『Hell Let Loose: Vietnam』8月13日発売|2カ月延期で何が変わった?トンネル弱体化とUE5刷新【2026年8月】
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2カ月の延期で変わったのは、トンネルとゲームエンジンだった
出典:Steam公式ニュース(開発元アナウンス一覧) / 開発元公式ブログ(Performance Update) / 開発元公式ブログ(Dev Q&A #1) / Steamストアページ
ベトナム戦争を舞台にした50対50の大規模FPS『Hell Let Loose: Vietnam』が、2026年8月13日に発売されます。当初は6月18日の予定でしたが、5月末のオープンβを受けて2カ月の延期が決まった作品です。
延期と聞くと「重かったから画質を調整していたのだろう」と考えたくなります。ただ、開発元のExpression Gamesが公開してきた情報を順に読むと、この2カ月で手が入ったのはそこではありません。陣営バランスの数値と、ゲームエンジンの土台のほうでした。
この記事では、延期期間に開発元が何を公表し、実際に何を変えたのかを整理します。必要スペックやおすすめ設定は別記事にまとめているので、ここでは中身の変化に絞って追いかけます。

目次
要点2カ月で入ったのは画質調整ではなく、バランスと土台の作り直し
開発元は、オープンβの内部データでベトナム人民軍がわずかに有利だったと説明しています。その結果、トンネルのクールダウンを2分から5分へ延ばす、トンネル間の最大距離を800mから400mへ縮めるなど、5項目の調整が入りました。同時にアメリカ軍側はヘリコプターの操作性と耐久性が上げられています。性能面でも、ボトルネックはGPUだけでなくCPUとサーバーの3層にあったと明かされました。
経緯35万人が参加したオープンβが延期の引き金になった
まず時系列を整理します。オープンβは5月末の週末に実施され、開発元の発表によると35万人を超えるプレイヤーが参加しました。大規模FPSのテストとしてはかなりの規模で、幅広いPC構成と回線環境のデータが集まったことになります。
その直後、日本時間の6月3日にTeam17とExpression Gamesが発売日を8月13日へ延期すると発表しました。以降の日付も日本時間で表記します。理由については、社内での集中的なテストとオープンβのフィードバックを合わせた結果、より良い状態で発売するために追加の開発期間が必要な領域を複数特定したと説明しています。追加期間で取り組む対象として挙げられたのは、パフォーマンス、安定性、そしてゲームプレイ全体の質でした。
この「ゲームプレイ全体の質」という部分が、後から効いてきます。
分析結果詰まっていたのはGPUだけではなかった
7月2日、開発元はパフォーマンスに絞った公式ブログを公開しました。ゲームディレクターのPaul Rustchynsky氏とスタジオテクニカルディレクターのKieran D’Archambaud氏が、オープンβのデータをどう分析したかを説明したものです。
そこで示されたのが、性能を制限していた箇所がGPU、CPU、サーバーの3つに分かれて存在していたという分析でした。そしてこれらのボトルネックは全プレイヤーに同じように影響したわけではなく、ハードウェア構成、グラフィック設定、試合中に置かれた状況によって出方が変わったと説明されています。オープンβで「人によって重さの感じ方がまるで違った」という声が出ていた理由が、ここで説明されたことになります。
もう1点、見落としたくない説明があります。開発元は性能の問題がフレームレート以外にも波及していたと述べています。具体的に挙げられたのは、アニメーションの滑らかさ、プレイヤーの移動、ボイスチャットの品質、そして入力の応答性です。いずれもクライアントとサーバーの処理性能に左右されていたとされ、パフォーマンス改善はそのまま操作感の改善でもあったことになります。
グラフィック設定のメニュー自体にも問題がありました。オープンβでは、設定がハードウェアに合った初期値を選ばない、正しく適用されない、セッションをまたいで保存されないといった挙動が報告されており、この部分も作り直されています。
土台Unreal Engine 5の2つの機能で前作の弱点を潰した
技術面で具体的に名前が挙がったのが、Unreal Engine 5の2つの機能です。開発元は、UE5の新機能をすべて採用するのではなく、本シリーズの規模とゲーム性を支える技術を選んで使う方針だと説明しています。
| 採用した機能 | 解決しようとしている問題 | 期待できる変化 |
|---|---|---|
| Large World Coordinates | UE4を使う前作では、広大なマップを移動する際に裏側の処理が必要で、断続的なスタッターの原因になっていた | その方式自体が不要になり、広い環境の移動がなめらかになる |
| Iris(UE5の同期システム) | 大人数のマッチでサーバーが高負荷になると、ラバーバンディングやヒット判定の不一致が起きやすい | サーバーとプレイヤー間のデータ同期がより効率的になる |
ここが今回の延期でいちばん興味深い部分です。前作『Hell Let Loose』はUE4製で、広いマップを走っているときのスタッターが長く指摘されてきました。その原因だった仕組みそのものを、エンジンの世代交代で置き換えたという話になります。
Irisのほうも、100人が同時に動く本作では効きどころが分かりやすい機能です。ラバーバンディング(移動が巻き戻される現象)やヒット判定の不一致は、GPUを速くしても直りません。開発元がサーバー側を独立した課題として扱っていたのは、このためだと考えられます。

陣営調整ベトナム人民軍のトンネルは5項目まとめて弱体化
7月24日に公開された開発者向け質疑応答では、ゲームプレイ側の変更が具体的な数値付きで示されました。本作はアメリカ軍とベトナム人民軍(NVA)が同じ能力を持たない非対称な設計で、アメリカ軍はヘリコプター、ベトナム人民軍は地下トンネル網を強みにしています。
開発元は、内部データではベトナム人民軍が持っていた優位はわずかだったとしたうえで、トンネルの戦略的な重要性を損なわずにバランスを整えるとして、次の調整を加えました。
| 調整項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| トンネルのクールダウン | 2分 | 5分 |
| トンネル間の最大距離 | 800m(グリッド2マス) | 400m(グリッド1マス) |
| 設置時の距離チェック | 50m | 100m |
| 自陣の領域を敵に奪われたとき | トンネルは残っていた | 自動的に破壊される |
| 移動時間・進入時間 | 短時間で再展開できた | 延長され、素早い再展開がしにくくなった |
クールダウンが2分から5分になり、張れる範囲が半分になり、制圧されれば消える。トンネルを軸に戦線を作るスタイルは、オープンβのときよりかなり計画的な運用を求められることになりそうです。

もう一方アメリカ軍はヘリコプターの機動力が底上げされた
同じ質疑応答では、アメリカ軍側の強化も説明されています。ヘリコプターは飛行時の操作感が調整され、小火器の射撃に対する耐久性が上がりました。加えて、士官がヘリコプターから降りる際にField Padでスポーンポイントを設置できるようになっています。
これが意味するのは、ヘリコプターが単なる移動手段から「戦線を前に押し出す装置」へ寄ったということです。トンネルが縮小された分、アメリカ軍側は空から拠点を作りに行く。開発元はこの調整について、両陣営の固有の強みを保ったまま試合ごとのバランスを整えるためだと説明しています。
PC設定アップスケーリングとフレーム生成の対応範囲
PC向けのグラフィック設定についても、7月2日のブログで整理されています。まず画像再構成として、対応するAMD・NVIDIAのGPUでTSR(Temporal Super Resolution)とDLSSが利用できます。どちらも内部解像度を下げて描画し、最終的な画像を組み立て直す仕組みで、アンチエイリアスとしても働きます。
フレーム生成が使えるのは、対応するGeForce RTX 40シリーズ以降です。ただし開発元自身が、ベースのフレームレートがすでに安定している場合に最も効果的で、低いフレームレートで有効にすると入力遅延が増えると注意しています。重いから有効にする、という使い方は想定されていません。まず設定を詰めて土台のフレームレートを作ってから足す機能だと考えてください。
もうひとつ、ハイエンド向けの選択肢としてHardware Lumenが用意されます。ハードウェアレイトレーシングを使った高度なライティングと影の表現ですが、開発元はGPUへの負荷が大幅に高くなるとしており、性能に余裕のある環境向けの追加要素という位置づけです。
継続調査Radeon環境のクラッシュは「大半がドライバー側」と説明
発売準備の過程で残っている課題も公表されています。7月下旬に実施されたクロスプレイテストでは、一部のRadeon環境でクラッシュや動作の不安定さが報告されました。
7月31日の報告で、開発元はこの件について調査を続けているとしたうえで、問題の大半はAMDのWindowsドライバー側の既知の問題によるもので、自分たちの制御が及ばない範囲だと考えていると説明しています。そのうえで、クラッシュを減らして安定性を改善しうる修正はいくつか特定したとしています。Radeonで遊ぶ予定であれば、発売前にドライバーを最新にしておく価値はありそうです。
ボイスチャットにも残件があります。分隊チャットと指揮官チャットで発生していた音声が機械的に途切れる現象は解消しましたが、Proximity Chat(近接チャット)では頻度が下がったものの残っています。開発元はこの修正にEpic Online Servicesのボイスチャット機能側の更新が必要だと説明しており、提供され次第すぐ組み込むとしています。
残る課題激戦時のフレームレート低下は発売時点でも起こりうる
ここまでを踏まえると、8月13日は「すべて解決した状態での発売」ではありません。開発元はクロスプレイテストの案内の中で、特に激しい戦闘状況では依然としてフレームレートの低下や処理の乱れが起こる可能性があると明記しており、最適化は発売後もライブサービスとして続けると述べています。
これは本作に限った話ではなく、100人規模のオンラインFPSでは避けにくい構造です。何も起きていない場所で100fps出ていても、50人近くが1つの拠点に集まる場面で50fpsまで落ちるなら、体感の快適さはまったく別物になります。

そのため発売後に見るべきなのは、平均フレームレートよりも激戦時の1% Low、CPU使用率、フレームタイムの乱れ、そしてRadeon環境の安定性です。ベンチマークの数字を追うより、実際に拠点戦へ突っ込んだときの落ち込み幅を自分で確認したほうが判断を誤りません。
FAQよくある質問
総括まとめ|延期の中身を知ってから発売日を迎えたい
『Hell Let Loose: Vietnam』は2026年8月13日に発売されます。6月18日から2カ月遅れた期間に行われたのは、画質の手直しではありませんでした。オープンβの実データを分析してGPU・CPU・サーバーの3層でボトルネックを特定し、UE5のLarge World CoordinatesとIrisで土台を組み替え、そのうえで陣営バランスの数値を動かす作業でした。
ゲームプレイ面で最も大きいのは、ベトナム人民軍のトンネルが5項目まとめて弱体化され、アメリカ軍のヘリコプターが強化されたことです。トンネルで一気に戦線を作る戦い方は、オープンβを遊んだ人が想像しているものとは違う手触りになっている可能性があります。
一方で、激しい戦闘時のフレームレート低下やRadeon環境のクラッシュ、近接チャットの不具合は、開発元自身が発売時点で残りうる課題として公表しています。発売日は完成の到達点というより、最適化がライブサービスへ移る節目と見ておくのが実態に近いでしょう。
発売後に確認したいのは、平均フレームレートよりも激戦時の1% Lowと、Radeon環境での安定性です。Radeonで遊ぶ場合はドライバーを最新にしてから起動し、フレーム生成は土台のフレームレートを作ってから足すのがおすすめです。必要スペックと設定の詰め方は別記事にまとめています。


