『World of Warcraft: Forever』でGTX 780が非対応に|2012年のRadeon HD 7850は使える理由
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2012年のRadeon HD 7850やGTX 750 Tiは対応という逆転現象
出典:Blizzard公式「World of Warcraft: Forever GPU Requirements」、NVIDIA公式プレスリリース「GeForce GTX 780」、Microsoft Learn「Typed unordered access view (UAV) loads」のほか、MMO-Champion、gfinityesportsの報道を参考に構成しています(2026年9月19日確認)。

Blizzard EntertainmentがGPU動作要件を公式サイトで公開した直後から、海外のハードウェアコミュニティで話題になっているのは奇妙な逆転現象です。性能面で明らかに上位のはずのGeForce GTX 780が非対応になり、1年以上前に発売された廉価な旧世代GPUのほうが対応リストに残っています。
原因はGPUの処理性能ではありません。Blizzardが最低ラインに設定したのは、AMDが「Graphics Core Next 1」(2012年)、NVIDIAが「Maxwell」(2014年)、Intelが「Skylake」(2015年)という世代の線引きで、必要な機能はコンピュートシェーダーで「RGBA16F UAV」という特定のフォーマットを読み書きできるかどうかの一点です。この結果、2013年発売のKepler世代フラッグシップGTX 780は足切りされ、2012年発売のGCN世代Radeon HD 7850や、GTX 780より非力なMaxwell世代のGeForce GTX 750 Tiは今も対応リストに残ります。
世代の境界がなぜGPUの性能序列と一致しないのか、GTX 780とRadeon HD 7850・GTX 750 Tiのスペックを一次情報で突き合わせ、「DirectX 12対応」という表記だけでは判断できない技術的な理由まで整理します。GTX 780を使っている人が実際に何をすべきかの判断基準は、記事の最後にまとめます。
『World of Warcraft: Forever』のゲーム内容・料金・発売日の詳細はこちらの記事で解説しています。ここではPC版のGPU動作要件だけを掘り下げます。
目次
発表概要世代単位の線引きとRGBA16F UAVという条件
Blizzardが公式ページで示した最低動作GPUは、個別のモデル名の羅列ではなく、アーキテクチャ世代での線引きです。AMDは2012年に登場した「Graphics Core Next 1」(GCN 1)、NVIDIAは2014年の「Maxwell」、Intelは2015年の「Skylake」がそれぞれの最低ラインで、これより古い世代のGPUは搭載アーキテクチャを問わず対象外になります。
必要とされる機能は、コンピュートシェーダーから「RGBA16F UAV」(Unordered Access Viewの一種で、16ビット浮動小数点のRGBA4チャンネルを読み書きできるフォーマット)を扱えるかどうかの一点です。Blizzardによれば、Foreverで刷新した新しいビジュアル表現を支えるためにこの機能が必要になりました。RGBA16F UAVはおよそ2012年前後からGPUに搭載され始めた機能で、世代の線引きはこの機能の有無に沿って引かれており、処理性能そのものを基準にしたものではありません。
| メーカー | 最低アーキテクチャ | 対応する代表例 |
|---|---|---|
| AMD | Graphics Core Next 12012年〜 | Radeon HD 7850 |
| NVIDIA | Maxwell2014年〜 | GeForce GTX 900シリーズ・GTX 750/750 Ti |
| Intel | Skylake2015年〜 | HD Graphics 530 |
| 対応・非対応 | Blizzard公式が挙げる具体例 |
|---|---|
| 対応 | Radeon HD 7850(2012年)、GeForce GTX 900シリーズ・GTX 750/750 Ti(2014年)、HD Graphics 530(2015年) |
| 非対応 | Radeon HD 6950(2010年)、GeForce GTX 760/770/780・GTX 800Mシリーズ、HD Graphics 6000 |
この一覧の中でひときわ目を引くのが、2013年発売のハイエンドGPU「GeForce GTX 780」です。同じ「GTX 7xx」の型番を持つGTX 750・GTX 750 Tiは対応リストに載っている一方、GTX 780は非対応リストに名指しで入っています。性能では明らかに格上のGTX 780がなぜ弾かれるのか、次の項で発売時期の近いRadeon HD 7850と比較します。
検証1GTX 780 対 Radeon HD 7850、新しいほうが負ける
発売時期とスペックだけを見れば、GeForce GTX 780とRadeon HD 7850の力関係は一目瞭然です。GTX 780は2013年5月に649ドルで登場したハイエンド市場向けGPUで、CUDAコア2,304基・3GB GDDR5(384bit)・TDP 250Wという当時の最上位クラスの構成でした。対してHD 7850は、GTX 780より1年以上早い2012年3月に249ドルで発売されたミドルレンジGPUで、ストリームプロセッサ1,024基・2GB GDDR5(256bit)・TDP 130Wにとどまります。世代・価格帯・実性能のいずれで比べても、GTX 780がHD 7850を上回ります。
| 項目 | GeForce GTX 780 | Radeon HD 7850 |
|---|---|---|
| 発売時期 | 2013年5月 | 2012年3月 |
| アーキテクチャ | Kepler(GK110) | GCN 1(Pitcairn) |
| 発売時価格 | 649ドル | 249ドル |
| コア/VRAM | CUDA 2,304基・3GB GDDR5 | SP 1,024基・2GB GDDR5 |
| RGBA16F UAV | 非対応 | 対応 |
| Foreverでの扱い | 非対応 | 対応 |
それでもHD 7850が生き残るのは、発売時期の新しさとは無関係に、AMDのGCN設計そのものにRGBA16F UAVへの対応が組み込まれていたためです。GCN 1はHD 7850が発売された2012年の時点ですでに対応していたのに対し、NVIDIAのKeplerはGTX 780を含む2012〜2014年発売の世代全体でこの機能を欠いています。GTX 780がHD 7850より1年以上新しく、性能でも大きく上回っているという事実は、Foreverの互換性判定には一切関係しません。判定基準はカレンダー上の新しさではなく、採用したアーキテクチャ設計そのものです。
検証2同じNVIDIAの「GTX 7xx」でも明暗が分かれる
もう一つの逆転が、同じNVIDIA・同じ「GTX 7xx」の型番グループの中で起きています。GeForce GTX 760・770・780はいずれもKepler世代で、Foreverでは揃って非対応です。一方、同じく「700シリーズ」としてラインナップされたGeForce GTX 750・GTX 750 Tiは、2014年2月発売の第1世代Maxwell(GM107)を採用しており、対応リストに残ります。型番の並びだけを見ると同じ世代の製品に見えますが、実際にはNVIDIAが「700シリーズ」という1つの型番グループの中でKeplerとMaxwellという異なるアーキテクチャを混在させたことが、この分かりにくさの原因です。
スペック面ではGTX 750 TiはGTX 780よりはるかに非力です。GTX 750 TiはCUDAコア640基・2GB GDDR5(128bit)・TDPはわずか60Wで、補助電源コネクタを必要としない省電力設計が売りのエントリー向けGPUでした。発売時価格も149ドルと、GTX 780の649ドルの4分の1以下です。性能でGTX 780に遠く及ばないGTX 750 Tiが対応し、性能で勝るGTX 780が非対応になるという結果は、GPU選びを型番の新しさや性能の高さで判断してきた人ほど意外に映るはずです。
| 項目 | GeForce GTX 780 | GeForce GTX 750 Ti |
|---|---|---|
| 発売時期 | 2013年5月 | 2014年2月 |
| アーキテクチャ | Kepler(GK110) | 第1世代Maxwell(GM107) |
| 発売時価格 | 649ドル | 149ドル |
| コア/VRAM | CUDA 2,304基・3GB GDDR5 | CUDA 640基・2GB GDDR5 |
| TDP/補助電源 | 250W・6+8ピン | 60W・補助電源不要 |
| Foreverでの扱い | 非対応 | 対応 |
検証3「DirectX 12対応」の表記だけでは判断できない理由
ここで紛らわしいのが、GTX 780自体もDirectX 12に対応するGPUとして扱われてきた点です。Kepler世代はWindows 10への移行期にあたる2015年前後のドライバー更新でDirectX 12(フィーチャーレベル11_0)への対応が追加されており、GTX 780を「DirectX 12対応GPU」と紹介する情報は珍しくありません。しかもフィーチャーレベルの数字だけを比べると、GTX 750 Tiが採用する第1世代Maxwell(GM107)もフィーチャーレベル11_0止まりで、GTX 780との間に差はありません。
両者を分けるのは、フィーチャーレベルとは別に個別確認が必要な、より細かいハードウェア機能フラグです。Microsoft公式のDirect3D 12ドキュメントによれば、UAV(Unordered Access View)はコンピュートシェーダーが複数スレッドから同時に読み書きできるリソースの一種で、その中でも「Typed UAV Load」と呼ばれる、特定のフォーマットを指定してUAVを読み込む機能があります。R32_FLOATなど3つの基本フォーマットはDirectX 11.0世代のハードウェアで必須とされていますが、RGBA16F(R16G16B16A16_FLOAT)を含む拡張フォーマット群は、DirectX 12またはDirectX 11.3のハードウェアで「対応していれば一式まとめて対応」という扱いの、別枠の対応セットに分類されています。アプリケーション側はCheckFeatureSupport APIを使い、この拡張フォーマット対応(TypedUAVLoadAdditionalFormats)をフィーチャーレベルとは切り離して個別に確認する仕組みです。
つまり「DirectX 12対応」という表記は、GPUが備える多数の機能の中でも最低限の共通項を示しているにすぎません。同じフィーチャーレベル11_0のGPU同士でも、RGBA16F UAVのようなより細かい機能はシリコンの世代ごとに対応・非対応が分かれます。Foreverはこの細かい機能の有無を直接の判定基準にしているため、フィーチャーレベルの表記が同じでもKeplerとMaxwellで明暗が分かれる結果になっています。
Blizzard自身も、対応リストに挙げたRadeon HD 7850やGeForce GTX 750/750 Tiについて「これらのGPUは依然としてゲームの最低要件を大きく下回っている」と明記しています。RGBA16F UAVへの対応は、あくまでゲームが起動できるかどうかの互換性の下限であり、実際に遊べる快適さを保証するものではありません。
判断基準GTX 780ユーザーは買い替えるべきか
GTX 780を使っている場合、Foreverをプレイする選択肢は事実上ありません。互換性の下限を満たさないため、起動画面にすら到達できない扱いです。問題は何に買い替えるかで、ここで互換性リストに載っているというだけの理由でHD 7850やGTX 750 Tiのような旧世代GPUを中古で探すのは避けるべき判断です。Battle.net公式の商品ページには必要スペック欄があり、海外メディアの報道を総合すると目安はDirectX 12対応でVRAM4GB以上、快適さを求めるなら8GB以上です。Blizzard自身が明言する通り、互換性リストに載ったGPUはあくまで下限であって、快適に遊べる水準ではありません。
- GTX 780・GTX 760/770を含むKepler世代のGPUを使っている → Foreverは起動できないため買い替えが前提になる
- 買い替え先を選ぶ基準は「対応リストに載っているか」ではなく、DirectX 12に対応し十分なVRAMを積んだ現行世代のGPUに置く
- 中古のRadeon HD 7850やGeForce GTX 750 Tiのように互換性の下限ギリギリのGPUをあえて選ぶ必要はない
- すでにRTX 20シリーズ以降やRadeon RX 5000シリーズ以降など、直近世代のGPUを使っている → アーキテクチャ要件は余裕を持って満たす
- Radeon HD 7850やGeForce GTX 750/750 Tiを今も使っていて動作自体はする → ただし快適さは別問題として割り切る必要がある
- ベータや正式ローンチ後の実際のフレームレート報告が出てから、設定を細かく詰めても遅くない
FAQよくある質問
『World of Warcraft: Forever』のGPU要件は、性能ではなくアーキテクチャ世代とRGBA16F UAVという1つの機能の有無で線引きされています。この結果、2013年のハイエンドGPU「GeForce GTX 780」がKepler世代であるために非対応になる一方、1年以上古い2012年の「Radeon HD 7850」や、GTX 780より非力な「GeForce GTX 750 Ti」は、それぞれGCN 1・Maxwellという条件を満たすため対応リストに残るという逆転が起きています。
GTX 780やGTX 760/770を使っている場合、Foreverを遊ぶなら買い替えは避けられません。その際は「互換性リストに載っているかどうか」ではなく、DirectX 12に対応し十分なVRAMを備えた現行世代のGPUを基準に選ぶべきです。互換性の下限に載ったGPUは、Blizzard自身が認める通り快適に遊べる水準ではありません。





