LOD・描画距離とは?CPUとGPUどちらに効くか|Atomfallは10fps超、マイクラは1.5〜2倍【2026年版】
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CPUとGPU、どちらに効く設定なのか
出典:LODの定義とLOD0の扱いはUnity公式マニュアルのLevel of Detail、カリングの種類とコスト順はUnreal Engine公式のVisibility and Occlusion Culling、HLODとNaniteはWorld Partition HLODの公式ドキュメントを、2026年9月9日に確認しました。実測値は当サイトの検証記事から引用しています。
グラフィック設定に並ぶ「LOD」「Object Detail」「View Distance」「描画距離」は、どれも遠景を軽くする設定に見えます。実際、下げると遠くの木が簡略化されたり、草が消えたりします。
ただしこの2種類は役割が違います。LODは遠くのオブジェクトを簡単なモデルに置き換えて残す設定、描画距離は一定距離より先を表示しなくする設定です。置き換えるのか、消すのか、という違いです。
そして「LODはGPU設定、描画距離はCPU設定」という分け方は正確ではありません。Unity公式のLODの説明を読むと、LODが減らすものはポリゴン数のほかに2つあります。この記事では両者の違いと負荷のかかり方を整理し、実測値と、下げてもFPSが変わらないときの見方までまとめます。
目次
基礎LODと描画距離は、置き換えるか消すかの違い
LODはLevel of Detailの略で、日本語では詳細度と訳されます。目の前にある車と500メートル先の車では、必要なモデルの精度が違います。遠くの車は画面上では数ピクセルにしかならないのに、近距離と同じ数十万ポリゴンで描くのは無駄です。そこで距離に応じて簡略なモデルへ切り替えます。
段階には番号が振られます。Unity公式は、LOD0がもっとも詳細なレベルで、番号が大きくなるほど詳細さが下がると定義しています。近距離用のLOD0、中距離のLOD1、遠距離のLOD2、という具合です。
対して描画距離は、そもそも描くかどうかの線引きです。Unreal Engineでは距離カリング(Distance Culling)と呼ばれ、公式ドキュメントはカメラからの距離にもとづいてActorを描画するかしないかを決める仕組みと説明しています。設定した距離を超えたオブジェクトは、描画対象から外れます。
ひとことで言うと
LODは「遠くでも表示するが、簡単な形にする」設定です。描画距離は「遠すぎたら表示そのものをやめる」設定です。同じ木を見ても、LODを下げると枝が簡略化されて木は残り、描画距離を下げると木そのものが消えます。
ゲームによっては「LOD」という名前を使わず、Object DetailやGeometry Qualityと表示されることもあります。その場合は内部でLODの切り替え距離を変えていることが多いものの、名前だけで何を変えているかは断定できません。ジオメトリ品質とオブジェクト数をまとめて動かす実装もあります。
負荷の実態「LODはGPU設定」と言い切れない理由
LODは三角形の数を減らす技術なので、GPUの設定という説明がいちばん分かりやすくなります。ただ、Unity公式のマニュアルはLODが減らすものを3つ挙げています。
| LODが減らすもの | 主に効く先 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 描画するポリゴン数 | GPU | 頂点処理・ジオメトリ処理が軽くなります |
| マテリアルの複雑さと数 | GPU・CPU | シェーダー処理と、描画命令の切り替え回数が減ります |
| Mesh Rendererの数 | CPU | 描画対象そのものが減り、描画命令の準備が減ります |
ポイントは3つ目です。LODは、ポリゴンを減らすだけでなく、描画コンポーネントの数そのものを減らす技術としても定義されています。描画するオブジェクトの数が減れば、CPUがGPUへ送る描画命令の準備も減ります。だからLODを下げてGPU使用率が高くない状態でもFPSが改善するゲームが存在します。
描画距離のほうも同じで、CPU専用ではありません。遠くのオブジェクトが描画対象から外れれば、GPU側でも頂点処理・ピクセル処理・マテリアル処理・影の処理を省けます。正確には「LODもCPUに効きうるし、描画距離もGPUに効く」で、どちらが大きいかはエンジンとシーン構成で変わります。
CPU側描画距離がCPUに効くのはカリングの手前が増えるから
描画距離がCPU負荷に効く理由は、描画命令の数だけではありません。そもそも「描くかどうかを判定する対象」が増えるからです。
Unreal Engineの公式ドキュメントは、カリングの方式をコストの小さい順に、距離・視錐台・事前計算による可視性・動的オクルージョンの順で適用すると説明しています。もっとも安いのが距離による足切りです。
| カリングの方式 | やっていること | コスト |
|---|---|---|
| 距離 Distance | 遠すぎるものを距離だけで足切りします | もっとも安い |
| 視錐台 View Frustum | カメラの視界の外にあるものを外します | 安い |
| 事前計算 Precomputed Visibility | あらかじめ計算した可視性データを使います | 中 |
| 動的オクルージョン Dynamic Occlusion | 手前の物体に隠れているかを毎フレーム調べます | もっとも高い |
公式は、距離と事前計算の方式を使ってGPUが毎フレーム行う問い合わせの回数を減らすことを推奨しています。つまり描画距離は、単に描く数を減らすだけでなく、より高コストな可視性判定にかける対象そのものを手前で削る役割を持ちます。
描画距離を伸ばすと、この判定対象が増えます。最終的にGPUへ描かれないオブジェクトであっても、そこへ至るまでの管理と判定は発生します。だからCPU全体の使用率が30%でも、描画スレッドが詰まってFPSが頭打ちになることがあります。CPU使用率の合計だけでは判断できません。
実測効き方はゲームによって桁が違う
ここが最も誤解されやすいところです。「LODを下げれば何パーセント速くなる」という共通の数字はありません。当サイトで検証した3本を並べると、その差がはっきりします。
| タイトル | 効果 | なぜそうなるか |
|---|---|---|
| Atomfall オープンワールド | 描画距離をUltraから下げて10fps超の改善。全設定中で最も効きます | DLSS・FSR・XeSSのいずれにも非対応で、内部解像度に逃げられません。画質設定が唯一の手段です |
| マインクラフト Java版 | 32→16チャンクでfpsが1.5〜2倍 | 描画距離がそのまま生成・描画するチャンク数に直結します。最もfpsに影響する設定です |
| 一般的なゲーム 当サイト設定ガイド | オープンワールド系で7〜14%程度 | リニアなゲームではほぼ気にならない水準にとどまります |
同じ「描画距離」でも、10fps超動く作品と、ほとんど動かない作品があります。分かれ目は遠景にオブジェクトがどれだけ密集しているかと、ほかに逃げ道があるかです。
Atomfallが極端な例です。アップスケーラーがないため内部解像度で稼げず、描画距離が主役になります。逆に廊下や屋内が中心のリニアなゲームでは、そもそも遠景に大量のオブジェクトが存在しないので、下げても差が出ません。詳しくはAtomfallの設定ガイドとマインクラフトの設定ガイドにそれぞれの実測をまとめています。
紛らわしい設定「影の描画距離」はこの設定とは別物
ここで1つ整理しておきます。影設定の中にも「描画距離」という項目があり、名前が同じでも中身は違います。
影側の描画距離は、どこまで離れた物体の影を描くかを決めます。オブジェクト自体は表示されたまま、影だけが消えます。一方この記事で扱う描画距離は、オブジェクトそのものを表示しなくする設定です。
ただし両者は連動します。描画距離を下げて遠くの木を消せば、その木の影を描く必要もなくなります。描画距離を1段階下げたときに想像以上にFPSが伸びるゲームがあるのは、ジオメトリだけでなく影の処理まで一緒に減っているためです。影側の仕組みは影品質の解説記事で扱っています。
最新エンジンNaniteとHLODで何が変わったか
Unreal Engine 5世代では、従来型のLODの扱いが変わっています。
Naniteはバーチャライズドジオメトリの仕組みで、開発者がLOD0・LOD1・LOD2を手作業で用意する方式とは異なります。Epic Gamesの公式ドキュメントは、Naniteが細かい単位の詳細度とオクルージョンカリングによって画面解像度に対してスケールし、ジオメトリの複雑さにかかわらず描こうとする三角形の数がピクセル数に比例して一定に保たれると説明しています。
ただし「NaniteだからView Distanceは無意味」とはなりません。三角形の数が抑えられても、マテリアル、ライティング、影、オブジェクトの管理コストは残ります。Nanite非対応の草木やキャラクター、パーティクルも同じシーンに存在します。
HLODは、離れた複数のオブジェクトをまとめて1つの簡略モデルとして扱う仕組みです。公式ドキュメントは、World PartitionのHLODが大量のStatic Mesh Actorから単一のプロキシメッシュとマテリアルを生成し、1フレームあたりのDraw Call数を減らして性能を上げると説明しています。遠くの街を100棟の建物としてではなく、1つの塊として描くイメージです。
ここでも減っているのはポリゴン数だけではありません。まとめられるのはオブジェクトの数とDraw Callで、これはCPU側の負荷です。大規模オープンワールドで遠景の描画距離を伸ばせるようになったのは、GPUが速くなっただけが理由ではありません。
効かない場合下げてもFPSが変わらない3つの理由
LODや描画距離を下げても数字が動かないなら、原因は別のところにあります。
1つ目は、ボトルネックが別の処理にある場合です。GPUがレイトレーシングやボリューメトリック処理で埋まっているなら、三角形を少し減らしても全体は変わりません。CPU側がNPCのAIや物理演算で詰まっているなら、遠景の静的オブジェクトを減らしても改善しません。
2つ目は、そもそも遠景にオブジェクトが少ない場合です。屋内やリニアなステージでは、描画距離を最低にしても消えるものがほとんどありません。比較するなら丘や高層階など、遠くまで見渡せる場所を使ってください。
3つ目は、FPSの上限に張り付いている場合です。144fps上限で、Ultraでも144fps、Highでも144fpsなら表示は同じです。ただしGPU使用率が90%から75%へ下がっているなら負荷は確実に減っています。フレームレートが同じでも消費電力とフレームタイムの余裕は変わるので、設定に意味がないとは限りません。
解像度との切り分けが有効です
解像度やレンダースケールを大きく下げてもFPSがほとんど変わらないのに、描画距離を下げると改善する。この組み合わせなら、ボトルネックはピクセル処理ではなく、オブジェクト数やDraw Callの側にあると絞り込めます。逆に描画距離を下げても動かないなら、AIや物理などピクセルにもジオメトリにも関係しない処理を疑います。
手順LODと描画距離は別々に動かす
この2つが独立した項目として用意されているゲームでは、同時に下げないでください。どちらが効いたのか分からなくなります。
まずLODだけを1段階下げてFPSを見ます。次に戻して、描画距離だけを1段階下げて比較します。LODで大きく変わるならジオメトリ側、描画距離で大きく変わるならオブジェクト数とDraw Call側が主因と切り分けられます。
比較する場所も重要です。狭い部屋では差が出ません。丘の上や塔の上など遠くまで見渡せる地点と、木や岩が密集する森林の2箇所で確認すると特性をつかみやすくなります。見るのは平均FPSだけでなく、1% LowとGPU使用率も含めてください。
そして移動しながら確認してください。LODは静止画では差が分かりにくく、カメラを前進させたときに遠くの木や建物が突然形を変える現象として表れます。低い設定ほど、この切り替えがプレイヤーの近くで起きます。静止画では同じに見えても、実際に歩くと画質差がはっきりする設定です。
判断環境別の目安
| 状況 | どうするか | 理由 |
|---|---|---|
| GPU使用率98〜100% | LODと描画距離の両方を試す | ジオメトリと描画オブジェクト数の両方を減らせます。森林や市街地で差が出ます |
| GPU使用率が低いのにFPSが伸びない | 描画距離を優先して下げる | Draw Callの準備や可視性判定などCPU側の描画負荷を減らせる可能性があります |
| 4Kで遊んでいる | 先にレンダースケールや反射を見る | ピクセル処理が支配的なら、ジオメトリを減らしても差は小さくなります |
| 1080pで高FPSを狙う | 描画距離を下げる価値が高い | ピクセル負荷が軽い分、CPU側とDraw Callが先に限界へ達しやすくなります |
| オープンワールドを景色ごと楽しみたい | UltraではなくHighで止める | 遠景の見た目がほとんど変わらないなら、Highのほうが性能効率が良くなります |
| 性能が厳しい低スペックPC | LowではなくMediumから試す | Low以下はオブジェクトの消失と形状変化が急に目立つゲームがあります |
全体としては、UltraではなくHighを基準に置き、そこから1段階ずつ下げるのが扱いやすい設定です。描画距離を2倍にしても表示範囲の面積は大きく広がる一方、増えたオブジェクトは画面上でごく小さくしか映りません。Ultraは見た目の改善量に対してコストが大きくなりやすい領域です。設定全体の優先順位はグラフィック設定ガイドにまとめてあります。
FAQよくある質問
総括まとめ|置き換えるのがLOD、消すのが描画距離
LODは遠くのオブジェクトを簡単なモデルへ置き換えて残す設定、描画距離は一定距離より先を表示しなくする設定です。Unity公式はLOD0をもっとも詳細なレベルと定義し、Unreal Engineは距離カリングをカメラからの距離でActorを描くかどうか決める仕組みとしています。
負荷については、「LODはGPU、描画距離はCPU」という分け方は成り立ちません。Unity公式がLODの削減対象に挙げているのはポリゴン数だけでなく、マテリアルの複雑さと数、そしてMesh Rendererの数です。最後の1つは描画対象そのものの数なので、CPU側の描画準備に直結します。描画距離のほうも、消えたオブジェクトの分だけGPU処理が減ります。
効き方はゲームによって桁が違います。アップスケーラーを持たないAtomfallでは描画距離が全設定中で最も効き、Ultraから下げるだけで10fps超変わります。マインクラフトは32チャンクから16チャンクでfpsが1.5〜2倍です。一方、一般的なオープンワールドでは7〜14%程度で、リニアなゲームならほとんど動きません。
LODは「遠くでも表示するが簡単な形にする」設定、描画距離は「遠すぎたら表示そのものをやめる」設定です。Unity公式はLODが減らすものとしてポリゴン数・マテリアルの複雑さと数・Mesh Rendererの数の3つを挙げており、3つ目は描画対象の数そのものなのでCPU負荷にも関わります。したがって「LODはGPU設定、描画距離はCPU設定」という分類は正確ではなく、どちらも両方に効きます。Unreal Engine公式はカリングを距離・視錐台・事前計算・動的オクルージョンのコスト順で適用すると説明しており、描画距離は最も安い段階で対象を削る役割を持ちます。実測ではAtomfallが描画距離だけで10fps超、マインクラフトが32→16チャンクで1.5〜2倍、一般的なオープンワールドで7〜14%と幅があります。設定はUltraではなくHighを基準にし、LODと描画距離を別々に1段階ずつ動かして、丘の上と森林の2箇所で移動しながら比較してください。



