『Unturned』がソースコード公開|U3 SDKでMOD開発は何が変わる?非商用ライセンスとゲーム保存への影響を解説
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U3 SDKでMOD開発とゲーム保存はどこまで変わるか
出典:Smartly Dressed Games公式「U3 SDK FAQ」、GitHub「U3-SDK」公式リポジトリ、Steam版『Unturned』ストアページ。ライセンス条件は今後改定される可能性があるため、実際に利用する際は必ずリンク先の最新版を確認してください。
無料ゾンビサバイバルゲーム『Unturned』のソースコードがGitHubで公開されたと聞くと、「これでオープンソース化したのか」「サービスが終わっても遊び続けられるのか」と早合点しそうになりますが、実際のライセンスにはいくつも条件が付いています。
この記事では、公式のFAQドキュメントとGitHubのREADME・ライセンス条項を一次情報として確認し、公開された「U3 SDK」で何ができるようになり、何が除外されているのか、商用利用の線引きはどこにあるのかを整理します。
特に「オープンソース」という言葉の正確な意味、MODを収益化できる範囲、サービス終了後のゲーム保存にどこまで役立つのかという3点は、見出しのニュースだけでは伝わりにくい部分です。ライセンス条文と公式Q&Aの文言に沿って、できることとできないことを分けて説明します。
目次
中身何が公開されたか|ソースコードとUnityプロジェクトを「U3 SDK」として提供
GitHubの「SmartlyDressedGames/U3-SDK」リポジトリには、Unturnedの本体コードとUnityプロジェクト一式が収録されています。公式READMEでは、Unity Hubをインストールし、Unity 2022.3.62f3エディターを導入したうえで、プロジェクト内のAssets/GameStartup.unityシーンを開けばゲームを実行できると案内されています。
手順としては、リポジトリをダウンロードまたはクローンし、Unity Hub経由で指定バージョンのUnity Editorを導入し、コードを変更する場合はVisual Studio Installerで「Game development with Unity」と「.NET desktop development」を追加します。そのうえでSteamを起動し、Unturned本体をインストールした状態でプロジェクトを開き、Assets/GameStartup.unityシーンを再生すると、SDK版のUnturnedが立ち上がる仕組みです。大容量のバイナリファイルやMODは、インストール済みのSteam版から読み込まれます。
Steamストアの『Unturned』ページにも新しく「SOURCE CODE」という項目が追加されており、「新機能からTotal Conversionまで、GitHubで公開されているソースコードとプロジェクトファイルでゲームを再構築できる」と明記されています。『Unturned』は2017年7月7日にSteamで正式リリースされた基本プレイ無料のタイトルで、2026年8月時点でも全期間レビューは「非常に好評」(56万件超のレビュー中91%が好評)、直近レビューも「非常に好評」となっており、公式Steam版のサービスが終了したわけではありません。
理由なぜ今ソースコードを公開したのか|コミュニティへの「lasting legacy」という狙い
公式FAQでは、公開理由として次のように説明されています。「Unturnedの最大の強みは、情熱的な私たちのコミュニティです。ソースファイルを公開することで、皆さんや他のプレイヤーが思うままにゲームを拡張できるようになり、私たちがどんな変更を加えても、あるいはこれから何年経とうとも、ゲームのlasting legacy(末永く続く遺産)を築けるようにしたいのです」。開発を続ける主体を開発元だけに留めず、コミュニティ自身がコードを理解し手を加えられる状態にすることが、今回の一番の動機として語られています。
GitHubのリリース履歴を確認したところ、U3 SDKの最初の公開パッチは2026年7月7日に配信されていました。この日は『Unturned』が早期アクセスを開始した2014年7月7日からちょうど12年、Steamで正式リリースされた2017年7月7日からは9年にあたる日でもあります。
定義オープンソースと呼べるのか|非商用ライセンスとMIT移行の可能性
厳密にはオープンソースではありません。公式FAQ自身が「『オープンソース』とはOpen Source Initiativeの定義を指すが、現行の非商用ライセンスはこの定義を満たしていない」と明言しています。GitHubで誰でもソースコードを閲覧・ダウンロードできることと、OSI準拠のオープンソースソフトウェアであることは別の話です。「U3 SDK License Agreement」では、SDKを使用・複製・改変してWindows、macOS、Linux向けの派生ゲーム(Mod)を作る権利が認められる一方、作成したModは無料かつ非商用で提供することが条件になっています。
公式FAQでは「理想を言えば、別のゲームを完成させ、必要な権利を再取得できたら、U3 SDKをMIT Licenseの下で再ライセンスしたい」と説明されています。実現すれば現在より利用条件が大きく緩和される可能性がありますが、2026年8月時点ではあくまで将来的な希望であり、現在利用する場合はGitHub上の現行「U3 SDK License Agreement」に従う必要があります。
自由度従来のSteam Workshop MODより何ができるようになるか
これまでの『Unturned』でもSteam Workshopを通じてマップやMODを制作・配布でき、Steamストアでもカスタムマップ・MOD制作が主要機能として案内されています。U3 SDKが加えるのは、ゲーム本体のC#コードそのものへ手を入れられる点です。
アイテム追加やマップ制作、既存の仕組みの範囲内でのバランス調整などが中心です。Steam経由で手軽に配布・購読でき、U3 SDK公開後も主要な改造手段であり続けます。
Unity Editor上でゲーム本体のコードを直接確認・変更できます。単純な仕様変更やアイテム追加だけでなく、新しいゲームプレイ要素を持つTotal Conversionや、コミュニティ独自のforkとして開発を続けることも公式に想定されています。
公式FAQでは「一回限りの独自forkが乱立するより、志を同じくする開発者が共通のforkに集まり、複数のプロジェクトに恩恵をもたらす改善を一緒に開発してくれることを期待している」ともコメントされています。
運用独自forkで専用サーバーを立てられる|対応プラットフォームはPC版のみ
U3 SDKから作った開発ビルドは、クライアントとしてもサーバーとしても実行できます。Unity Editor内で「Playing in Unity > Dedicated Server In Editor」を有効にすれば、エディター上からサーバーを起動可能です。サーバーはBuilds/Shared/ModInfo.jsonに設定した「Name」の値をもとに識別される仕組みになっています。
表示させることも技術的には可能ですが、公式の公開サーバーリストに載せる場合は、通常のUnturnedサーバーと同じ運営ガイドラインの対象になります。リストに載せずforkだけで運営する場合、管理者は独自にサーバー運営ルールを設定できます。
対応プラットフォームはSteam版と同じWindows、macOS、Linux(Steam Deckを含む)です。U3 SDK License Agreementでは、ゲーム機や携帯型ゲーム機、それらの環境でのプレイを可能にするエミュレーション・仮想化・ストリーミング配信・クラウド配信、あるいはサブスクリプション型の複数タイトルサービスでの提供が明確に禁止されています。こうした制限を回避する目的での改変や移植、リバースエンジニアリングも認められていません。
互換既存のWorkshop MODやプラグインはそのまま動くか
公式FAQによると、通常の『Unturned』Steam Workshopファイルは標準で互換性があり、自動的に読み込まれる設計です。ただし「独自fork側でUnityのエンジンバージョンを更新すると、互換性に影響する可能性がある」とも付け加えられています。
標準状態では多くの既存プラグインが動作する見込みですが、fork側でクラス名や処理をリネーム・削除するなど、プラグインが依存しているコードに手を加えると、そのプラグインとの互換性が失われます。既存コミュニティの資産を引き継ぎながら開発したい場合は、この点に注意が必要です。
線引きMOD開発で収益化できることとできないこと
現行ライセンスでは、U3 SDKを使ったModの商用利用は禁止されています。プレイヤーはMod本体とそのすべての機能・コンテンツに無料でアクセスできる必要があり、ゲーム内アイテムやサービスと引き換えに料金を受け取ることも商用利用として扱われます。一方で、認められている収益化の形もあります。
- 完全に任意の寄付を受け取ること
- 寄付者向けにDiscordの特別ロールなど、ゲーム外の特典を提供すること
- Mod紹介動画でYouTubeの広告・スポンサー収益を得ること
- ゲーム内アイテムや性能向上などを対価として料金を受け取ること
- Mod本体や追加コンテンツへのアクセスを有料にすること
- 「Unturned 2」のように公式が制作・承認したと誤解される名称を使うこと
公式FAQでは「無料の大型Modを作り、YouTubeなど周辺活動で収益化する」ことは認めつつ、「Modそのものを有料販売する」ことは現行ライセンスでは認めていないと整理されています。名称についても、U3 SDK License Agreementの商標条項でUNTURNEDの商標使用が制限されており、公式FAQは具体例として「Unturned 2」というタイトルを付けることはできないと説明しています。
配布SteamでStandalone Modを公開できるか|Mod自体のコードは非公開のままでよい
作成したModをSteamで公開できるかについて、公式FAQは「可能な限りサポートしたい」という意向を示しています。Modに関する一般的な情報については、Steamのコミュニティ製Modに関するページを参照するよう案内されています。配布形式としては、Windows・macOS・Linux向けのStandalone Buildを、Unity上の「Build Tool」から「Build Standalone Platforms」を選んで出力できます。
興味深いのは、作成したMod自体のソースコードまで公開する義務はない点です。公式FAQは「いいえ、望むならModのコードを非公開のままにしておいて構いません」と明記しています。GPLのように派生コードの公開を義務付けるライセンスではないため、コミュニティチームが独自システムを開発し、そのコード自体は非公開のリポジトリで管理する運用も可能です。ただし配布するMod自体は、無料・非商用などU3 SDK License Agreementが定める条件に従う必要があります。
対象外BattlEyeやA* Pathfinding Projectなど含まれていないもの
今回のソース公開をゲームの完全なバックアップと考えるのも正確ではありません。Smartly Dressed Gamesが再配布する権利を持たない第三者製コードは、GitHubのU3 SDKから除外されています。
- BattlEyeのアンチチートコード|『Unturned』のSteam版はBattlEyeのカーネルレベルアンチチートを使用していますが、公式FAQによると「BattlEyeのUnturned固有コードは今も非公開で、開発元自身もアクセスできない」とのことです。BattlEye側は引き続き新しいチートの監視を続けるとされています。
- A* Pathfinding Project|ゾンビの高度なナビゲーションに使われている有償ライブラリです。このライブラリを持っていないSDK環境では、ゾンビが壁に向かって歩くような簡易的な挙動になります。
- Highlighting System Plugin|インタラクションやアイテム選択時に、モデル全体を縁取りしてハイライト表示する機能に使われています。
- Unity 4 Pro Standard Assets|より高品質な水の表現や平面反射に使われており、除外環境では水の見た目がシンプルになります。
- コアアセットバンドル全体|コミュニティ制作のスキンや音声など第三者が権利を持つコンテンツが混在しており、どのファイルを自由に再ライセンスできるか単純に切り分けられないため、バンドル全体がSDKから除外されています。
公式FAQは、いずれについても「該当ライブラリの適切なライセンスを持っていれば、本体ゲームで使われている統合部分を自分のプロジェクトで利用してよい」としています。
懸念ソースコード公開でチートは増えないのか
ソースコード公開でまず心配されやすいのがチート開発への影響です。この点について公式FAQは「ソースコードは、チート開発者にとって特に新しい情報を多く追加するものではない」という見解を示しています。理由として、高品質な『Unturned』のデコンパイル結果(リバースエンジニアリングされたコード)がすでに存在していること、コードに関するドキュメントも以前から公開してきたことを挙げています。加えて、BattlEye固有のアンチチート部分は今回も非公開のままです。ソースコードが整理された形で読めるようになったことで内部構造は研究しやすくなりますが、公式の説明を踏まえる限り、今回の公開によって突然アンチチートが無意味になるような状況ではありません。
保存性サービス終了後のゲーム保存にどこまで役立つか
通常、継続アップデート型のオンラインゲームは、公式サーバーや開発元のサポートが終了すると、不具合修正や新しいOSへの対応が難しくなります。今回の公開は、この課題に対して大きな一歩になり得ますが、無条件の「完全保存」が保証されたわけではありません。
- 開発元のサポートが将来終了しても、コミュニティが主要コードを理解・修正できる
- 独自forkや専用サーバーの構築が公式に認められている
- 公式開発が続いている段階からコード構造を学べ、有志プロジェクトを育てやすい
- U3 SDKの実行には、Steam版から読み込む大容量バイナリファイルが必要
- コアアセットバンドル全体は含まれていない
- BattlEyeやA* Pathfindingなど、除外されたコードは今も再現できない
より正確には、「ゲーム全体を無条件に永久公開した」のではなく、「将来コミュニティが『Unturned』のコードを理解・修正・forkして維持するための大きな部分が、公式に開放された」と捉えるのが実態に近いといえます。
今後公式Steam版は継続、SDKも最新リリースと同期
ソースコード公開を「開発終了の前触れ」と考える必要は現時点ではありません。公式FAQでは「Steam版のメンテナンスは今後も継続する予定」「U3 SDKのソースコードも最新の公式リリースと同期させていく予定」と明言されています。つまり公式版とコミュニティ版がすぐに完全分離するのではなく、当面は公式ゲームの開発とU3 SDKの更新が並行して進む見込みです。
FAQU3 SDKでよくある質問
総括コミュニティが維持できるゲームへの転換点
Smartly Dressed Gamesは2026年7月7日、『Unturned』のソースコードとUnityプロジェクトファイルを「U3 SDK」として公開しました。コミュニティはゲーム本体のコードを直接確認・変更できるようになり、アイテム追加のような小規模Modだけでなく、新しいゲームシステムやTotal Conversion、独自fork、専用サーバーまで開発できます。
一方でこれは完全なオープンソース化ではなく、現行ライセンスは非商用限定です。BattlEyeのアンチチート、A* Pathfinding Projectなどの第三者製コード、コアアセットバンドルの全体もSDKには含まれておらず、実行にはSteam版から読み込む大容量バイナリも必要になります。それでも、ゲーム本体の主要コードを公式に確認・修正でき、コミュニティforkや独自サーバーまで認められたことは、長期的なゲーム保存という観点で大きな前進です。開発元は将来的にMIT Licenseへの再ライセンスを目指す意向も示しており、実現すれば『Unturned』をコミュニティが保存・改良できる自由度はさらに広がる可能性があります。



