GMKtec EVO-X3は買いか|OCuLink標準搭載の実力とEVO-X2との実質価格差8,000円を検証【2026年9月】
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
OCuLink標準搭載、EVO-X2との価格差は同一構成で8,000円
AMDのRyzen AI Max+ 395は、CPUとGPUとNPUを1つのパッケージにまとめた大型のプロセッサです。最大128GBのメモリを載せられて、そのうち96GBまでを内蔵GPU用のVRAMとして割り当てられるため、大きな言語モデルを手元のPCで動かしたい人に選ばれてきました。GMKtecの「EVO-X3」は、その代表格だったEVO-X2の後継にあたります。
ところが後継機のはずのEVO-X3は、3DMarkでEVO-X2をわずかに下回ります。原因は世代差ではなく、標準の電力枠が85Wに絞られていることです。そして価格も、1年前のEVO-X2と比べると20万円以上高く見えます。ただしこれは構成が違うものを並べた結果で、同じ128GB+2TB同士なら差は8,000円です。
では何が変わったのかというと、背面に増えたOCuLinkポートと、24時間回しても気にならない静音性の2点です。ここでは両機の仕様と価格を同じ条件で並べ直したうえで、ゲーム用途で見たときの答えと、EVO-X2のままで足りるケースまで具体的に示します。
目次
結論先に結論|EVO-X3を選ぶ理由とEVO-X2で足りる理由
- ローカルで言語モデルを長時間動かし続けたい
- 手持ちのGeForceをOCuLinkで足してCUDAを使いたい
- ワンルームや寝室に置くので静音性が最優先
- モニターをつながずネットワーク越しに使う運用を考えている
- 64GB構成で用が足りる(25万円以上安く済みます)
- 映像出力を2系統以上使いたい
- SDカードスロットやUSB4の2ポート目が要る
- 目的がゲームで、AI用途の予定がない

価格「20万円高くなった」は本当か|同じ構成で並べ直す
EVO-X3は通常価格636,656円、2026年9月9日時点のセール価格で607,999円です。1年前に登場したEVO-X2が393,990円だったことを踏まえると、20万円以上の値上がりに見えます。ただし393,990円はメモリ64GB+SSD 1TBの構成で、EVO-X3にその構成はありません。
GMKtec日本公式ストアで現在売られている両機の全構成を、同じ日に取得して並べたのが次の表です。
| 構成 | EVO-X2 | EVO-X3 |
|---|---|---|
| 64GB+1TB | 347,999円 | 設定なし |
| 128GB+1TB | 566,999円 | 設定なし |
| 128GB+2TB | 599,999円 | 607,999円 |
| 128GB+4TB | 設定なし | 649,100円 |
※GMKtec日本公式ストアの2026年9月9日時点の販売価格です。EVO-X3の607,999円はセール適用後(通常636,656円)の金額です。メーカー直販以外の販路では価格の付き方が異なり、両機の差もこの表とは変わります。
同じ128GB+2TBで比べると、差は8,000円しかありません。EVO-X2も1年前の393,990円ではなく、64GB+1TBで347,999円、128GB+2TBで599,999円という水準まで来ています。EVO-X3だけが高くなったのではなく、メモリ価格の上昇が両機に同じようにのしかかっている状態です。
ここで気をつけたいのは、安く見える347,999円はメモリ64GBの構成だという点です。96GBをVRAMに割り当てる使い方は128GB構成でなければできないため、大きなモデルを動かす目的なら64GB構成は選択肢に入りません。比較するときは必ず同じ容量同士で並べてください。
なお同じ128GBのメモリを積むNVIDIAのDGX Sparkは110万円前後です。GPUを別途足すことまで考えても、Ryzen AI Max+ 395機の60万円台という価格帯にはまだ開きがあります。
変更点EVO-X2から実際に変わった3点
プロセッサもGPUもメモリも同じなので、違いは筐体・電力枠・インターフェイスの3か所に集中しています。
筐体が厚さ41mmの薄型タワーになった
EVO-X2が193×185.8×77mmの箱型だったのに対し、EVO-X3は353×186×41mm(スタンドを除く)、重量約2.3kgのフルメタル削り出し筐体です。放熱面積を高さではなく広さで稼ぐノートPCに近い考え方で、CPU冷却に3本のヒートパイプと大口径ファン2基、さらに裏面にもう1基を配置しています。スタンドは付属の手回しネジで固定したうえに脚のシールを貼る構造なので、取り付けは実質的に一度きりと考えておくのが無難です。
標準の電力枠が85Wに絞られた
EVO-X3の動作モードは静音54W、バランス85W、パフォーマンス時のピーク140Wの3段階で、出荷時はバランスの85Wです。EVO-X2は安定120W・ピーク140Wという設定だったので、標準状態での電力枠は35W分低いことになります。ピークの140Wという上限自体は両機で変わりません。
インターフェイスは増えずに減った
EVO-X2はUSB 3.2がすべてGen 2で、USB4とUSB 2.0が2基ずつ、さらにSDカードスロットとDisplayPort 1.4を備えていました。EVO-X3の前面はUSB 3.2 Gen 1とUSB 2.0と3.5mmオーディオ、背面は2.5Gigabit Ethernet、USB 3.2 Gen 2、HDMI 2.1、USB4、DC入力、OCuLinkです。映像出力はHDMIとUSB4の2系統だけになり、SDカードスロットとDisplayPortはなくなりました。汎用のミニPCとしては明確な後退で、AI用途に振り切った構成だと分かります。
| 項目 | EVO-X2 | EVO-X3 |
|---|---|---|
| プロセッサ | Ryzen AI Max+ 395(16コア32スレッド) | Ryzen AI Max+ 395(16コア32スレッド) |
| 内蔵GPU | Radeon 8060S(40CU/RDNA 3.5) | Radeon 8060S(40CU/RDNA 3.5) |
| メモリ | LPDDR5X-8000 64GB/128GB(オンボード) | LPDDR5X-8000 128GB(オンボード) |
| 電力モード | 安定120W・ピーク140W | 静音54W/バランス85W/ピーク140W |
| 本体サイズ | 193×185.8×77mm | 353×186×41mm(スタンド除く・約2.3kg) |
| 映像出力 | HDMI・DisplayPort 1.4・USB4×2 | HDMI 2.1・USB4×1 |
| 拡張ポート | SDカードスロットあり/OCuLinkなし | SDカードスロットなし/OCuLinkあり |
| ストレージ | M.2 2280(PCIe 4.0 x4)×2 | M.2 2280(PCIe 4.0 x4)×2・最大16TB |
※両機ともGMKtec公式の製品仕様にもとづきます。EVO-X3のACアダプタは19.5V/11.8Aの230.1Wタイプです。
性能3DMarkがEVO-X2を下回る理由
実機計測では、EVO-X3の3DMarkスコアはEVO-X2を下回りました。Fire Strikeで約4%、Wild LifeとNight Raidで約9%、Speed Way・Steel Nomad・Port Royalで5〜7%低いという結果です。PCMark 10は11,492でEVO-X2を上回りましたが、比較対象のEVO-X2が編集部で使い込まれた個体の再計測値のため、参考値として扱われています。
プロセッサもメモリも同じ構成である以上、この差の原因は電力枠と考えるのが自然です。EVO-X3の標準はバランスの85Wで、EVO-X2の安定120Wより控えめに振られています。ピーク性能をわずかに削って静音性に回した、という位置づけです。
この4〜9%という数字は、標準設定のままで測った場合の差です。EVO-X3にもピーク140Wのパフォーマンスモードがあり、上限そのものはEVO-X2と同じです。パフォーマンスモードでの計測値は公表されていないため、モードを上げれば差が消えるかどうかまでは分かっていません。
もっとも、メモリ帯域が性能を決めるAI処理では、電力枠を上げても伸びしろは限られます。Ryzen AI Max+ 395のメモリ帯域は256bit幅で約256GB/sで、これは電力モードを変えても動きません。AI用途に限れば、静かな標準設定のまま使うのが理にかなっています。
拡張OCuLinkで何が変わるか
EVO-X3で決定的に増えたのが、背面のOCuLinkポートです。EVO-X2でも外付けGPUを使うことはできましたが、空いているM.2スロットから変換して引き出す必要がありました。EVO-X3は背面のコネクタにケーブルを挿すだけで済みます。
規格はPCIe 4.0 x4で、理論帯域は64Gbps相当です。USB4やThunderboltの40Gbpsを上回るうえ、プロトコル変換を挟まないぶんレイテンシも小さく抑えられます。一方で素のPCIeが走っているためホットプラグには対応せず、接続するときは本体の電源を落とす必要があります。この違いはeGPUの接続規格をまとめた記事で帯域と損失の関係まで整理しています。
実機ではGeForce RTX 3090を外付けドック経由で接続し、Alibabaが2026年8月26日に公開した「Qwen3.8-Flash-Next」を動かした結果が報告されています。125Bパラメータのエキスパート混合モデルに51BのN-gram埋め込みを持ち、トークンあたりの実行パラメータは6Bというモデルです。llama.cppの設定を詰めた状態で、プリフィルが231.5トークン/秒、デコードが20.9トークン/秒という速度が出ています。
興味深いのは、この構成でプリフィル速度を縛っているのがGPUではなくOCuLinkのx4という帯域だった点です。ホストからGPUへの転送は平均7.7GB/sに達しており、この転送を止めてCPU計算に切り替えるとプリフィルは141.6トークン/秒まで落ちました。x4でも転送したほうが速いという判断は正しいものの、帯域が足を引っ張っていること自体は数字に出ています。
それでもOCuLinkの価値は大きく、Ryzen AI Max+ 395の最大の弱点であるCUDA非対応を、手持ちのGeForceで外から補えるようになります。AMD純正の推論環境についてはROCm 10の対応状況をまとめた記事もあわせて確認してください。
ゲームゲーミングPCとして見るとどうか
EVO-X3が積むRadeon 8060Sは、EVO-X2と同じ40基の演算ユニットを持つ内蔵GPUです。フルHDでの実測値は次のとおりで、軽めのタイトルなら十分に戦えます。
| タイトル | 設定(フルHD) | 平均fps |
|---|---|---|
| F1 24 | 高 | 193.1 |
| ウィッチャー3(2023年版) | 高 | 141.2 |
| バルダーズ・ゲート3 | 高 | 100.6 |
| サイバーパンク2077 | 高・FSRオフ | 99.7 |
| モンスターハンターワイルズ | 中・アップスケーリングなし | 62.0 |
| 黒神話:悟空 | 高 | 53.0 |
| Star Wars Outlaws | 高 | 44.2 |
※Radeon 8060S搭載機での実測値です。EVO-X3は標準がバランス85Wのため、この数値より数%低くなる想定です。ゲームで使うならパフォーマンスモードへの変更を前提にしてください。
ただし60万円という価格を前提にすると、ゲーム目的で選ぶ理由は薄くなります。同じ予算なら単体GPUを積んだデスクトップのほうが確実に速く、フルHDを超える解像度で差が広がります。機種ごとの位置づけはRyzen AI Max+搭載ミニPCの比較記事で、WQHDと4Kまで含めて整理しています。
逆にいえば、ゲームは「動けば十分」という前提で、本命がAIという人にとっては悪くない構成です。内蔵GPUに割り当てるVRAMの量はBIOSから変更でき、手順はVariable Graphics Memoryの設定ガイドにまとめてあります。
静音24時間回せるかという評価軸
EVO-X3を評価するうえで、実は3DMarkのスコアより重要なのが動作音です。大きなモデルにコーディングをさせると、処理が4時間も6時間も続くことがあります。しかも終了時刻が読めないため、うるさいマシンはいつのまにか電源を落とされ、必要なときしか使われなくなります。
EVO-X3は左右に大きなブロワーファンを2基備えていますが、負荷をかけても耳障りな高周波成分がほとんど出ず、50cm離した状態ではほとんど気にならない水準に収まっています。アイドル時は無音に近く、同じ部屋で寝ていても支障がないレベルです。標準がバランス85Wに設定されているのは、この静音性を確保するためです。
排熱も、風量が穏やかで上下に逃がす構造のため、風が手に当たっても不快になりません。ピーク性能を数%落としてでも常時稼働できる状態を選んだ、という設計意図がはっきり出ています。
選び方128GB構成で比べるならこの2択
ここまでの内容をまとめると、選択肢は同じ128GB+2TBのEVO-X3とEVO-X2の2つに絞られます。OCuLinkと静音性を取るか、映像出力とSDカードスロットを含めた汎用性を取るかという違いです。
Q&Aよくある質問
まとめまとめ|絶対性能で選ぶ機械ではなくなった
EVO-X3は、EVO-X2と同じプロセッサ・同じメモリを積みながら、標準設定でのベンチマークはわずかに下回ります。数字だけを見れば後継機としての説得力は弱く見えますが、同じ128GB+2TBの価格差は8,000円しかなく、実質的には「同じ値段でOCuLinkと静音性を選ぶかどうか」という選択です。
手元にGeForceがあり、ローカルで大きなモデルを常時動かしたいなら、CUDAへの逃げ道を背面ポート1つで確保できる意味は小さくありません。一方でメモリ64GBで足りる用途や、モニターを複数つなぐ使い方、ゲームが主目的という場合は、EVO-X2のほうが素直に安く収まります。
同一構成での価格差は8,000円です。OCuLinkと静音性に価値を見いだせるならEVO-X3、64GB構成やインターフェイスの多さを取るならEVO-X2という切り分けになります。
出典:GMKtec公式「EVO-X3」製品ページ・GMKtec日本公式ストア「EVO-X3」・GMKtec日本公式ストア「EVO-X2」・PC Watch「EVO-X3」実機レビュー・AMD公式「Ryzen AI Max+ 395」製品ページ・Hugging Face「Qwen3.8-Flash-Next」モデルカード







