タスクマネージャーの「専用GPUメモリ」と「共有GPUメモリ」の違い|8GB+16GBは24GB VRAMにならない理由【2026年版】
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8GB+16GBは24GB VRAMにならない理由をMicrosoft公式資料で解説
出典:Microsoft Learn「DXGI_MEMORY_SEGMENT_GROUP enumeration」・Microsoft Learn「DXGI_ADAPTER_DESC3 structure」・Microsoft Learn「Calculating Graphics Memory」・Microsoft Learn「Examples of Graphics Memory Reporting」・Microsoft Learn「Memory Management Strategies」・Microsoft Learn「Residency」・Microsoft Learn「DXGI_QUERY_VIDEO_MEMORY_INFO structure」・Microsoft Learn トラブルシューティング「GPU Process Memory counters report incorrect value」・Microsoft Learn「GPU Virtual Memory in WDDM 2.0」にもとづきます。
タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブでGPUを開くと、専用GPUメモリと共有GPUメモリという2種類の数値が並んで表示されます。VRAM 8GBのGeForceやRadeonでも、専用GPUメモリ8GBに加えて共有GPUメモリ16GBのように表示されることがあり、合計すると24GBになるように見えます。この数字をそのまま「24GBのVRAMを積んだGPU」と捉えてしまうと、実際の性能を見誤ります。
Microsoftは、GPUにとって最も高速なメモリを「Local(ローカル)」、それより低速になる可能性があるメモリを「Non Local(非ローカル)」と定義しています。ディスクリートGPUでは一般的にLocalがグラフィックボード上のVRAM、Non Localがシステムメモリ側に対応し、専用GPUメモリと共有GPUメモリはこの区分にほぼ重なります。つまり容量を足し合わせることはできても、同じ速度のメモリとして扱うことはできません。
この記事は、タスクマネージャーの数値からVRAM不足を診断する手順ではなく、「専用GPUメモリ」「共有GPUメモリ」という2つの用語そのものの技術的な仕組みに絞って整理します。症状からVRAM不足を見分ける方法や解像度別の目安はVRAM不足の見分け方と対処法を、専用GPUメモリに余裕があるのにゲームがカクつく場合の詳しい原因はVideo Memory Budgetの仕組み解説をあわせて参照してください。
目次
結論専用GPUメモリと共有GPUメモリは、同じ速度のメモリではありません
Windows 11のタスクマネージャーに表示される「専用GPUメモリ」と「共有GPUメモリ」は、どちらもGPUが利用できるメモリという点では共通していますが、性能はまったく別物です。Microsoft公式のDXGI仕様は、GPUにとってローカルなメモリを“the fastest available memory to the GPU”(GPUで利用できる最も高速なメモリ)と定義し、非ローカルなメモリについては“may have slower performance than the local segment group”(ローカルのセグメントグループより性能が低くなる可能性がある)と説明しています。
ディスクリートGPUを搭載したゲーミングPCでは、専用GPUメモリがこのローカルメモリ、つまりグラフィックボード上に搭載されたVRAMにあたります。共有GPUメモリは非ローカルメモリ側、つまりシステムメモリ(RAM)をGPUが利用できる領域です。専用GPUメモリと共有GPUメモリを足し算した数字は、そのまま「高速なVRAMの容量」を意味しません。この記事では、この2つの用語の技術的な定義と、なぜ単純に足し算できないのか、共有GPUメモリを使うとゲームが遅くなるのか、内蔵GPUではなぜ事情が違うのかを、Microsoft公式のDXGI・Direct3D 12・WDDM技術文書にもとづいて整理します。
定義専用GPUメモリとは|CPUと共有されないGPU専用の領域
専用GPUメモリは、DXGIの仕様ではDedicatedVideoMemoryという項目にあたります。Microsoft公式のDXGI_ADAPTER_DESC3構造体のドキュメントは、この項目を“The number of bytes of dedicated video memory that are not shared with the CPU.”(CPUと共有されていない、専用ビデオメモリのバイト数)と定義しています。
デスクトップ向けのGeForce RTXやRadeon RXなど、ディスクリートGPUを搭載したグラフィックボードでは、基板上に搭載されているGDDR6やGDDR7などのメモリチップが、この専用GPUメモリの実体です。ゲームがテクスチャ、レンダーターゲット、ジオメトリデータ、各種バッファなどをGPUから高速にアクセスできる状態に置く場合、ディスクリートGPUではこれらのデータをグラフィックボード上のメモリへ置くのが最も高速な経路になります。タスクマネージャーの「専用GPUメモリ」欄に表示される容量は、基本的にこのVRAM搭載量とほぼ一致します。
定義共有GPUメモリとは|GPUが利用できるシステムメモリの上限値
共有GPUメモリは、DXGIの仕様ではSharedSystemMemoryという項目にあたります。同じドキュメントはこの項目を“The number of bytes of shared system memory. This is the maximum value of system memory that may be consumed by the adapter during operation.”(共有システムメモリのバイト数。これは、アダプターが動作中に消費する可能性がある、システムメモリの最大値である)と定義しています。
ここで重要なのは「最大値」という表現です。タスクマネージャーに「共有GPUメモリ 16GB」と表示されていても、PCを起動した瞬間から16GB分のRAMがGPU専用として取り上げられているわけではありません。あくまでGPUが必要になったときに利用できる上限を示しているだけで、常にその容量が消費されているわけではありません。Windows側のグラフィックスメモリ管理機構(VidMm)がこの上限を計算しており、ディスクリートGPU・内蔵GPUを問わず、システムに搭載されているメモリ容量によって数値は変わります。
誤解訂正「専用8GB+共有16GB=24GB VRAM」にはならない理由
Microsoft公式の技術文書には、実機での具体例が掲載されています。Windows 10でNVIDIA GeForce GTX 1070(専用VRAM 8GB)を搭載したデスクトップPCの例では、専用オンボードグラフィックスメモリが8192MB、共有システムメモリが24532MBと報告され、グラフィックス用に利用できる合計は32724MBとして紹介されています。この数字だけを見ると「8GBのGPUなのに32GB近く使える」ように見えます。
Microsoftの計算式でも、TotalVideoMemory = DedicatedVideoMemory + DedicatedSystemMemory + SharedSystemMemoryという形で、専用メモリと共有メモリを合計した「グラフィックス用に利用できる合計量」を算出しています。ただしこの合計は、OSがグラフィックス処理に割り当てられるメモリ量の上限を足し合わせた会計上の数字であり、24GB全体が専用VRAMと同じ速度で使えるという意味ではありません。内訳のうち8192MBだけがグラフィックボード上の高速なVRAMで、残りの24532MBはシステムRAM側から融通される低速な領域です。
ゲームの動作環境欄に「VRAM 12GB推奨」のように書かれている場合、この数値は基本的に専用GPUメモリの容量を基準に考えるべきです。専用VRAMが8GBのGPUで共有GPUメモリが16GB表示されていたとしても、それは「実質24GBのVRAMを積んだGPU」を意味するわけではありません。
速度差なぜ共有GPUメモリは専用GPUメモリより遅い可能性があるのか
最大の理由は、GPUからメモリまでの物理的な経路の違いです。DXGIはGPUメモリを「Local(ローカル)」と「Non Local(非ローカル)」という2つのセグメントグループに分類しています。Microsoft公式のDXGI_MEMORY_SEGMENT_GROUP列挙型のドキュメントは、Localについて“the fastest available memory to the GPU. Applications should target the local segment group as the target size for their working set.”(GPUで利用できる最も高速なメモリ。アプリケーションはこのローカルセグメントグループを、作業セットの目標サイズとして扱うべきである)と説明し、Non Localについては“may have slower performance than the local segment group.”(ローカルセグメントグループより性能が低くなる可能性がある)としています。
Direct3D 12のメモリ管理に関する公式資料も、この区分をハードウェア構成に当てはめて説明しています。“For discrete adapters ‘local’ is video memory, ‘non-local’ is system memory.”(ディスクリートアダプターでは、localはビデオメモリ、non-localはシステムメモリである)という記述のとおり、専用GPUメモリはグラフィックボード上に直結された専用のメモリインターフェースを経由してGPUと接続されているのに対し、共有GPUメモリとして使われるシステムRAMはマザーボード側にあり、GPUからより遠い経路を経由します。容量として大きなシステムRAMを利用できても、同じ速度で動くわけではありません。
よくある誤解共有GPUメモリを使うとゲームは遅くなる?少し使っただけでは異常と言えない理由
ディスクリートGPUで、本来専用GPUメモリへ収めたいデータを共有GPUメモリ側へ大きく依存させる状態になれば、性能が低下する可能性はあります。Direct3D 12のResidencyに関する公式資料では、ディスクリートGPUのヒープを専用メモリ側からシステムメモリ側へ移す処理について、“it does so only as an extreme last resort. Applications should not rely on the over-budget behavior of the kernel”(それは極端な最後の手段としてのみ行われる。アプリケーションは、カーネルのこの予算超過時の挙動に依存すべきではない)と説明されており、毎フレーム参照されるようなリソースがこの退避対象になるとフレームレートに深刻な影響が出ると警告されています。
一方で、共有GPUメモリの使用量が0でないというだけでは、まだ異常とは判断できません。Direct3D 12のメモリ管理資料は、アプリケーションに割り当てられる利用可能な物理メモリの量が、“can vary considerably depending on what the user is doing in the background (such as running a browser or watching a video)”(ユーザーがバックグラウンドで何をしているか(ブラウザーの実行や動画の再生など)によって大きく変動する)と説明しています。ブラウザーやDiscordなど、ゲーム以外のアプリケーションもGPUを利用するため、共有GPUメモリが数百MB程度表示されていること自体は珍しくありません。
このサイトのVRAM不足の見分け方と対処法では、症状診断の入り口として「まず専用GPUメモリの使用率を見る」という実用的な基準を紹介しています。この基準はVRAM不足を素早く見分ける方法として有効ですが、より正確に言えば、共有GPUメモリが表示されているかどうかではなく、その数値が数GB単位まで増加し、そのタイミングで実際にフレームタイムやカクつきが悪化しているかどうかで判断するのがより精密な見方です。専用GPUメモリの使用率が90%前後に張り付いたうえで共有GPUメモリも増え続けている場合は、VRAM不足を疑う優先度が高くなります。共有GPUメモリの数値が動く仕組みそのものは、Video Memory Budgetの仕組みを公式資料で解説で詳しく扱っています。
タスクマネージャーの「詳細」タブの数値には既知の誤表示がある
Microsoft公式のトラブルシューティング技術情報は、タスクマネージャーの「詳細」タブに表示されるプロセスごとの専用GPUメモリのカウンターについて、特定の条件下で実際より大きい値を報告し続ける既知の問題を案内しています。この問題が起きても、タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブに表示される数値や、Windows Performance Recorder・Windows Performance Analyzerで確認できる数値は影響を受けません。数値に違和感がある場合は、「詳細」タブではなく「パフォーマンス」タブ側の専用GPUメモリ・共有GPUメモリを基準に判断してください。
内蔵GPU内蔵GPUでは共有GPUメモリを使うのが正常な設計です
ここまではGeForce RTXやRadeon RXなど、ディスクリートGPUを前提に説明してきました。Ryzenの内蔵GPUやIntel Graphics、Intel Arc内蔵GPUなどの統合GPU(UMA構成)では事情が異なります。
Direct3D 12のメモリ管理資料は“UMA adapters only have a single memory segment, system memory.”(UMAアダプターは単一のメモリセグメント、つまりシステムメモリしか持たない)と説明し、続けて“For UMA adapters non-local is always zero.”(UMAアダプターでは、非ローカル側は常にゼロになる)としています。WDDMのGPU仮想メモリに関する資料でも、CPUとGPUが共通のアドレス空間を使うIoMmuモデルについて“both the CPU and GPU share a common address space and CPU page tables. Only system memory can be accessed in this case, so IoMmu is suitable for integrated GPUs.”(CPUとGPUは共通のアドレス空間とCPUのページテーブルを共有する。このモデルではシステムメモリのみアクセス可能であるため、IoMmuは統合GPUに適している)と説明されています。
Microsoft公式の実機例でも、この違いが表れています。Intel Iris内蔵グラフィックスを搭載したSurfaceノートPCの例では、専用オンボードグラフィックスメモリが128MB、共有システムメモリが16296MBと報告されています。専用側がわずか128MBしかないからといって、それだけがゲームに使えるVRAMという意味ではありません。統合GPUは最初から、システムメモリを必要に応じて利用する設計になっているため、共有GPUメモリを数GB単位で使っていること自体は正常な状態です。
内蔵GPUではRAM速度がゲーム性能に影響しやすい
統合GPUではシステムRAMをグラフィックスメモリとして利用するため、メモリの動作速度や構成がゲーム性能に影響しやすくなります。CPU自身も同じシステムメモリを使用するため、CPUとGPUが同じメモリ帯域を奪い合う形になるからです。ディスクリートGPUのように、GDDR系のVRAMとDDR5のシステムRAMが完全に分かれている構成とは、この点で性格が異なります。RAMの搭載枚数・スロット配置・動作クロックが内蔵GPUのゲーム性能へ与える影響や、BIOSでのメモリ割り当て設定の確認手順は、メモリ32GBなのに8GBが「ハードウェア予約済み」になる原因で扱っています。BIOSで内蔵GPU向けのメモリ割り当てを増やすと、OSから「専用」に近い領域として報告される容量は増えますが、これはシステムに搭載されている物理メモリの帯域そのものを引き上げるものではない点に注意してください。
比較ディスクリートGPUと内蔵GPUで見るべきポイントは違います
- 専用GPUメモリ(VRAM)へデータが収まっている状態が基本的に理想
- 共有GPUメモリが数百MB表示されているだけでは異常と断定できない
- 共有GPUメモリが数GB単位で増え、同時にフレームタイムが悪化していれば注意
- 動作要件の「VRAM○GB」は専用GPUメモリの容量を基準に考える
- システムメモリを共有GPUメモリとして使うのが設計上の前提
- 専用GPUメモリが128MBなど極端に少なくても異常ではない
- 非ローカル側は常にゼロとして扱われ、dGPUと同じ切り分け方は使えない
- ゲーム性能はRAMの速度・構成の影響を受けやすい
Q&Aよくある質問
まとめ専用GPUメモリと共有GPUメモリは、別の速度を持つ別のメモリです
タスクマネージャーに表示される「専用GPUメモリ」と「共有GPUメモリ」は、どちらもGPUが利用できるメモリですが、同じ速度ではありません。Microsoft公式のDXGI仕様は、専用GPUメモリにあたるローカルなメモリを「GPUで利用できる最も高速なメモリ」、共有GPUメモリにあたる非ローカルなメモリを「それより性能が低くなる可能性があるメモリ」と定義しています。専用8GB+共有16GBのように表示されていても、24GBのVRAMを積んだGPUになるわけではありません。
ディスクリートGPUで専用GPUメモリへ収めるべきデータが大きく共有GPUメモリ側へ依存すると、性能が低下する可能性があります。ただし共有GPUメモリの使用量が少しあるだけでは異常と断定できません。数GB単位の増加と、実際のフレームタイムの悪化がそろって初めて注意すべきサインです。この基準を踏まえたうえで、症状からVRAM不足を素早く見分けたい場合はVRAM不足の見分け方と対処法を、専用GPUメモリに余裕があるのにカクつく場合はVideo Memory Budgetの仕組み解説をあわせて確認してください。
一方、Ryzen内蔵GPUやIntel Graphics・Arc内蔵GPUなどの統合GPUでは、システムメモリを共有GPUメモリとして利用するのが設計上の前提です。専用GPUメモリの数値が極端に小さくても、それ自体は異常ではありません。




