AMD Zen 6モバイルAPU「Medusa Point」がGeekbenchに再登場|10コアでRyzen AI 9 HX 370超えのリーク【2026年7月】
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10コアESがRyzen AI 9 HX 370超えのスコアを記録【2026年7月】
AMDの次世代ノートPC向けAPU(CPUとGPUを1チップにまとめた処理装置)とみられる「Medusa Point」が、ベンチマークソフト「Geekbench」の実行結果データベースに新しいスコアで登場しました。
開発中の試作チップである「Engineering Sample(量産前の評価用サンプル、通称ES)」の段階ですが、現行のAMDノート向け上位CPU「Ryzen AI 9 HX 370」を上回るスコアを記録しています。
結論から言うと、シングルコア性能・マルチコア性能のどちらも、3月に出回っていた同系統のサンプルから大きく伸びています。ただし、これは発売前の試作品1個体によるベンチマーク1件の結果であり、実際の製品性能が確定したわけではありません。
本記事では、今回判明したスコアの詳細と、3月版サンプルおよびRyzen AI 9 HX 370との比較、そして「まだ確定情報ではない」点も含めて整理します。
目次
要点まず何が起きたか
AMD次世代モバイルAPU「Medusa Point」とみられるEngineering Sampleが、Geekbench 6でシングルコア3174・マルチコア15092というスコアを記録しました。
10コア20スレッドという構成ながら、12コア24スレッドの現行上位モバイルCPU「Ryzen AI 9 HX 370」(シングル2605・マルチ13396)を、シングルで約22%、マルチで約13%上回っています。3月に確認されていた同系統のES品(シングル2300・マルチ13002)との比較でも、シングルで約38%、マルチで約16%の伸びです。
詳細スコアの中身と、3月版・HX 370との比較
今回検出されたサンプルは、Geekbench上でプラットフォーム名「AMD Plum-MDS1」、CPU名「AMD Eng Sample: 100-000001713-33_N」として登録されています。Geekbench 6.6.0(Windows・AVX2命令セット有効)での計測で、コア構成は10コア20スレッドです。
この系統のESは今回で確認3回目です。初出は3月中旬で、このときのスコアはシングル1210・マルチ7323にとどまっていました。それが3月下旬の2回目で2300・13002へ、今回の3回目で3174・15092へと、検証が進むごとに大きく伸びています。
初期サンプルはファームウェアや電力設定が量産状態から遠いため、この伸び自体は「開発が順調に進んでいる度合い」を示すもので、最終製品の性能を保証するものではない点は押さえておいてください。なお、過去に確認された同系統サンプルからはL2 10MB・L3 32MBというキャッシュ構成も読み取れており、HX 370(L3 24MB)からの増量を示唆しています。
シングルコアスコア比較
マルチコアスコア比較
特に注目したいのはシングルコアスコアの伸びです。ノート向けAPUは消費電力の上限(TDP)が厳しく設定されるため、複数コアを同時に酷使するマルチコア性能よりも、1コアあたりの処理効率を示すシングルコア性能の方が、ゲームやブラウジング、アプリの起動といった日常的な体感の良さに直結しやすい傾向があります。
3174というスコアは、同じくGeekbench上でのRyzen AI 9 HX 370(2605)を大きく上回っており、Zen 6世代でのIPC(クロックあたりの処理効率)向上を感じさせる数字です。
シングルコアの強さは、さらに上位に位置する16コアのハイエンドモバイルAPU「Ryzen AI Max+ 395」(Strix Halo世代)との比較でも確認できます。Geekbench上の別の計測結果(シングル2928・マルチ19484)と並べると、Medusa Point ESはシングルではMax+ 395を約250ポイント上回る一方、マルチでは16コアのMax+ 395に届きません。
コア数が効くマルチ性能は構成なりの結果にとどまるものの、1コアあたりの強さは現行の上位モバイルAPUを軒並み上回る水準にある、という位置づけです。
もう一つ興味深いのは、Geekbench上でこのサンプルが「4コア+6コアの2クラスタ構成」として表示されている点です。Geekbenchの表示だけで正確なコアの役割分担までは断定できませんが、高性能寄りのコア群と高効率寄りのコア群を組み合わせる設計が、AMDの次世代モバイルAPUでも続く可能性を示唆しています。
スペック比較対象「Ryzen AI 9 HX 370」の公式スペック
今回上回ったとされるRyzen AI 9 HX 370は、AMDの現行モバイル向けAPU「Strix Point」世代の上位モデルです。AMD公式仕様を確認します。
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370(公式仕様) |
|---|---|
| コア/スレッド | 12コア24スレッド |
| 最大ブーストクロック | 5.1GHz |
| キャッシュ | L2 12MB/L3 24MB |
| TDP | 標準28W(cTDP 15〜54Wで調整可能) |
| 世代 | Strix Point |
コア数だけを見ればHX 370(12コア24スレッド)の方がMedusa Point ES(10コア20スレッド)より多いにもかかわらず、Geekbench上ではMedusa Point側が上回っています。
単純なコア数の比較ではなく、コアあたりの処理効率がZen 6世代で伸びている可能性がある、という点がこのリークのニュース性です。
評価期待できる点・まだ分からない点
期待できる点
- シングルコアスコアが3月版から約38%、HX 370比でも約22%向上
- コア数がHX 370より少ないにもかかわらず総合スコアで上回っている=IPC向上の手応え
- 薄型ノートで重視される「電力あたりの処理効率」が伸びる可能性がある
まだ分からない点
- Engineering Sample(試作品)1個体・Geekbench 1件の結果にすぎず、量産品の性能が確定したわけではない
- Geekbench上のクロック表示(ベース2.00GHz・最大2063MHz)はこのスコアにしては不自然に低く、初期サンプル特有の誤認識の可能性が高い
- 内蔵GPU性能・NPU(AI処理専用ユニット)性能・実際のゲームでのフレームレートは今回のCPUベンチマークからは分からない
- 発売時期・TDP設定・搭載ノートの価格帯は現時点で未発表
結論としては、「Zen 6世代のモバイルAPUはCPU性能で大きく伸びる可能性がある」とは言えますが、「Medusa Point搭載ノートが快適に使えるか」を判断するにはiGPU性能・NPU性能・実際の消費電力・搭載ノートの価格が出そろうまで待つ必要があります。
現時点では、次世代を見据えた注目情報の一つとして捉えるのが妥当です。
参考今買うならRyzen AI 9 HX 370搭載ノートが選択肢
Medusa Point搭載ノートの登場はまだ先の話で、発売時期も未発表です。今すぐ高性能なAMDノートが欲しい場合は、現行上位のRyzen AI 9 HX 370搭載モデルが現実的な選択肢になります。
今回の比較対象になったCPUそのものを積んだ構成を2つ紹介します(価格は変動するため、最新は各リンク先で確認してください)。
今回リークしたAMD次世代モバイルAPU「Medusa Point」は、Engineering Sample段階ながらGeekbench上で現行上位のRyzen AI 9 HX 370を上回るスコアを記録し、Zen 6世代でのモバイル向けCPU性能向上への期待を持たせる内容でした。
特にシングルコアスコアの伸びが大きく、コア数がHX 370より少ないにもかかわらず総合力で上回っている点は、IPC向上の手応えとして注目に値します。
ただし、これはあくまで試作チップ1個体によるベンチマーク1件の結果です。クロック表示の誤認識が疑われる点、iGPU・NPU・実ゲーム性能や発売時期・価格が一切分かっていない点を踏まえると、現時点で「Zen 6モバイルは確実に速い」と断定するのは早計です。
今すぐ高性能なAMDノートが必要な場合は、今回の比較対象になったRyzen AI 9 HX 370搭載モデルが現実的な選択肢になります。Medusa Pointの続報が出次第、本記事も更新します。




