Windows Auto SRがIntel Panther Lakeに対応|最大1080p入力、Arc B390で52fpsの中身
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最大1080p入力、Arc B390で52fpsの中身とXeSSとの使い分け
出典:Microsoft DirectX Developer Blog「Auto SR Comes to Intel Core Ultra Series-3 Processors」、Microsoft公式サポートページ「Automatic Super Resolution」にもとづきます。
Microsoftは2026年9月16日、Windows 11のAIアップスケーリング機能「Auto SR」を、Intel Core Ultra Series 3、いわゆるPanther Lakeを搭載したCopilot+ PCへ拡大すると発表しました。今回のIntel対応では、Auto SRの入力解像度が最大1080pまで拡張されています。
MicrosoftがIntel Arc B390で公開した『Assassin’s Creed Valhalla』のデータでは、1600p・High設定の45fpsに対し、1050pからAuto SRで1600pへアップスケールし、さらにUltra High設定へ引き上げた状態で52fpsを記録しました。計算すると約15.6%の上昇です。ただし、この数字だけを見て「Auto SRをオンにするとArc B390が15%高速になる」と考えるのは正確ではありません。比較されているのは同じ画質設定ではなく、HighとUltra Highです。さらにMicrosoftが公開した『Assassin’s Creed Shadows』では、Auto SRを利用すると逆に31fpsから29fpsへ低下しています。
今回の発表で重要なのは、単純なfpsブーストではありません。Panther LakeのNPUを利用してGPUの描画解像度を大きく落とし、その余力をフレームレートだけでなくグラフィック品質にも回せるようになったこと。そして従来より高い最大1080p入力へ対応したことで、高解像度ディスプレイを搭載する薄型ノートPCとの相性が良くなった点です。Microsoftの公開データをそのまま紹介するのではなく、実際にどれだけ描画負荷が減っているのか、XeSSとはどう使い分けるべきなのか、Panther Lake搭載PCをゲーム目的で購入するときに何を確認すべきなのかまで検証します。
目次
対応Auto SRがIntel Core Ultra Series 3に対応
Auto SRは、ゲームを低い解像度でレンダリングし、AIを使ってディスプレイの解像度までアップスケールするWindows 11の機能です。DLSS、FSR、XeSSのようにゲーム側へアップスケーラーを実装する方式とは異なり、Windowsの表示パイプライン側で処理します。そのためゲーム開発元がAuto SRへ個別対応する必要がなく、Microsoft公式サポートページによると対象はDirectX 10以降のゲームです(DirectX 9・Vulkan・OpenGLは非対応)。
Auto SRのもう一つの特徴は、アップスケーリング処理を主にGPUではなくNPUへ回すことです。ゲームのレンダリングを担当するGPUとは別にAI処理を進められるため、GPUベースのアップスケーラーとは異なる形で処理時間を確保できます。IntelのCore Ultra Series 3では、SKUによってNPU性能が最大50TOPSとなっています。Arc B390搭載モデルは12基、Arc B370は10基のXeコアを持つ一方、通常の「Intel Graphics」モデルにはこれより少ないXeコアしか搭載しない製品もあります。ここはPanther Lake搭載PCを選ぶうえで重要です。Auto SRはNPUを利用する機能ですが、ゲームそのものを描画するのはGPUです。つまり「同じCore Ultra Series 3でAuto SRが使えるならゲーム性能も同じ」ではありません。
誤解Arc B390はAuto SRの必須条件ではない
今回のMicrosoftのベンチマークではIntel Arc B390が使用されているため、「Arc B390専用機能」と誤解しやすいところがあります。しかしMicrosoftの発表は、Auto SRを「Intel Core Ultra Series 3ベースのCopilot+ PC」へ拡大するという内容で、Arc B390そのものを必須条件とはしていません。Core Ultra Series 3にはArc B390、Arc B370、通常のIntel Graphicsを搭載するSKUが混在していますが、NPUはいずれも搭載されています。したがってAuto SRを動かせるかどうかと、Auto SRを使ったときに十分なゲーム性能を得られるかどうかは別の問題です。たとえば12基のXeコアを持つArc B390と、それより少ないXeコアのIntel Graphicsでは、アップスケール前のゲームを描画する能力そのものに大きな差があります。ゲーム目的でPanther Lake搭載ノートPCを選ぶなら、「Auto SR対応」だけを見るのではなく、Arc B390やB370を搭載しているかまで確認した方がよいでしょう。
進化最大1080p入力への対応が今回の大きな進化
今回のIntel対応で特に注目したいのが、Auto SRの入力解像度が最大1080pへ引き上げられたことです。Microsoft公式サポートページでは、Copilot+ PCの推奨入力解像度についてSnapdragon機は1280×800(800p)としている一方、Intel Core Ultra Series 3搭載機は「800pから最大1920×1080(1080p)まで」と明記されています。DirectX Developer Blogの9月16日の発表内容と、サポートページの現在の記載は一致しており、Intel対応が正式な仕様として反映されていることが確認できます。
800pから1080pへの引き上げは、数字以上に意味があります。1280×800は約102万画素ですが、1920×1080は約207万画素です。単純な画素数だけなら約2倍の情報量をAuto SRへ入力できます。入力解像度を上げればGPU側の負荷も増えるため、必ずfpsが伸びるわけではありません。その代わり、細い線、遠景、小さなオブジェクトなどをAIが復元するときに利用できる元情報が増えます。その意味でも最大1080p入力への対応は、単なる「より高い解像度でも動く」という変更ではなく、Auto SRの画質面を改善できる余地を広げる変更と考えられます。
検証Valhallaの「約15%向上」は同条件比較ではない
Microsoftが今回公開した中で最も目を引くのが、『Assassin’s Creed Valhalla』の結果です。
| 設定 | 数値 |
|---|---|
| ネイティブ1600p・High | 約45fps |
| Auto SR(1050p→1600p)・Ultra High | 約52fps |
Arc B390では、ネイティブ1600p・High設定が平均45fpsなのに対し、1050pから1600pへAuto SRでアップスケールし、グラフィック設定をUltra Highまで上げた状態で52fpsになっています。45fpsから52fpsなので上昇率は約15.6%です。ただしHighとUltra Highを比較しているため、「Auto SRそのものの性能向上率が15%」というデータではありません。
むしろ注目すべきなのは、レンダリングする画素数です。一般的な16:10解像度として1600pを2560×1600、1050pを1680×1050とすると、ネイティブ1600pは約410万画素、1050pは約176万画素です。Auto SR側ではGPUが直接描画する画素数がネイティブ1600pの約43%まで減り、約57%の画素を描かずに済む計算になります。そこで生まれたGPUの余力をすべてfpsへ投入するのではなく、HighからUltra Highへの画質向上にも使った結果が52fpsと考えると、Microsoftのデータを理解しやすくなります。つまり今回のValhallaの結果は「Auto SRをオンにすると15%速くなる」というより、「描画解像度を大幅に下げることで、より高いグラフィック設定を使いながらネイティブより高いfpsも維持できた」というデータです。
逆転Assassin’s Creed Shadowsでは31fpsから29fpsへ低下
さらに興味深いのが『Assassin’s Creed Shadows』です。Microsoftの公開データでは、Arc B390を使ったネイティブ1600p・Very Low設定が約31fpsでした。一方、Auto SRで1050pから1600pへアップスケールし、グラフィック設定をUltra Highまで引き上げると約29fpsになっています。Auto SRを使った方が約2fps遅くなっています。
一見すると失敗に見えますが、Microsoftがこの比較を掲載した理由は、Auto SRを単なる「fpsを増やす機能」として位置付けていないからでしょう。Very LowからUltra Highへ変更すると、低設定では省略されるオブジェクトまで描画されます。つまり約2fpsと引き換えに、まったく異なるグラフィック品質まで引き上げられたことを示すデータです。逆に言えば、Auto SRを有効にしたからといって必ずfpsが上がるわけではありません。
「NPUでアップスケールするならGPU性能をまったく消費しない」と考えるのも正確ではありません。Microsoftによると、Auto SRではNPUがCPUやGPUと同じデバイスの電力枠を利用します。そのため電力プロファイルやPCの設計次第では、GPUが処理する仕事量が減っているにもかかわらず、Auto SR有効時にフレームレートがわずかに下がる場合があります。特に薄型ノートPCでは、CPU・GPU・NPUが限られた電力を取り合うため、同じCore Ultra Series 3とAuto SRの組み合わせでも、ノートPC本体の電力設定や冷却能力によって結果が変わると考えた方がよいでしょう。
遅延約1フレームの追加遅延と60FPS上限
Auto SRにはもう一つ重要な性質があります。MicrosoftはAuto SRのAIモデルをNPU上でGPUと並列処理することで、GPUのフレームタイムをほぼ消費せずに大きなAIモデルを利用できると説明しています。その代わり、平均で約1フレーム分のレイテンシが追加されます。これはシングルプレイのAAAタイトルで30〜60fpsを狙う使い方なら許容しやすい一方、入力遅延を最優先する競技FPSでは注意したい部分です。さらにMicrosoftは今回、現在のAuto SRについて「60 FPS cap」と表現しており、将来的に90〜120fpsのゲームへ拡張できるか検討している段階だとしています。144Hzや240Hzモニターで100fps以上を狙う用途よりも、現時点では内蔵GPUで重量級ゲームを30〜60fps付近まで持っていく用途の方がAuto SRに向いていると考えられます。
使い分けXeSS対応ゲームではAuto SRよりXeSSを優先
Panther LakeにはIntelのXeSSがあるため、「Auto SRとXeSSのどちらを使うべきか」という疑問も出てきます。この点についてはMicrosoft自身が明確に答えています。ゲームがXeSSなどゲーム内蔵のアップスケーラーへ対応している場合は、ゲーム統合型のアップスケーラーを優先し、Auto SRを無効にすることを推奨しています。XeSSやDLSS、FSRはゲームエンジン内部へ組み込まれるため、モーションベクトルなどゲーム側が持つ情報を利用できます。Auto SRは既存ゲームへ後から適用できる代わりに、ゲーム内部の情報を同じ方法では利用できません。したがってPanther Lakeだからといって「XeSSよりAuto SRの方が新しいからAuto SRを使う」という設定にはしない方がよいでしょう。XeSSへ正式対応しているゲームならまずXeSSを使い、アップスケーラーが用意されていない古いゲームや中小規模タイトルではAuto SRを試す、という使い分けが現状では最も合理的です。
価値Auto SRは「アップスケーラー非対応ゲームを救う機能」
Auto SR最大の価値は、最新AAAゲームではなく、むしろアップスケーラーを実装していないゲームにあります。最近の大型ゲームはXeSS、DLSS、FSRのどれかへ対応しているケースが増えていますが、数年前のPCゲームや中小規模タイトルでは、高品質なアップスケーラーが存在しないことも珍しくありません。Auto SRはWindows側で処理できるため、開発元がアップデートしなくても利用できる可能性があります。Microsoftは今回、『Assassin’s Creed Shadows』『Valhalla』のほか『Assetto Corsa』『Avowed』『Control』『DOOM: The Dark Ages』『Far Cry 6』『Frostpunk 2』『Grounded 2』などを試すタイトルとして挙げています。Panther Lakeのような内蔵GPUでは、この「既存ゲームを低い内部解像度で描画して高解像度パネルへ出す」という使い方との相性が特に良さそうです。
制約HDR・Vulkan・DirectX 9では使えない
Auto SRにはまだ制約があります。Microsoft公式サポートページでは、DirectX 10以降が対象で、DirectX 9・Vulkan・OpenGLは非対応です。また10bit形式を使用する一部ゲームも対象外とされています。HDRにも現在は対応しておらず、HDR対応ゲームでHDR表示を利用したい場合はAuto SRを無効にする必要があります。高性能なOLEDパネルを搭載したPanther LakeノートではHDRも製品価値の一つになるため、「Auto SRとHDRを同時に使えない」という点は購入後に気付きやすい制約です。高解像度OLEDでHDRゲームを楽しみたい場合、Auto SRではなくゲーム内XeSSを使う方が適しているケースもあるでしょう。
実機検証をするときにも注意点があります。Microsoftによると、Game BarやSnipping Toolなど一般的なスクリーンショット機能はゲームウィンドウの内容をキャプチャするため、ディスプレイへ出力される最終的なAuto SR画像を正しく取得できない場合があるとされています。つまりスクリーンショットを撮って拡大表示で比較するだけでは、実際にユーザーがディスプレイ上で見ているAuto SR後の映像を正確に比較できない可能性があります。
結論Panther Lake搭載PCを買うなら確認すべきこと
- 高解像度ディスプレイを搭載した薄型ノートPCで、内蔵GPUでもできるだけ高画質にゲームを遊びたい人
- XeSS・DLSS・FSRが用意されていない古いゲームや中小規模タイトルを遊ぶ機会が多い人
- 30〜60fps程度のシングルプレイAAAタイトルを内蔵GPUで快適に遊びたい人
- Panther Lake搭載PCならどれでも同じゲーム性能になると考えている人(Arc B390・B370・Intel Graphicsで大きく差がある)
- 競技FPSで入力遅延を最小化したい人(約1フレームの追加遅延がある)
- HDR表示と同時にAuto SRを使いたい人(現状は非対応)
選択肢Arc B390搭載のPanther Lakeノート
今回の記事の結論どおり、Auto SR対応表示だけでなくArc B390搭載かどうかを確認して選びたい人向けに、実際にArc B390(Xeコア12基)を積む16型OLEDノートを2機種紹介します。
FAQよくある質問
まとめまとめ|本当の進化は「15%高速化」ではない
MicrosoftがIntel Core Ultra Series 3搭載Copilot+ PCへAuto SRを拡大しました。Arc B390を使ったAssassin’s Creed Valhallaでは、1600p・Highの45fpsから、1050p→1600pのAuto SR・Ultra High設定で52fpsとなり、約15.6%高いフレームレートを記録していますが、比較する画質設定が異なるため、この数字を「Auto SRで15%性能が上がる」と解釈するのは適切ではありません。むしろ重要なのは、低いレンダリング解像度によって生まれたGPUの余力を、fpsだけでなくグラフィック品質へ振り分けられることです。Assassin’s Creed ShadowsではVery Low・31fpsからUltra High・29fpsへ変化しており、Auto SRが「fpsを増やすだけの機能ではない」ことがよく分かります。
さらにPanther Lakeでは入力解像度が最大1080pまで拡張されました。従来の800p前後より多くの画像情報をAIへ渡せるため、高解像度ノートPCで画質と性能のバランスを調整しやすくなったことの方が、長期的には大きな変化かもしれません。一方でXeSS対応ゲームではMicrosoft自身がXeSSなどゲーム統合型アップスケーラーの利用を推奨しており、Auto SRには約1フレームの追加遅延があり、HDRやVulkanにも現在は対応していません。現状のAuto SRは、競技FPSを高速化する機能というより、Arc B390やB370のような内蔵GPUで、アップスケーラー非対応の既存ゲームを30〜60fps前後で快適に遊ぶための選択肢として見ると分かりやすいでしょう。Panther Lake搭載PCを購入する場合も、「Auto SRが使える」という一点だけを見るのではなく、搭載GPUがArc B390、B370、それとも通常のIntel Graphicsなのかを確認することが重要です。





