8700G vs 8600G 比較【2026年版】|グラボなしで組むならどっち?iGPU 27%差と価格差1.5万円で選ぶAM5 APUの正解
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グラボなしで組むならどっち?AM5 APUの正解
「グラボなしで、どこまで戦えるのか?」——AMDのAM5世代APU、Ryzen 7 8700G(Radeon 780M)とRyzen 5 8600G(Radeon 760M)は、その問いに新しい答えを出した2機種です。かつて「内蔵グラフィックは事務作業用」と扱われていた時代は終わり、いまやエントリー帯のディスクリートGPU不要論まで出るほどに性能が伸びています。一方で、価格差約1.5万円のなか「上位の8700Gに払う価値はあるのか?」という判断は、想像以上に難しい問題です。
本記事ではゲーム別ベンチマーク・メモリ速度の影響・AFMF(Hyper-RXフレーム生成)の効き方・配信や編集での余裕度まで、CPU性能だけでは見えない比較軸をすべて整理しました。読み終えたあと、自分のPC環境と用途で「正解」がどちらかを判断できる構成にしています。
目次
01 / スペック8700G と 8600G|数字で見る決定的な違い
まずは両者のスペックを並べて、後段で議論する論点(CU数・コア数・NPU・TGP・実売価格)を整理します。同じ「Phoenix」ベース・Zen 4・RDNA 3のAPUですが、上位下位で削られているポイントが明確に分かれています。
| 項目 | Ryzen 7 8700G | Ryzen 5 8600G |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | Zen 4 / RDNA 3 | Zen 4 / RDNA 3 |
| CPUコア / スレッド | 8C / 16T | 6C / 12T |
| ベース / ブースト | 4.2 / 5.1 GHz | 4.3 / 5.0 GHz |
| L3 キャッシュ | 16 MB | 16 MB |
| iGPU | Radeon 780M | Radeon 760M |
| iGPU CU数 | 12 CU(768 SP) | 8 CU(512 SP) |
| iGPU クロック | 2,900 MHz | 2,800 MHz |
| NPU(Ryzen AI) | 16 TOPS(INT8) | 16 TOPS(INT8) |
| TDP | 65W | 65W |
| 対応メモリ | DDR5-5200(公式・OCで6000+) | DDR5-5200(公式・OCで6000+) |
| ソケット | AM5 | AM5 |
| 実勢価格(2026年5月) | ¥45,000〜48,000 | ¥28,000〜32,000 |
AMD公式・Tom’s Hardware・価格.com(2026年5月時点)に基づく整理です。実勢価格は流通状況で変動します。
- iGPUのCU数差は50%(12 CU対8 CU)。ただしDDR5メモリ帯域が共通の天井になり、実ゲームでは平均27%差に収束します。
- CPUコア差は2コア・4スレッド。シングルスレッド性能はほぼ互角ですが、配信・動画編集の同時タスクで効きます。
- L3キャッシュ・NPU(16 TOPS / INT8)・TDPは同一。AI推論や省電力面の差は実質ありません。違いはCPU並列性能とiGPU性能に集約されます。
02 / ゲーム性能1080pフレームレート比較|2026年人気タイトル実測目安
iGPU性能の絶対値は、メモリ速度・電源プロファイル・OS背景タスクで揺れます。ここでは複数の海外レビュー(Tom’s Hardware・TechSpot・gamegpu)と国内コミュニティ報告の中央値を取り、DDR5-6000搭載・1080p解像度・低〜中設定での目安を整理しました。重量級タイトルはFSR / AFMFの併用前提です。
Tom’s Hardware・TechSpot・gamegpu・国内ユーザー報告の中央値(2026年5月時点)を整理した目安です。CPU・メモリ速度・解像度設定で実測値は前後します。
軽量級タイトルではどちらも余裕の数値ですが、注目すべきは重量級タイトルでの最低fpsの粘りです。780Mは「FSR併用で40fps前後を維持」できる場面でも、760Mは「最低fpsが30を割って体感的にカクつき始める」ケースが多くなります。サイバーパンク 2077・モンスターハンター ワイルズなど最新タイトルを「動かしたい」段階から「快適に遊びたい」段階へ移すには、780Mの12 CUがレジ的な閾値になります。
03 / メモリiGPU性能を決める”裏の主役”|DDR5速度の影響を実数で確認
APUは独自のVRAMを持たず、システムメモリ(DDR5)を共有します。そのためiGPU性能はメモリ帯域に直結し、CPU本体よりもメモリ速度の影響を強く受けます。「8600Gで安く済ませる」「8700Gでフル性能を引き出す」のどちらでも、メモリ選びを軽視すると本来の性能を出せません。
| メモリ速度 | iGPU性能 (DDR5-5200比) | 位置づけ |
|---|---|---|
| DDR5-5200(JEDEC・公式上限) | ±0% / 基準 | 性能を出し切れない最低ライン |
| DDR5-6000(AMD公式スイートスポット) | +7〜13% | コスパ最適・大半のユーザー推奨 |
| DDR5-7200(OC帯) | +12〜18% | ハイエンドOCユーザー向け |
| DDR5-8000以上(極端OC) | +20〜25% | マザボ・チューニング知識が必要 |
複数の海外レビュー(Tom’s Hardware・The Overclock Page)に基づくRyzen 8000G系iGPUゲーム性能の改善幅です。
APUの性能は「速いメモリ」で初めて完成します。8700Gを選んでもDDR5-4800の安物メモリでは、8600G + DDR5-6000の方がゲームで上に出ることすら起こり得ます。最低でもDDR5-6000 EXPO対応の32GBキット(実勢¥15,000〜18,000)を予算に組み込んでください。マザーボードもEXPO対応のB650以上を選ぶのが安全です。
04 / 機能AFMF / Hyper-RXで底上げできる範囲|重量級タイトルの救世主
Radeon 700M系iGPUはAMD Hyper-RXに対応しています。Hyper-RXはRadeon Super Resolution(RSR)アップスケーリング・AMD Fluid Motion Frames(AFMF)フレーム生成を組み合わせた一括最適化機能で、ドライバ側で動作するためゲーム本体がFSR/AFMF非対応でも適用できる点が大きな強みです。
AMD Fluid Motion Frames|フレーム数を最大2倍へ
ドライバ側でフレームを生成し、表示fpsを実質1.5〜2倍に底上げします。サイバーパンク 2077で40fps→70fps相当の体感に化けるケースもあり、iGPU環境では特にコスパが高い機能です。一方で入力遅延は元の生fpsに依存するため、競技系FPSではOFFが基本です。
Radeon Super Resolution|全ゲーム対応のアップスケーラ
ゲーム本体がFSRに非対応でも、ドライバ側で低解像度→1080p相当へアップスケーリング。720pレンダリング→1080p表示のような運用で、重量級タイトルの最低fpsを底上げできます。古いMMOやインディータイトルでも効きます。
素のフレームレートが40fps以上を維持できる状態でAFMFを併用すると、表示60fps以上の体感を得やすくなります。逆に30fpsを割っている状態でAFMFを乗せても、入力遅延と画質劣化が目立つだけで快適化には繋がりません。「780Mなら40fpsの粘りが効きやすい」「760Mは30fpsを割りやすい」という冒頭のベンチ結果が、Hyper-RXの効きやすさにそのまま影響する構造になっています。
05 / CPU配信・動画編集での体力差|8コアと6コアの境界線
iGPUの話だけで完結しないのが、APUの面白いところです。CPU側のコア数差(8C/16T vs 6C/12T)は、シングルスレッド性能には影響しないものの、並列処理が必要な配信・動画編集・複数アプリ同時起動では明確に効きます。
OBS配信・ゲーム同時実行
iGPUでゲームを動かしながら、CPUでOBSのx264エンコードを動かす場合は、コア数の余裕が命綱になります。8600GでもLow〜Medium品質なら可能ですが、1080p 60fps Medium以上で安定させたいなら8700Gが安心。8コアの2スレッドぶんがOBSに専有されてもゲーム側に6コア残せます。
DaVinci Resolve / Premiere Pro
フルHD素材中心の趣味用途なら8600Gで十分。4K素材を扱う・複数トラック・エフェクトを多重で乗せる用途では8700Gのマルチコア性能差(約28%)がプレビュー・書き出し時間に直結します。NPU 16 TOPSによるAI機能(音声分離・自動字幕)はどちらも同条件で使えます。
Web・Office・複数アプリ並列
Chromeタブ50枚+Slack+Teams+VS Codeのようなヘビーユーザー環境では、8700Gの方が体感の余裕が大きいのは事実。ただしそこまでのワークロードでなければ、6コア12スレッドの8600Gでも一線級の快適さは得られます。普段使い帯では費用対効果は薄め。
ローカルLLM・画像生成
NPUは16 TOPS(INT8)で同一、Zen 4世代のAVX-512命令セットも両者で利用可能なため、軽量モデルのローカル推論性能はほぼ互角です。LM Studio等で7B〜13Bモデルを動かす程度なら差は出ません。本格的な画像生成(Stable Diffusion XL等)はiGPUの共有VRAM不足のため、どちらでも厳しい場面が多くなります。
06 / ルート結局どっちを選ぶべきか|後悔しない3つの判断ルート
ここまでの結論を踏まえ、「あなたの用途・予算・将来計画」で正解が変わる3つのルートに整理しました。価格差約1.5万円の使い道として、本体ランクUPに使うか、周辺投資に回すか、あるいは下位の8500Gに切り替えてさらに節約するか——選択軸を明確にします。
Ryzen 7 8700G を選ぶ
- 将来的にも単体GPUを増設する予定がない
- サイバーパンク 2077・モンハンワイルズなど最新重量級も遊びたい
- OBS配信や動画編集など、CPUパワーも必要
- 「一度組んだら3〜4年は構成を変えない」スタイル
Ryzen 5 8600G + 周辺投資
- 主に遊ぶのはVALORANT・Apex・マイクラ・原神など中量級まで
- 浮いた1.5万円でDDR5-6000 32GBの良質なメモリへ投資できる
- 1〜2年後に単体GPU(RTX 5050以上)追加を計画している
- 動画編集や配信は趣味レベル(フルHD中心)
Ryzen 5 8500G を検討
- ゲームより事務PC・サブ機・自宅サーバーが主用途
- 軽量タイトル(マイクラ・LoL・MO)が動けば十分
- 最初から単体GPU増設前提で組みたい
- とにかくAM5環境を最安で構築したい
07 / 製品2026年版|8700G / 8600G おすすめ製品4選
本機2モデルに加え、性能を引き出すために必要なDDR5-6000メモリと推奨マザーボードを4枚に整理しました。「APUを買うだけ」では完成しないため、メモリ・マザボ込みで予算を組むのが鉄則です。

AMD Ryzen 7 8700G
Radeon 780M(12 CU)搭載、AM5 APUの最上位モデル。グラボなしで重量級タイトルもFSR/AFMF併用でプレイ可能な性能を持ち、配信・動画編集にも8コアの余裕で対応します。後から単体GPUを増設しない長期運用ユーザー、もしくはコンパクトケースでフルHDゲーミング機を組みたい層に最適。詳細レビューは8700G徹底解説を参照。

AMD Ryzen 5 8600G
Radeon 760M(8 CU)搭載のミドルAPU。VALORANT・Apex・マイクラ・原神までの中量級タイトル中心なら必要十分な実力で、価格帯はDDR5キット込みで予算組みしやすい絶妙な位置。1〜2年後に単体GPUを増設する想定なら、こちらを選んで差額を周辺投資・GPU資金に回すのが賢明です。詳細レビューは8600G徹底解説へ。
08 / 将来性次世代APUを待つ価値はあるか?
「もう少し待てば、Zen 6ベースの新APUが出るのでは?」という疑問は当然出てきます。2026年5月時点の公開情報を整理すると、判断はそれほど難しくありません。
- Strix Halo(Ryzen AI Max): 2025年からノートPC向けに展開。最大40 CUのRadeon 8060SでiGPUゲーミングは劇的に強化されますが、デスクトップ版(AM5)の発売予定は2026年5月時点で未公表です。
- Medusa Point(Zen 6 APU): 2026年後半〜2027年前半でモバイル先行が予想されます。AM5デスクトップAPUへの展開時期は不透明です。
- 結論: いま「グラボなし構成を組みたい」ニーズには、1〜2年は実機が出ない可能性が高い次世代APUを待つメリットは薄いです。8700G/8600Gは2年以上経過したモデルですが、AM5プラットフォームは2027年以降も継続が公約されているため、いま組んでも次世代CPU(Ryzen 10000)への載せ替えで延命できます。
8700G vs 8600Gの正解は、「あなたが今後どうPCを使うか」で決まります。重量級タイトルの最低fpsを底上げしたい・配信や動画編集にもCPUを使う・3〜4年構成を変えない長期運用なら8700G。中量級までで十分・差額1.5万円を周辺投資や将来の単体GPU資金に回したいなら8600G。どちらを選ぶにせよ、DDR5-6000 EXPO対応メモリは必須投資で、ここを安物で済ませると本体ランクの差以上にiGPU性能を落とします。スペック表だけでは見えない「メモリ依存性とAFMF活用前提」を踏まえて選べば、APUビルドで後悔することはありません。
FAQよくある質問
iGPUの平均ゲーム性能差は約27%です。CU数こそ12 CU対8 CUで50%差ですが、DDR5メモリ帯域が共通の天井になるため実環境では27%前後に収束します。重量級タイトル(サイバーパンク 2077等)では780Mが40fpsを維持できる場面で、760Mが30fpsを割るケースが目立ちます。
DDR5-6000 EXPO対応の32GBキットが必須投資です。AMD公式が「Ryzen 8000Gのスイートスポット」と呼ぶ帯域で、DDR5-5200比で7〜13%のiGPU性能向上が得られます。安物のDDR5-4800で組むと、上位の8700Gでも本来性能の8割程度しか出ません。
素のフレームレートが40fps以上を維持できる状態なら、表示fpsを実質1.5〜2倍まで底上げできます。サイバーパンク 2077で40fps→70fps相当の体感に化けるケースもあります。一方、入力遅延は元の生fpsに依存するため、競技系FPSでは常時OFF推奨。30fpsを割っている状態でAFMFを乗せると画質劣化が目立ちます。
増設前提なら8600Gが合理的です。単体GPU装着後はiGPUの性能差はゲームに影響しなくなり、CPU性能差(約28%)だけが残ります。差額1.5万円を将来のグラボ予算(RTX 5050以上)に回した方が、最終的なゲーミング体験は高くなります。
iGPU性能を期待するなら避けたほうが無難です。8500GはRadeon 740M(4 CU)と8600Gの半分のCU数で、軽量タイトル(マイクラ・LoL)以外は厳しい水準です。一方で「事務PC・自宅サーバー」「最初から単体GPUを買う」用途なら、AM5最安構成として有力な選択肢になります。
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