Mac Studio M5 UltraのGPUベンチマークがリーク|OpenCLはRTX 4080級、公称「1.8倍」の実測を検証
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OpenCLはRTX 4080級、しかしゲーム性能の指標にはならない理由
発売前のMac Studio「M5 Ultra」(80コアGPU)を搭載したとみられる機体が、Geekbench Browserにスコアを残していきました。GPUコンピュートベンチマークのOpenCLスコアは216,619で、これはGeForce RTX 4080のOpenCL平均219,018にほぼ並ぶ数字です。この一致だけを見て「M5 UltraはRTX 4080級のゲーミングGPU」と結論づけるのは早計です。
今回リークしたのは、Geekbench Browser上で「Mac17,15」と識別される機体のスコアです。80基のGPUコア(Compute Unit)と256GBメモリを積んだ構成で、2026年9月16日にOpenCL・Metal双方のスコアがアップロードされました。同じ構成のCPU単体スコアは9月15日時点で先に報じられており、シングルコア3,774・マルチコア52,516という数字がMacRumorsなどで確認されています。
Geekbench 7のGPUコンピュートベンチマークは、顔認識・機械学習によるアップスケーリング・背景ぼかし・パストレーシング・流体シミュレーションといった処理を測る内容で、DirectXベースのラスタライズ描画やゲームのfpsを直接測定するテストではありません。リークしたスコアの中身、Apple公式が公称する「M3 Ultra比最大1.8倍」というグラフィックス性能向上との実測差、そしてゲーム目的でMac Studioを選ぶ価値があるかを、一次情報にもとづいて確認します。
M5 Ultra(80コアGPU)のGeekbench 7 OpenCLスコア216,619は、GeForce RTX 4080のOpenCL平均219,018とほぼ同じ水準でした。ただしGeekbench 7のGPUテストはコンピュート処理中心の内容で、ゲームの描画性能を直接測るものではありません。OpenCLスコアが近いことは、Steamの主要タイトルが同じフレームレートで動くことを意味しません。
もう一つ、Apple公式は「M3 Ultra比で最大1.8倍のグラフィックス性能」とうたっていますが、Geekbenchで実際に計測された伸び幅はOpenCLで約54%、Metalで約44%にとどまり、公称値ほど単純な数字にはなっていません。ゲーム用途でMac Studioを検討しているなら、対応タイトルの少なさを含めた総合判断が必要です。

目次
リーク詳細Geekbench Browserに登場した「Mac17,15」のスコア
Geekbench 7のGPU compute結果ページ(browser.geekbench.com/v7/gpu/171727)には、モデル識別子「Mac17,15」・GPU 80 Compute Unit・システムメモリ256GBという構成の機体が、2026年9月16日21時48分(現地時間)にOpenCLスコア216,619でエントリーしています。Mac Studio向けのM5 Ultra(80コアGPU)以外にこの組み合わせのMacは存在せず、複数の海外メディアもこの記録を「M5 Ultra」のものとして報じました。同じ機体はMetalスコアでも360,019を記録しています。
Geekbench 7そのものは2026年7月23日に正式公開されたばかりの新しいベンチマークで、CPUテストの刷新に加えてGPU側もCUDA対応の追加を含む大きな見直しが入っています。バージョンの位置づけはGeekbench 7の正式公開を解説した記事で詳しく扱っています。
※記事執筆時点で、この構成(Mac17,15・80コアGPU)のGeekbench記録はまだ4件程度と少なく、正式な平均値としてランキングページに反映されるのはこれからです。Apple自身はまだGeekbenchの実測値を公表しておらず、今回のスコアはあくまでリーク段階の情報である点に注意が必要です。
仕様確認M5 Ultraの仕様、Apple公式ニュースルームで確認できること

スペック比較M5 UltraはRTX 4080・M3 Ultraとどう違うか
まず、今回話題になった「OpenCLスコアが近い」というRTX 4080との比較を確認します。数値はいずれもGeekbench Browserで執筆時点に直接確認した値です。
| 項目 | Apple M5 Ultra(80コアGPU) | GeForce RTX 4080 |
|---|---|---|
| OpenCLスコア | 216,619点(リーク実機) | 219,018点(Geekbench平均) |
| Metalスコア | 360,019点 | 非対応(Apple専用API) |
| コア/ユニット数 | GPUコア80基 | CUDAコア9,728基 |
| メモリ | 最大512GBユニファイド(CPU/GPU共有) | 16GB GDDR6X(GPU専用VRAM) |
| メモリ帯域 | 1.2TB/s | 約716.8GB/s |
| 対応API | Metal(主)・OpenCL・Vulkan(一部) | DirectX 12・Vulkan・CUDA・OpenCL |
※Geekbench Browser(opencl-benchmarks・v7/gpu/171727)、NVIDIA公式製品ページにもとづく執筆時点の数値です。
OpenCLスコアはほぼ並びますが、そもそもMetalはApple製品専用のAPIのためRTX 4080では計測できず、逆にRTX 4080が主戦場とするDirectX 12でのラスタライズ性能はM5 Ultra側に対応する数値がありません。メモリの性格も異なり、M5 UltraはCPUとGPUで共有するユニファイドメモリ、RTX 4080はGPU専用のVRAMです。「OpenCLスコアが近い」という一点だけでは、この2つを同じ土俵で比較したことにはなりません。
次に、M5 Ultraの前世代にあたるM3 Ultra(80コアGPU)との比較です。
| 項目 | M5 Ultra(80コアGPU) | M3 Ultra(80コアGPU) |
|---|---|---|
| OpenCLスコア | 216,619点(リーク実機) | 141,133点(モデル別平均) |
| Metalスコア | 360,019点 | 249,442点(モデル別平均) |
| CPU構成 | 36コア(12スーパー+24パフォーマンス) | 32コア(24パフォーマンス+8効率) |
| ダイ構成 | 4ダイ(M5 Max×2、各2ダイ構成) | 2ダイ(M3 Max×2) |
| メモリ帯域 | 1.2TB/s | 800GB/s超 |
※M3 Ultraのモデル別平均はGeekbench Browserの個別モデルページ、その他はApple公式ニュースルームおよびGeekbench Browserにもとづきます。なお、Geekbench BrowserのOpenCLランキングページ上で「Apple M3 Ultra」を検索すると平均131,312点となり、上表の141,133点とは一致しません。これはランキングページが60コアGPU構成と80コアGPU構成のM3 Ultraを区別せずまとめて平均しているためで、80コアGPUモデルに絞ったモデル別ページの数値(141,133点)の方が今回の比較には適しています。
リーク実機とモデル別平均を単純比較すると、M5 UltraはM3 Ultra比でOpenCLが約53.5%、Metalが約44.3%それぞれ向上しています。四捨五入すればOpenCLは「約54%」です。
検証OpenCLスコアが近くても、ゲーム性能とは言えない理由
Geekbench 7のGPUテストの中身
Geekbench 7のGPU compute benchmarkは、顔認識と映像へのライブエフェクト適用、機械学習によるアップスケーリング、ビデオ会議での背景ぼかし、RAW現像処理、LUTを使った動画のカラーグレーディング、パストレーシング、流体シミュレーションといったワークロードで構成されています。いずれも画像・映像編集や機械学習アプリケーションを想定した処理で、DirectXでラスタライズしたポリゴンを毎秒何枚描画できるかを測るテストは含まれていません。
対応APIの位置づけも異なります。MetalはApple製品専用のAPIで、OpenCL・Vulkan・そして今回のGeekbench 7から新たにCUDAが対応し、これらはプラットフォームをまたいで計測できる汎用APIという扱いです。ゲームの多くはWindows環境でDirectX 12またはVulkanを直接使ってGPUを叩いていて、その描画性能はGeekbenchのOpenCL/Metalスコアとは別のテスト(実際のゲームタイトルでのfps計測)でなければ分かりません。M5 Ultra搭載Mac Studioの実ゲームベンチマークは、9月22日の発売後、実機レビューが出てから初めて確認できます。
Apple公称「1.8倍」との実測差
Apple公式は「M3 Ultra比で最大1.8倍のグラフィックス性能」とうたっています。一方、Geekbench 7の実測でM5 UltraがM3 Ultraを上回った幅は、OpenCLで約54%、Metalで約44%です。どちらも、Appleが公称する1.8倍(=性能80%増に相当)には届いていません。
Appleの「最大1.8倍」は、自社が選んだアプリケーション・条件下でのベストケースの数値で、具体的な計測環境は公表されていません。Geekbenchのようなサードパーティ製の汎用コンピュートベンチマークとは前提条件が異なるため、両者が一致しないこと自体は珍しくありません。ただし、メーカー公称の倍率をそのままゲーム性能の伸びとして受け取るのは危険で、第三者ベンチマークの実測値の方が参考になるという、今回のケースはその典型例です。
購入判断ゲーム目的でMac Studioを選ぶ価値はある?
- 動画編集・3DCG・AI推論などクリエイティブ制作が主目的で、ゲームはおまけ程度と考えている人
- Mac対応タイトルだけで満足できる、またはGeForce NOWなどのクラウドゲーミングを併用する予定の人
- macOS・Apple製品のエコシステムでの作業効率を最優先する人
- Steamの主要タイトルを高画質・高フレームレートで遊びたい人(対応タイトルの少なさは解消されない)
- 『VALORANT』『Counter-Strike 2』などアンチチート系の人気FPSをプレイしたい人
- 同予算ならゲーミングPCの専用GPUの方が、ゲーム用途では高い性能を得られる人
OpenCLスコアがRTX 4080級だとしても、M5 Ultraの設計思想はあくまでクリエイティブ制作とAI推論に軸足を置いたものです。ゲーム用途でMacを選ぶかどうかは、Mac Studioに限らずMac miniやMacBook Proまで含めた機種別の対応状況、Steam対応タイトルの壁、同価格帯のゲーミングPCとの費用対効果まで見て判断する必要があります。この判断軸はMacでゲームはどこまで動くかを機種別に整理した記事で詳しく扱っているので、あわせて確認してください。
未確定要素発売前に確認しておきたいこと
FAQよくある質問
発売前のMac Studio「M5 Ultra」(80コアGPU)のGeekbench 7スコアがリークし、OpenCL 216,619・Metal 360,019という数字が確認できました。OpenCLスコアはGeForce RTX 4080のOpenCL平均219,018にほぼ並びますが、Geekbench 7のGPUコンピュートテストは機械学習・画像処理・パストレーシングなどが中心で、DirectXベースのゲーム描画を測るテストではありません。この一点をもって「M5 UltraはRTX 4080級のゲーミングGPU」と結論づけるのは早計です。
Apple公式が公称する「M3 Ultra比最大1.8倍のグラフィックス性能」という数字も、Geekbenchでの実測(OpenCL約54%・Metal約44%)と比べると単純には一致しません。メーカー公称の倍率と第三者ベンチマークの実測値は前提条件が異なるため、購入判断は実機レビューが出そろってから行うのが確実です。
ゲーム用途でMac Studioを検討しているなら、GPUコンピュートスコアの近さよりも、Steam対応タイトルの少なさや同価格帯のゲーミングPCとの費用対効果まで含めた総合判断が欠かせません。機種別の詳しい比較は関連記事にまとめています。



