『アームドファンタジア』開発中止|約3.79億円のKickstarter支援者は返金される?規約と今後を整理【2026年9月】
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約3.79億円のKickstarter支援者は返金される?
出典(確認日2026年9月25日):Digital Bros「The BoD approves the Draft Financial Statements as of June 30th, 2026」(PDF)/Kickstarter「Armed Fantasia & Penny Blood」/同プロジェクトのアップデート一覧/Kickstarter利用規約(2020年8月版)/Kickstarterサポート「A project I backed isn’t able to fulfill」/BackerKit「Armed Fantasia & Penny Blood Backerkit Pre-order Store」/Gematsu「Digital Bros cancels Armed Fantasia: To the End of the Wilderness, Directorate: Novitiate」/Noisy Pixel「Armed Fantasia Cancelled By 505 Games Parent Company Digital Bros」
『Armed Fantasia(アームドファンタジア)』は、PlayStationの名作RPG『ワイルドアームズ』シリーズを手がけた金子彰史氏がトータルゲームデザイナーを務める新作RPGです。2022年に『シャドウハーツ』の町田松三氏による『Penny Blood』と合同でKickstarterキャンペーンを行い、1万7,920人から3億7,932万8,385円を集めました。
そのArmed Fantasiaについて、イタリアのDigital Bros(パブリッシャー505 Gamesの親会社)が2026年9月24日に公表した決算で、開発を打ち切ったと明記しました。ゲームプレイの見直しを何度も試みたうえで、市場環境の変化と、完成までに必要な追加投資を踏まえて判断したと説明しています。
支援者にとって大事なのは、Kickstarterは返金を肩代わりしないという点です。返金や代わりの対応を示す義務は、キャンペーンを行った制作側にあります。9月25日時点で制作側からの告知はまだ出ていないため、確定していることとまだ分からないことを分け、いま手元でできることまで順に見ていきます。
目次
要点まず何が起きたか
発表Digital Brosは決算資料で3タイトルの開発中止を明記
中止が明らかになったのは、Digital Brosが2026年9月24日に公表した2026年6月期(2025年7月〜2026年6月)の決算リリースです。この中で同社は、Directorate: Novitiate、Armed Fantasia、基本プレイ無料ゲーム『Battle Island』の続編の3タイトルについて、ゲームプレイの修正を複数回試みたあとに開発を中止したと記載しています。
理由として挙げているのは、それぞれの作品の可能性を改めて精査した結果と、市場環境の変化、そして発売までに必要な追加投資の3点です。Armed Fantasiaの内容のどこが問題だったのか、何度見直したのかといった具体的な説明は、決算資料には書かれていません。
| 決算資料の項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発を中止したタイトル | Directorate: Novitiate/Armed Fantasia/Battle Islandの続編 |
| 中止の理由 | ゲームプレイの修正を複数回試みたうえで、市場環境の変化と完成までの追加投資を踏まえて判断 |
| 中止プロジェクトの償却 | 1,760万ユーロ(3タイトルの合計、タイトル別の内訳は非開示) |
| 資産の減損損失の合計 | 1,870万ユーロ(上記に、販売見込みを下げた既存タイトルの減損100万ユーロを加えた額) |
| 2026年6月期の業績 | 売上高1億850万ユーロ(前期比15.8%増)、純損失650万ユーロ |
業績そのものは、同社が権利を持つ『Wuchang: Fallen Feathers』や『Assetto Corsa』シリーズが好調で、売上高は前期より伸びています。償却と減損を計上したうえでも営業利益(EBIT)は510万ユーロの黒字でした。開発中止は、売上が伸びた年度の決算で公表されています。
数字「3.79億円」と「1,760万ユーロ」はどちらもArmed Fantasia単独の数字ではない
中止の報道では、キャンペーンの調達額と決算の償却額がArmed Fantasiaの数字として並べられがちですが、どちらも1作品だけの金額ではありません。
まず3億7,932万8,385円という調達額は、Armed FantasiaとPenny Bloodの2作品を1つのページで募った合同キャンペーン「Armed Fantasia & Penny Blood」の総額です。Kickstarterの公開データでは、2022年9月末に成立し、支援者は1万7,920人となっています。支援コースには片方の作品だけを選ぶものと両方をまとめて選ぶものがあり、作品ごとの調達額は公表されていません。
次に決算の1,760万ユーロは、前述の3タイトルの償却の合計です。Armed Fantasia単独でいくら計上したのかは資料に書かれていないため、この金額とキャンペーンの調達額を比べて「支援金の何倍が消えた」といった計算はできません。
なお、キャンペーン時点ではパブリッシャーは決まっておらず、ページには複数の会社と交渉中だと書かれていました。今回、505 Gamesを傘下に持つDigital Brosが自社グループの開発中止タイトルとしてArmed Fantasiaを挙げており、同社グループがパブリッシャーとして開発を支えていたことが分かります。
経緯2026年3月にはバーティカルスライスを提出していた
中止の半年前まで、開発は続いていると報告されていました。Kickstarterのアップデートで公開された主な経緯は次のとおりです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年9月末 | 合同キャンペーンが成立(1万7,920人・3億7,932万8,385円)。プラットフォームはPS5・Xbox Series・PCを予定 |
| 2025年8月1日 | ディレクターの関谷氏が開発中の戦闘シーン映像を初公開。戦闘システムを大きく変更する可能性があると説明 |
| 2026年3月10日 | 金子氏が、メインシナリオと基本システムを組み込んだバーティカルスライス版をパブリッシャーに提出したと報告 |
| 2026年9月24日 | Digital Brosが決算資料で開発中止を記載 |
バーティカルスライスとは、ゲームの一部分を製品に近い品質まで作り込んだ試作版のことです。パブリッシャーはこれを見て、本格的な量産に進むかどうかを判断するのが一般的です。3月の報告で金子氏は、情報を出す時期や範囲はパブリッシャーの戦略による部分が大きく、契約や権利の関係で自分たちの判断だけでは多くを話せないとも書いていました。
2025年8月の時点で戦闘システムの大幅な変更に触れていたことと、決算資料の「ゲームプレイの修正を複数回試みた」という記述は、時期として重なります。ただ、提出されたバーティカルスライスのどこが評価されなかったのかは、どちらの側からも説明されていません。
返金支援者は返金されるのか
返金されるかどうかは、9月25日時点ではまだ決まっていません。判断するのはKickstarterではなく、キャンペーンを行った制作側(Kickstarter上の名義は「Double Kickstarter」)です。
Kickstarterのサポートページは、支援金はクリエイターに直接渡っており、すでに開発費などに使われていれば返金できない場合もあると説明しています。支援は店で商品を買うのとは違い、リワードを受け取れる保証はない、というのがKickstarterの基本的な立場です。
一方で、クリエイターが何もしなくてよいわけではありません。このキャンペーンが行われた2022年に適用されていた利用規約(2020年8月版)は、プロジェクトを完成できずリワードを届けられないクリエイターに、次の対応を求めています。
- どこまで作業したか、資金を何に使ったか、なぜ計画どおり完成できないのかをアップデートで説明する
- 支援者にとって最善の結末になるよう誠実に取り組み、その期限を支援者に伝える
- 資金を適切に使い、約束どおり完成させる努力を尽くしたことを示せるようにする
- 支援者への説明で重要な事実を偽らない
- リワードを受け取っていない支援者に、残っている資金を支援額に応じて返すと申し出る。返さない場合は、その資金で別の形のプロジェクトをどう完成させるかを説明する
つまり、全額返金が約束されているわけではありませんが、資金の使い道の説明と、残金の返還または代わりの完成形の提示は、制作側の義務として規約に書かれています。規約はさらに、これを果たせないクリエイターは支援者から法的措置を受ける可能性があるとしています。
Kickstarterのアップデートは2026年3月10日の第56回が最新で、9月25日時点では中止を受けた告知は投稿されていません。返金の有無や、Armed Fantasiaの権利や開発素材がどうなるかも公表されていません。
Penny Blood同じキャンペーンのPenny Bloodは今回の中止対象に入っていない
Digital Brosが挙げた3タイトルに、Penny Bloodは含まれていません。Penny Bloodはそもそも同社がパブリッシャーを務めている作品ではないためです。
ただし、Penny Bloodも順調とは言えない状況です。町田氏は2025年8月のアップデートで、パブリッシャーが見つかっておらず本編の制作は進んでいないこと、Kickstarterで集めた資金は2023年秋までに使い切り、その後はスタジオワイルドローズが自己資金で運営していることを明かしています。2026年3月の報告でも、パブリッシャー候補との交渉を続けているとしています。
両方の作品をまとめて支援したコースの人は、Armed Fantasia側の対応とPenny Blood側の今後を分けて見る必要があります。どちらのリワードがどう扱われるかは、制作側の告知を待つしかありません。
対応支援者がいまやっておきたいこと
BackerKitでの追加注文分については、町田氏が2025年8月のアップデートで、BackerKitで集まった資金はゲームが完成したときに分配されると理解しているため、まだ制作側に届いていないと説明しています。この説明はPenny Blood側のものです。Armed Fantasia分のBackerKit資金がどう扱われているかは、公表されていません。
整理確定していることとまだ分からないこと
- Digital Brosが2026年9月24日の決算資料でArmed Fantasiaの開発中止を明記
- 理由はゲームプレイの修正を複数回試みたこと、市場環境の変化、完成までの追加投資
- 中止3タイトルの償却は合計1,760万ユーロ
- Kickstarterは返金を肩代わりせず、対応の義務は制作側にある
- Penny Bloodは今回の中止対象に入っていない
- 支援者への返金の有無と、その方法
- Armed Fantasia単独の償却額
- ゲームプレイのどこが問題とされたのか
- 権利や開発素材を使って、別の形で作り直す可能性
- Penny Bloodのパブリッシャーと発売時期
FAQよくある質問
まとめまとめ|返金は未定、支援者は公式アップデートを待ちつつ記録を残す
Armed Fantasiaは、2026年3月にバーティカルスライスを提出した半年後、パブリッシャー側のDigital Brosの判断で開発中止になりました。約3.79億円はPenny Bloodとの合同キャンペーンの総額で、決算の1,760万ユーロも3タイトルの合計です。どちらもArmed Fantasia単独の数字ではありません。
支援金の扱いを決めるのはKickstarterではなく制作側で、9月25日時点では告知が出ていません。BackerKitで新たに注文せず、支援内容を記録し、Kickstarterのアップデートを待つのが現時点でできることです。
返金の有無はまだ決まっていません。判断するのはキャンペーンを行った制作側で、Kickstarterの規約は資金の使い道の説明と、残金の返還または別の形での完成を求めています。Penny Bloodは今回の中止対象外ですが、パブリッシャーは未定のままです。



