ゲーミングPCは賃貸のブレーカーで落ちる?15A・20A回路と契約アンペアの違い、実機構成別の消費電力を計算【2026年版】
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犯人は契約アンペアではなく、コンセント1個分の分岐回路であることがほとんどです
新しいゲーミングPCを組み立てて、あるいは届いたばかりのBTOパソコンの電源を入れた瞬間に、部屋が真っ暗になった経験はないでしょうか。慌てて分電盤を確認しに行き、賃貸だから契約アンペアが足りないのかもしれない、と不安になる方は少なくありません。ですが実際には、住戸全体の契約アンペアではなく、PCとモニターを挿している1つのコンセント側の上限を超えていただけ、というケースが大半です。
日本の住宅用電気配線には、コンセントごとの上限を決める「分岐ブレーカー」(多くは15Aまたは20A)と、住戸全体の上限を決める「契約アンペア(アンペアブレーカー)」という、性質の異なる2つの上限が存在します。ブレーカーが落ちたときにどちらが原因かを取り違えると、必要のない契約変更の手続きに時間を使ってしまったり、逆に本当に見直すべきコンセントの使い方を放置してしまったりします。
この記事では、NVIDIA公式・AMD公式が示すGPU・CPUの消費電力の数値をもとに、ハイエンド・ミドルレンジ・エントリーの3パターンで実機構成別の消費電力を積み上げて計算し、15A・20A回路の上限と比較します。あわせて、ドライヤーや電子レンジなど同じコンセントに挿しがちな家電との合算リスク、ブレーカーが落ちたときの切り分け方、賃貸で契約アンペアを変更できるかまで、購入前・入居前にチェックすべきポイントとして整理します。
目次
配線の仕組み賃貸の電気配線、分岐ブレーカーと契約アンペアは別物です
日本の一般的な住宅用電気配線には、性質の異なる2種類の上限が存在します。1つは、部屋やコンセントの系統ごとに設置されている「分岐ブレーカー」です。もう1つは、住戸全体・建物全体の使用量の上限を決める「契約アンペア(アンペアブレーカー)」です。この2つを混同すると、ブレーカーが落ちた原因の切り分けを誤ります。
分岐ブレーカーは、分電盤の中に複数並んでいる小さいスイッチで、1つのスイッチが1つの部屋、または1つ〜数個のコンセント系統を受け持っています。Panasonicの電気設備の基礎知識ページによると、一般的な家庭用の分岐ブレーカーは20Aで、100Vの電圧をかけると20A×100V=2000Wが上限になるとされています。これを超える電流が流れると、配線が発熱して劣化するのを防ぐために、分岐ブレーカーが自動的に電気を遮断する仕組みです。定格15Aのコンセントの場合は、Panasonicの公式FAQで「電力(P)=電圧(E)×電流(I)=100(V)×15(A)=1500(W)」と説明されている通り、1500Wが上限の目安になります。
後述するハイエンド構成は、それだけで15A回路(1500W)の大半を占めてしまい、ドライヤーや電子レンジなど他の家電と同時に使う余地がほとんど残りません。ミドルレンジ・エントリー構成でも、家電との組み合わせ次第で上限に達する計算になります。分岐ブレーカーは建物の配線であらかじめ決まっており入居者が選べるものではありませんが、内見時にPCを置きたい部屋のコンセントが15A・20Aのどちらかを確認しておくと、入居後にどこまで余裕があるか見当がつきます。なお、契約アンペア自体を15A・20Aのような低い区分で契約している場合は、住戸全体の上限そのものが低いということなので、後述のとおり契約アンペアの見直しをおすすめします。
一方、契約アンペア(アンペアブレーカー)は、住戸全体・建物全体で同時に使える電気の総量を決める契約上の上限です。分電盤の中でも一番大きな、主幹に位置するブレーカーがこれにあたります。契約アンペアは30A・40A・50A・60Aなど、契約者が電力会社に申し込む形で決まっており、東京電力エナジーパートナーなど多くの電力会社がこの「アンペア制」を採用しています。ただし関西電力エリアのように、一般家庭向けの契約にアンペア制を採用していない電力会社もあり、仕組みは全国一律ではありません。自分の契約している電力会社がどちらの方式かは、契約時の書類や検針票、電力会社の公式サイトで確認できます。
ゲーミングPCの電源を入れた瞬間にブレーカーが落ちる場合、実際に超えているのは住戸全体の契約アンペアではなく、PC・モニター・周辺機器をまとめて挿している1つのコンセント系統(分岐回路)の15Aまたは20Aであるケースが多いというのが、この記事で押さえておきたい前提です。分岐回路が落ちたのであれば、住戸内のほかのコンセント系統の家電と電力が合算されるわけではなく、そのコンセント系統だけの問題として対処できます。
消費電力計算実機構成別の消費電力を計算する
ゲーミングPC本体が実際にどれくらいの電力を使うかは、GPUの消費電力(TGP、Total Graphics Powerの略でNVIDIAが公式に公表している数値)と、CPUの消費電力(TDP、AMDが公式に公表しているDefault TDP)を足し合わせ、さらにマザーボード・メモリ・ストレージ・ケースファンなど周辺パーツの分を上乗せすることで、おおよその目安を計算できます。ここではNVIDIA公式・AMD公式の仕様ページで確認した数値をもとに、ハイエンド・ミドルレンジ・エントリーの3パターンで計算します。
- GPU(公式TGP)GeForce RTX 5090 / 575W
- CPU(公式Default TDP)Ryzen 9 9950X3D / 170W
- その他パーツの目安マザーボード・メモリ・ストレージ・ファン等で80〜120W
- 壁からの消費電力の目安高負荷時で900W台後半に達することも
- 15A回路(1500W)との比較単体では収まるが余裕は少ない
- GPU(公式TGP)GeForce RTX 5070 / 250W
- CPU(公式Default TDP)Ryzen 7 9700X / 65W
- その他パーツの目安マザーボード・メモリ・ストレージ・ファン等で70〜90W
- 壁からの消費電力の目安高負荷時でも430〜450W程度
- 15A回路(1500W)との比較単体では上限の3割程度で余裕がある
- GPU(公式TGP)GeForce RTX 5060 Ti / 180W
- CPU(公式Default TDP)Ryzen 5 9600X / 65W
- その他パーツの目安マザーボード・メモリ・ストレージ・ファン等で60〜80W
- 壁からの消費電力の目安高負荷時でも350〜360W程度
- 15A回路(1500W)との比較単体では上限の2割程度で最も余裕がある
ここで言う「壁からの消費電力」は、GPU・CPU単体の公式スペックの合計よりも明確に大きくなります。理由は電源ユニット(PSU)の変換ロスです。CLEAResultが運営する80 PLUS認証プログラムの公式説明によると、最も基本的な80 PLUS Standard認証でも、20%・50%・100%負荷時に80%以上の変換効率を満たすことが条件とされています。つまりPSUは、コンセントから取り込んだ電力(AC入力)の一部を熱として消費しながら、GPUやCPUが使う直流電力(DC出力)に変換しています。認証グレードが高いほど効率は上がりますが、100%変換できるPSUは存在しないため、壁からの消費電力はPC内部の各パーツが使う電力の合計より、1割前後、条件によっては2割近く上乗せされるのが実態です。
NVIDIA公式サイトでは、GPUのTGPとは別に「Required System Power」として、推奨するPSUの最低容量も公表しています。GeForce RTX 5090で1000W、RTX 5070 Tiで750W、RTX 5070で650W、RTX 5060 Tiで600Wとされています。この数値はあくまでNVIDIAが安定動作のために余裕を持たせて示している推奨値であり、実際の消費電力そのものではありませんが、ハイエンド構成が壁から900W台の電力を使ってもおかしくない水準であることの裏付けにはなります。なお、RTX 5080(TGP360W)を使う場合は、上記のハイエンドとミドルレンジのちょうど中間程度の電力帯になると考えてください。
IntelのCPUを選ぶ場合は、AMDのTDPとは異なり「Processor Base Power」と「Maximum Turbo Power」という2つの数値で電力仕様が公表されています。表記の考え方がAMDと異なるため、CPUの型番だけで単純に電力を比較せず、必ず選んだCPUの公式スペックページで数値を確認してください。
家電との合算同じコンセントのほかの家電との合算に注意
上の計算からも分かる通り、ゲーミングPC単体だけで15A回路の1500Wを超えるのは、よほどの高負荷構成でない限り起こりにくいことです。実際にブレーカーが落ちやすいのは、PCを挿しているのと同じコンセント、または同じ電源タップに、消費電力の大きい家電を一緒に接続してしまったときです。
- ドライヤーは、機種によって差はありますが600〜1200W程度を使うものが多く、強運転では1200W前後に達する製品も珍しくありません。
- 電子レンジは、加熱時の消費電力が1000〜1500W程度になることが一般的です。
- 電気ケトルは、沸騰までの時間を短くするために800〜1300W程度の消費電力に設定されている製品が主流です。
- ホットカーペットや電気ストーブなどの暖房家電も、500〜1200W程度と消費電力が大きい部類に入ります。
ハイエンド構成(壁からの消費電力目安で900W台後半)の場合、同じコンセント系統でドライヤーや電子レンジ(1200W前後)を同時に使うと、合計は2000Wを超え、20A回路の上限にも達してしまいます。ミドルレンジ構成やエントリー構成(430W前後、360W前後)であっても、ドライヤーの強運転(1200W前後)と重なれば、合計は1500Wを超え、15A回路の上限に達する計算になります。つまりPCの性能に関わらず、同じタップやコンセントに高消費電力の家電をつながないことが、ブレーカーを落とさないための最も効果の大きい対策です。
分岐ブレーカーは、配線が許容量を超える電流で発熱し、劣化・発火するのを防ぐための保護装置です。落ちたブレーカーをそのまま元に戻して使い続けるのではなく、まず同じコンセント系統に何を接続しているかを見直し、消費電力の大きい家電を外してから電源を入れ直してください。
切り分け方ブレーカーが落ちた場合の切り分け方
実際にブレーカーが落ちたとき、分電盤のどこが落ちているかを確認すれば、原因が分岐回路側なのか契約アンペア側なのかを見分けられます。
- 影響範囲PCを挿しているコンセント系統だけ
- 他のコンセント系統通常通り電気が使える
- 分電盤の見た目複数並ぶ「分岐」スイッチのうち1つだけ反対側に倒れている
- 主な原因そのコンセント系統の合計消費電力が15A・20Aを超えた
- 影響範囲住戸・建物全体
- 住戸全体照明を含めすべて使えなくなる
- 分電盤の見た目一番大きな主幹の「アンペアブレーカー」自体が落ちている
- 主な原因住戸全体で同時使用している家電の合計が契約アンペアを超えた
分岐ブレーカーが落ちただけであれば、住戸内のほかのコンセント系統の家電と電力が合算されているわけではないため、そのコンセント系統の使い方を見直すだけで解決できることがほとんどです。一方、契約アンペア(アンペアブレーカー)まで落ちている場合は、PC以外の家電も同時に使っていたことが原因になっている可能性があるため、住戸全体の使い方を見直すか、契約アンペア自体の変更を検討する必要があります。
契約アンペア変更賃貸で契約アンペアを変更できるか
契約アンペアは10A・15A・20A・30A・40A・50A・60Aなどの区分から選ぶ契約で、区分が低いほど基本料金は安くなりますが、住戸全体で同時に使える電気の総量そのものが下がります。契約アンペアが15A(1500W)や20A(2000W)の場合、ゲーミングPCに加えて冷蔵庫・エアコン・照明などを同時に使うだけで住戸全体の上限に達してしまうことがあります。日常的にゲームをプレイする、配信や録画もあわせて行うといった用途では、契約アンペアを30A以上にしておくことをおすすめします。入居時にどの区分で契約されているかを検針票や電力会社のマイページで確認しておいてください。
頻繁に契約アンペアの上限に達してしまう場合、契約アンペアそのものを引き上げるという選択肢もあります。ただし賃貸物件では、持ち家のように契約者の判断だけで自由に変更できるとは限りません。
賃貸物件で契約アンペアを変更できるかどうかは、建物の設備・管理会社の方針によって差があります。内見の段階で契約アンペア数と、PCを置きたい部屋のコンセントがどの分岐回路に属しているかを確認しておくと、入居後に慌てずに済みます。電源タップの使い方や許容量そのものについてはゲーミングPCの電源タップは何Wまででも詳しく解説しているので、コンセント1個分の上限とあわせて確認しておくことをおすすめします。
FAQよくある質問
まとめ入居前・購入前にチェックすべきポイント
賃貸でゲーミングPCのブレーカー落ちに悩まないためには、次の点を事前に確認しておくと安心です。
- ブレーカーが落ちても契約アンペアが原因とは限らないと理解する。多くの場合、PCを挿しているコンセント系統(分岐回路)の15A・20Aを超えただけです。
- 実機構成の消費電力を積み上げて計算する。GPU公式TGP・CPU公式TDPに周辺パーツの分を足し、PSUの変換ロスも考慮して壁からの消費電力の目安をつかんでください。
- 同じコンセント・タップに高消費電力の家電をつながない。ドライヤー・電子レンジ・電気ケトルなどは1000W前後に達する製品が多く、PCの構成に関わらず合算リスクがあります。
- ブレーカーが落ちたら分電盤のどこが落ちたかを確認する。分岐ブレーカーだけならコンセント系統の問題、主幹のアンペアブレーカーまで落ちていれば住戸全体の使い方の問題です。
- 契約アンペアの変更には管理会社・大家の承諾が必要な場合がある。賃貸では持ち家と違い、契約者の判断だけで自由に変更できないことがあります。
- 契約アンペアが15A・20Aのような低い区分になっていないか確認する。ゲーミングPC用途では契約アンペアを30A以上にしておくことをおすすめします。内見の段階でコンセントの分岐回路(15A/20A)もあわせて確認しておくと、入居後に慌てずに済みます。
ゲーミングPCの電源を入れた瞬間にブレーカーが落ちても、原因の多くは住戸全体の契約アンペアではなく、PCを挿しているコンセント系統(分岐回路)の15Aまたは20Aを超えたことです。ハイエンド構成でも壁からの消費電力は900W台にとどまることが多く、PC単体だけで契約アンペア全体を超えるケースはまれです。
本当に注意すべきなのは、同じコンセントやタップにドライヤー・電子レンジ・電気ケトルなど消費電力の大きい家電を一緒につないでしまうことです。ブレーカーが落ちたときは、分電盤のどのスイッチが落ちているかを確認し、分岐回路の問題なのか契約アンペアの問題なのかを切り分けたうえで、必要であれば管理会社・電力会社に相談してください。


