ゲーマーが賃貸で防音を求めるなら鉄筋一択か?木造・鉄骨との遮音差をボイスチャット・打鍵音・爆発音・足音別に検証【2026年版】
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木造・鉄骨との遮音差を、ボイスチャット・打鍵音・爆発音・足音の音源別に検証します
賃貸物件を探していると、「鉄筋コンクリート(RC)造を選べば防音は安心」という説明を目にすることがあります。不動産会社のコラムやハウスメーカーの解説記事でもよく見かける主張で、間違いではありません。ただし、この説明だけを鵜呑みにして部屋を決めると、実際に住み始めてから「思っていたほど静かではなかった」と感じる音源があります。防音性能は1つの数値で決まるものではなく、音の種類によって効き方がまったく違うからです。
建築の世界では、防音性能を表す指標が少なくとも2種類あります。話し声やボイスチャットなど空気を伝わる音の遮断性能を表す「D値」と、足音や物を落とした音など床への衝撃で伝わる音の遮断性能を表す「L値」です。この記事では、木造・軽量鉄骨造・重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造それぞれのD値・L値の目安を比較したうえで、ゲーマーが気にする音源、ボイスチャットの話し声・キーボードやマウスの操作音・ゲーム内の爆発音や重低音・自分の足音や椅子を引く音の4つについて、D値だけで判断できるのかを1つずつ検証します。
「RC造がいい」で終わらせず、なぜその音源ではD値が参考になるのか、あるいはなぜD値だけでは判断できないのかという理由まで踏み込むのが、この記事の狙いです。賃貸のインターネット回線の速度が配線方式で変わる話は賃貸の「インターネット無料」はオンラインゲームで使えるか、ゲーミングPCの電源が賃貸のブレーカーで落ちる仕組みはゲーミングPCは賃貸のブレーカーで落ちる?で扱っているので、防音とあわせて賃貸選びの参考にしてください。
目次
指標の違いD値とL値は測定対象も評価方向も違います
賃貸物件の防音性能は、1つの数値だけで説明できるものではありません。少なくとも「D値」と「L値」という、測定対象も評価の向きも異なる2つの指標を区別して考える必要があります。この違いを理解しないまま「鉄筋コンクリート造だから安心」と判断すると、実際に困る音源を見落とすことになります。
D値は、話し声・テレビの音・ボイスチャットの音声など、空気を伝わって壁を通過する音の遮断性能を表す指標です。JIS規格にもとづいて測定され、等級の名称には500Hzの周波数における遮音性能の数値が使われています。D値は数値が大きいほど遮音性能が高く、D-30よりD-40、D-40よりD-50の方が、壁の向こうから伝わってくる音は小さくなります。
L値は、足音や物を落とした音、椅子を引く音など、床への衝撃によって伝わる音の遮断性能を表す指標です。こちらもJIS規格にもとづいて測定され、等級の名称は同じく500Hzを基準にしていますが、評価の向きがD値とは逆になります。L値は数値が小さいほど遮音性能が高く、L-75よりL-65、L-65よりL-50の方が、下の階に伝わる音は小さくなります。
D値は「大きいほど高性能」、L値は「小さいほど高性能」です。「L-75」のように数値が大きいと高性能に見えてしまいますが、L値に関しては数値が大きいほど床衝撃音が響きやすいという、性能の低さを表しています。物件資料やハウスメーカーの説明を読む際は、どちらの指標を見ているかを必ず確認してください。
対象となる音の伝わり方にも違いがあります。D値が問題になるのは主に隣の部屋(隣室)との間の壁を通過する音で、L値が問題になるのは主に自分の部屋の床から下の階に伝わる衝撃音です。賃貸の1K・1DK・1LDKのような一室に住んでいる場合、壁一枚を挟んだ隣室への配慮がD値の話、床一枚を挟んだ階下の部屋への配慮がL値の話、と切り分けて考えると整理しやすくなります。
構造比較木造・軽量鉄骨・重量鉄骨・RC造の遮音性能を比較する
ヘーベルハウス公式サイトの解説記事によると、建物の構造ごとのD値・L値の目安は次の通りとされています。実際の遮断性能は壁の厚さや工法、築年数、窓やドアの気密性によっても変わるため、あくまで構造による傾向としての目安です。
- D値(空気音)の目安D-35程度
- L値(床衝撃音)の目安L-75程度
- 傾向会話音がかなり聞こえる/足音や飛び跳ねる音がかなり響く
- D値(空気音)の目安D-45〜50程度
- L値(床衝撃音)の目安L-65程度
- 傾向会話音は木造より軽減されるが構造・工法差が大きい
- D値(空気音)の目安D-45〜50程度
- L値(床衝撃音)の目安L-60程度
- 傾向床衝撃音への強さは軽量鉄骨造よりやや上
- D値(空気音)の目安D-50程度
- L値(床衝撃音)の目安L-50程度
- 傾向会話音はほとんど聞こえない/足音は小さく聞こえる
この数値を、日本建築学会が示す共同住宅の遮音性能等級に当てはめると、位置づけがより具体的になります。同学会の等級区分では、D-45が2級(標準)、D-50が1級、D-55が特級(特に優れた水準)、D-40が3級とされています。RC造の目安であるD-50はこの区分の1級に相当し、標準を上回る水準です。一方、木造の目安であるD-35は、区分の中で最も低い3級(D-40)をさらに下回る水準になります。
L値についても、RC造(L-50程度)は木造(L-75程度)よりはっきりと有利です。木造・軽量鉄骨造は、階下への足音の配慮という点では相対的に不利な構造になりやすいことも、あわせて押さえておきたいポイントです。
音源別検証音源によってD値だけで判断できるかが変わります
ゲーマーが気にする音は、ボイスチャットの話し声、キーボードやマウスの操作音、ゲーム内の爆発音や重低音、そして自分の足音や椅子を引く音と、実は多岐にわたります。「RC造だから安心」という判断が音源によってどこまで正しいのか、1つずつ検証します。
- 音の特性男声は500Hz前後・女声は1000Hz前後が中心的な周波数とされる
- D値との相性測定基準の500Hzに近く数値差が体感差に出やすい
- 結果RC造(D-50)と木造(D-35)の差ははっきり体感できる
- 音の特性単発の衝撃的な音で持続的な音とは特性が異なる
- D値との相性D値が想定する定常的な音の測定条件とずれる
- 結果軸の種類やデスクマットなど構造以外の要素の影響が大きい
- 音の特性100Hz以下の重低音を含む効果音
- D値との相性JIS規格の測定基準(500Hz)より大幅に低く等級がそのまま当てはまらない
- 結果RC造でも壁厚を増やす効果には限界があり対策併用が現実的
- 音の特性床への衝撃で伝わる音
- 影響範囲隣室ではなく階下の部屋
- 結果RC造(L-50)は木造(L-75)より明確に有利
ボイスチャットや話し声については、D値の目安がそのまま参考にしやすい音源です。会話の中心となる周波数帯は、男声で500Hz前後、女声で1000Hz前後とされており、D値の等級を決める測定基準の500Hzに近い帯域にあたります。そのため、RC造(D-50程度)と木造(D-35程度)の差は、実際の体感差としても表れやすくなります。ボイスチャットの音量を気にする場合は、まず構造のD値を確認する判断が有効です。
キーボードやマウスの操作音については、D値の数値だけで単純に判断できません。D値の測定は、ある程度持続する音を周波数ごとに評価する方式ですが、メカニカルキーボードの打鍵音は、キーを押した瞬間に発生する単発の衝撃的な音で、性質が異なります。青軸のようなクリック感の強い軸は音が大きくなりやすく、赤軸や静音設計のスイッチは音が抑えられている傾向があるとされていますが、こうした軸の違いによる影響のほうが、構造によるD値の差より体感に直結しやすい場面もあります。打鍵音が気になる場合は、構造の遮音性能だけに頼らず、軸の選び方やデスクマットの併用も含めて考える必要があります。
爆発音や重低音については、構造のD値がそのまま安心材料にならない可能性がある音源です。D値はJIS規格上、500Hzを基準とした周波数帯で測定されており、これより大幅に低い100Hz以下の重低音の遮断力を必ずしも代表しません。防音を専門とする事業者の技術解説でも、コンクリートのような硬く重い壁材であっても、低い周波数の音では遮音効果が上がりにくく、壁の厚みを増やしても効果が頭打ちになりやすいことが指摘されています。爆発音や重低音を多用するゲームをスピーカーで大音量のまま楽しみたい場合、RC造だから安心と考えるのではなく、ヘッドホンやイヤホンに切り替える方が確実な対策になります。
足音や椅子を引く音については、そもそもD値ではなくL値の対象になる音源です。これは自分の部屋の床から下の階に伝わる衝撃音であり、隣室との関係ではなく階下の部屋との関係で問題になります。この点では、RC造(L-50程度)は木造(L-75程度)よりはっきりと有利です。キャスター付きのゲーミングチェアを使っている場合や、大きな音を立てて椅子を引く癖がある場合は、構造に加えて床側の対策も組み合わせると安心です。
ここまでゲームに関連する音源を中心に見てきましたが、木造の遮音性能の低さはゲーミング環境に限った話ではありません。隣室のテレビの音や会話、階下・階上の生活音などが日常的に響きやすく、ゲームをしない人にとっても快適とは言いにくいというのが当サイトの実感です。D値・L値のどちらで見ても木造は最も不利な水準にあり、普段の生活のなかでも音のストレスを感じやすい構造だと考えておいた方がよいでしょう。ゲーミング環境を整えたい場合はもちろん、そうでなくても、可能であれば軽量鉄骨造以上、できればRC造の物件を選ぶことをおすすめします。
対策鉄筋コンクリート造でも音源に応じた対策が必要です
ここまで見てきた通り、鉄筋コンクリート造を選んだからといって、あらゆる音がまったく気にならなくなるわけではありません。音源に応じた現実的な対策を組み合わせることで、構造だけに頼るより確実に生活音のトラブルを減らせます。
低音を多用するゲームを楽しみながら隣室・階下への配慮もしたい場合は、耳元で音が完結しやすいヘッドセットやイヤホンへの切り替えが確実です。
床や壁への直接的な対策としては、以下のような防音・遮音グッズも選択肢になります。


環境省が定める騒音に係る環境基準では、住居専用地域の場合、昼間(午前6時〜午後10時)は55デシベル以下、夜間(午後10時〜翌朝6時)は45デシベル以下が目安として示されています。これは屋外の環境を対象にした基準であり、室内で出す生活音や話し声にそのまま当てはまるものではありませんが、夜間は音を控えめにするべきだという時間帯の感覚をつかむ参考にはなります。ボイスチャットや効果音の音量、時間帯を考えるときの目安の一つとして意識しておくとよいでしょう。
FAQよくある質問
まとめ入居前にチェックすべきポイント
賃貸でゲーム音の防音を考えるなら、次の点を押さえておくと入居後の後悔を避けやすくなります。
- D値とL値は別の指標だと理解する。D値は数値が大きいほど、L値は数値が小さいほど遮音性能が高く、評価の向きが逆になります。
- 構造ごとの目安を押さえる。RC造はD-50・L-50程度、木造はD-35・L-75程度が目安で、軽量鉄骨造・重量鉄骨造はその中間に位置します。
- ボイスチャットや話し声はD値が参考になりやすい。会話音の周波数帯はD値の測定基準に近く、構造による差が体感差に出やすい音源です。
- キーボード音や爆発音はD値だけで判断しない。打鍵音は単発の衝撃音、重低音はD値の測定基準より大幅に低い周波数のため、構造以外の対策も必要です。
- 足音・椅子を引く音はL値の対象、階下への配慮の話だと切り分ける。隣室ではなく下の階に伝わる音であり、RC造が明確に有利です。
- 内見時に構造と部屋の位置を確認する。物件概要の「構造」欄に加え、隣室・上下階にどんな部屋があるかも聞いておくと安心です。
- ゲーム用途に限らず、木造は避けるのが無難。木造は生活音全般が響きやすく、当サイトの経験上もゲームをするかどうかに関わらずおすすめしにくいため、可能であれば軽量鉄骨造以上を選んでください。
「鉄筋コンクリート造なら防音は万全」という説明は、音源によっては正しく、音源によっては言い過ぎです。ボイスチャットや話し声のようにD値の測定基準(500Hz)に近い音源では、RC造(D-50程度)と木造(D-35程度)の差ははっきり体感できます。一方で、メカニカルキーボードの打鍵音や100Hz以下の重低音は、D値が想定する測定条件とは特性が異なるため、構造の等級だけで安心はできません。
足音や椅子を引く音は、そもそもD値ではなくL値の対象で、隣室ではなく階下の部屋への配慮の問題です。賃貸選びでは構造のD値・L値を確認したうえで、低音を含むゲームはヘッドホンに切り替える、床には防音マットを敷くといった、音源に応じた対策を組み合わせることが現実的な解決策になります。






