Steam Linux版クライアントが64bit化|ベータの対象環境・参加と戻し方・実績セットとの違い【2026年10月】
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ただし32bitライブラリは引き続き必要
出典:Steam Client Beta「Steam Client Beta – October 15th」、Steam「Steam Achievement Sets Now in Beta」、ValveSoftware/steam-for-linux「README.beta.md」、ValveSoftware/steam-for-linux「README」、Steamサポート「Steam Client Beta」にもとづきます。情報は2026年10月16日時点のものです。
LinuxでSteamを使っていると、クライアントそのものの作りが変わる更新は気になるものです。10月15日付のSteamクライアントベータで、Linux版のクライアントが64bitアプリになりました。公式の更新内容には「The Steam client is now a 64bit application.」(Steamクライアントは64bitアプリになった)と書かれています。
同じ項目には、クライアントがSteam Runtimeのコンテナ内で動くようになったことも書かれています。目的は、複数のディストリビューションで動作を揃えることです。Steam Runtimeはゲームの実行にも使われている仕組みで、クライアントにも同じ土台を使うという位置づけです。
ただし、反映されるのはベータに参加しているクライアントだけで、32bitのライブラリやドライバーが要らなくなるわけでもありません。ベータ用READMEの必須条件には、32bitと64bitの両方のライブラリ・グラフィックスドライバーを入れることが残っています。fpsや起動時間の改善も公式には示されていないため、普段使いの環境は安定版のままにして、検証したい人だけがベータに入る進め方が無難です。
目次
要点10月15日のベータで変わったこと
Linuxの変更は、64bitアプリ化、Steam Runtimeコンテナ内での実行、更新画面が表示されない場合がある不具合の修正の3つです。同じ日に入った実績セットは更新内容の別項目で、Linuxの64bit化とは関係のない機能です。
更新内容のLinux項目は次のとおりです。
- Steamクライアントが64bitアプリになった
- Steamクライアントが、Steam Runtimeコンテナ内で動くようになった
- 一部のユーザーでSteamのアップデーターの画面が表示されない場合があった不具合の修正
コンテナ化は、複数のディストリビューションでSteamクライアントの動作を揃えるための変更です。起動速度やメモリー使用量、ゲーム中のfpsがどう変わるかは書かれていません。
10月13日付の通常版クライアント更新の内容には、64bit化の記載がありません。2026年10月16日時点では、ベータでの変更として読むのが正確です。
対象環境ベータ用READMEの必須条件と、先に確認したい項目
Valveの公式リポジトリには、現行の安定版クライアント用のREADMEとは別に、ベータ用のREADME(README.beta.md)があります。対象は「steamrt3cのベータクライアント」で、2026年10月16日時点の必須条件は次のとおりです。
- glibc 2.31以降、Linuxカーネル5.6以降
- 特権なしでユーザー名前空間とマウント名前空間を作れること
- D-Busのセッションバス
- X11サーバー(XwaylandまたはX11セッション)
- pipewire-pulseまたはPulseAudio(JACKとALSA dmixは非対応)
- OpenGLとVulkanのドライバー
- x86_64では、32bitと64bit両方のライブラリとグラフィックスドライバーが必要
- 64bitのみのx86_64環境は非対応
- 32bitのみのx86環境も非対応
- CPUはCMPXCHG16BとSSE3に対応したx86_64/AMD64
- Vulkan対応のグラフィックスカード
目立つのは、名前空間の条件です。READMEでは、/proc/sys/user/max_user_namespacesと/proc/sys/user/max_mnt_namespacesが十分に大きいこと(初期値のままを推奨)、/proc/sys/kernel/unprivileged_userns_cloneがある場合は1にすることが挙げられています。AppArmorを使っている場合は、SteamにUserns(ユーザー名前空間)を許可するAppArmorプロファイルを当てるか、/proc/sys/kernel/apparmor_restrict_unprivileged_unconfinedを0にする必要があります。
手元の環境は、次のコマンドで事前に確かめられます。
uname -rでカーネルが5.6以降か確かめるldd --versionの1行目でglibcが2.31以降か確かめるcat /proc/sys/kernel/unprivileged_userns_cloneで値を見る(ファイルが無い環境は次へ進む)cat /proc/sys/user/max_user_namespacesの値が0や極端に小さくないか確かめる
セキュリティ強化のために名前空間を絞っているディストリビューションや、自分で設定を変えている環境は、ここで引っかかる可能性があります。READMEはこの条件が必要な理由を書いていないため、ベータで起動しない場合の切り分け先として、先にこの4点を見ておくと原因を絞りやすくなります。
32bitライブラリを消してよいわけではない
「クライアントが64bitになったのだから32bit関連のパッケージは不要」という読み方は、公式の記載と合いません。ベータ用READMEはx86_64環境で32bitと64bit両方のライブラリを求めており、安定版のREADMEも32bitのグラフィックスドライバーとglibcを必須としています。32bitで動くゲームが今も多く、クライアントの64bit化とは別の話だからです。FlatpakやSnap版のSteamでの挙動は、公式告知とREADMEには書かれていません。
実績セット同じ日に入った実績セットは別の機能
10月15日のベータには、Linuxの変更と並んで「Steam Achievement Sets」が入りました。こちらはLinuxに限らず、実績の見せ方を変える機能です。更新内容にも、公式告知にも、対応OSを限る記載はありません。
- 開発者がゲームの実績をセットにまとめ、ベースゲームとDLCで分けられる
- セットごとに進捗バーが出て、全部取るとプロフィールに「セット完了」のトロフィーが付く
- 新しい実績をセットに足しても、完了済みの扱いは維持される
- 取れなくなった実績やセットは、開発者がアーカイブできる
- 実績ページが新しくなり、最大3人のフレンドと進捗を比べられる
- 実績の取り方は変わらず、ゲームを遊んで解除する
- セットを作るのは開発者で、プレイヤーが自由に編集する機能ではない
- ゲーム側が対応して初めて効く(対応済みの一覧は公式告知にある)
- DLCの実績は、DLCを持っているときだけ全体の進捗に含まれる
公式告知で対応済みとされているゲームには、Left 4 Dead 2、Portal 2、Team Fortress 2、Euro Truck Simulator 2、Crusader Kings IIIなどがあります。自分が遊ぶゲームが対応しているかどうかは、ストアやライブラリのゲームページで確かめられ、実績セットのあるゲームにはその旨が表示されるようになります。
実績セットだけが目的でも、今の時点で使うにはクライアントベータへの参加が必要です。
判断ベータに入る人と、安定版を待つ人
fpsなどの性能向上は公式に示されていないため、「速くなりそうだから入る」は理由になりません。ベータに入る理由があるのは、動作の検証や不具合報告に関われる人です。
- 複数のディストリビューションや新しいカーネルの環境で、動作を確かめたい人
- Steamが起動しなくなっても、安定版へ戻したり再インストールしたりできる人
- 不具合を公式のベータ用ディスカッションに報告できる人
- 実績セットを先に使いたい人
- Steam Deckやゲーム専用機のように、起動しないと困る環境を使っている人
- 名前空間の制限やAppArmorの設定を自分で変えられない人
- Flatpak・Snapなど、公式がREADMEで扱っていない形でSteamを入れている人
- SteamOSのゲームモードのように、Steamを画面の主体(OSのシェル)として使っている人
通常版にいつ反映されるかは、公式からは示されていません。通常版のクライアント更新は自動で配信されます。待つ場合は、Steamクライアントの更新内容に64bit化の記載が出たかどうかを見れば、反映済みか判断できます。
手順ベータへの参加と、安定版へ戻す方法
メニュー名はクライアントのバージョンや言語設定で変わることがあります。見当たらないときは、設定のほかの項目も確認してください。
デスクトップ版Steamで参加する
- Steamを起動し、左上の「Steam」から「設定」を開く
- 「インターフェース」タブの「クライアントベータ参加」のプルダウンを開く
- 「Steam Beta Update」を選ぶ
- 再起動を求められたら「今すぐ再起動」を押す
Steam DeckやBig Picture Modeでは、設定の「システム」にある「ベータ参加」から操作する別の手順が公式FAQにあります。Steam Deckでの64bit化の扱いは、10月15日の告知には書かれていません。
ベータをやめる
参加と同じ画面の「クライアントベータ参加」のプルダウンで、ベータに参加しない項目に戻して再起動します。公式のサポートページには離脱の手順と項目名が載っていないため、一覧に出る名前は画面で確かめてください。ベータ中に登録したゲームの設定や、クライアントが64bitからどう戻るのかも、公式には示されていないため、戻した後にSteamが起動することと、普段遊ぶゲームが起動することを一度試してください。
ベータでSteamが起動しなくなった場合は、先に前述の名前空間やglibcの条件を確かめます。それでも直らないときは、Valve公式のリポジトリの問題一覧に報告されていないか探すのが近道です。
まとめまとめ|性能目的なら安定版を待ち、検証目的ならベータへ
10月15日のSteamクライアントベータで、Linux版は64bitアプリになり、Steam Runtimeコンテナ内で動くようになりました。ただし、32bitのライブラリとドライバーは引き続き必要で、fpsや起動時間の改善も公式には示されていません。同日の実績セットはLinux固有の機能ではなく、開発者が実績をまとめる仕組みです。
ベータに入るのは、名前空間などの必須条件を満たし、不具合が出ても戻せる人にしておくのが安全です。普段使いの環境は、通常版の更新内容に64bit化が載るまで待っても困りません。
10月15日のベータでLinux版Steamが64bit化し、コンテナ内で動くようになりました。32bitのライブラリとドライバーは引き続き必要です。検証や実績セット目的ならベータ、普段使いは安定版に反映されるまで待つのが無難です。



