AMDゲーム事業が31%減収|Radeon・Ryzen・次世代ゲーム機への影響とデータセンター急伸を解説【2026年8月】
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Radeon・Ryzen・次世代ゲーム機への影響とデータセンター急伸を解説【2026年8月】
出典:AMD公式IR「AMD Reports Second Quarter 2026 Financial Results」にもとづきます。記事内の情報は2026年8月5日時点のものです。
AMDが2026年8月4日(現地時間)に発表した2026年第2四半期決算で、ゲーム事業の売上高が前年同期比31%減の7億7,900万ドルになったことが明らかになりました。AMD全体の売上高は前年同期比50%増の115億3,600万ドルと過去最高を更新しており、会社全体が不振に陥ったわけではありません。データセンター事業が107%増の67億ドル台へ急拡大する一方で、ゲーム事業だけが大きく減収した形です。
この数字だけを見ると「Radeonが売れていない」「AMDがゲーム事業を縮小する」と感じるかもしれません。しかし今回の31%減は、主にPlayStationやXboxなどへ供給するセミカスタム半導体の売上減少によるものです。Ryzenプロセッサを扱うクライアント事業はむしろ23%増収しており、Radeon、Ryzen、ゲーム機向け半導体を分けて見る必要があります。
この記事では、AMDゲーム事業が31%減収した理由と、Radeonグラフィックスカード、Ryzenプロセッサ、次世代ゲーム機への実際の影響を、AMDの公式発表にもとづいて解説します。
目次
決算概要AMDゲーム事業の売上高は7億7,900万ドル
AMDの2026年第2四半期におけるゲーム事業の売上高は7億7,900万ドルでした。前年同期の約11億2,200万ドルから31%減少しています。金額では約3億4,300万ドルの減収です。
一方、直前の2026年第1四半期は7億2,000万ドルだったため、前四半期比では約8%増えています。前年同期比では大幅減ですが、直近3カ月だけを見ると売上高は少し回復しました。
| 期間 | ゲーム事業売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 2025年第2四半期 | 約11億2,200万ドル | 73%増 |
| 2026年第1四半期 | 7億2,000万ドル | 11%増 |
| 2026年第2四半期 | 7億7,900万ドル | 31%減 |
2025年第2四半期は、ゲーム機向けのセミカスタム製品とRadeon GPUの需要がどちらも強く、ゲーム事業の売上高が前年同期比73%増加していました。2026年第2四半期の31%減には、前年の売上高が高かった反動も含まれます。
AMD全体の売上高に占めるゲーム事業の割合は約6.8%です。現在のAMDでは、ゲーム事業よりデータセンター事業やRyzenを含むクライアント事業の方が、売上高への影響が大きくなっています。
背景31%減収の主因はゲーム機向け半導体
AMDは、ゲーム事業が減収した主な理由として「セミカスタム売上高の減少」を挙げています。
セミカスタム製品とは、AMDが取引先の要望に合わせて設計する専用のプロセッサやSoCです。AMDのCPUコアとRadeon系のGPU技術は、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Steam Deckなどのゲーム機や携帯型端末にも採用されています。
現在のPlayStation 5とXbox Series X|Sは、2020年に発売された世代です。発売から時間が経過すると、本体メーカーが必要とするチップの数量や、AMDが計上する半導体売上高は、新型機が発売された直後とは異なる動きをします。
AMDも以前から、ゲーム機の製品サイクルが後半へ入ったことを、セミカスタム売上高が減少する要因として説明してきました。今回の31%減は、Radeonグラフィックスカードだけが急に売れなくなった結果ではなく、ゲーム機向け半導体の減収による影響が大きいと考えられます。
グラフィックス動向Radeonの売上高も前年同期を下回った
ゲーム事業の減収はセミカスタム製品だけが原因ではありません。
AMDのリサ・スーCEOは決算説明会で、ゲーム向けグラフィックス事業の売上高も前年同期を下回ったと説明しています。業界全体で部品コストが上昇したことで、グラフィックスカードの価格が高くなり、需要を圧迫したとしています。
2026年第1四半期のゲーム事業は、セミカスタム製品が減少した一方、Radeon GPUの堅調な需要によって前年同期比11%増を確保していました。第2四半期になると、Radeon側でも前年同期比の減収が発生したため、ゲーム事業全体の落ち込みが大きくなったとみられます。
ただし、AMDはRadeonの販売台数、平均販売価格、製品別売上高を今回の発表で公開していません。そのため、ゲーム事業の31%減という数字だけから、Radeonの売上高が31%減少した、またはRadeonの市場シェアが急落したと判断することはできません。
事業継続性Radeonから撤退する可能性は低い
今回の決算だけを根拠に、AMDがRadeon事業から撤退すると考える必要はありません。
AMDは2026年6月のComputexで、Socket AM5のサポートを2029年まで延長すると発表し、RDNA 4アーキテクチャのRadeon RX 9070 GREを従来の中国限定販売から世界展開へ拡大しています。第2四半期の決算後も、Radeon RX 9000シリーズを中心とした製品展開は継続しています。
AMDのゲーム事業には、Radeonグラフィックスカードだけでなく、ゲーム機向けSoCや開発サービスも含まれます。ゲーム事業全体が減収しても、個別のRadeon製品が不採算になったことを示すわけではありません。
一方で、データセンター事業の売上高は前年同期比107%増の67億ドル台に達しました。ゲーム事業の7億7,900万ドルに対し、データセンター事業は8倍以上の規模です。AMDの経営資源や製造能力が、成長率と利益率の高いAI・データセンター製品へ優先的に振り向けられる可能性は意識する必要があります。ただし、製造能力の配分が今後のRadeon供給へどの程度影響するかは、AMDから具体的に説明されていません。ゲーム事業の減収だけで、Radeonの開発縮小や製品数削減を断定するのは早計です。
価格の行方Radeonは値下がりするのか
売上高が31%減ったからといって、Radeonグラフィックスカードがすぐに値下がりするとは限りません。
需要が弱ければ、販売店やグラフィックスカードメーカーが在庫を処分するために値下げする可能性はあります。しかし、AMDは今回、メモリを含む部品コストの上昇がグラフィックスカード価格を押し上げ、需要を圧迫したと説明しています。
つまり、需要だけを見ると値下げ要因ですが、製造コストを見ると値上げ要因です。2026年のグラフィックスカード価格は、AMDの売上高だけでなく、GDDRメモリ、基板、電源回路、冷却部品、物流費、為替などにも左右されます。少なくとも、今回の決算は「Radeonが売れていないので大幅値下げされる」という単純な内容ではありません。AMD自身が価格上昇による需要低下を認めているため、メーカー希望価格がすぐに引き下げられる可能性も高いとはいえません。
クライアント動向Ryzenの売上高は23%増加
AMDゲーム事業の31%減は、Ryzenプロセッサの減収を意味しません。
AMDの決算では、デスクトップPCやノートPC向けのRyzenプロセッサは「クライアント事業」に分類されています。Radeon GPUやゲーム機向け半導体を含む「ゲーム事業」とは、売上高が個別に開示されています。
2026年第2四半期のクライアント事業売上高は30億6,200万ドルで、前年同期比23%増加しました。AMDは増収の主な理由として、Ryzenプロセッサの強い需要を挙げています。
クライアント事業とゲーム事業を合計した売上高も38億4,100万ドルとなり、前年同期比6%増えました。ゲーム事業の減収をRyzenの成長が補った形です。そのため、今回の決算を「AMDのゲーミングCPUが売れなくなった」と解釈するのは誤りです。Ryzen 9000シリーズやRyzen AI搭載PC、Ryzen PRO製品などを含むクライアント事業は、AMD全体の成長分野の一つとなっています。
ゲーミングCPURyzen X3Dシリーズへの悪影響は確認されていない
AMDゲーム事業の減収によって、Ryzen X3Dシリーズの開発や販売が縮小されるという情報はありません。
AMDは2026年7月16日にRyzen 7 7700X3Dを発売し、6月のComputexではSocket AM5のサポートを2029年まで延長すると発表しています。Ryzen X3Dはゲーム用途を強く意識したCPUですが、決算上はRadeonやゲーム機向け半導体と同じゲーム事業ではなく、クライアント事業の売上高に含まれます。
「ゲーム部門が31%減収」という見出しだけを見ると、ゲーミングCPUも不調に見えます。しかし、実際にはRyzenを含むクライアント事業が23%増収しているため、RyzenとRadeonでは状況が異なります。
コンソール展望次世代PlayStationやXboxへの影響は
今回の減収は、現行ゲーム機向け半導体の売上高が減少したことを示していますが、次世代ゲーム機の計画が縮小または中止されたことを示すものではありません。
AMDは有価証券報告書の中で、セミカスタムSoC事業の成功は、ソニーやMicrosoftの現行および次世代ゲーム機の成功、市場環境、新しい設計案件の獲得に左右されると説明しています。これは、次世代ゲーム機向けの半導体がAMDの将来のゲーム事業にとって重要であることを示しています。ただし、この記述だけで、AMDが未発表のPlayStationやXbox向けSoCを正式受注したと断定することはできません。
現行世代のチップ出荷が減った後、次世代機向けの開発費や半導体出荷が始まれば、ゲーム事業の売上高が再び増加する可能性があります。反対に、新型ゲーム機の発売が遅れたり、本体価格の上昇によって販売台数が伸びなかったりすれば、セミカスタム売上高の回復も遅れます。今回の31%減は、次世代ゲーム機に悪影響が出たというより、現行世代と次世代の製品サイクルの谷間に近い状態と見るのが自然です。
本体価格への波及次世代ゲーム機の価格にも影響する?
AMDが供給するSoCは、ゲーム機の主要部品の一つです。しかし、AMDゲーム事業の減収自体が、次世代ゲーム機の価格を押し上げるわけではありません。売上高が減ったという数字と、半導体1個あたりの製造コストは別のものです。
注意したいのは、AMDがグラフィックスカード市場について説明した部品コスト上昇です。メモリ、先端プロセスのウェハー、基板などのコストが上昇すれば、PC向けGPUだけでなく、将来のゲーム機用SoCを含む幅広い製品の原価へ影響する可能性があります。ただし、ゲーム機メーカーとAMDの契約価格、次世代SoCの製造コスト、採用するメモリ容量などは公開されていません。今回の決算だけから、次世代PlayStationやXboxが値上がりすると断定することはできません。
今後の見通しAMDはゲーム事業の減収継続を予想
AMDは2026年第3四半期について、クライアント事業の小幅な成長を、ゲーム事業の大幅な減収が打ち消す見通しを示しています。
CFOのジーン・フー氏は、クライアントおよびゲーム部門について、クライアント事業はわずかに成長する一方、ゲーム事業は大幅な2桁減収になるとの予想を説明しました。ゲーム機向けセミカスタム製品の減少と、部品価格上昇によるRadeon需要への圧力が、2026年後半も続く可能性があります。
一方、AMD全体では第3四半期の売上高を130億ドル前後(プラスマイナス3億ドル)と予想しています。前年同期比では約41%増となる見通しで、データセンター事業の成長がゲーム事業の減収を補う構造が続きます。フー氏はデータセンター事業について、2026年後半にかけて売上が加速するとの見通しも示しています。
ユーザー視点PCゲーマーへの影響
今回の決算によって、すでに所有しているRyzenやRadeonの性能、ドライバーサポート、ゲームの動作が変わることはありません。
購入を検討しているユーザーにとって重要なのは、ゲーム事業の売上高より、実売価格と競合製品との性能差です。Radeonの需要が弱まればセールが増える可能性はありますが、部品コストの上昇が続けば価格が下がらないことも考えられます。
Ryzenについてはクライアント事業が23%増収しており、今回の決算から製品需要の急減は確認できません。Ryzen X3D搭載ゲーミングPCを避ける理由にもなりません。Radeonを選ぶ場合は、AMDの決算だけで判断するのではなく、GeForceとのゲーム性能、レイトレーシング性能、VRAM容量、消費電力、利用したいアップスケーリング機能を比較することが重要です。
関連製品今回の決算を踏まえたおすすめ構成
クライアント事業が23%増収と好調なRyzen X3D系CPUと、部品コスト上昇で当面値下がりが期待しにくいRadeon RX 9070 XTを、それぞれの立ち位置がわかる組み合わせで紹介します。
総括まとめ|31%減収の主因はセミカスタム、Ryzenは堅調
AMDの2026年第2四半期ゲーム事業売上高は7億7,900万ドルで、前年同期比31%減少しました。最大の減収要因は、PlayStationやXboxなどに関係するセミカスタム製品の売上減少です。Radeonのゲーム向けグラフィックス売上高も前年同期を下回りましたが、AMDは部品コスト上昇によるグラフィックスカード価格の上昇が需要を圧迫したと説明しています。
一方、Ryzenを含むクライアント事業は23%増の30億6,200万ドルでした。ゲーム事業の31%減を、RyzenやAMDのPC事業全体の不振と捉えるのは適切ではありません。今回の決算から、AMDがRadeonから撤退する、Ryzen X3Dを縮小する、次世代ゲーム機の計画が中止されるといった事実は確認できません。
2026年後半もゲーム事業の減収は続く見通しですが、次世代ゲーム機向けのセミカスタム製品が本格化すれば、売上高が再び拡大する余地があります。現時点では、現行ゲーム機の製品サイクル後半と、部品価格上昇が重なった一時的な減収局面として見るのが妥当です。





