:Pulsar Gaming Gears公式 [Pro Series] PCMK 3 HE TKL Something Gaming Keyboard – JIS製品ページにもとづきます。

磁気式(ホールエフェクト)ゲーミングキーボードにプロコラボモデルが登場すると、「コラボ版=上位モデル」という先入観で見られがちです。しかしPulsarの「PCMK 3 HE TKL Something」は、通常版との価格差がわずか1,500円である一方、スペック表を並べると耐久性は通常版のほうが高いという、単純な優劣では語れない構成になっています。
Something Editionは、VALORANTプロ選手something(Ilya Petrov)が所属するPaper Rexとのコラボで、専用開発の磁気スイッチ「Gravity S PRO」を採用したモデルです。価格27,980円(税込)、通常版PCMK 3 HE TKL(26,480円)との差は1,500円。アクチュエーションポイントの調整範囲(0.01〜4.0mm)やポーリングレート(最大8,000Hz)、サイズ・重量は通常版と共通で、変わっているのはスイッチと、something選手のプロファイル・グラフィックといったコラボ要素です。
この記事では、1,500円の差が実質的に何を意味するのか、Gravity S PROスイッチが本当に「上位互換」と呼べるのか、VALORANT・CS2の大会でQuick Tap(SOCD機能)がどう扱われるのかを公式情報から確認したうえで、新規購入者が通常版とSomething Editionのどちらを選ぶべきか、そしてすでに通常版を持っている人が買い替える価値があるのかを判断します。
目次
概要Pulsar「PCMK 3 HE TKL Something」とはどんなキーボードか
80%サイズ・JIS配列91キーのテンキーレス(TKL)ホールエフェクト磁気式ゲーミングキーボードです。ベースとなるPCMK 3 HE TKLのフレーム・基板構成をそのまま使い、スイッチをGravity S PROに変更、キーキャップとボディにsomething選手のグラフィックをあしらい、選手本人のプロファイルをプリセットで収録しています。価格は27,980円(税込)です。
価格差通常版と比べて変わるのはGravity S PROスイッチだけ
Pulsar公式の製品ページを通常版とSomething Editionで見比べると、アクチュエーションポイントの調整範囲(0.01〜4.0mm)、ポーリングレート(最大8,000Hz)、スキャンレート(毎秒最大35,000回)、サイズ(355×127×37mm)、重量(963g±1g)、9基のマルチMCUシステム、6層構造PCB、PBT二色成形キーキャップ、80% JIS 91キーレイアウトは両モデルで完全に共通です。差分として明記されているのはスイッチの型番と、something選手のグラフィック・プリセットプロファイルのみになります。
- スイッチGateron×Pulsar Magnetic Switch(リニア)
- 押下圧30±7gf
- 総ストローク4.1±0.2mm
- 耐久性1億5,000万回(150 Million Keystrokes)
- スイッチGravity S PRO Magnetic Switch(専用開発)
- 押下圧30±5gf
- 総ストローク3.5±0.1mm
- 耐久性1億回(100 Million Keystrokes)
Pulsar公式ブログによれば、something選手が2年間PCMK Seriesを使用する中で「打鍵感や打鍵音、そしてキーキャップまで、自分が理想とする感覚がはっきりとあった」ことを伝え、Pulsarがスイッチを新規開発したのがGravity S PROの経緯です。選手本人は「Gravity S PROスイッチは、私が求めていた打鍵感と静音性に合わせてチューニングされています」とコメントしています。つまり1,500円の差は、性能を底上げするアップグレードではなく、選手個人の好みに合わせて打鍵感・静音性の方向性を変えたスイッチの入れ替えという性格が強い差額です。
注意点Gravity S PROは完全な上位互換ではない
スペックを数字だけで比較すると、Gravity S PROには通常版より劣る項目があります。まず耐久性です。通常版のGateron×Pulsar Magnetic Switchが1億5,000万回であるのに対し、Something EditionのGravity S PROは1億回。単純な打鍵回数の耐久スペックでは、通常版のほうが5,000万回分上回っています。
次に総ストロークです。通常版が4.1±0.2mmであるのに対し、Something Editionは3.5±0.1mmと短くなっています。これは深く沈み込む打鍵感を好むか、浅く軽いタッチを好むかという方向性の違いであり、どちらが優れているかという単純な優劣の話ではありません。押下圧も30±7gfから30±5gfへと公差が狭まっており、個体差の少なさを優先した変更と見られます。
Something Editionのアクチュエーションポイントは0.01〜4.0mmの範囲で設定可能とされていますが、Gravity S PROスイッチ自体の総ストロークは3.5±0.1mmです。物理的な沈み込み量より広い設定上限が用意されている理由や、4.0mm付近に設定した場合の実際の挙動については、Pulsar公式ページの記載からは判断できません。この点が気になる場合は、購入前にレビュー動画や実機での確認をおすすめします。
まとめると、Gravity S PROは「通常版の完全な上位互換」ではなく、耐久性ではやや譲り、打鍵感の方向性が変わったスイッチです。1,500円の差額は性能向上ではなく、something選手が求めた打鍵感・静音性への最適化と捉えたほうが実態に近い評価になります。
プロコラボsomething選手のプロファイルをプリセット収録
something(本名Ilya Petrov)は、VALORANTのプロチームPaper Rexに2023年3月から所属するロシア出身の選手です。JettやYoruといったデュエリスト系エージェントを主に使用し、攻撃的なプレイスタイルで知られています。Something Editionには、この選手が大会で実際に使用しているキー配置・設定がプリセットとして収録されており、「Quick Profile Change」機能を使えば、購入者は選手と同じ設定にワンタッチで切り替えて使い始められます。
Pulsar公式ブログでのsomething選手のコメントには、次のような一節があります。「この2年間、私はPulsar PCMK Seriesを使ってきました。とても良いキーボードでしたが、打鍵感や打鍵音、そしてキーキャップまで、自分が理想とする感覚がはっきりとありました」。そのうえで「さらに、私のグラフィックとカラーを採用し、大会で実際に使用しているプロファイルをプリセットとして搭載、Quick Profile Change機能により、誰でも私と同じ設定ですぐにプレイを始めることができます」と、コラボモデルの狙いを説明しています。
プロと同じ設定を試せること自体はSomething Editionならではの付加価値ですが、プロファイルはあくまでキー配置やアクチュエーションポイントといった設定値の話であり、スイッチの物理的な耐久性や打鍵感そのものを変えるものではない点は分けて考える必要があります。
競技ルールQuick Tap(SOCD)はVALORANT・CS2の大会で使えるか
Something Editionを含むPCMK 3 HEシリーズには、「Quick Tap」と呼ばれるSOCD(Simultaneous Opposing Cardinal Directions、対向方向キー同時押し)処理機能が搭載されています。Pulsar公式の製品ページでは、この機能を「最新のキー入力を優先することで、より素早い方向転換と応答性の高い操作を実現」する機能と説明しており、Fn+Aキーでオン・オフを切り替えられます。
VALORANTの大会でこの機能が使えるかどうかは、Riot Games公式の「2026 VCT Competitive Rulebook」(最終更新2025年12月18日)で明記されています。同規則のセクション2.3.5「Snap Tap & SOCD」には次のようにあります。
“Unless otherwise instructed by League Officials, players may use Snaptap, SOCD, or other equivalent keyboard technologies.”(League Officialsから別途指示がない限り、プレイヤーはSnaptap・SOCD・その他同等のキーボード技術を使用できる)
つまり公式ルール上は、大会運営(League Officials)から個別に禁止指示が出ない限り、Quick Tapのようなキーボード側のSOCD処理は使用が認められています。この2.3.5項は変更履歴上「新設」の扱いになっており、2025年12月18日更新版で新たに追加された規定です。なお、同規則のセクション2.3.4「Macros」では、VALORANTクライアント外で動作するソフトウェアマクロ・ハードウェアのオンボードメモリに実装されたマクロを禁止していますが、この条文はSOCD処理とは別に切り出されており、Quick Tapのようなキー入力の優先処理そのものをマクロとして扱っているわけではありません。
VCT公式規則の「Unless otherwise instructed by League Officials」という条件は、大会運営が個別に禁止を指示すれば使用できなくなることを意味します。参加する大会・地域リーグのローカルルールは事前に必ず確認してください。またCS2などVALORANT以外のタイトルではSOCD処理の扱いが異なる可能性があり、Pulsar公式のサポートページでも、SOCDが禁止されているゲームでプレイする場合はQuick Tapを無効化するよう案内しています。ゲームタイトルごとに個別のルールを確認したうえで設定してください。
位置づけWooting 80HE JIS・Razer Huntsman V3 Pro TKL 8KHzと並べるとどこにいるか
磁気式・光学式を含めた競技志向のTKLキーボード全体で見ると、Something Editionの27,980円という価格はどのあたりに位置するのでしょうか。日本語配列(JIS)で入手できる主要な競合と価格を並べました。
- 価格26,480円(税込)
- 方式ホールエフェクト磁気式
- ポーリングレート最大8,000Hz
- 価格27,980円(税込)
- 方式ホールエフェクト磁気式
- ポーリングレート最大8,000Hz
- 価格36,980円(税込)
- 方式第2世代光学式アナログ
- ポーリングレート本物の8,000Hz HyperPolling
- 価格35,980円(税込)
- 方式磁気式(True 8kHz)
- 在庫2026年8月22日時点 売切れ・入荷待ち
Something Editionの27,980円は、通常版(26,480円)より高いものの、光学式のRazer Huntsman V3 Pro TKL 8KHz(36,980円)やWooting 80HE JIS(35,980円)より1万円近く安い価格帯に位置します。Razer Snap Tapも同時押し処理という点ではQuick Tapと同じ系統の機能で、こちらもRazer公式が搭載を明記しています。Wootingは4年保証(LEDを除く)と「最大限の後方互換性を大切にしています」という長期サポート方針を公式に掲げている点が強みですが、2026年8月22日時点でHYPESHOP上は売切れ・入荷待ちの表示です。今すぐ購入したい場合、この3モデルの中では通常版とSomething Editionの2択が現実的な選択肢になります。
購入判断通常版とSomething Edition、どちらを買うべきか
ここまでの内容を踏まえると、購入判断は「これから買う人」と「すでに通常版を持っている人」で分けて考えるとわかりやすくなります。
- something選手のファンで、同じ設定・グラフィックのキーボードを使いたい人
- 浅めのストロークと静音性を重視し、通常版との1,500円差を許容できる人
- まだPCMK 3 HE TKLシリーズを持っておらず、これから新規に磁気式TKLを選ぶ人
- 耐久性やしっかり沈み込む打鍵感を最優先したい人(通常版のほうが数値上は有利です)
- すでに通常版を持っていて、性能アップグレードを期待している人(スイッチの方向性が変わるだけで、上位互換ではありません)
- 大会でQuick Tapを使う前提の人(League Officialsの個別指示やゲームタイトルごとのルール確認が必要です)
仕様一覧Something Editionと通常版のスペック早見表
| 項目 | Something Edition | 通常版 |
|---|---|---|
| 価格 | 27,980円(税込) | 26,480円(税込) |
| スイッチ | Gravity S PRO(専用開発) | Gateron×Pulsar Magnetic Switch |
| 押下圧 | 30±5gf | 30±7gf |
| 総ストローク | 3.5±0.1mm | 4.1±0.2mm |
| 耐久性 | 1億回(100 Million Keystrokes) | 1億5,000万回(150 Million Keystrokes) |
| アクチュエーションポイント | 0.01〜4.0mmで調整可能 | 0.01〜4.0mmで調整可能 |
| ポーリングレート | 最大8,000Hz(True 8K) | 最大8,000Hz(True 8K) |
| スキャンレート | 毎秒最大35,000回 | 毎秒最大35,000回 |
| サイズ・重量 | 355×127×37mm・963g±1g | 355×127×37mm・963g±1g |
| MCU・PCB | 9基のマルチMCU・6層構造PCB | 9基のマルチMCU・6層構造PCB |
| 収録プロファイル | somethingプロファイル(プリセット) | なし |
| 配列 | 80% JIS 91キー | 80% JIS 91キー |
※スペックはPulsar Gaming Gears公式JPページの記載にもとづきます。価格は2026年8月時点の情報です。
購入関連するおすすめアイテム
今回比較した4モデルです。something選手のファンならSomething Edition、耐久性やコストを優先するなら通常版、光学式や長期保証を重視するなら競合モデルが候補になります。価格・在庫は変動するため、購入前に必ずリンク先で最新情報を確認してください。
まとめ1,500円の上乗せは買う価値があるか
Pulsar「PCMK 3 HE TKL Something」は、VALORANTプロ選手something(Ilya Petrov)とのコラボにより、専用開発の磁気スイッチ「Gravity S PRO」を搭載したモデルです。価格は27,980円(税込)で、通常版PCMK 3 HE TKL(26,480円)との差はわずか1,500円。ただしこの差額は性能の底上げではなく、耐久性ではむしろ通常版が上回り、総ストロークも短くなるという方向性の違いを持つスイッチへの入れ替えです。
1,500円という価格差は、性能アップグレードの対価ではなく、something選手が求めた打鍵感・静音性への最適化と、プロファイル・グラフィックといったコラボ要素の対価です。耐久性を数値で比較すると、通常版のGateron×Pulsar Magnetic Switch(1億5,000万回)のほうがSomething EditionのGravity S PRO(1億回)より高く、総ストロークも通常版のほうが深い(4.1mm対3.5mm)ため、単純な上位互換ではありません。
something選手のファンでプリセットプロファイルやコラボデザインに価値を感じるなら、1,500円差は妥当な選択です。一方、すでに通常版を持っている場合や、耐久性・打鍵感の深さを優先したい場合は、無理に買い替える必要はありません。Quick Tap(SOCD)は2026 VCT公式規則上「League Officialsから別途指示がない限り」使用が認められていますが、大会に出場する場合はゲームタイトルごと・大会ごとのルールを個別に確認してください。


