GPU価格がさらに2〜3割上昇?秋葉原の購入制限拡大に続き、韓国でも最大30%の値上げ計画が判明【2026年8月4日最新】
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秋葉原で購入制限が全グレードへ拡大、韓国でも最大30%の値上げが判明
グラフィックスボードの値上げはどこまで続くのか——2026年7月に始まった値上がりの動きは、8月に入ってさらに強まっています。秋葉原の店頭では、これまで一部の高容量モデルに限られていた購入制限が全メーカー・全グレードへ広がり、「値段が上がる前に買うべきか」と迷う人が増えています。
2026年8月1日には、秋葉原の複数店舗を取材した記事で、対象を問わず1人1台までとする購入制限の拡大と、ショップ関係者による「最終的には全グレードで2〜3割値上がりする」という見通しが伝えられました。さらに8月3日には、韓国でも主要メーカーがRTX 50シリーズを最大30%値上げする計画があると報じられ、GPU価格の上昇が中国・日本だけでなく韓国にも広がっていることが分かりました。一方、当サイトが価格.comの日別最安値で継続している定点観測では、7月末の時点でRTX 5080が7月1日比約16%、RTX 5060 Tiが約9%上昇したことをすでに確認しています。
本記事では、この「2〜3割」という数字が確定した値上げ発表ではなく店頭の見通しであることを明確にしたうえで、中国・日本・韓国それぞれで確認された値動き、上昇した場合の価格シミュレーション、GPUクラスごとの8月時点の判断、GPU単体とBTOゲーミングPCのどちらが得かまでを整理します。
| 情報 | 現時点で分かっていること |
|---|---|
| 国内で確認済みの値動き | 定点観測ではRTX 5080が7月1日比約16%、RTX 5060 Tiが約9%上昇 |
| 秋葉原の店頭状況 | 全メーカー、全グレードを対象に1人1台などの購入制限が増加 |
| 韓国の値上げ計画 | 主要メーカーが8月から最大30%前後の価格改定を準備、一部は前週末から実施済み |
| 今後の2〜3割上昇 | ショップ関係者の見通しであり、公式な一斉値上げではない |
目次
8月4日追記韓国でもRTX 50シリーズが最大30%値上げへ
GPU価格の上昇は、中国や日本だけでなく韓国市場にも広がり始めました。ZDNet Koreaは2026年8月3日、韓国で流通するデスクトップ向けGeForce RTX 50シリーズについて、主要グラフィックボードメーカーが8月から最大30%程度の値上げを予定していると報じました。韓国内の複数の輸入業者や販売代理店が価格改定の動きを認めており、一部メーカーはすでに前週末から価格を引き上げ始めています。
韓国の販売代理店関係者によると、国内シェアの低いメーカー1社が約20%の値上げを検討している一方、ほかのメーカーでは最大30%前後の価格改定が準備されています。メーカー、モデル、店舗在庫によって実際の上昇幅は異なります。
韓国ではRTX 5060 Ti・RTX 5070の店頭価格も上昇
韓国の価格比較サービス「Danawa」で確認された価格は次のとおりです。
| GPU | 韓国で確認された価格 |
|---|---|
| RTX 5060 Ti 8GB | 最安値約70万ウォン(約7万円)、従来より約10万ウォン上昇 |
| RTX 5070 | 最安値約110万ウォン(約11万円)、従来より約20万ウォン上昇 |
| RTX 5090 | モデルにより最大730万ウォン(約73万円)、前月比で最大150万ウォン上昇 |
RTX 5060 TiやRTX 5070といった売れ筋モデルにも価格上昇が表れている点が重要です。RTX 5090はメーカーや製品による価格差が大きいものの、前月と比べて最大150万ウォン以上上昇した製品が確認されています。
韓国ウォンをそのまま日本円へ換算しても、日本での販売価格を予測することはできません。税制、流通経路、代理店契約、為替、旧価格で仕入れた在庫の量が異なるためです。それでも、韓国でメーカー側の値上げ計画と実売価格の上昇が同時に確認されたことは、GPUのコスト増加が特定地域だけの問題ではないことを示す材料になります。
GDDR7とGPU製造コストの上昇が価格を押し上げる
今回の値上げ要因として挙げられているのが、GDDR7メモリと半導体製造コストの上昇です。市場調査会社TrendForceの情報として、RTX 50シリーズに搭載される2GB(16Gb)のGDDR7モジュール価格は1個あたり20ドル前後まで上昇したと報じられています。NVIDIAはGPUとGDDRメモリをセットにしたキットとしてグラフィックボードメーカーへ供給しているため、メモリ価格が上がればメーカー側の調達コストにも影響します。
さらに、RTX 50シリーズのGPU製造を担うTSMCでも、7nm以下の先端プロセスを含むウェハ価格の引き上げが報じられています。GPU本体とVRAMの両方でコストが上がれば、グラフィックボードメーカーだけで吸収することは難しく、代理店価格や店頭価格へ段階的に転嫁される可能性があります。特に影響を受けやすいのは、多くのGDDR7メモリを搭載する上位モデルです。RTX 5080やRTX 5090だけでなく、16GB版RTX 5060 TiのようにVRAM容量が大きいモデルも、今後の仕入れ価格を注意して見る必要があります。
中国・日本・韓国で値上げの動きが連続
中国向けのMSI製RTX 50シリーズでは、前週の代理店価格表から約8〜20%の上昇が確認されています。日本でも7月末から複数モデルの実売価格が上がり、当サイトの定点観測ではMSI製RTX 5080が7月1日比で約16%、RTX 5060 Ti 16GBが約9%上昇しました。今回、韓国でも最大30%の価格改定計画と店頭価格の上昇が報じられたことで、東アジアの複数市場で似た動きが表面化したことになります。
ただし、韓国で30%の値上げが準備されているからといって、日本でも同じ時期に同じ割合で上昇するとは限りません。2026年8月4日時点で、日本向けRTX 50シリーズ全体を対象とした一律30%の公式価格改定は確認されていません。現段階で確実に言えるのは、中国の代理店価格、日本の実売価格、韓国のメーカー価格改定という異なる段階で、上昇方向の動きが続いていることです。
日本では値上げ前の在庫が残っているかを確認したい
RTX 50シリーズを近いうちに購入する予定がある場合、単純に最安値だけを見るのではなく、候補製品の価格推移と在庫店舗数を確認したいところです。販売店に旧価格で仕入れた在庫が残っている間は、同じGPUでも製品によって価格差が大きくなります。旧価格在庫がなくなり、新しい仕入れ価格の商品へ入れ替わるタイミングで、最安値が一段上がる可能性があります。
一方、値上げ報道だけを理由に、用途に合わないモデルを急いで買う必要はありません。すでに希望小売価格を大幅に上回っている製品や、在庫不足で一時的に高くなっている製品は避け、複数メーカーの価格を比較することが重要です。GPU単体だけでなく、BTOゲーミングPCも比較対象になります。BTOメーカーが値上げ前に確保した部品在庫を使っている場合、GPU単体を購入して自作・交換するより、完成品のほうが割安になることがあります。
出典:ZDNet Korea「엔비디아 ‘지포스 RTX 50’ 그래픽카드, 이달부터 최대 30% 가격 인상」(2026年8月3日) / Tom’s Hardware報道
8月1日追記秋葉原の購入制限が全メーカー・全グレードへ拡大
2026年8月1日、秋葉原の店頭を定点で取材する報道により、GPU購入制限の状況が更新されました。これまで当サイトが取材した秋葉原の購入制限は「RTX 5060 Ti 16GB以上・RX 9000シリーズ」など高容量VRAMモデルが中心でしたが、複数の店舗でハイエンドや一部モデルに限らず全メーカー・全グレードのグラフィックスカードへ広がっているとされています。パソコンSHOPアーク、TSUKUMO eX.といった店舗で、対象を絞らず「お一人様1点限り」などの制限を確認したと報じられています。
同じ報道では、あるショップの関係者が「最終的には全グレードで2〜3割値上がりするとウワサされています」と述べたことが紹介されています。これは店頭スタッフの見通しであり、NVIDIA・AMDや国内代理店が発表した一律の価格改定ではありません。現時点で編集部が確認できている国内実売の上昇は、後述する定点観測で最大約16%です。「2〜3割」という数字だけが独り歩きしないよう、確認済みの事実と見通しを分けて捉える必要があります。
この見通しどおりに2〜3割上昇した場合、実勢価格80万円弱とされるRTX 5090搭載カードは100万円弱まで上がる可能性があるとも紹介されています。あくまで一例の試算であり、全モデルが同じ上昇率になると決まったわけではありませんが、購入制限の広がりとあわせて、これまで比較的入手しやすかったRTX 5060やRTX 5070クラスにも影響が及ぶ可能性を示す材料といえます。
出典:ITmedia PC USER「古田雄介の週末アキバ速報」(2026年8月1日)
7月29日追記中国向け代理店価格表でRTX 50シリーズが約8〜20%上昇
掲載された中国向けMSI製GeForce RTX 50シリーズの多くは、前週の価格表から約8〜20%引き上げられていました。RTX 5080とRTX 5070 Tiでは18〜20%前後、RTX 5060では14〜15%前後です。
| 中国向けMSI製品 | 前週価格表 | 新価格表 | 前週価格表比 |
|---|---|---|---|
| RTX 5090 D V2 VENTUS 3X OC | 22,999元 | 25,999元 | +13.0% |
| RTX 5080 GAMING TRIO OC WHITE | 10,999元 | 12,999元 | +18.2% |
| RTX 5070 Ti GAMING TRIO OC | 8,199元 | 9,699元 | +18.3% |
| RTX 5070 VENTUS 3X OC | 5,499元 | 5,999元 | +9.1% |
| RTX 5060 Ti 16GB GAMING TRIO OC | 4,599元 | 4,999元 | +8.7% |
| RTX 5060 GAMING TRIO OC | 2,799元 | 3,199元 | +14.3% |
価格は中国向けの人民元表記で、店頭実売価格とは限りません。税制・流通・製品構成が異なるため日本円への単純換算も行っていません。
大きく見える59%という数字は、Colorful製RTX 5080の新しい掲載価格を公式希望小売価格と比較した差です。前週の価格表から59%上昇したわけではありません。MSIの新旧代理店価格表を比較した上昇率は、約8〜20%です。
初報はメーカー向け供給価格の情報にとどまっていましたが、今回の価格表では中国向けの代理店価格にも変化が表れました。ただし、店頭で同率の値上げが実施されたことを直接示すものではありません。地域別の在庫、代理店契約、為替、税制も異なるため、中国の上昇率をそのまま日本価格へ当てはめることはできません。
2026年7月29日時点で、日本向けRTX 50シリーズ全体を対象とした公式な一斉価格改定は発表されていませんが、実売価格ベースでは複数モデルの上昇が始まっています。国内では旧価格で仕入れた在庫が残る製品と、新しい仕入れ価格の影響を受けた製品が混在する状況です。
国内価格国内も7月末から上昇、MSI製3モデルは最大約16%値上がり
中国の価格表に近い国内MSI製品について、価格.comの日別最安値を7月1日と直近で比較しました。7月25日までは横ばい〜約2.4%の小幅な動きでしたが、7月26〜27日の週末を境に状況が変わり、直近ではRTX 5080が約16%、RTX 5060 Tiが約9%上昇しています。
価格.comの価格推移グラフに掲載された日別最安値を基準に、2026年7月1日と直近の値を比較しました。推移グラフへの反映が遅れる7月29日分は、複数店舗の店頭掲載価格で補完しています。対象は国内で価格履歴を確認できたMSI製3モデルです。中国の価格表にある製品と完全な同一型番ではないため、日中の価格差ではなく「国内でも同規模の上昇が始まったか」を見る参考値として扱います。価格.comの仕様上、Amazonの価格は推移グラフの集計対象外です。
| 国内MSI製品 | 7月1日 | 直近掲載値 | 7月1日比 |
|---|---|---|---|
| RTX 5060 Ti 16G VENTUS 2X OC PLUS | 99,800円 | 109,000円 7月29日・店頭掲載価格 | +9,200円(+9.2%) |
| RTX 5070 12G GAMING TRIO OC | 115,284円 | 117,400円 7月29日 | +2,116円(+1.8%) |
| RTX 5080 16G GAMING TRIO OC | 228,800円 | 265,660円 7月29日・掲載1店舗 | +36,860円(+16.1%) |
価格は販売店の入れ替わりや在庫で変動します。RTX 5080 16G GAMING TRIO OCは通常ショップの在庫が薄くなり、掲載店舗が減少しています。Amazonの価格は価格推移グラフの集計対象外です。
上昇の転換点は7月26〜27日の週末です。RTX 5080 16G GAMING TRIO OCは、価格推移グラフ上でも7月25日の234,268円から7月27日には259,800円へ、2日間で25,532円上昇しました。その後は通常ショップの在庫が薄くなり、掲載価格は26万円台に達しています。RTX 5060 Ti 16G VENTUS 2X OC PLUSも、推移グラフでは7月28日まで99,800円の横ばいだった一方、7月29日の店頭掲載価格は複数店舗で109,000〜109,800円に切り上がりました。
MSI製品以外にも動きは広がっています。RTX 5070 Tiカテゴリの国内最安値は7月26日の159,800円から7月29日には167,670円へ約5%上昇し、RTX 5080カテゴリの最安値も7月27日の218,000円から228,900円へ切り上がりました。定点対象のMSI製モデルが小幅にとどまるRTX 5070も、カテゴリ最安値では7月25日の99,800円から103,800円へ約4%上昇しています。特定ブランドの在庫要因ではなく、ミドル〜ハイエンドの複数モデルにまたがる上昇です。
複数ブランド・複数モデルが同時期に上昇しており、単日の在庫・店舗変動では説明しにくい動きです。一方で、RTX 5070 12G GAMING TRIO OCのように7月1日比で約2%にとどまるモデルもあり、上昇幅には大きな差があります。
編集部では引き続き同じ3モデルを定点観測し、上昇が続くのか一服するのかを確認して本記事を更新します。市場全体の月次推移は2026年のグラボ価格レポート、用途別の買い時判断はグラボの価格推移と買い時ガイドで確認できます。
試算仮に2〜3割上昇した場合、価格はいくらになるか
秋葉原の店頭で語られている「最終的に2〜3割」という見通しが実際に起きた場合、現在の価格帯ごとにどの程度の上昇額になるのかを試算しました。あくまで計算例であり、個別モデルの価格を予測するものではありません。
| 現在の実売価格の目安 | 2割上昇した場合 | 3割上昇した場合 |
|---|---|---|
| 6万円(RTX 5060クラス) | 7万2,000円 | 7万8,000円 |
| 10万円(RTX 5070クラス) | 12万円 | 13万円 |
| 17万円(RTX 5070 Tiクラス) | 20万4,000円 | 22万1,000円 |
| 23万円(RTX 5080クラス) | 27万6,000円 | 29万9,000円 |
| 80万円(RTX 5090クラス) | 96万円 | 104万円 |
※各行の「現在の実売価格の目安」は説明用の丸めた数値です。実際の店頭価格・上昇率は製品・店舗・時期によって異なります。
価格帯が上がるほど、同じ上昇率でも金額の差は大きくなります。RTX 5060クラスなら1万円台の差にとどまりますが、RTX 5080クラスでは5万〜7万円、RTX 5090クラスでは16万〜24万円の差になる計算です。「2〜3割」という抽象的な数字を自分の候補モデルの価格に当てはめて考えると、購入を急ぐべきかどうかの判断材料になります。
報道内容NVIDIAがGPUとVRAMの供給価格を引き上げたとの報道
報道では、NVIDIAがグラフィックボードメーカー(AIC)へ、GeForce製品向けGPUとVRAMをセットにしたGPU KITの値上げを通知したとされています。1月にはバンドル供給されるGDDR6・GDDR7全般の値上げが別の改定として報じられ、5月にはRTX 5090・RTX 5090 D V2に限った追加改定、7月23日にはほかのGDDR7・GDDR6採用GeForce製品への改定が報じられました。NVIDIAの通知文書は公開されておらず、今回の具体的な対象型番、値上げ幅、適用日は不明です。
報道では個別型番が列挙されていません。報道内容とNVIDIAの公式メモリ仕様を照合すると、仕様上の影響候補は以下のとおりです。
- GeForce RTX 3050
- GeForce RTX 3060
- デスクトップ版GeForce RTX 5050
- GDDR7を搭載するGeForce RTX 5090〜RTX 5060
7月23日時点の報道には具体的な値上げ率がありません。10〜15%という数字は、1月に報じられた代理店向けコストの上昇幅です。一方、7月27日の約8〜20%は、中国向けMSI製品の新旧代理店価格表を比較した数字です。異なる時期・取引段階の数字を混同しないよう注意してください。
NVIDIAからグラフィックボードメーカーへの供給価格が引き上げられたとしても、その上昇分がそのまま店頭価格へ反映されるとは限りません。各メーカーや販売店の在庫、為替、流通コストなどによって影響は異なります。
影響候補RTX 50シリーズだけでなく旧世代GPUも影響か
今回の報道は個別型番を示していませんが、GDDR6採用製品も改定対象としています。そのため、RTX 3050やRTX 3060などの旧世代製品も仕様上の候補になります。
RTX 3050やRTX 3060は、低価格PCや補修用として現在も流通しています。RTX 3060 12GBについては、Manli製品の再投入や各社の生産再開が2026年6月以降に報じられました。供給側コストが上がれば低価格帯にも影響しえますが、在庫の製造時期と仕入れ価格は店舗ごとに異なるため、既存在庫が一斉に値上がりするとは限りません。
AMDの動きAMDもGPU+GDDRキット価格を約10%引き上げと通知
値上げの動きはNVIDIAだけにとどまりません。台湾の調査会社TrendForceは2026年7月3日、AMDがグラフィックボードを製造する各メーカーに対し、GPUコアとGDDRメモリをセットにしたキット価格を約10%引き上げると通知したと報じました。適用時期は2026年7月からとされています(TrendForce)。
この情報は中国の販売チャネル関係者の話をもとにした報道で、AMDが公式に発表したものではありません。今回のTrendForce報道自体には具体的なRadeon RXシリーズの型番は明記されていませんが、当サイトが2026年6月21日に報じた噂段階の情報では、RX 9070 XT・RX 9070・RX 9060 XTなどRX 9000シリーズ全体が対象になりうるとされていました(RX 9070 XT 価格推移・追加値上げ噂まとめ)。それでも、GPUとGDDRメモリをセットで調達する各メーカー向けの価格改定という構図は、NVIDIAの報道と共通しています。
NVIDIAとAMDの双方でキット価格の引き上げが報じられたことは、今回の値上げがNVIDIA一社の事情ではなく、GPU業界全体が直面するメモリ調達コストの上昇によるものだと考えられる材料です。GeForceの値上がりを避けようとRadeonへ乗り換えても、Radeon側の仕入れ価格も上昇していれば、期待したほどの価格差が生まれない可能性があります。
背景背景にあるGDDR6・GDDR7メモリの価格上昇
今回の値上げ報道の背景には、グラフィックスメモリの価格上昇があるとされています。
デスクトップ向けRTX 50シリーズではRTX 5090からRTX 5060までGDDR7が採用されていますが、デスクトップ版RTX 5050はGDDR6です。ノートPC向けRTX 5050はGDDR7であり、同じ名称でも仕様が異なります(NVIDIA公式仕様表)。
GPUを搭載したグラフィックボードの製造コストは、GPU本体だけで決まるわけではありません。VRAM、基板、電源回路、冷却機構、物流費なども価格に影響します。
とくにVRAM価格が上昇した場合、搭載容量が多いモデルほどコストへの影響が大きくなりやすくなります。16GBや24GB、32GBといった大容量VRAMを搭載する製品では、メモリ価格の変動が製品原価を押し上げる要因になります。
2026年5月には、RTX 5090・RTX 5090 D V2向けGPU KITのGDDR7価格上昇が報じられました。このとき、GeForce製品の公式希望小売価格は変更されず、ほかのGDDR7搭載RTX 50シリーズには新たな通知が届いていないとされていました。7月報道が正しければ、この追加改定がほかのGDDR7・GDDR6採用GeForce製品へ広がったことになります。
この価格上昇の背景には、AIサーバー向け半導体需要の拡大によるメモリ業界全体の需給逼迫があります。Micron Technologyは2026年7月の決算説明で、DRAMとNANDの業界需要が供給を大幅に上回っており、AI主導の需要拡大と構造的な供給制約により、この逼迫状態は2027暦年以降も続く見通しだと説明しています。同社は、AI向けとサーバー向けを合わせたDRAM・NANDのビット需要が、2026暦年に業界全体の需要の50%を初めて超える見通しも示しています(Micron決算資料)。
Samsung Electronicsも2026年第2四半期決算で、AIインフラへの投資拡大とエージェント型AIの普及を背景に、サーバー向けDRAM、エンタープライズSSD、HBMの需要成長が加速しており、供給不足は今後も続く見通しだと説明しています(Samsung Electronics)。SK hynixも、HBMを中心としたメモリ需要の拡大を見込んでおり、2028年にはHBM市場の規模が2024年のDRAM市場全体を上回るとの見通しを示しています。台湾TSMCとのパッケージング技術提携強化や新工場の建設など、AI向けメモリの生産能力増強を進めています(SK hynix)。
GeForce向けのGDDR7と、AIアクセラレーターに搭載されるHBMは別のメモリ規格であり、AI向け需要がGDDR7の供給をそのまま奪っているわけではありません。ただし、大手メモリメーカーが限られた工場設備やウエハー生産能力を、収益性の高いAI向け製品に優先配分する動きが強まれば、GeForce向けを含む一般向けメモリの生産余力が圧迫される可能性があります。HBMの生産には同容量のDDR5と比べて多くのウエハー投入量が必要になるとMicron幹部が説明したと複数の海外メディアが報じており、AI向けメモリの増産は一般向けDRAM・GDDRの供給にも間接的な影響を及ぼしうるとみられています。
購入判断購入予定があるなら急騰前の適正在庫を早めに確認したい
中国向け代理店価格表の改定に続き、国内の実売価格も7月26〜27日を境に上昇し始めました。RTX 5080のように数日で2万円以上動いたモデルもあり、初報時点の「監視を強める」段階から一歩進んだ状況です。ただし上昇幅はモデルによって約2〜16%と差が大きく、全モデルを急いで買うべき局面ではありません。
| GPUクラス | 2026年8月時点の判断 | 理由 |
|---|---|---|
| RTX 5060 | 在庫があれば早めの確保を検討 | これまで比較的入手しやすかったが、購入制限が全グレードへ拡大中 |
| RTX 5060 Ti 16GB | 複数店舗の価格を比較 | すでに7月1日比約9%上昇を確認済み |
| RTX 5070 | 上昇幅が小さい在庫を優先 | モデルによって7月1日比約2〜4%と上昇は比較的小幅 |
| RTX 5070 Ti | 単体価格とBTO総額を比較 | カテゴリ最安値は7月26日以降で約5%上昇 |
| RTX 5080 | 急騰前の在庫を探す、追いかけない | 7月25〜27日の2日間で約16%上昇し、その後も高止まり |
| RTX 5090 | 必要性が明確な人以外は急がない | 2〜3割上昇の見通しどおりなら100万円弱の水準になりうる |
| RX 9000シリーズ | GeForceとの価格差を確認 | AMDも約10%のキット値上げを通知済み、購入制限の対象でもある |
※上記は2026年8月3日時点の状況を踏まえた編集部の目安であり、特定モデルの購入を推奨するものではありません。価格・在庫は変動するため、購入前に複数店舗で最新の実売価格を確認してください。
根拠となるのは本記事の定点観測データです。RTX 5080は7月25日の約23万4,000円から7月27日には約25万9,800円へ上昇し、その後26万円台に達しました。すでに急騰した個別モデルを値上げ不安から追いかけると、旧価格在庫の再入荷や別メーカーの在庫によって高値掴みになりかねません。「値上げするから何でも今すぐ買う」のではなく、「まだ上昇していない在庫を探す」ことが、8月時点でもっとも合理的な判断です。
コスト比較GPU単体よりBTOが安くなる可能性|値上げ前在庫を確認
グラフィックボードの仕入れ価格が上がれば、BTOゲーミングPCの価格にも影響します。ゲーミングPC本体価格に占めるGPUの割合は大きく、GPUの仕入れ価格が数万円上昇すれば、PC本体価格にも近い金額が反映される可能性があります。ただし、その上がり方は単体GPUの店頭価格と完全には連動しません。
BTOメーカーは、GPUをある程度まとまった数量でメーカーや代理店から確保しています。値上げ前の在庫を抱えている間は、その分だけ完成品PCの価格が据え置かれる可能性があります。単体GPUの店頭価格だけが先に急騰し、同じGPUを積んだBTOの完成品PCの方が相対的に割安になる逆転現象が起こりうるのは、このためです。
2026年はGPUだけでなく、DDR5メモリやSSDの価格上昇も重なっています。Micron・Samsung Electronics・SK hynixの各社が、AIサーバー向けDRAM・NAND需要の拡大を背景に2026年後半も供給不足が続くとの見通しを示しており、パソコン向けの一般的なメモリ・SSD価格が以前の水準まで戻りにくい状況が続く可能性があります。
一方、BTOメーカーが値上げ前の在庫を確保している場合は、当面旧価格のまま販売が続くこともあります。今回のような値上げが噂段階にとどまる局面では、特定のBTOモデルを名指しで推奨するのは時期尚早と考えています。ただし、GPU単体の購入を検討している人ほど、CPU・メモリ・SSD・電源・ケースを含めた完成品PCの総額と比較する価値があります。同じGPUでも、単体購入とBTO完成品のどちらが割安かは、メーカーごとの仕入れ時期によって入れ替わることを覚えておいてください。
確認方法高値掴みを避けるために見ておきたいポイント
報じられたメーカー向け供給価格と、日本の店頭価格は同じではありません。実売価格は次の要素で決まります。
- グラフィックボードメーカーの製造コスト
- 代理店や販売店の在庫
- 為替レート
- 輸送費
- 製品ごとの需要と供給
- セールや在庫処分の有無
旧価格で仕入れた在庫が残る製品は当面価格が維持される一方、在庫の少ないモデルは次回入荷分から上がりやすくなります。実際、国内でも上昇幅は約2〜16%とモデルごとに大きな差が出ています。品薄や為替だけでも実売価格は動くため、単日の変化ではなく数週間の推移を見る必要があります。
- 値上がりが今後も続くのか、一時的なのか
- 国内代理店・メーカーの価格改定時期
- 既存在庫への影響
- 次回入荷分の仕入れ価格
- 為替変動を含めた最終的な店頭価格
- 複数店舗の価格を比較する
- 過去数週間の価格推移を確認する
- 用途に合うモデルが適正価格かを見極める
- 公式希望小売価格を大きく上回る製品は高値掴みを避ける
Radeonへの乗り換えで値上げを避けられるとは限らない点にも注意が必要です。TrendForceの報道によると、AMDも2026年7月からGPU+GDDRメモリのキット価格を約10%引き上げると各メーカーへ通知したとされています。GeForceの値上がりを理由に安易にRadeonへ切り替えても、想定した価格差が得られない可能性があります。
1か月以内に購入する予定があり、候補モデルが過去数週間の相場から大きく上がっていない場合は、在庫があるうちに購入を前向きに検討する価値があります。一方、RTX 5080のようにすでに急騰した製品を慌てて追いかけるのは、高値掴みのリスクがあります。購入時期が決まっていない人まで、今回の値上がりを理由に急ぐ必要はありません。
総括韓国でも価格改定が始まり、日本は旧価格在庫の動きに注意
2026年8月1日の報道では、秋葉原の購入制限が「16GB以上のVRAM」中心から全メーカー・全グレードへ拡大していることが確認され、ショップ関係者からは最終的に2〜3割上昇するとの見通しも紹介されました。さらに8月3日には、韓国でも主要メーカーがRTX 50シリーズを最大30%前後値上げする計画が報じられ、RTX 5060 TiやRTX 5070の店頭価格にも上昇が表れています。ただし、いずれも店頭の見通しや個別市場の動きであり、公式な一斉値上げ発表ではありません。編集部が確認できている国内実売の上昇は、依然として最大約16%です。
NVIDIAがGeForce向けGPU KITの価格を段階的に引き上げていると報じられました。1月の包括的なメモリ価格改定、5月のRTX 5090系向け追加改定に続き、7月報道ではほかのGDDR7・GDDR6採用GeForce製品も対象になるとされています。具体的な型番、値上げ幅、適用日は公表されていません。
その後、代理店由来とされる中国向けMSI価格表では、直前の価格表から約8〜20%上昇していました。供給コスト上昇が流通価格へ波及し始めた可能性はありますが、店頭実売価格の一斉上昇を示すものではありません。また、「最大59%」は新価格と公式希望小売価格との差であり、今回59%値上げされたという意味でもありません。
国内MSI製3モデルを7月1日と直近で比べると、7月25日までは0〜約2.4%の小幅な動きでしたが、7月26〜27日を境にRTX 5080が約16%、RTX 5060 Tiが約9%上昇しました。1か月以内に購入予定がある人は、候補モデルがまだ急騰していないうちに在庫と価格を確認し、すでに高騰した製品は追いかけないことが重要です。
背景にはAIサーバー向け需要の拡大によるメモリ業界全体の需給逼迫があり、Micron・Samsung Electronics・SK hynixの各社が2026年後半以降も供給不足が続く見通しを示しています。AMDも2026年7月からGPU+GDDRキット価格を約10%引き上げると報じられており、今回の値上げはNVIDIA一社にとどまらず、GPU業界全体が直面するコスト構造の変化とみられます。
中国向け代理店価格表でRTX 50シリーズが直前比約8〜20%上昇したのに続き、日本国内でも7月26〜27日を境に実売価格の上昇が始まりました。定点観測中のMSI製3モデルは7月1日比で最大約16%上昇しています。ただし「最大59%」は公式希望小売価格との差で、値上げ率ではありません。AMDも同時期に約10%のキット値上げを通知したと報じられており、背景にはAI需要によるメモリ業界全体の供給逼迫があります。
2026年8月1日の報道では、秋葉原の購入制限が全メーカー・全グレードへ拡大し、ショップ関係者から最終的に2〜3割上昇するとの見通しも紹介されました。さらに8月3日には、韓国でも主要メーカーが最大30%前後の価格改定を準備しているとZDNet Koreaが報じ、RTX 5060 TiやRTX 5070の店頭価格にも上昇が確認されています。ただし、いずれも店頭の見通しや個別市場の動きであり、確定した価格改定ではありません。候補モデルがまだ上がっていないなら在庫を早めに確認し、すでに急騰した製品の高値掴みは避けてください。



