ASUS NUC 16 Proを完全ファンレス化する「Akasa Newton N16」|28W制限でArc B390はどこまで戦えるか

ASUS NUC 16 Proを完全ファンレス化する「Akasa Newton N16」|28W制限でArc B390はどこまで戦えるか

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ニュース/2026年9月17日発表
ASUS NUC 16 Proを完全ファンレス化する「Akasa Newton N16」
28W制限でArc B390はどこまで戦えるか
Akasaは2026年9月17日、ASUS「NUC 16 Pro」を完全にファンレス化する専用ケース「Newton N16」を発表しました。アルミニウム製の筐体全体をヒートシンクとして使い、CPUだけでなく2基のM.2 SSDまでパッシブ冷却する設計です。ただし対応TDPは最大28Wまでで、標準構成で使える最大65W cTDPからは大きく絞り込む必要があります。この電力制限で、Core Ultra X9 388Hに統合されたIntel Arc B390のゲーム性能がどこまで落ちるのかを、電力別の実測データをもとに検証します。
対応TDPは最大28WM.2 SSD 2基もパッシブ冷却価格は118.90ポンドから(英国)

出典:Akasa公式 Newton N16製品ページ(A-NUC109-M1B)Intel公式 Core Ultra X9 388H仕様ASUS公式 NUC 16 ProデータシートNotebookcheck「Core Ultra X9 388H電力別ベンチマーク」にもとづきます。情報は2026年9月19日時点のものです。

ミニPCのファンノイズが気になった経験がある人は多いはずです。ASUS「NUC 16 Pro」は最大16コアのIntel Core Ultra Series 3(Panther Lake-H)とIntel Arc B390を統合し、ノートPC並みの内蔵GPU性能を持ちながら、デュアルファンの冷却音がつきまといます。

Akasaは2026年9月17日、このNUC 16 Proを丸ごとファンレス化する専用ケース「Newton N16」を発表しました。単純にファンを大型化するのではなく、アルミニウム製の筐体全体をヒートシンクとして機能させ、CPUに加えて2基のM.2 SSDまでパッシブ冷却します。容積は2.1Lで、標準筐体(144×117×42mm、体積換算で約0.7L)の3倍近い大きさです。

ただしAkasa自身が示す対応TDPは最大28Wで、BIOS側でプロセッサーの電力制限を変更する必要があります。標準のNUC 16 Proが最大65W cTDPまで使えることを踏まえると、これは小さな制限ではありません。Core Ultra X9 388H+Arc B390の電力別実測データを使い、28Wに絞った場合にゲーム性能がどの程度低下するのかを具体的な数値で確認したうえで、標準構成とNewton N16のどちらを選ぶべきかを整理します。

先に結論

Newton N16でファンレス化する場合、CPUの電力上限はBIOSで28Wへ制限する必要があります。別環境(Core Ultra X9 388H+Arc B390)の電力別実測データでは、45Wから28Wへ下げると3DMark Time Spy Graphicsが約18%、サイバーパンク2077の1080p Ultraのfpsが約19%低下しました。ただし28WはIntelがこのCPUに定めるProcessor Base Power(25W)にかなり近い値で、極端な低電力設定ではありません。ゲーム性能を優先するなら標準のファン冷却構成のまま、静音性や常時稼働の安定運用を優先するならNewton N16が選択肢になります。

目次

発表内容Newton N16はNUC 16 Pro専用の完全ファンレス化ケース

Akasa Newton N16、ASUS NUC 16 Pro専用ファンレスケース
アルミニウム製フィン付きケース全体がヒートシンクになる「Newton N16」(画像:Akasa公式)

Newton N16は、ASUS「NUC 16 Pro」のボードをそのまま移植して使う専用ケースです。寸法は188.6×204×53.6mm、容積2.1L。アルミニウム製の外装フィン付きモジュールがCPUの熱をケース全体へ伝導し、内部にはM.2 SSD用の専用アルミヒートシンクとサーマルパッドを2基分備えます。NUC 16 Proの標準構成にはM.2スロット2基分の専用ヒートシンクは付属しないため、SSD側の冷却強化はNewton N16ならではの特徴です。

前面インターフェースはUSB 3.2 Gen2(10Gbps)のType-C端子を1基、Type-A端子を2基備え、これは標準のNUC 16 Pro本体の前面構成と同じです。背面にはシリアルポート用の開口部があり、マザーボード内部のRS-232ヘッダーへ接続する専用ケーブルが付属します。VESAマウントに対応するほか、壁掛け用ブラケット(A-NUC109-KT01)や10インチラック用フロントパネル(A-NUC109-FP02)もオプションで用意されています。想定用途としてAkasaが挙げているのは、デジタルサイネージ・産業用PC・POS・監視システム・組み込み機器、そして常時稼働のローカルAI用途です。

型番はデュアルHDMI版のNUC 16 Proボードに対応する「A-NUC109-M1B」と、デュアルDisplayPort版に対応する「A-NUC109-M2B」の2種類が用意されています。ASUSのNUC 16 Pro自体もHDMI仕様とDisplayPort仕様の2系統で展開されているため、手元のボードに合わせてケースを選ぶ形です。Akasaがこの種のファンレス化ケースを手がけるのは今回が初めてではなく、旧世代のNUC 14/15 Pro(Revel Canyon/Cyber Canyon)向けには1.9L・最大28W対応の「Newton RC」をすでに展開しています。Newton N16は、その最新世代版という位置づけです。

Akasa Newton N16(A-NUC109-M1B)前面インターフェース
デュアルHDMI版ボード対応の「A-NUC109-M1B」。前面にUSB-C×1・USB-A×2・電源ボタンを備える(画像:Akasa公式)

電力制限なぜ28Wなのか|標準65W cTDPとの差

ASUS公式のNUC 16 Proデータシートによると、NUC 16 Proは7種類のCPU構成を用意しています。Arc B390を統合するCore Ultra X9 388H・X9 378H・X7 358H・Ultra 7 366H(vPro)・Ultra 7 356Hの5モデルは、いずれもcTDP(設定可能な熱設計電力)の上限が65Wです。GPUがIntel Graphics止まりのCore Ultra 5 335(vPro)・325は、cTDPの上限が45Wにとどまります。ゲーム用途で意味を持つのは、当然ながらArc B390を積む上位5モデルです。

ここで基準になるのがIntel公式の仕様です。フラグシップのCore Ultra X9 388Hは、Processor Base Power(基本電力)が25W、Maximum Turbo Power(最大ターボ電力)が80Wと定められています。標準のNUC 16 Proはデュアルファンの冷却機構によって、この範囲の中でも上寄りの65Wまで電力を引き出す設計です。ASUS公式のデータシートには「Dual-fan thermal design ensures maximum CPU performance in a compact chassis」と明記されており、騒音レベルはスタンダードモードで0〜38dBAとされています。

一方、ファンレス化するNewton N16の対応TDPは最大28Wで、Akasaは使用前にBIOSでプロセッサーの電力制限を28Wへ変更するよう案内しています。ASUSのNUCシリーズは「Visual BIOS」と呼ばれるUEFIを採用しており、ここでこの電力制限値を設定します。注目したいのは、28WがIntelの定めるProcessor Base Power(25W)にかなり近い値だという点です。つまりNewton N16は、CPUを極端に痛めつけるような低電力設定を強いているのではなく、Intelが本来このチップに想定している基本的な電力域まで戻していると捉えるほうが実態に近いといえます。標準のNUC 16 Proが実現している65Wという数値のほうが、追加の冷却によってIntelの基本仕様を上回る性能を引き出した、いわば「拡張」された状態です。

Newton N16のヒートシンク構造、CPUの熱がフィン全体へ伝わるイメージ図
CPUの熱をアルミフィン全体へ伝導させ、ファンなしで自然対流により放熱する仕組み(画像:Akasa公式)
項目標準のNUC 16 ProNewton N16でファンレス化
筐体寸法144×117×42mm188.6×204×53.6mm
冷却方式デュアルファン完全ファンレス(アルミ筐体全体がヒートシンク)
CPU電力上限Arc B390搭載モデルは最大65W cTDP最大28W(BIOSでの変更が必要)
騒音0〜38dBA(スタンダードモード、ASUS公式値)ファンが存在しないため回転音は発生しない
M.2 SSD冷却専用ヒートシンクは付属せず2基分の専用アルミヒートシンク+サーマルパッド
想定用途一般的なビジネス・クリエイティブ用途デジタルサイネージ・産業用PC・POS・監視・常時稼働AI

ゲーム性能28W vs 45Wでどれだけ落ちるか|電力別の実測データで検証

海外の検証メディアは2026年1月、Core Ultra X9 388H+Arc B390を搭載した「Asus Zenbook Duo UX8407AA」を対象に、ユーティリティ「ThrottleStop」でパッケージパワーを20W・28W・35W・45Wの4段階に固定して性能を計測しています。28Wから45Wへ電力を上げると、3DMark Time Spy Graphicsは5,600点から6,830点、サイバーパンク2077(1080p・Ultra)のfpsは33.2fpsから41.2fpsまで伸びました。逆に言えば、45Wから28Wへ絞ると、Time Spy Graphicsで約18%、サイバーパンク2077のfpsで約19%の性能低下が起きる計算です。

電力設定3DMark Time Spy Graphicsサイバーパンク2077(1080p Ultra)
20W4,567点27.2fps
28W(Newton N16の上限)5,600点33.2fps
35W6,321点36.5fps
45W(検証の最大値)6,830点41.2fps

ここで注意したいのは、この数値がNewton N16そのものの実測ではなく、別環境(ノートPC)での電力別比較データだという点です。テストに使われたZenbook Duo UX8407AAは、Newton N16とはメモリ構成や放熱設計がまったく異なるうえ、検証された電力の上限は45Wにとどまり、標準のNUC 16 Proが対応する最大65W cTDPには届いていません。つまり実際の「標準NUC 16 Pro(最大65W)」対「Newton N16(28W)」の性能差は、ここで示した28W対45Wの比較よりもさらに開く可能性があります。Newton N16のアルミ筐体が28Wの発熱を長時間の連続ゲームプレイでも安定して逃がし切れるかどうかも、独立した検証機関による実機レビューを待つ必要があります。なお、同じくArc B390を積むCore Ultra X9 378H・X7 358H・Ultra 7 366H・356Hも、cTDPの上限は共通して65Wのため、Newton N16で28Wへ絞った場合の相対的な性能低下率もX9 388Hに近い傾向になると考えられます。Arc B390のより幅広いゲームタイトルでの実測データは、当サイトのPanther Lake内蔵ゲーミング性能の検証記事で扱っています。

完成品との違いASRock Industrial「NUC BOX-358H」との違い

ファンレスでArc B390を動かす製品としては、ASRock Industrialが2026年9月に発表した「NUC BOX-358H」の派生モデル「iBOX-358H」もあります。ただし両者の性格はかなり異なります。iBOX-358Hは最初からファンレスとして設計・販売される完成品のBOX PCで、Core Ultra X7 358HとArc B390を含む構成一式が本体に収まっており、価格は産業向けの問い合わせ制です。

一方のNewton N16は、ユーザーが別途用意したNUC 16 Proのボードを移植して使う後付けのケース製品です。CPUを含む本体はASUS製、冷却機構だけをAkasaが供給する組み合わせで、価格も118.90ポンドから(英国)と一般消費者向けに公開されています。「完成品のファンレスBOX PC」を選ぶか、「手持ちのNUC 16 Proをファンレス化するケース」を選ぶかは、すでにNUC 16 Proを保有しているかどうかで自然に決まります。

結論標準のNUC 16 Proとファンレス化、どちらを選ぶか

ゲーム用途での判断は、性能低下をどこまで許容できるかにかかっています。

N
標準のNUC 16 Pro(ファン冷却)が向く人
  • ゲーム性能を最優先したい人。最大65W cTDPのフルパフォーマンスを使えます
  • 多少のファン音(スタンダードモードで最大38dBA)は許容できる人
  • M.2 SSD用の追加ヒートシンクを自分で選びたい人
F
Newton N16でファンレス化するのが向く人
  • 寝室やリビングなど静音性を最優先したい設置場所で使う人
  • デジタルサイネージ・監視・常時稼働のローカルAIなど、可動部を減らして24時間稼働させたい人
  • Time Spy Graphicsで約2割・fpsで約2割の性能低下を許容できる人

判断ポイント使い方別に確認したい3つのポイント

手持ちのゲームを重量級の設定で遊びたい標準のNUC 16 Proのままにしておくのが無難です。cTDP 65Wのままなら、電力別データで見た45W時点よりもさらに高いGPU性能を引き出せる可能性があります。
静音性や常時稼働の安定性を優先したいNewton N16が候補になります。ただしBIOSでの電力制限28Wへの変更が前提で、Time Spy Graphics・fpsともに約2割の性能低下を見込んでおく必要があります。
すでにNUC 16 Proを持っている手持ちのボードがHDMI仕様かDisplayPort仕様かで対応するNewton N16の型番(A-NUC109-M1BまたはM2B)が変わります。購入前にボードの仕様を確認してください。

価格・発売時期価格は118.90ポンドから|日本発売は未定

Newton N16の価格は、海外メディアの報道によると118.90ポンド(欧州は118.90ユーロ)からとされています。ただしAkasa公式の製品ページは2026年9月19日時点で「UPCOMING」表示のままで、価格は掲載されていません。日本国内での正規取り扱い・発売時期・価格についても、2026年9月19日時点で確認できていません。なお、この価格はケース単体の価格で、CPU・メモリ・ストレージを含むNUC 16 Pro本体一式の価格ではない点に注意してください。

Q&Aよくある質問

Newton N16でファンレス化するとゲーム性能はどのくらい落ちますか

別環境(Core Ultra X9 388H+Arc B390)の電力別実測データでは、45Wから28Wへ電力を下げると3DMark Time Spy Graphicsで約18%、サイバーパンク2077(1080p Ultra)のfpsで約19%低下しました。Newton N16そのものの実機検証ではないため、実際の数値は変動する可能性があります。

なぜ28Wに制限する必要があるのですか

標準のNUC 16 Proは最大65W cTDPまで使えますが、Newton N16のアルミ筐体がファンレスで安定して逃がせる発熱量が最大28WとAkasaが設定しているためです。使用前にBIOSでプロセッサーの電力制限を28Wへ変更する必要があります。

28Wは極端に低い電力設定ですか

いいえ。Intel公式仕様でCore Ultra X9 388HのProcessor Base Power(基本電力)は25Wで、28Wはこの基本値にかなり近い水準です。標準のNUC 16 Proが実現する65Wのほうが、追加の冷却でIntelの基本仕様を上回る性能を引き出した状態といえます。

価格はいくらで、日本で買えますか

海外メディアの報道では118.90ポンド(欧州は118.90ユーロ)からとされていますが、Akasa公式ページは2026年9月19日時点で「UPCOMING」表示のままです。日本国内での取り扱い・価格は同時点で確認できていません。

A-NUC109-M1BとM2Bはどちらを選べばよいですか

手持ちのNUC 16 Proボードの仕様に合わせます。デュアルHDMI仕様のボードにはA-NUC109-M1B、デュアルDisplayPort仕様のボードにはA-NUC109-M2Bが対応します。

ASRock IndustrialのファンレスBOX PCとは何が違いますか

完成品か、後付けケースかの違いです。ASRock Industrialの「iBOX-358H」はCPU・GPUを含む本体一式が最初からファンレス設計の完成品ですが、Newton N16はユーザーが用意したNUC 16 Proのボードを移植して使う冷却ケースです。

まとめ

Akasaが2026年9月17日に発表した「Newton N16」は、ASUS「NUC 16 Pro」を容積2.1Lの完全ファンレス機に変えるアルミニウム製ケースです。CPUだけでなく2基のM.2 SSDまでパッシブ冷却する設計ですが、対応TDPは最大28Wで、標準構成が使える最大65W cTDPからは大きく絞り込む必要があります。

別環境(Core Ultra X9 388H+Arc B390)の電力別実測データでは、45Wから28Wへ下げると3DMark Time Spy Graphicsで約18%、サイバーパンク2077のfpsで約19%の性能低下が確認できました。28WはIntel公式のProcessor Base Power(25W)に近い水準で、極端な低電力設定ではありません。それでも標準構成の65Wと比べれば無視できない差です。

重量級タイトルをできるだけ高いフレームレートで遊びたいなら、標準のファン冷却構成のままにしておくのが無難です。静音性や24時間稼働の安定性を優先し、多少の性能低下を許容できるなら、Newton N16でファンレス化する価値があります。価格・日本発売時期は2026年9月19日時点で未確定のため、購入判断は公式発表を待ってからでも遅くありません。

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