ASRock TempGuardでも12V-2×6焼損を防げず|RTX PRO 6000でPSU側コネクタ溶融、温度センサーの盲点【2026年9月】
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RTX PRO 6000でPSU側コネクタ溶融、温度センサーの盲点
出典(確認日2026年9月13日):VideoCardz「ASRock PSU thermal protection fails to prevent melted 16-pin cable on $16,000 RTX PRO 6000 GPU」(2026年9月13日)/VideoCardz「ASRock TempGuard failed to shut down system after RTX 5090 power connector melted」(2026年7月10日)/ASRock公式 TC-1650T製品ページ/NVIDIA公式 RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition製品ページ/PNY公式データシート(RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition)。仕様・報告内容は各公式ページの2026年9月時点の記載および各メディアの報道にもとづきます。
RTX 5090やRTX PRO 6000のような500〜600Wクラスのグラフィックボードを使っていると、電源コネクタの異常発熱はどこか他人事ではいられません。コネクタをしっかり挿し込み、異常発熱を検知するケーブルや電源を選んでおけば一定の安心材料になると考えている人も多いはずです。今回報告された事例は、その前提そのものに一石を投じる内容です。
ASRock Taichi TC-1650TとRTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionを組み合わせた環境で、GPU側ではなく電源側の12V-2×6コネクタが溶融したとの報告がありました。TC-1650Tには異常な発熱を検知して電源側の動作を止める「TempGuard」機能が搭載されていますが、今回はこの機能が働く前にコネクタが溶けたとされています。RTX PRO 6000自体は動作を継続していたといい、被害はPSU側に集中していました。
単発のユーザー報告である以上、原因を断定することはできません。ただしASRock公式が説明するTempGuardの仕組みを確認すると、温度センサーが置かれているのはGPU側のコネクタだけです。PSU側で先に発熱が進んだ場合、GPU側のセンサーが検知するまでに時間差が生じる可能性があります。焼損の事実だけでなく、この保護機能がどんな条件で追いつかなくなりうるのか、そして500〜600Wクラスのカードを使う人が今どこを確認すべきかを整理します。
目次
要点まず何が起きたか
経緯報告内容を確認する
今回の報告は、Redditに投稿された写真をもとに海外メディアが2026年9月13日付で伝えたものです。使われていたのはNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition(ボード全体の消費電力600W)と、ASRock Taichi TC-1650T(1650W出力の80 PLUS TITANIUM認証電源)の組み合わせでした。投稿者によると、GPU側・PSU側どちらのコネクタも根元までしっかり挿し込まれており、TempGuardの温度検知プローブも接続された状態だったといいます。
被害が出たのは、GPU側の12V-2×6コネクタではなく電源ユニット側のソケットでした。プラスチックが溶けてソケットに固着するほどの損傷が確認されており、RTX PRO 6000本体は報告時点で目立った損傷がなく、動作も継続していたとされています。2026年9月13日時点で、ASRock・NVIDIAいずれからも公式なコメントは出ていません。
現時点で確認できるのは、ユーザー1人からの報告とそれに添えられた写真だけです。第三者機関による再現検証や、ASRock・NVIDIAによる原因の公式な特定は行われていません。同じ組み合わせを使う全員に必ず起きるという話ではなく、一つの事例として受け止める必要があります。
背景TempGuardの仕組みと今回の死角
ASRock公式のTC-1650T製品ページでは、TempGuardの仕組みについて「VGAコネクタに搭載したNTCセンサー(温度によって抵抗値が変わる温度検知素子)が温度を監視し、電源に信号を送ることで安全な動作を確保する」という趣旨の説明がされています。ここでいう「VGAコネクタ」とは、ケーブルのうちグラフィックボード側に挿す端のことです。つまり公式説明の時点で、TempGuardの検知拠点はGPU側の1カ所に置かれていることになります。
ケーブルは電源からGPUまで数十センチにわたって銅線でつながっていますが、発熱源とセンサーの位置が離れていれば、その分だけ熱が伝わって検知されるまでに時間差が生じます。今回のように損傷がPSU側で先行して進んだ場合、GPU側のセンサーが異常な温度上昇を感知する前に、PSU側の樹脂が溶け始めてしまう展開は起こり得ます。海外メディアも今回の報告を受けて、「センサーはケーブルの両端に設置されるべきであり、そうしていれば今回の問題は防げていた可能性が高い」という趣旨の指摘をしています。
もう一つ見落とせないのが、12V-2×6が6本の12V端子をまとめて使う規格だという点です。合計の電流や平均温度が定格の範囲内に収まっていても、圧着の精度や端子の接触抵抗にばらつきがあれば、特定の1本だけに電流が集中して局所的に高温化することがあります。この現象は電源側の端子でも、GPU側の端子でも起こり得るもので、平均温度を1点だけ監視する仕組みでは、こうした偏りをすべて捉えきれない可能性があります。
事例積み重なる同型構成での報告
TC-1650TとRTX PRO 6000の組み合わせで焼損が報告されたのは、今回が初めてではありません。調べたところ、2026年3月にも同じ組み合わせでGPU側のコネクタが焦げたとする報告があったことが分かっています。この時はカードがPNYに送られて点検を受け、カード自体には問題がないと判断され、ASRockがケーブルの交換に対応したとされています。今回とは逆に、このケースで損傷が集中したのはGPU側でした。
さらに2026年7月には、TempGuardを搭載した別モデルの電源「ASRock PG1000-PSF」と、MSI GeForce RTX 5090 GAMING TRIO OCの組み合わせでも、12V-2×6が溶融しTempGuardが作動しなかったとする報告がありました。ケーブルは両端ともきちんと挿し込まれ、目立った折れ曲がりもなかったといいます。オーバークロッカーのder8auer氏は損傷写真を分析し、6本のうち特定の1本(1番ピン)に電流が偏っていた可能性を指摘しています。このケースでも、より大きなダメージを受けていたのはGPU側でなくPSU側のコネクタでした。
3件を並べると、TempGuardという同じ保護機能を積んだ電源で、GPU側・PSU側それぞれの溶融が繰り返し報告されていることになります。母数や発生頻度は分かっていませんが、保護機能を搭載していても焼損そのものを防げなかったという結果は、3件に共通しています。
影響今の時点でどう受け止めるべきか
- 3件の報告いずれも、GPU本体が致命的な損傷に至ったとは伝えられていない(3月はPNY点検でカード自体に問題なしと判定、7月・9月は動作継続)
- 今回の報告ではケーブルの挿し込み不足や目立った折れ曲がりは確認されておらず、単純な取り付けミスとは言い切れない
- TempGuardのセンサー位置という設計上の前提が、海外メディアを含む複数の場で疑問視されている
- PSU側の急速な発熱を、GPU側1カ所のセンサーだけでは検知しきれない可能性がある
- 12V-2×6は6端子間の電流の偏りが起きうる規格で、平均値の監視だけでは局所的な異常を見逃しうる
- いずれも単一ユーザーによる報告で、第三者機関による独立検証や公式の原因特定はまだ行われていない
対策今すぐ確認したいこと
今回の報告が示しているのは、TempGuardや同種の保護機能自体を否定する話ではなく、「保護機能があるから点検をしなくていい」という考え方には死角があるということです。RTX 5090やRTX PRO 6000など500〜600Wクラスのカードを使っている場合は、次の点を確認しておくと安心材料になります。
半挿しやケーブルの折れ曲がりなど、取り付けに起因する一般的な原因と対策については、12V-2×6/12VHPWRコネクタ焼損の完全対策ガイドで詳しく解説しています。今回のようにセンサーの設置場所という保護機能側の設計に起因する死角は、正しく取り付けていても防げない可能性がある点で、そのガイドが扱う範囲とは別に押さえておく価値があります。6本の端子ごとの電流を個別に監視できる機器を併用すれば、平均値だけでは見えない偏りに早く気づける可能性もあります。
Q&Aよくある質問
ASRock Taichi TC-1650TとRTX PRO 6000 Blackwell Workstation Editionの組み合わせで、GPU側でなくPSU側の12V-2×6コネクタが溶融したとの報告がありました。ケーブルは両端とも根元まで挿し込まれていたとされ、TempGuardのNTCセンサーがGPU側コネクタしか監視していない設計が、PSU側で先行した発熱を検知しきれなかった一因になった可能性があります。同じ組み合わせでは2026年3月にGPU側の焦げ、7月には別モデルの電源とRTX 5090でPSU側の溶融が報告されており、今回で少なくとも3件目です。
いずれも単一ユーザーによる報告で、原因はまだ公式に特定されていません。12V-2×6やTempGuardそのものを否定する材料ではありませんが、保護機能を積んだ電源を使っていても、GPU側だけでなくPSU側のコネクタを定期的に目視で確認する習慣は続けておく価値があります。500〜600Wクラスのカードを使っているなら、次の点検のタイミングでケースを開け、両端のコネクタに変色や異臭がないかを一度確かめておくことをおすすめします。



