影品質とは?シャドウマップ・カスケードの仕組みとFPSへの影響|Apexで15〜28%・スパイダーマン2で10fps改善【2026年版】
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ひとつの設定に見えて、内部では複数の処理が同時に変わっている
出典:Epic Games公式「Scalability Reference」、Epic Games公式「Virtual Shadow Maps」、Epic Games公式「Shadowing in Unreal Engine」、Epic Games公式「Distance Field Soft Shadows」、Epic Games公式「Volumetric Fog」、Epic Games公式「Hardware Ray Tracing」(いずれも2026年9月8日取得)。FPSの実測値は当サイトの設定ガイドで検証したものです。
PCゲームの設定画面には「影品質」「Shadow Quality」という項目があり、Low・Medium・High・Ultraなどから選べます。「ゲームが重いなら影を下げるといい」と聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、下げれば必ず10fpsや20fps上がるというわけではありません。
理由は、「影品質」というひとつの設定の中に、シャドウマップの解像度・カスケード数・描画距離・影を落とすオブジェクト数など複数の処理がまとめて含まれているためです。Unreal Engineの標準設定でも、影品質を変えるとこれらの項目が同時に切り替わります。さらに影はGPUだけでなく、CPU側の描画準備にも関係することがあります。
この記事では、Epic Games公式資料にもとづいて影品質が内部で何を変えているのかを整理し、当サイトが実際に検証したFPSへの影響を示します。Apex Legendsでは影3設定をオフにすることで15〜28パーセント、スパイダーマン2ではシャドウ品質をVery HighからLowにすることで約10fpsの改善が確認できました。CPU・GPUどちらのボトルネックでも判断できる見分け方まで解説します。
目次
要点先に結論だけ押さえる
基礎影品質(Shadow Quality)とは何を変えている設定か
影品質は、単純に影を濃くしたり薄くしたりする設定ではありません。実際には、影を作るためのレンダリング品質そのものを変更しています。
Epic Gamesの仕様書によると、Unreal Engineの影品質(sg.ShadowQuality)はLow(0)からEpic(3)まで段階があり、切り替えると影の解像度(r.Shadow.MaxResolution)・カスケード数(r.Shadow.CSM.MaxCascades)・ライト機能の品質(r.LightFunctionQuality)・小さな物体を影計算に含める基準(r.Shadow.RadiusThreshold)がまとめて変化します。
| 設定 | 影解像度/カスケード数 | 小物体を影に含める基準 |
|---|---|---|
| Low | 512 / 最大1カスケード | 0.06(粗い=小さい物体は影を省略しやすい) |
| Medium | 1024 / 最大1カスケード | 0.05 |
| High | 1024 / 最大2カスケード | 0.04 |
| Epic | 1024 / 最大4カスケード | 0.03(細かい物体まで影を計算) |
つまりゲーム内に「影品質」という1項目しかなくても、内部では複数の負荷設定を同時に変更している可能性があります。
仕組みシャドウマップとは何か
ゲームで広く使われてきた影の生成方式がShadow Mappingです。Epic Gamesは「ジオメトリをシャドウ深度マップへレンダリングする既定の影生成方式」と説明しています。
簡単にいえば、通常のプレイヤーカメラとは別に「光源側から見た深度情報」を作ります。その情報と通常の画面を比較することで、光源から見えている場所には光を当て、別の物体に隠れている場所を影として扱います。この光源側の深度情報を保存するのがシャドウマップです。
したがって動的な影を追加する場合、通常のゲーム画面を一度描画するだけでなく、影を作るための追加レンダリングが必要になります。これが、影品質がGPU負荷だけでなくCPU側にも関係する理由につながります。
解像度影解像度は512→1024で頭打ちになる
上の表で分かるとおり、影解像度が実際に変わるのはLowからMediumへの1段階だけです。Medium・High・Epicはいずれも1024で共通で、そこから上の設定で変わるのはカスケード数(1→2→4)と小物体の判定基準です。
これは「影品質をUltra(Epic)にするほど輪郭がどんどん滑らかになる」という単純な話ではないことを意味します。Low→Mediumの解像度アップでは輪郭のギザギザが大きく改善しますが、Medium以上での見た目の変化は、遠距離までどれだけ高精度な影を維持できるか(カスケード数)に依存します。
カスケードカスケード数と描画距離が本当のコスト
広い屋外で太陽の影を描画するときによく使われる方式がCascaded Shadow Maps(CSM)です。Epic Gamesは「カメラのView Frustumを複数のCascadeへ分割し、近距離では高品質、遠距離では低品質な影を利用することで広い範囲の動的シャドウを最適化する」技術と説明しています。
カスケード数が多いほど、距離ごとに適切な解像度を割り当てられるため遠距離まで影を高精細に維持できますが、それぞれのカスケードへシーン内のジオメトリを再レンダリングする必要があるため負荷も増えます。Epic Gamesの一般解説でも、シャドウ距離を伸ばすほどシャドウマップへレンダリングするMeshやTriangleが増えるため、コストが増加すると説明されています。
Epic GamesのDistance Field Shadows資料には、Radeon 7870・1920×1080・実際のゲームシーンでの比較データが掲載されています。Directional Lightの距離10,000ユニット・3カスケードではCSM 3.1ms、距離30,000ユニット・6カスケードではCSM 4.9msと、距離とカスケード数が増えるほどコストが上がっています。同じ資料では、この2条件をDistance Field Shadowsに切り替えるとそれぞれ2.3ms(25%高速)・2.8ms(43%高速)まで下がるデータも示されており、遠距離の影ではDistance Field Shadowsの方が効率的な場合があることが分かります。
影の描画距離(Shadow Distance)を個別に調整できるゲームでは、近距離の影品質は維持したまま遠距離だけ短くすることで、見た目への影響を抑えつつ負荷を下げられる場合があります。
CPU影品質はCPU側のDraw Callにも影響する
影生成では大きく分けて、影データを作る処理と、作った影を画面へ適用する処理があります。Unreal EngineのVirtual Shadow Mapsでは、前者がShadow Depths、後者がShadow Projectionとして区別されています。
Shadow Depthsのコストに関わるのが、影を落とすジオメトリの描画方式です。Epic Gamesは「非Naniteジオメトリでは、可視ライトごとに個別のパスと個別のDraw Callを使用し、従来のシャドウマップレンダリングと同様に処理される」と説明しています。一方でNaniteジオメトリでは、すべてのDirectional Lightをまとめて1パスで処理できるとしています。
つまり影を落とすオブジェクトが多い、あるいはNaniteに対応していない旧来のアセットが多いゲームほど、影品質を上げたときにCPU側の描画準備(Draw Call)まで増える可能性があります。Shadow Distanceや影を落とすオブジェクト数を減らす設定なら、GPUだけでなくCPU側の負荷まで軽くなる場合があるのはこのためです。
Virtual Shadow Mapsは前フレームのシャドウデータをキャッシュして再利用しますが、Epic Gamesは「ライトの移動・回転」「影を落とすジオメトリの移動・追加・削除」「World Position OffsetやPixel Depth Offsetで頂点を変形させるマテリアル」がキャッシュされたページを無効化すると説明しています。風で揺れる草木、多数のNPC、動的なライトが多い場面では、この再描画が増えるため同じ影品質でも負荷が高くなります。
実測影品質を下げるとFPSはどれだけ変わるか
共通する割合はありません。ゲーム側の影品質がどの項目をどれだけ変更しているかによって差が大きすぎるためです。当サイトが実際に検証した2つの事例を紹介します。
当サイトの検証では、シャドウ詳細・スポットシャドウ詳細・動的スポットシャドウの3設定をすべて「非常に低」または「無効」にするとFPSが15〜28パーセント向上しました。さらに影が減ることで暗がりに潜む敵のシルエットが浮き上がり、視認性まで同時に向上します。詳しい手順はApex Legendsのおすすめ設定ガイドにまとめています。
当サイトの検証では、シャドウ品質をVery HighからLowにすることで約10fpsの改善が確認できました。ただしLowでは植生が平坦に見えるようになるため、見た目とのバランスではHighを推奨設定としています。詳しくはマーベル スパイダーマン2のおすすめ設定ガイドで解説しています。
また、当サイトのグラフィック設定全般を扱うハブ記事でも、影品質を最高から高へ1段階下げるだけで10〜18パーセント改善し、見た目の差はほぼないという傾向を確認しています。複数の事例に共通するのは、最高設定から1段階下げる変更が最もコスパが良く、そこから先はゲームごとに実測が必要という点です。
別処理レイトレーシングシャドウは影品質とは別の設定
レイトレーシング対応ゲームでは、従来のShadow Mapとは別にRay Traced Shadowsを利用できる場合があります。Epic Gamesは「ハードウェアレイトレーシングのスタンドアロン機能で、物体に対するソフトな面積影をシミュレートする」ものと説明しています。
光源のSource Size(Point・Spot・Rectライト)やSource Angle(Directionalライト)を大きくするほど影が柔らかくなり、小さくするほど鋭くなります。Epic Gamesは「従来のシャドウマップやVirtual Shadow Mapsより正確な結果が得られる一方、Virtual Shadow Mapsが持つ細かい性能コストの調整余地とはトレードオフの関係にある」としています。
つまり「影品質」がラスタライズ方式のシャドウマップ設定を指すのに対し、「レイトレーシングシャドウ」は別のオン・オフ項目として用意されていることが多く、両方が重い原因になっている場合は個別に確認する必要があります。
見落としがち霧や光芒への影(Volumetric Shadow)も別コスト
夜の街のように、街灯やネオンなど多数のPoint Light・Spot Lightが存在する場面では、影品質とは別にVolumetric Shadowの負荷も無視できません。
Epic GamesのVolumetric Fog資料は、「Cast Volumetric Shadowを有効にしたPoint LightとSpot Lightは、影を落とさないライトと比べて約3倍のコストがかかる」と明記しています。霧や光芒(ゴッドレイ)にライトの影を反映させる処理のため、影品質のシャドウマップ設定とは別枠のコストです。
影品質を下げても夜の街だけ重いままという場合は、動的ライトの数そのものか、このVolumetric Shadow関連の設定を確認する価値があります。
物体同士が触れる部分の柔らかい陰影を作る「アンビエントオクルージョン」や、光の反射・伝搬を計算する「グローバルイルミネーション」は、太陽やライトが直接作る影(影品質)とは別の設定です。それぞれの仕組みはアンビエントオクルージョンとは?SSAO・HBAO+・GTAOの違いで解説しています。
選び方影品質を下げる正しい手順
影品質は下げるほど必ず効率が良くなるわけではありません。Lowでは影そのものを大幅に削減するゲームがあり、画面の立体感がかなり変化する可能性があります。まずHighへ下げて同じ場所で比較し、それでも重ければMediumへ、という順番がおすすめです。
| 症状 | 疑われる負荷源 | 確認・対処 |
|---|---|---|
| GPU使用率99%で、影を下げるとFPSが伸びる | GPU側のShadow Depth/Projection処理 | Highへ下げて比較、まだ重ければMediumへ |
| GPU使用率は変わらないが、影の描画距離を短くするとFPSが伸びる | CPU側のDraw Call・Culling処理 | Shadow Distanceや影を落とすオブジェクト数を絞る |
| 影品質を下げてもFPSがまったく変わらない | 影以外がボトルネック(解像度・レイトレ反射・CPU全体等) | 他のグラフィック設定を1つずつ確認する |
| 昼間は快適だが、夜の街や室内だけ重い | 動的ライト数・Volumetric Shadow | Local Shadow Quality等を個別に確認 |
比較するときは平均FPSだけでなく、GPU使用率とフレームタイムも一緒に確認してください。FPS上限に張り付いている場合はFPSの数字だけでは差が見えず、GPU使用率や消費電力の変化で判断する必要があります。
Q&Aよくある質問
総括まとめ|まずHighへ、そこから先は実測で判断する
影品質(Shadow Quality)は、影解像度・カスケード数・描画距離・小物体の判定基準などをまとめて変更する設定です。Epic Gamesの仕様書でも、影解像度が変わるのはLowからMediumへの1段階だけで、それ以上の違いは主にカスケード数によるものでした。
当サイトの検証では、Apex Legendsで影3設定をオフにすると15〜28パーセント、スパイダーマン2ではシャドウ品質Very High→Lowで約10fpsのFPS向上を確認しました。距離が伸びるほど影のコストが上がることはEpic Games公式のベンチマークでも示されており、Distance Field Shadowsに切り替えると同条件で最大43パーセント高速化した例もあります。
影は非Naniteジオメトリで可視ライトごとに個別のDraw Callを使うため、CPU側の負荷にも関係します。レイトレーシングシャドウやVolumetric Shadowは影品質とは別のコストなので、重い原因を切り分けるときは個別に確認してください。まずHighへ下げて同じ場所で比較し、まだ重ければMediumへ、Lowは最後の選択肢と考えるのが実務的な進め方です。
影品質(Shadow Quality)は、影解像度・カスケード数・描画距離・小物体の判定基準をまとめて変更する設定です。Epic Games公式資料によると、影解像度が変わるのはLow(512)からMedium(1024)への1段階だけで、High・Epicとの違いは主にカスケード数(1→2→4)です。カスケード数や描画距離が増えるほどシャドウマップへ描画するジオメトリが増えるため、Epic Games公式ベンチマークでも距離10,000ユニット・3カスケードで3.1ms、30,000ユニット・6カスケードで4.9msとコストが上昇し、Distance Field Shadowsに切り替えると同条件で最大43パーセント高速化した例が示されています。影はUnreal EngineのVirtual Shadow Mapsでは非Naniteジオメトリが可視ライトごとに個別のDraw Callを使うためCPU側の負荷にも関係し、ライトや影を落とすジオメトリの移動・World Position Offsetを使うマテリアルはキャッシュを無効化して負荷を増やします。当サイトの検証ではApex Legendsで影3設定オフにより15〜28パーセント、スパイダーマン2でシャドウ品質Very High→Lowにより約10fpsのFPS向上を確認しました。レイトレーシングシャドウ(Ray Traced Shadows)とVolumetric Shadow(Point・Spot Lightで約3倍コスト)は影品質とは別の負荷源のため、個別に確認してください。まずHighへ下げて同じシーンで比較し、それでも重ければMediumへ進めるのがおすすめです。





