OpenRGB 1.0が正式リリース|約3年ぶり、Armoury Crate・MSI Centerは消せるか【2026年9月】
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約3年ぶりの大型更新、Armoury Crate・MSI Centerは消せるか
出典:OpenRGB公式GitLab リリースページ、OpenRGB公式サイト、開発者Adam Honse氏によるソースコード・変更履歴にもとづきます(2026年9月13日確認)。
ASUS・MSI・Corsair・Razerなど、RGBライティング対応パーツはメーカーごとに専用ソフトが分かれており、複数メーカーの製品を組み合わせるほど常駐ソフトが増えていきます。オープンソースの「OpenRGB」は、こうしたメーカーの壁を越えて1つのソフトからRGBを一括制御できることを特徴としてきました。
その正式版1.0が、開発開始から数年をかけて公開されました。現地時間2026年9月11日、前回の正式版0.9(2023年7月9日公開)から約3年2か月ぶりのリリースです。今回のポイントは対応デバイスの増加だけでなく、プロファイル・バックグラウンド動作・Windows側のハードウェアアクセス方式など、ソフトの内部構造が大きく作り直された点にあります。
この記事では、OpenRGB 1.0で何が変わったのか、なぜ0.9から1.0まで3年以上かかったのか、そしてArmoury CrateやMSI Centerなどメーカー製ソフトをOpenRGBへ置き換えられるのかを、公式のソースコードと変更履歴にもとづいて整理します。
目次
概要OpenRGB 1.0の主な変更点
OpenRGB 1.0の主な変更をまとめると、次のようになります。
| 項目 | 0.9まで | 1.0での変更 |
|---|---|---|
| プロファイル形式 | バイナリ形式 | JSON形式へ再設計 |
| 常駐動作 | GUIとの連携が限定的 | バックグラウンドサービスと設定・プロファイルを同期 |
| UI基盤 | Qt5 | Qt6へ移行 |
| Windowsのハードウェアアクセス | WinRing0 | PawnIOを採用 |
| USB機器 | 起動時点の構成を前提 | HIDホットプラグに対応 |
| SDKプロトコル | Version 4 | Version 6 |
| Plugin API | Version 3 | Version 5 |
SDKプロトコルとPlugin APIのバージョンは、OpenRGBのソースコードに定義されたOPENRGB_SDK_PROTOCOL_VERSIONとOPENRGB_PLUGIN_API_VERSIONの値で確認できます。0.9ではそれぞれ4・3でしたが、1.0では6・5です。外部から見えるデバイス対応の広がり以上に、内部の仕組みそのものが世代交代しています。
背景最大の変化は「対応機器」ではなく内部構造
OpenRGB 1.0は新規対応デバイスに注目が集まりがちですが、今回もっとも重要なのはバックエンドの刷新です。開発者Adam Honse氏は、Windows版がハードウェアへアクセスするために使っていたドライバー「WinRing0」について、Microsoftから悪意のあるソフトウェアとして扱われ、Windows Defenderに隔離される問題が発生したことを、GitLab上の開発議論で説明しています。背景にあるのは、WinRing0が抱える特権昇格の脆弱性(CVE-2020-14979)です。同ドライバーはOpenRGBだけでなくMSI Afterburner、Razer Synapse、HWiNFOなど多数のハードウェア監視・RGB制御ソフトに同梱されており、この脆弱性を悪用してカーネル権限を得る手口(BYOVD)が知られるようになったことで、Microsoft側の検知対象になりました。OpenRGBチームには独自のカーネルドライバーを開発してMicrosoftの署名検証を受けるだけのリソースがなく、WinRing0に代わる仕組みとして採用されたのがPawnIOです。
このほか、UIフレームワークのQt5がEOL(サポート終了)を迎えていたことも、1.0開発を見直すきっかけの一つになりました。さらに開発が進む過程で、PawnIOの利用には管理者権限が必要になる一方、GUIとバックグラウンドサービス間で設定やプロファイルを適切に共有できていないという問題も浮上します。そこで単純にリリース候補版を正式版へ昇格させるのではなく、バックエンドを含めた大規模な再設計が行われました。OpenRGB 1.0は0.9の機能追加版ではなく、今後のOpenRGBを支える土台そのものを作り直したバージョンと考えた方が実態に近いといえます。
中身プロファイル・常駐動作・Windowsアクセス方式の刷新
1.0で特に大きく変わったのがプロファイルです。従来のバイナリ形式からJSON形式へ変更され、プラグイン側もOpenRGBのプロファイルへ独自設定を保存できるようになりました。起動・終了・スリープ・復帰といったタイミングで読み込むプロファイルも管理できるため、「普段は白色、ゲーム時はエフェクト、スリープすると消灯」といった運用をOpenRGB中心に組み立てやすくなっています。
あわせて、バックグラウンドサービスとして動作させる仕組みも強化されました。RGB制御ソフトは一度色を設定すればGUIを表示し続ける必要はないはずですが、ハードウェアへのアクセスを維持するためアプリ本体やメーカー製サービスが常時動作しているケースが少なくありません。OpenRGB 1.0では、GUIとRGBデバイスを実際に管理する部分を分離し、設定やプロファイルをサービス側と同期できる構成へ改良されています。
Windows側のハードウェアアクセスは、前述のとおりWinRing0からPawnIOへ切り替わりました。RGBメモリや一部マザーボードの制御には、通常のUSB機器より低いレベルでのアクセスが必要で、この仕組み自体が変更された点は、0.9からの移行を「見た目が変わっただけ」と捉えるべきではない理由の一つです。USB HIDデバイスのホットプラグにも対応し、キーボードやマウスをOpenRGB起動後に接続・切断してもデバイスリストを動的に更新できるようになりました。GUIフレームワークもQt5からQt6へ移行し、Windows・Linux・macOSいずれの公式ビルドもQt6ベースに揃っています。
置き換えOpenRGBならArmoury CrateやMSI Centerを削除できる?
RGB制御だけを目的としてメーカー製ソフトを使っているなら、OpenRGBへ置き換えられる可能性があります。マザーボードはASUS、メモリはCorsair、マウスはRazerといった混在環境でも、OpenRGB 1台にまとめれば管理はシンプルになります。ただしArmoury CrateやMSI Center、iCUEにはBIOS更新やファームウェア更新、マウスのDPI設定、マクロなどRGB以外の機能も含まれるため、それらを使っているなら純正ソフトを完全に削除できるとは限りません。ソフトごとの特徴や使い分けの詳しい基準はPCのRGBライティング設定ガイドで整理しています。
OpenRGBへ移行する際は、メーカー製RGBソフトとの競合にも注意してください。マザーボードのRGB制御には主にSMBus(システム管理バス)が使われますが、SMBusは同時に1つのプロセスしかアクセスできない仕組みです。OpenRGBとArmoury Crate、MSI Center、iCUEなどが同時に起動していると、後からアクセスした側が弾かれたり、設定が上書きされたり、色が戻ったりする可能性があります。いきなり純正ソフトをアンインストールするのではなく、まず自動起動やRGB関連サービスを停止し、OpenRGBだけで必要な機器を操作できるか確認してから環境を整理する方が安全です。
注意点対応状況・古いプラグイン・Linux環境で確認したいこと
OpenRGBの公式Supported Devicesページには、掲載機器の対応状況が「Fully supported」「Support is problematic」「Partially supported」「Not currently supported」などに分類されています。対応機器一覧に名前があっても、色変更はできてもデバイス内への設定保存ができない、Direct Modeのみ対応するなど、機種ごとに制限が異なります。一般的な3ピンARGBヘッダーはデータが一方向にしか流れないため、OpenRGB側から接続LED数を自動判別できず、ユーザー自身でLED数を設定する「Resizing」が必要になる場合もあります。「導入すればPC内のRGBが自動ですべて同期する」というより、機種ごとの対応状況を確認しながら設定する前提で考えた方がよいでしょう。
既存ユーザーが1.0へアップデートする際は、プラグインにも注意が必要です。正式版1.0ではPlugin APIがVersion 5へ更新されていますが、1.0のリリース候補版まではVersion 4でした。Effects PluginやHardware Syncなどを利用している場合は、OpenRGB本体だけ先に更新するのではなく、使用しているプラグインがVersion 5に対応しているか確認してください。
Linux版もWindows版同様に大きく変わっており、AppImageに加えFlatpak、Debian、Fedora向けパッケージが用意されています。DebianおよびFedoraパッケージを利用する場合、対応する「hidapi-hotplug」パッケージを別途インストールする必要がある点は公式サイトでも注意書きがあります。バックグラウンドサービスとして動作させる場合、サービスはroot権限でハードウェアへアクセスします。メーカー純正のRGBソフトが用意されていないケースも多いLinux環境では、OpenRGBの価値はWindows以上に大きいといえます。
FAQよくある質問
まとめOpenRGB 1.0は「RGBアプリ」から一歩進んだ大型アップデート
OpenRGB 1.0は、前回の正式版0.9から約3年2か月ぶりに公開された大型アップデートです。対応デバイスの追加だけでなく、プロファイルのJSON化、バックグラウンドサービスとの同期強化、WindowsのハードウェアアクセスをWinRing0からPawnIOへ切り替え、Qt5からQt6への移行、USB HIDホットプラグ対応など、ソフトの中核部分が大きく再設計されました。SDKプロトコルはVersion 4から6、Plugin APIはVersion 3から5へ更新されています。
RGB制御のためだけに複数メーカーの純正ソフトを常駐させているなら、OpenRGB 1.0は一度試す価値があります。ただしArmoury CrateやMSI Center、iCUEが持つRGB以外の機能まで完全に代替できるわけではなく、対応機器の状況や既存プラグインの互換性も事前に確認しておく必要があります。



